がん免疫細胞療法に向け細胞医薬品の開発に取り組む九州大学発スタートアップ「ガイアバイオメディシン」が1億円調達

がん免疫細胞療法に向け細胞医薬品の新規開発に取り組む九州大学発スタートアップ「ガイアバイオメディシン」が1億円調達

大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)を無限責任組合員とするOUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)は6月4日、ガイアバイオメディシン(GAIA BioMedicine)に対し、1億円の投資を実行したと発表した。大阪大学以外の国立大学の研究成果を活用したスタートアップ企業に対する投資が可能になったOUVC2号ファンドでの初の他大学案件という。

ガイアバイオメディシンでは、調達した資金により、非小細胞肺がん患者を対象とした第I相臨床試験を完了させるとともに、2ndパイプラインの治験に向けた準備も進める。OUVCは、同社事業について、有効な治療薬が存在しない創薬の開発につながるものであり、医学的・社会的な意義が大きいと判断し、投資を実行したとしている。

2015年10月設立のガイアバイオメディシンは、九州大学大学院薬学研究院・米満吉和教授の研究成果を活用し、新規細胞医薬品の開発に取り組む九州大学発のスタートアップ企業。

細胞医薬品とは、近年注目されている新たな創薬モダリティ(手法)にあたる、細胞そのものを人に投与して治療効果を得る薬剤を指し、もともと人に備わるT細胞やナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞をベースにがん細胞への攻撃力を増強させた細胞が利用される。ガイアバイオメディシンでは、NK細胞と形質上類似するNK様細胞(GAIA-102)を開発し、患者本人の細胞ではなく健康なドナーから採取した細胞「他家細胞」を用いることによりスケーラブルな医療を可能とする新たながん免疫細胞療法の開発に取り組んでいるという。

GAIA-102は、死亡数の最も高い肺がんの中でも8割を占める「非小細胞肺がん」への高い有効性が見込まれており、T細胞を遺伝子改変したCAR-Tなど他の細胞医薬品に比べて固形がんに対し有望な免疫細胞療法となることが期待されるという。また、他の細胞医薬品と異なり、極めてシンプルな製造・投薬プロセスが可能となることから、商業利用の点でも優れた競争優位性を有するとしている。

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レーザー測距技術LiDAR活用し人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組むHULIXが1.3億円調達

レーザー測距技術LiDAR活用し人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組むHULIXが1.3億円調達

大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)を無限責任組合員とするOUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)は1月28日、レーザー測位スキャナ(LiDAR)を活用して屋内における人の位置を測定できるシステム「ひとなび」を手がけるHULIXに対し、1億3000万円の投資を実行したと発表した。

HULIXは、今回の資金調達によりシステムの改良を行うとともに、プロダクトマーケットフィット(PMF。Product Market Fit)の検証を進め、更なる事業開発を加速化させる計画。

同社事業は、特に現在のようにコロナ禍で人の動きを把握する必要性が高くなっている状況において、社会実装する意義が大きいと判断したため、OUVCは同社に対する投資を決定した。OUVCからは取締役を派遣することで、ハンズオンで支援を継続していく。

HULIXは、人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組む大阪大学情報科学研究科・山口准教授の研究成果を基にして、2020年7月に設立された大阪大学発のスタートアップ企業。大阪大学の起業支援施策である「起業プロジェクト育成グラント」の採択案件として、阪大・OUVCの全面的なバックアップのもと、人流空間解析プラットフォーム「ひとなび」の事業化に取り組んできた。

また同社は、LiDARを組み込んだオリジナルエッジ機器の開発を進めており、実証フィールドでの取り組みも進めているという。レーザー測位スキャナ(LiDAR)の点群データから、リアルタイムに人やモノを抽出し空間時系列データへと変換するAIエッジ技術を保有し、こちらも研究開発を行っているそうだ。

ひとなびは、LiDARを活用して屋内における人の位置を測定できるシステムで、大規模空間で不特定多数の人の流れを把握できるという特徴を有している。阪大独自のセンシング技術により、空間に「目」と「知能」を与え、高度な空間理解と空間制御を実現しているという。

また同システムを活用すると、大型商業施設内での消費者行動の分析や混雑状況の可視化や予測が可能になることから、三井不動産と連携し、同社運営の大型複合施設「EXPOCITY」(大阪府吹田市)では、歩行者の軌跡からリアルタイムで混雑状況を予測したり、消費者行動を分析する実証実験を開始している。

なおひとなびは、施設の様々な場所に設置されたセンサーからのデータを基に人の流れを把握しているため、個人情報を取得せずにフードコートや施設内の混雑状況の分析できるとしている。

OUVC2号ファンドは、2015年に設立されたOUVC1号ファンドの後継ファンドで、大阪大学のみならず他の国立大学の研究成果も社会実装する目的で2021年1月1日に設立された。同案件はOUVC2号ファンドの第一号案件となる。

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