NASAがSpaceXと並んで有人月着陸船を開発する第2の企業を募集

NASAは、企業に月着陸船を送り込む新たなチャンスを与える計画を発表した。SpaceXがBlue Origin、Boeing(ボーイング)らのライバルを破ってから1年近く後のことだ。

新しい計画の下、NASAは着陸システムの2度目の競争入札を、SpaceXを除く全米国企業に開放する。第2の着陸船の打ち上げは2026年または2027年を目標にしている。Sustaining Lunar Development(持続的月開発)契約と呼ばれるこの2回目の競争の勝者は、SpaceXとともに「月面に立つ宇宙飛行士のための将来の繰り返し可能な月輸送サービスへの道を開く」とNASAは言っている。

これは競争参加者にとって良いニュースであるだけではない。同局はさらに、既存のSpaceXとの契約を拡大し、もう1機の着陸船を製作する計画も発表した。2020年代後半に、無人および友人のデモンストレーション飛行ミッションを実施する。

NASAの3月23日の発表は、アポロ計画以来初めて人類を月に送り出す同局による一連のミッションであるArtemis(アルテミス)プログラムの大がかりな拡張だ。

これは、大きな方向転換でもある。NASAは2021年4月にSpaceXと28億9000万ドル(約3500億円)の単独契約を結んだ後、民間産業、議会の両方から集中砲火を浴び、Blue Originが連邦裁判所でNASAを訴えるところまできている(これは、Blue Originと防衛契約業者のDynetics[ダイネティクス]が、政府説明責任局とともに、異議を唱え、後に棄却されたあとのことだ)。しかし今回、NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、同局が重視するのは競争を育てることだけだと発言した。

「NASAそして議会も、競争はより優れたより信頼性の高い結果と全員にとっての利益を生むと考えています」と同氏は述べた。「それはNASAの利益であり、米国民の利益です。これは間違いなく、競争が生み出す利益です」。

同局は3月末に暫定提案依頼を公開する、と月着陸プログラム責任者のLisa Watson-Morgan(リサ・ワトソン=モーガン)氏が23日に記者団に語った。これには今春末の最終提案依頼が続き、SpaceXを除くすべての米国企業に参加資格がある。

これまでNASAは、費用がいくらになるのかについて、固定金額契約になること以外は口をつぐんでいる。これは重要であり、なぜなら同局は2021年の月着陸システムの契約に1社のみを選んだ理由の1つは予算の制約のためだとしているからだ。契約金額の詳細は、来週バイデン大統領が会計2023年度予算を発表したあと明らかにされる、とネルソン長官は付け加えた。

「私たちは議会およびバイデン政権両方の支持を得られることを期待しています」と同氏は語った。

更新:Blue Originの広報担当者はTechCrunchに次のように語った「Blue Originは競争に参加する準備が整っており、今後もArtemis計画の成功に全力を注いでいきます。当社はNASAと協力して、できるだけ早い月への帰還という米国の目標を達成するために努力していきます」。

画像クレジット:

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

JAXAが13年ぶりの宇宙飛行士候補者募集の応募受け付けを本日開始、学歴は問わず

JAXAが13年ぶりの宇宙飛行士候補者募集の応募受け付けを本日開始、学歴は問わず

以前お伝えしたとおり、JAXAは13年ぶりとなる宇宙飛行士候補者の募集の受け付けを12月20日正午から開始した。今回は、月面有人探査ミッションへの参加も予定されている。募集要項は以前に比べて大幅に緩和され、学歴も問われない。

選抜は、書類選考、第0次選抜から第3次選抜まで行われる。その中では、英語、一般教養、STEM(理工系)分野の試験、小論文、適正検査、医学検査、面接、資質特性検査などの審査が行われる。JAXAが宇宙飛行士に求める人物像は、国際共同事業で多様性を尊重しつつリーダーシップがとれる人、極限環境でも柔軟な思考と着眼点で適時的確な判断ができる人、ミッションで得た経験を人々に伝える発信力のある人。

選抜で評価されるポイントは、明確な目的意識と達成意欲、任務と訓練に耐えうる健康状態、STEM分野の知識と論理的思考力、英語力、実務経験から得られた専門性、緊急事態にも的確に対処できるミッション遂行能力、環境や技術の変化に適用できる身体能力、精神的適応性、強靱性、未経験の知識や技量を速やかに習得できる能力などとなっている。

予定されている宇宙活動には、ISSでのシステム操作や保全・実験研究・船外活動、月周回ステーション「ゲートウェイ」での操作保全・実験研究・船外活動・月面での滞在・実験研究・船外活動などが含まれる。

カシオ計算機とJAXA、月面基地建設に向け高精度位置測位システムpicalicoによる位置測位の実験を開始

月面基地イメージ ©JAXA

申し込みには、エントリーシートの入力と健康診断書の提出が必要となる。

募集および選抜の実施概要

  • 採用人数:若干名
  • 受付期間:2021年12月20日から2022年3月4日まで
  • 選抜結果発表:2023年2月ごろ

12月1日に行われたオンライン説明会の様子は、こちらから見ることができる。

詳細はこちらを。

 

花王の衣類用洗浄シートと洗髪シートが国際宇宙ステーション・ISSに搭載決定、水を使わず清潔に

花王は11月22日、衣類の汚れや匂いを取る衣類用洗浄シート「Space Laundry Sheet」(スペースランドリーシート)と、簡単に頭皮や髪の汚れを拭き取れる洗髪シート「3D Space Shampoo Sheet」(スリーディースペースシャンプーシート)が、JAXAの「宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ・解決策のアイデア募集」に採用され、2022年頃に国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されることになったと発表した。

水が貴重な宇宙ステーションでは、衣類の洗濯ができず、宇宙飛行士は同じ服を何日も着ることになる。汚れがひどい衣類は廃棄するしかない。また洗髪も、ごくわずかな水と特別なシャンプーを使い、シャンプーが飛散しないよう注意しながら行う必要がある。こうした状況を改善しようと、花王はこれらの製品を開発した。

Space Laundry Sheetは、衣類用の洗浄液を染み込ませた不織布シート。水を使わず、汚れや匂いのある場所を拭き取ることができる。部分的ながら、洗濯機で洗ったときと同等の洗浄力があるという。抗菌、消臭成分も含まれている。

3D Space Shampoo Sheetは、洗髪用の洗浄液を染み込ませた、凹凸のある不織布シート。凸部で頭皮をマッサージしながら、頭皮と毛根部分の汚れを拭き取ることができる。水を使わないため、飛散の心配がない。「さわやかなみずみずしい香り」が付いている。

試作段階に宇宙飛行士に使ってもらいアンケートをとったところ、「地上より期待度を下げて適応していたISSでのやや不便な生活を、本品は快適にしてくれる可能性が高い」「運動後、短時間でリフレッシュするには効果的」などといった良好な反応が得られた。

この開発から得られた知見は、宇宙空間のみならず、「被災時や入院時、さらには水不足の国や地域への応用も期待されます」と花王では話している。