「Internet of Trees」で乾燥地帯で育つ作物の灌漑の必要性を劇的に低減させるSupPlant

アグリテックのスタートアップSupPlantは植物のためのBabel fishのようであり、一連のセンサーのデータから植物の給水状態とその過不足を知る。

作物は通常、潅水の過剰よりも水不足の被害のほうが大きいため、農家は必要以上の水やりを行い、貴重な水資源を浪費してしまいがちだ。しかし植物の状態を注意深く観測し、それに天候や土壌のデータを合わせると、潅水の必要量を精密に知ることができる。同社はこのほど、同社自身の成長のための施肥および潅水として2700万ドル(約32億円)を調達した。

農業革命が起きた1万2000年前に農家は、天候による作物の生育の違いに気づき、天候の変化を大まかに予報できるようになった。しかしそれらのパターンの多くは、気候変動によって破壊された。

SupPlantのCEOで創業者であり、農家の3世代目でもあるOri Ben Ner(オリ・ベン・ネル)氏は次のように語る。「天候の季節性に基づく決定は、完全に無効になりました。それが、私たちの出発点です。季節に関わりなく、植物をセンシングすれば、何を必要としているかわかります」。彼によると、現在91歳で玉ねぎやスイカ、とうもろこしを育てている彼の祖父は、自分がやってることを農業だとは思ってないだろうという。

同社には、ソフトウェアだけのプロダクトと、ハードウェアとソフトウェアを合わせたプロダクトがある。ハードウェアの方は1エーカーほどの範囲の作物を観測し、そのデータを畑全体の作物のニーズを把握する。そのために、センサーが深層土壌と表面土壌、樹幹部、葉、そして果実の5つの部分をセンシングする。センサーのデータをアルゴリズムが処理し、それは天候のパターンや天気予報、土壌の情報およびその他の独自のデータに基づいて、次の10〜14日間における潅水方式をアドバイスする。

「私たちが農家に推奨する潅水の量や方式は、作物の樹幹部に現れるパターンや、後に果実に現れるパターンに基づいています。システムはそれらのパターンと、植物や果実の成長が最大になるような水量や潅水方式を理解しています。そして成長の後期には、糖度を最大化する方法に切り替えます。たとえばワイン用のぶどうなら、特定の時期に植物にストレスを与えたい。するとその後の3週間で植物は糖分を蓄積します。ぶどうの糖分が多ければ、良いワインができます。最終結果として、収穫量が劇的に増加するのです。私たちのメインとなる目標は収穫量の増加ですが、その副産物として大量の水を節約することもできます」とベン・ネル氏はいう。

今回の2700万ドルのラウンドはRed Dot Capitalがリードし、フィランソロピー(社会的事業)の戦略的投資家であるMenomadin FoundationSmart Agro FundMaor Investmentsなどが参加した。これでSupPlantsの総調達額は約4600万ドル(約54億円)となる。現在の社員数は70名程度だが、年内に100名ほどにしたいという。

同社は、センサーハードウェアを利用するプロダクトに加えて、最近ではAPIをプロダクトとしてローンチした。このセンサーのないプロダクトを、昨シーズンにケニアの50万のメイズ農家が利用した。それらの小規模な農家たちはSupPlantの技術によって潅水とその正しいやり方を意識するようになっている。新しい技術は、主にアフリカとインドの4億5000万の小規模農家の役に立つだろう。同社は2022には、そのうち100万以上を同社プラットフォームのユーザーにしたいと考えている。

SupPlantのアプリを利用すると悪天候の年でも農家は作物がなるべくよく育つやり方を工夫できるようになる(画像クレジット:SupPlant)

ベン・ネル氏の説明によると「創業2年間で私たちは数千台のセンサーを設置し、数百万件の潅水作業を支援し、33種の作物に対応しました。すべての地域を合わせると200あまりの品種とありとあらゆる気候条件に対応しています。私たちのプロダクトの基本的な価値は、地球上の潅水に関する最ももっともユニークなデータベースを持っているということです。センサー・ハードウェアがそのデータの収集を可能におり、今後も収集していきます」。

もちろん、ハードウェアはソフトウェアだけのものと比べるとより正確なソリューションになるが、同社のようにデータの量が増えてくると、データに対する処理によって今後の作物の成長具合を予測できるようになる。

「私たちが営業を行っている主な市場は、オーストラリアとメキシコ、南アフリカそしてアルゼンチンとなります。アラブ首長国連邦でも最近、概念実証事業を終えたばかりで、今後はこの国のデーツのすべてに弊社の潅水技術が適用されます。作付け総数は210万本です。これにより、同国における水の消費の70%が節約されるでしょう。1本のデーツの木の水消費の節約量は、世界で最も乾燥した土地である同国において10人の年間水消費量に等しいものです」。

画像クレジット:SupPlant

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国の探査機「嫦娥5号」が月面に水が存在する証拠を直接確認、世界初

中国の月探査機Chang’e-5(嫦娥5号)が、月面で水の存在を確認するデータを観測した。これは、地球の衛星に水が存在することを現地で確認した初めての例になる。中国の研究者は、Science Advancesに掲載された研究論文で、探査機がH2Oや水酸基(H2Oに近い化学物質)の兆候を検出したと主張している。嫦娥5号は、着陸地点の近くにあるレゴリスの組成をスペクトロメーターで分析した。その結果、ほとんどの土壌のスペクトル観測による水の濃度推定値は120ppm以下で、月面は地球の表面よりもはるかに乾燥していることがわかった。

Honglei Lin他。

中国の科学者たちは、これらの分子のほとんどが太陽風移植と呼ばれるプロセスによって月にもたらされたと考えている。太陽からの荷電粒子が水素原子を月面に追いやり、後に酸素イオンと結合して水と水酸基を形成したという説だ。今回の研究は、NASAが2018年に発表した、空中赤外線望遠鏡を用いて月の太陽に照らされた表面に水が存在する証拠を発見した知見に基づいている。何十年もの間、科学者たちは、月には大気がほとんど存在しないため、月は完全に乾燥していると考えていた。大気がないということは、太陽の厳しい放射線から水分子を守るものがないと考えられていたのだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:China Daily CDIC / Reuters

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

気候変動に配慮する企業の水に関するリスクと持続可能なソリューションを追跡するWaterplan

新鮮な水は、気候変動の影響をますます受けている多くの資源の1つである。そしてその影響は、この豊富だが限りある天然資源に依存している企業にも及んでいる。シードラウンドで260万ドル(約2億9000万円)を調達したWaterplan(ウォータープラン)は、企業の水使用が地域の環境にどのような影響を与えるかということだけではなく、避けられないと思われる危機が到来したときに事態を沈ませておくのに役立つ緩和策を分析し、追跡することを目指している。

Jose Galindo(ホセ・ガリンド)氏とNicolas Wertheimer(ニコラス・ヴェルトハイマー)氏、そしてその同僚であるMatias Comercio(マティアス・コメルシオ)氏とOlivia Cesio(オリビア・セシオ)氏は、環境セクターとその周辺で長年働いた後にWaterplanを設立した。同氏らは水にまつわる現状を意識していた。二酸化炭素排出に関する多くの行動、データ、計画が存在するにもかかわらず、水のリスクに関しては、それが脅威として認識されるに至っていないため、比較的ほとんど行われていない。4人は会社を立ち上げ、Y Combinator(Yコンビネーター)の2021年夏のコホートに参加した。

「より多くの企業が水の安全性や水に関するその他の考慮すべき事柄を開示し、行動していますが、水のリスクの定量化とメディエーションを担うSaaSプラットフォームが必要です」とガリンド氏は語る。「企業は事後対応型のアプローチを取ってきましたが、そうした(気候関連の)弊害が頻繁に起こるようになってきているため、事態の予測と先手を打つ行動のオポチュニティが生じています。気候変動はすでにこの分野に及んでおり、今後さらに加速していくでしょう」。

もちろん、これは「水道水を出しっぱなしにしない」というような単純なアドバイスではなく、雨押さえの補充や主要な自治体の工事など、産業規模の取り組みである。Waterplanはまず衛星画像からデータを抽出する。そして林冠、水域、その他の重要な指標を、客観的な測定値としてさまざまなコンテクストとともに示す。何年にもわたる画像と分析の結果から立証された明確な傾向に基づくものだ。この測定値は、これらの資源を綿密に監視する水や環境関連の当局による直接測定値と組み合わされる。

一例を挙げると、コーヒー豆を加工する工場では、近くの川の水を1時間に1万ガロン(約3万8000リットル)も使うことがある。工場の影響を示す過去のデータと将来的なデータを分析することで、5~10年後には持続可能な比率ではなくなり、下流で問題が発生することが示されるかもしれない。これらの問題により、会社はその時期に4000万ドル(約45億円)の損失を被ることにもなり得る。しかし、1000万ドル(約11億円)ほどのコストで、森林を再生して樹木の樹冠を拡大する現地の取り組みを倍増させれば、保水力が高まり浸食が緩やかになっていく。水の利用可能性が正味で増加し、4000万ドルのリスクを回避することにつながるだろう。

実際のレポートは明らかにより詳細で、特定の場所や企業に高度に特化している。それらがどのような規模で運用されているのか、どのような種類のデータを追跡しているのかを以下に示したい。

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この種の分析とアドバイスは決して前例がないわけではないが、環境コンサルタントが年に1回か数回(もしあれば)行うようなものである。Waterplanのアプローチは、これを可能な限り自動化し、ビッグデータの問題として扱う。そこにはさまざまな因子が含まれており、リスクや緩和戦略のような要素が対極から浮かび上がってくる。もちろん、これはそれほど単純なことではないが、市場と自然現象の両方の変化が加速している現状では、より迅速に、よりターゲットを絞った実行可能な方法でこれを行う必要がある、と創業者たちは説明する。

「事前対応型よりも事後対応型の方がコストがかかります」とヴェルトハイマー氏。「私たちはこれを意識的な取り組みにする必要があります」。

ガリンド氏は、地元の水供給、復旧作業、その他の要因に関するデータの多くが断片化しており、互換性がないことを強調した。これらの異種の情報源を調整し、そのデータを統合されたマップと予測にまとめるには、多くの作業が必要となる。

ステージ上でイスに座る創業者たち。左からホセ・ガリンド氏、ニコラス・ヴェルトハイマー氏、マティアス・コメルシオ氏、オリビア・セシオ氏(画像クレジット:Waterplan)

「企業にとって重要なのは、さまざまな気候シナリオや場所で何が起きるのかを理解し、継続的にアップデートされた詳細な方法でそれを確認できることです」とガリンド氏は語っている。「現時点では水は安くて豊富ですが、常にそうであるとは限りません。2030年には需要と供給の間に30%のギャップが生じるでしょう。今後10年の間に圧力が生まれると考えています」。

より優れたデータを持ち、積極的に対策を講じてきた実績のある企業は、資源が減少したり、ウォータークレジットのようなものをめぐる競争が激化したりする中で、より有利な立場に立つことになる。現在でも、カーボンクレジットをはじめとする資源や投資が深刻に不足しており、何億ドル(何百億円)もの資金を投じたいと考える企業でさえ、そのオポチュニティを得られていない可能性がある(カーボン先物はこの問題を解決するポテンシャルがあり、清水などの資源についても同様の市場が出現することも考えられる)。

今後10年で気候監視エコシステムの大部分を占めることになるかもしれない分野に早期に参入することは、Waterplanの最初の投資家たち(Y Combinatorに続く)にかなり良い賭けだと判断されたようだ。260万ドルのラウンドをリードしたのはGiant Venturesで、参加者のリストには次のような著名な投資家が名を連ねている。Sir Richard Branson(サー・リチャード・ブランソン)氏一家、Monzo(モンゾ)の創業者Tom Blomfield(トム・ブロムフィールド)氏、Unity(ユニティ)の創業者David Helgason(デイビッド・ヘルガソン)氏とNicholas Francis(ニコラス・フランシス)氏、NFLのレジェンドJoe Montana(ジョー・モンタナ)氏、Microsoft(マイクロソフト)の元グローバルウォータープログラムマネージャーPaul Fleming(ポール・フレミング)氏、MCJ collective(MCJコレクティブ )、Climate Capital(クライメート・キャピタル)、Newtopia(ニュートピア)、Jetstream(ジェットストリーム)、Mixpanel(ミックスパネル)の創業者Tim Treffen(ティム・トレフェン)氏。

ヴェルトハイマー氏とガリンド氏によると、当面の計画は、主に開発を強化することに置かれているという。プラットフォームを構築するという複雑な作業を処理して、さまざまな業界や環境が望むような洞察を生み出し続けるためには、エンジニアや水文学者が必要だ。

同社が作成したデータや分析は政府やNGOに歓迎される可能性が高いが、変化をもたらす可能性が最も高いステークホルダー(そして、いわなければならないが、そのサービスのためにお金を払っている)は、リスクの削減や現地での地位の向上を目指す民間企業である。ただし創業者たち(以前は水へのアクセスやNGOとの関わりを強調していた)は、ひとたび牽引力が発揮され、プロダクトや手法が確立されれば、もっと広く利用できるようにしたいと考えている。

画像クレジット:dan tarradellas / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

野菜・果物など生ゴミ活用のオーガニックポリマー開発で水問題解決を目指すOIST発EF Polymerが4000万円調達

ビル&ミリンダ・ゲイツ財団も支援、生ゴミ活用のポリマー開発で水問題解決を目指すEF Polymerが4000万円を調達

野菜・果物の不可食部分の残渣など有機性廃棄物から開発したオーガニックポリマーを手がける「EF Polymer」(EFポリマー)は4月14日、シードラウンドにおいて、総額4000万円の資金調達を発表した。引受先は、MTG Ventures、Yosemite、Beyond Next Ventures、エンジェル投資家の鈴木達哉氏(Giftee代表取締役)。2018年から始まった沖縄科学技術大学院大学(OIST)のスタートアップアクセラレータープログラムから生まれたスタートアップとしては、初めての大型資金調達事例となる。

EF Polymerは、OISTの2019年度スタートアップ・アクセラレーター・プログラムを通じ、当時22歳のインド人起業家兼CEOのNarayan Lal Gurjar(ナラヤン・ラル・グルジャール)氏らが設立。

生分解性廃棄物(生ゴミ)を新興国でも利用しやすい低コスト・持続可能な農業資材に変換することで、水不足など農業に関わるグローバルな環境問題を解決することをミッションとして掲示しており、野菜・果物の不可食部分の残渣をアップサイクルした環境に優しいオーガニックポリマーの開発を行っている。

EF Polymerが開発するオーガニックポリマーとは?

現在オムツなどに使われ一般的に流通しているポリマーは、アクリル系ポリマーなど化学合成されたものが大多数であり、生分解せず土壌を汚染することや、土壌成分と化学反応し吸水力を失うことから農業利用に適していないという。

これに対してEF Polymerのポリマーは、柑橘系の果物やバナナの皮、サトウキビのバガスなど有機性廃棄物を基に開発を行っているそうだ。このポリマーは、自重の80~100倍の水を保持でき、土壌投入すると保水力と肥料保持力が高まり、40%の節水と20%の肥料削減が期待できるという。また100%オーガニックのため6カ月で完全生分解される。

インドではすでに累計1700kgを販売しており、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの支援を受けながら、500人以上の農家の協力の下パイロットテストを実施しているそうだ。

農業用水不足などの「水問題」を、生ゴミを「資源」として活用し解決

今日の地球上に存在する水のうち人類が利用可能な淡水は約0.01%しかなく、そのうち約7割が農業セクターにおいて消費されているという。これに加え、気候変動や環境汚染などに起因する農業用水の不足など、農家が直面している「水問題」は乾燥地域では特に深刻な課題となっているそうだ。

また、膨大に生み出される生ゴミも社会問題化しており、世界では毎年約2~3億トンの生ゴミを排出しているという。この生ゴミは、全体の30~40%しか利活用が進んでおらず、焼却インフラの少ない新興国では土壌埋設処分による汚染問題を引き起こしている。

そこでEF Polymerは、世界が抱える「水」と「生ゴミ」における社会課題を同時に解決するべく、生ゴミを「資源」として活用することでオーガニックポリマーを開発した。

またナラヤン・ラル・グルジャールCEOは、現在日本の有機農園は0.5%ヘクタールの土地しかなく、農林水産省は今後30年間で25%にまで有機農園を増やそうとしている点を指摘。バイオ廃棄物をリサイクルし、有機農産物を変換する同社のアプローチは、これらオーガニック農業の促進に役立つという。同社のEF Polymerは、有機農園を増やすというプロジェクトに貢献し得る大きな可能性を秘めているとした。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:農業 / アグリテック(用語)EF Polymer(企業)沖縄科学技術大学院大学 / OIST(組織)資金調達(用語)気候変動(用語)ビル&メリンダ・ゲイツ財団(企業)水(用語)日本(国・地域)

WaterfundがOurCrowdと提携、水・農業技術関連の企業に約54.4億円を投資

水関連インフラ資産の取得・管理に特化した投資・取引会社であるWaterfund(ウォーターファンド)は米国時間3月22日、イスラエルを拠点とするクラウドファンディングプラットフォーム「OurCrowd(アワークラウド)」との契約を発表。Waterfundのチームは、水や農業の技術に注力する15社に投資するため、5000万ドル(約54億4000万円)を拠出する予定だ。その第1弾は、多くの資金を集めている垂直農法のスタートアップ企業であるPlenty(プレンティ)に投資される。

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このような直接的な投資に加え、両社は「Aquantos(アクァントス)」という水に特化した新しいプラットフォームを共同で立ち上げ、Blue Bonds(ブルーボンド)と呼ばれる水事業関連の金融商品の発行を目指す。Blue Bondsは、10年以上前から存在する環境改善に特化した事業を対象としたGreen Bonds(グリーンボンド)に匹敵する新しいアイデアで、海に貢献できる事業を対象とするものだ。

「私たちは、国家や地方自治体の債務者から気候変動対策債として認証され、支援されるブルーボンドの発行に取り組んでいます」と、WaterfundのScott Rickards(スコット・リカード)CEOは述べている。「この新しい金融ツールなどにより、中東の水事業は、水不足に対処するための先進的な技術を、根本的に新しい方法で獲得できるようになるでしょう」。

リカード氏は、民間資本の不足が水分野のイノベーションを妨げており、今回の新しいパートナーシップと、それによってもたらされるエクイティおよびデットファイナンスの機会が、この状況を変える助けになるだろうと主張している。

一方、OurCrowdは、現在約15億ドル(約1631億円)の資金をコミットしており、25のファンドで約250社に投資を行っている。同プラットフォームが投資した企業の中には、Lemonade(レモネード)、Jump Bikes(ジャンプ・バイクス)、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)などがある。OurCrowdのポートフォリオには、既存の農業テクノロジー関連のスタートアップ企業も多数含まれており、2020年11月には、(ポートフォリオの1つである)Sprout Agritech(スプラウト・アグリテック)と提携し、ニュージーランドで新たな農業関連のアクセラレーターを運営している。

「アブラハム合意は、中東全体における水不足の課題に、新しい水・農業テクノロジーをもたらす大きな機会を呈出します」と、OurCrowdの創業者でCEOのJon Medved(ジョン・メドベジ)氏は語る。「Waterfundとともに、画期的な技術を持つ企業に投資し、その設立を支援することが我々の使命です。Waterfundと協力して、水に関する重要な課題に取り組む民間資本を増やすための働きができることをうれしく思います」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:WaterfundOurCrowd農業中東

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

水質と配水を監視するソフトのKENTOSが合計約20億円を調達

水質と水の物流を監視するソフトウェアのKETOSは、より良い水管理ツールと技術に対する需要の高まりを利用して、投資家のグループから1500万ドル(約15億7000万円)を調達した。

地方自治体、州政府、連邦政府による工業用水の使用と廃水管理に対する規制監督がより厳しくなる可能性があり、企業の環境管理の改善に対する消費者および投資家の要求の高まりが相まって、業界全体の環境保全の向上と廃棄物の削減を目的とした技術とサービスの前例のない導入が推進されている。

水のモニタリングはまた、集団における病気の発生やその他の健康問題について、行政に適切な情報を提供することができる。

最近では、廃水の流れを監視することが新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスの発生を検出するために行われている。

Ketosへの新たな投資家として、銀行大手のCitiがMotley Fool VenturesやIlluminated Funds Groupなどと並んで今回登場したのも、改めて水への関心が高まっているためだ。彼らはAjax StrategiesやBetter Ventures、Broadway Angels、Plum Valley Ventures、Rethink Impactなどの既存の投資家グループに加わった。

またSilicon Valley Bankは、同社に300万ドル(約3億1000万円)を融資した。

同社はこの資金を、水質に関する情報を提供し、配水や排水のために配水管が損傷する可能性をなどの情報を提供するハードウェアとソフトウェアを組み合わせたサービスの新機能開発に充てるとしている。

同社の創業者でCEOのMeena Sankaran(ミーナ・サンカラン)氏は、「重金属の有害物質に関する情報と、位置情報に基づいた地図作成、汚染源の可能性など、水質に関する洞察を集約した世界最大級のデータレイクを構築することで、機械学習と人工知能が実現できる可能性は無限大です」と述べている。

同社のセールスポイントの1つは、機械学習を利用して水系の問題が起きそうな場所を予測できることだ。しかもそのために、インフラへの巨額な投資は必要ない。

「KETOSは自律的に収集したデータ(遠隔操作で)によって、水情報業界を真の意味で破壊しており、COVIDとの戦いで世界的に注目されている水管理問題の予測を顧客に提供しています。0ドルの資本インフラ投資により、予測モデリングと必要とされるミッションクリティカルな知見を活用して、水道ネットワークの構築、行動、情報に基づく意思決定を行うことが初めて可能になりました」とMotley Fool VenturesのマネージングディレクターであるOllen Douglass(オレン・ダグラス)氏は、KETOSへの投資について声明で述べている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:KETOS資金調達

画像クレジット:Paul Taylor / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa