JAXAの火星衛星の砂持ち帰り計画に青信号、NASAも今年火星ミッションを予定

JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency )の火星探査ミッションに青信号が出た。このプロジェクトは火星の衛星に探査機を着陸させサンプルを採取して地球に持ち帰るという大胆なものだ。所管の文科省の承認を受けので、プロジェクトはいよいよ開発段階に進む。

画像提供:JAXA

MMX(Martian Moons eXploration) と名付けられたこの火星探査プロジェクトでは三菱重工が開発中のH 3ロケットにより2024年に探査機を打ち上げる計画だ。H-3ロケットは2022年の後半に最初のテスト打ち上げが予定されている。 断裁機は火星の2個の衛星フォボスとダイモスの双方を観察するこれらの衛星はどちらも地球の月に比べてはるかに小さく、表面の形状も不規則だ。

The MMXでは火星の衛星双方を観測するが、Mars Landerはフォボスに着陸する。探査車を火星の衛星に着陸させる計画はこれが世界で最初だ。 探査車はJAXAがドイツ(DLR)とフランス(CNES)宇宙開発機関と協力して開発する。

この計画が世界的に注目されているのは、フォボスの表面で資料を採取し、地球に持ち帰るという部分だろう。つまり火星往復のミッションであり、地球帰還は2029年が予定されている。

一方、米国ではNASAも火星からサンプルを持ち帰る計画を進めている。TechCrunchが昨年報じたMars 2020プロジェクトでは6輪のローバー探査車を火星本体に着陸せる計画で、打ち上げは今年の後半になる。

 

画像提供:NASA

これらの計画は来たるべき有人火星探査や植民化のために欠かせない重要な段階となる。フォボスは火星に近い低軌道を周回しているうえに重力が極めて小さく離陸が容易だ。このため本格的な火星探査のために優れた基地となると期待されている。NASAのArtemis(アルテミス)計画の最終目的は有人火星探査だが、その準備としてまず地球の月に恒久的施設を設置する考えだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

 

初めて火星の空を飛ぶヘリコプター

Mars 2020のミッションは順調に進行中で、来年には打ち上げが予定されている。火星に送り込まれるハイテク装備の新しい探査機の中には、これもハイテクのヘリコプターが仕込まれている。ほとんど大気が無いに等しい惑星でも飛べるように設計されたものだ。火星の上空を実際に飛行する機体が送り込まれるのは初めてのことなので、その開発者たちは期待に胸を膨らませている。

「次の飛行では、火星の上を飛びます」と、JPLでこのプロジェクトのマネージメントを担当しているMiMi Aung氏は、ニュースリリースの中で述べている。最終版にかなり近いエンジニアリングモデルは、1時間以上飛行することができた。しかし、今回の2回の短いテスト飛行は、この小さな機体が実際に遠くの惑星上を飛ぶ前の、最初と最後の飛行となった。もちろん、ロケット打ち上げによる「飛行」は除いての話だ。

「ヘリコプターが試験室の中を飛び回っているのを見て、私は過去に同じ空間でテストされた歴史的な機体のことを考えずにいられませんでした」と、彼女は続けた。「この試験室は、Ranger Moonの探査機から、Voyager、Cassiniなど、これまでに火星に送り込まれた探査機のミッションを実現させてきたのです。その中に、私たちのヘリコプターがあるのを見て、私たちも宇宙探査の歴史の小さな一部になろうとしているのだと感じました」。

火星で活動中のヘリコプターの想像図

火星を飛ぶヘリコプターは、地球を飛ぶヘリコプターと、それほど大きくは違わない。もちろん、火星の重力は地球の1/3で、大気の濃度は1%ほどしかないから、相応の違いはある。たとえれば、地球の10万フィート(約3万メートル)上空を飛ぶようなものだ、とAung氏は説明した。

ソーラーパネルを備えているので、それなりに自力で探査できる

テストに使用された装置は、単に真空に近い状態を作り出すだけでなく、空気を火星に近い希薄な二酸化炭素混合ガスに入れ替えることができる。ただし、「重力軽減」システムは、ヘリコプターをワイヤーで軽く吊って、低重力をシミュレートするだけだ。

飛行高度は、なんと2インチ(約5cm)で、2回のテストの合計で1分間ほど浮上しただけ。それでも、このチームにとっては、1500ものパーツからできた4ポンド(約1.8kg)の機体を梱包して、火星に送り込む準備ができたことを確認するのに十分だった。

「素晴らしいファーストフライトでした」と、テストを担当したTeddy Tzanetos氏は語った。「重力軽減システムは完璧に機能しました。もちろんヘリコプターも完璧です。2インチの高さでホバリングできれば、必要なすべてのデータを収集できるのです。それで、この火星用のヘリコプターが、火星の薄い大気の中でも設計通りに自律飛行できることが確認できます。それより高く上がる必要はないのです」。

Mars 2020の探査機が着陸してから数ヶ月後に、このヘリコプターは分離され、最長でも90秒ほどテスト飛行を数回繰り返す。それが、大気より重い機体による別の惑星での最初の飛行となる。つまり、水素ガスを詰めた気球によるのではない、動力による初の飛行なのだ。

その機体は、ほとんど自動操縦で運航される。というのも、通信に往復で半時間もかかるので、地球から司令を送って操縦するのはさすがに無理なのだ。ヘリコプターは太陽電池とバッテリーを備えていて、小さな着陸用の足も取り付けられている。探査機から出発して、離れた場所を30日間以上も飛行することを試みる。その際には、約3メートルの高さで、探査機から数百メートルも離れた場所まで飛行することになるはずだ。

Mars 2020は、来年の夏には打ち上げの準備が完了すると見込まれている。目的地に到着するのは2021年のはじめごろだ。もちろん、それまでの間も、CuriosityとInsightは向こうで活動している。火星の最新情報は、まだまだ続々と入ってくるはずだ。

(関連記事:NASA chooses the landing site for its Mars 2020 rover mission
(関連記事:NASA shows off the design for its Mars 2020 rover

画像クレジット:NASA/JPL

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

NASAの探査機、InSight、火星着陸に成功――ライブビデオあり

NASAの新しい探査機、Insightは無事火星に着陸した!  観測機器を含め探査機の状態が完全であるかどうか確認するにはまだ多少時間がかかる。しかし宇宙を4億6000万キロも飛行した後で火星の大気圏に突入するという、もっとも危険な部分はクリアされた。Insightのチームにおめでとうを言いたい。もっと詳しいことが分かり次第アップデートする。

地球の外の宇宙の神秘は科学者(そして科学に興味があるものなら誰でも)の興味を何世紀もひきつけてきた。今日(米国時間11/26)のInSightの着陸で赤い惑星の成り立ちに関して多くの事実が判明するだろう。

着陸は太平洋時間で今朝の明け方、 3時に行われ、オペレーション成功の方にNASAのジェット推進研究所のコントロールルームには歓声が溢れた。

今回の火星探査ミッションの目的は何だったのか?

火星といえば、われわれの多くは地球外生命が存在するかどうかに関心を抱きがちだが、Insightの使命はこれとは異なる。この探査機には火星の地表jを分析する多数の観測機器が搭載されている。また人工地震によって火星内部の構造を探査することも重要な目的だった。

宇宙バンザイ!

〔日本版〕TechCrunch Japanの詳しい紹介記事

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滑川海彦@Facebook Google+

エアバスが火星の土を地球に持ち帰るローバーの開発に着手

eng-logo-2015Engadget US版より(原文へ)

今年の4月、NASAと欧州宇宙機構(ESA)は、火星の土を地球に持ち帰ることが可能かどうかを共同研究することで合意しました。それにともないESAは、火星の土壌サンプルを回収するローバー(車両)のコンセプトモデルを設計するために、エアバスとの520万ドル(約5億7000万円)の契約を承認しました。

ESAは、イギリスのスティーブネージにあるエアバスを指名したのには理由があります。彼らはすでに、2021年に火星に向けて打ち上げられる予定の「エクソマーズ」ローバーの製造を行っているからです。しかし、エクソマーズ自体や、それに搭載された科学調査機材とは、今回の回収ローバーの目的は大きく異なります。その使命とは、NASAの「マーズ2020」ローバーが置いていく土壌サンプルの容器をすべて拾い集めることにあります。だからと言って、この車両の開発が簡単だということはありません。

マーズ2020は、火星の地面に穴を開けて土壌を掘り出し、試験管に入れていろいろな場所に30本置いていきます。計画どおりなら2026年に火星に向かう予定のこの回収ローバーは、遠くからその試験管を探し、そこへ自律的に移動し、ロボットアームで拾い上げて格納庫にしまいます。このローバーは、毎日の移動ルートを自分で考える必要もあります。

エアバスの実現可能性チームを率いるBen Boyesは、こう話しています。

比較的小さなローバーになります。およそ130キログラムですが、その要求は非常に高いものです。毎日事前に探査ルートを自分で計画して、高度な自律走行によって、広い範囲を網羅しなければなりません。

下の図は、エアバスの回収ローバーの初期のデザインです。

マーズ2020が置いていったすべての試験管を回収するまでに要する時間は、およそ150日と見られています。その後、ローバーは自分が乗ってきたロケットを探し、ロケットにサンプルの試験管を手渡した後、ロケットの打ち上げを撮影します。つまり、今から10年以内に、私たちは火星からの初めてのロケット打ち上げを見ることができるということです。ロケットは、火星の周回軌道を回るオービーターとドッキングし、地球にサンプルを持ち帰ります。もちろんESAが、この計画の実現が可能であり、推進する価値があり、なおかつ必要な技術が開発できると確認されなければ、実行に移されることはありません。

編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
原文著者:Mariella Moon

Engadget 日本版からの転載。

火星ローバーのキュリオシティは気になるものを自分で選ぶ

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キュリオシティ(2012年に火星に着陸したローバー)は、もはや老犬かもしれないが、いまだに新しい技を身につけ続けている。NASAのジェット推進研究所(JPL)が最近The Vergeの記事で明らかにしたのは、このロボットは今やレーザー分光計でスキャンする岩石を選ぶ際に、自分自身で目標を選ぶことができるようになったということだ。この作業はこれまでは地球の科学者たちによって遠隔で行われていたものである。

JPLは、ローバーに搭載されたChemistry and Camera(ChemCam)機器による分析のために、「週あたり複数のターゲット」をキュリオシティに選ばせるソフトウェアを開発した。ターゲットの大半は、まだ人間による指示を受けているものの、ある程度の自律性の付加により、キュリオシティはChemCamが視野に入れているものに対する人間の指示が無くとも、ターゲット候補の識別と分析を続けることが可能になった。

キュリオシティがどこに向けてそのレーザー分光計を向けるべきかを助けているソフトウェアはAEGIS(Autonomous Exploration for Gathering Increased Science:先進科学知識増強のための自律探索)と呼ばれている。これは人間が他のことで忙しい際に、補佐する役割を果たすように設計されている。

「おそらく長い移動の途中とか、あるいは地球、火星、探査船の活動のスケジュールによって惑星間の情報共有に遅延が発生する際に、科学チームが探査に関わることが難しい、あるいは不可能な場合においては自律性は特に有益です」と、JPLにおけるAEGIS開発のリーダーのロボットエンジニアTara Estlinは説明している

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NASAのキュリオシティ火星ローバーは、ChemCam機器のレーザーと分光計カメラのターゲットを自律的に選択する。例えば、オンボードソフトウェアは、左のようなNavcamの画像を分析し、黄色のドットで示される目標を選ぶ、そしてレーザー照射のためにChemCamをそちらに向けて右側のような画像を取得する。

キュリオシティの自律動作は人間の指定した範囲も考慮して行われる。つまり科学者達は発見に興味がある対象に応じて、適切なターゲットを選択するための基準を変更することができるということだ。

自律ガイド機能はまたキュリオシティが科学者を重要な点で支援する手助けをしている。私たち人間の目は物体のとても細かい表面上でターゲットを探そうとするときには、ひどく当てにならなくなる、特にそれが広大な宇宙空間を横切って遠隔で行われる際にはなおさらだ。AEGISはキュリオシティがごく小さなターゲットでも始めからイメージ分析に使う手助けをしてくれる。自律的に対象の絞り込みが行われるおかげだ。

宇宙探査のための自律性の増強は、より大きなデータセットが取扱えることを意味している。そしてそれは画期的な発見につながる可能性の拡大を意味するのだ。ただNASAには、いつでも(映画スタートレックの)ヴィジャーの警告的な逸話を心に留めていて欲しい

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(翻訳:Sako)