「バンライフ」をスタイルではなくライフそのものにするKibboのキャンピングカーパーク改革

Colin O’Donnell(コリン・オドネル)氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが米国全土を襲い、数百年も続いてきた都市生活の亀裂が露わになる前から、街やコミュニティーを動かしているもの関する考えをすでに改めていた。

オドネル氏は、およそ6年前に盛り上がり始めた都市技術イノベーションの最初の波を起こした1人だ。彼は、公共交通機関のためのデジタルキオスクを製造する企業であるIntersection(インターセクション)を共同創設した。やがてこの会社は、Alphabet(アルファベット)が所有する子会社Sidewalk Labs(サイドウォーク・ラブズ)による初めての大型買収劇に捲き込まれることとなった。

当初は、テクノロジーには既存の環境を再構築する力があると楽観視され、また興味を持たれていたのだが、トロントで実施されたSidewalk Labsの最初のプロジェクトは、データ収集の方法で問題が指摘されたことと、新型コロナウイルスのパンデミックがカナダの各都市の財政を圧迫したことから行き詰まってしまった。それでも、テクノロジーをインテリジェントな形で社会に組み込むという実験は、いまだに出番を待ち構えており、不動産技術への投資は増え続けている。

オドネル氏の新会社であるKibbo(キボ)は、その両方のトレンドを採り入れている。サンフランシスコを拠点とするこのスタートアップは、米国のトレーラーパークをアップグレードし、以前の都市部の知的専門職(「Previously Urban Professionals」略して「パップ」とでも呼ぶべきか?)のためのリモートワークを可能にする国際的コミュニティーのネットワーク構築を目指している。

こうしたリモートワークのパッピーたち(この呼び方が気に入った)は、自分が慣れ親しんだ形で米国の道を自由に動き回ることができる。Kibboの宣伝によれば、それはキッチン用品やコーヒーやおやつなどの簡単な飲食、ジムやみんなが集まれる娯楽施設などを備えた専用のRVパークとのことだ。現在、アメリカ西海岸の大きな国立公園の近くにこのパークを展開し、月額1000ドル(約10万7000円)で会員を募集している。

キャンピングカーを持っていない人には、Kibboが、最新のバンライフ装備を搭載した最上クラスのメルセデス・ベンツスプリンターを貸し出してくれる。レンタル料金は月額1500ドル(約16万円)だ。

2020年秋から、Kibboのこの高級クラブの入会を果たし、同社のコミュニティーに参加が許された人たちはオーハイ、ザイオン、ブラックロック砂漠、ビッグサーのサイトが利用できるようになる。これらはロサンゼルス、サンフランシスコ、シリコンバレーの一部地域などの都市部の拠点によって強化されるようになると、オドネル氏は説明している。

「数カ月間にわたる自宅待機で抑圧されてきた人々は、家賃の高い都心のアパートから脱出して自然の中を歩き、人々と関わりたいと願っています。私たちはそうした要求を受け取り、今の生活、仕事、遊びを考え直して、意義深いものを探すチャンスを得ました」と彼はいう。「都会での生活を考え直し、私たちが本当に望む未来の都市の姿を定義していきます」。

Kibboのローンチにより、リモトーワークを推奨する企業に勤める知的専門職によるコミュニティースペースのネットワークという構想に興味を持ったパッピー(やっぱりいい呼称だ)になりたい人たちは、参加申し込み金100ドルで、このネットワークの仲間になれる。

画像クレジット:Kibbo

同社は、米国の歴史と同じぐらい古い、この国の時代精神の一部を応用している。それは、大きく繁栄できるよう自分たちの価値観と信念に基づくコミュニティーを(他者を犠牲にして)作ろうと、人々がこの国に渡ってきた(そして植民地化した)ときから始まっている。

またこれにはHipcamp(ヒップキャンプ)に1億ドル(約107億円)以上の評価額を与え、Tentrr(テンター)に1100万ドル(約11億8000万円)の資金調達(未訳記事)を可能にさせたグランピングの流行も手伝っている。Hipcampはキャンプ場のデータベースを提供し、米国内に30万カ所あるキャンプ場の予約手数料で収益を上げている。

Tentrrと同様に、Kibboは会員だけが利用できる私有地にサイトを開設している。しかしTentrrと違うのは、Kibboはその土地を所有しコミュニティーの一部としてサイトを設定しているところだ。休暇を街で過ごすのとは異なる体験を旅行者に提供したり、国立公園内のキャンプ場と張り合うというだけではない。

Kibboはまた、特定層の会員からなる新しい形の移動する街の開発者としても自らを位置づけている。

「トップダウンでデザインされ建設される伝統的な不動産開発とは異なり、Kibboは次世代の街第1号の建設を目標にスタートしています。それは柔軟で、再構成が可能で、住民によってデザインされ形づくられるオフグリッドの持続可能な街です」とオドネル氏はいう。

それが、Urban.usの投資家であるShaun Abrahamson(シャーン・エイブラハムソン)氏を惹きつけた。

「短中期的に見て、これはRV市場の最上のものだと私は感じました。RV体験は休暇や隠居後のために設定されるものと考えられがちですが、リモートワークやバンライフといったトレンドが、新しい種類のインフラや体験の需要を示唆しています。……私たちの長期的な興味は、気候と安価な住居にあります」とエイブラハムソン氏は話す。

気候変動とそれが招く洪水、山火事、海面上昇は、恒久的な住居を支えるためのインフラという考え方を一変させようとしていると、エイブラハムソン氏はいう。

「バンライフは、交通インフラの恩恵の上に成り立っているため、太陽光発電とバッテリーで簡単にオフグリッド化できます。価格が下がれば、モバイル住居やインフラはもっと魅力的なものになるでしょう。Kibboは衛生やセキュリティーに関連したインフラのうち、軽い部分の補完します。もちろん、それらは新たな楽しい体験の中に組み込まれます」と彼はいう。

エイブラハムソン氏もオドネル氏も、単なる休暇や隠居後の生活を大きく超えたより本格的な放浪コミュニティーが誕生すると見ている。そのトレンドに乗じたのがKibboだ。それは、彼らを含まない未来の都市の構想であり、ニューヨークからサンフランシスコの共同空間に移り住んだオドネル氏が抱くビジョンだ。

「Kibboは、最初からエキサイティングなライフスタイルを提供してきました。私たちは、未来の都市は電化され、自動化された分散型の再生可能なユーザー生成型になると確信しています」とオドネル氏は話す。

画像クレジット:Kibbo

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(翻訳:金井哲夫)

Ford、GM、FCAのCEOがトランプと会談、環境規制や雇用創出について議論

US President Donald Trump speaks alongside General Motors CEO Mary Barra (L) and Fiat Chrysler CEO Sergio Marchionne (2nd R) during a meeting withautomobile industry leaders in the Roosevelt Room of the White House in Washington, DC, January 24, 2017. / AFP / SAUL LOEB        (Photo credit should read SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

トランプ大統領は、現地時間24日(火)に米大手自動車メーカー3社の重役との会談を行い、アメリカ国内での工場の建設や生産量増加に向けた彼の思いを共有した。会談でのトランプのコメントは、選挙活動中や就任直後のTwitterやその他のメディアにおける彼の発言内容を反映したものだった。

規制カットを明言した彼は、”75%か恐らくそれ以上”の規制を廃止することができるだろうと話し、以前の発言の通り、新しい工場を設立する際の承認プロセスの短縮化を目指すと語った。また個人的な意見として、環境保護活動が全般的に「手に負えない状態」にあると述べた。以上はFCA CEOのSergio Marchionneが会場内にいるときのトランプのコメントで、FCAは排ガス試験を逃れる違法なソフトウェアを使用していた疑いで、現在環境保護庁(EPA)司法省による調査を受けている。

他にもGM CEOのMary BarraとFord CEOのMark Fieldsが会談に参加しており、いわゆるビッグ3のトップと大統領が一堂に会するのは、オバマ政権時代の2011年に行われた、2025年までにエネルギー効率を2倍にするという目標設定に関する会談以来だった。そしておわかりの通り、今回の会談の趣旨は前回のものとは大きく異なる。

US President Donald Trump greets Ford President and CEO Mark Fields (C) prior to a meeting with automobile industry leaders in the Roosevelt Room of the White House in Washington, DC, January 24, 2017. (Photo: SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

Fordの社長兼CEO Mark Fields(写真中央)を迎えるドナルド・トランプ大統領。ホワイトハウス内ルーズベルトルームでの会談前。2017年1月24日ワシントンD.C.(写真: SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

Fieldsは「トランプ大統領と彼が推し進めている経済政策には、とても勇気づけられています」と話し、TPPからの離脱を決めたトランプの判断を、彼が新政権とうまくやっていけると考える理由のひとつとして挙げた。

「トランプ大統領そして彼の政府と、税金や規制、貿易に関する政策に一丸となって取り組み、アメリカの製造業を復興させていくのを私たちは楽しみにしています」とFieldは会談後に記者の質問に対して答えた。

さらにGM CEOのMary Barraは「政府と自動車業界が一致団結することで、環境問題の改善や安全性の向上、そして雇用の創出や製造業の発展を実現する大きなチャンスが生まれるでしょう。Markの話していたような政策がそのサポートとなることを願っています」と付け加えた。

会談後にある記者が、製造業の雇用をアメリカに残せというトランプの語気の強いツイートにひるみましたかと、FCAのMarchionneに訪ねたところ、彼はなんとも滑稽な間をおいて”いいえ”とだけ返した。その後FCAは、Marchionneからの声明を以下のようにメールで配信した。

アメリカをビジネスのやりやすい国にしようとしている大統領の動きをとてもうれしく思っています。トランプ大統領やアメリカ連邦議会と一緒に、アメリカの製造業を強化していくのか楽しみです。

トランプは実質的にEPAを閉鎖し、政府による予算や政策のレビューを受けるまで全ての関連機関の活動を中止させたと報じられており、これは政権移行期だということを考えても異例の事態だ。さらに彼は、環境保護団体の反対を押し切って、キーストーンXLパイプラインとダコタ・アクセス・パイプラインの建設を推進する大統領令へ署名し、アメリカ国内の原油供給源を確保しようとしている。

速報: トランプが自動車メーカーCEOとの会談で一部規制廃止を約束。環境保護活動が手に負えない状態だと発言。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

世界の社会起業家を支援するシーバスリーガル社の「The Venture」ファンド

NEW YORK, NY - JULY 14:  Trevor Noah and Eva Longoria join the 27 finalists on stage at Chivas' The Venture Final Event on July 14, 2016 in New York City.  (Photo by Michael Loccisano/Getty Images for Chivas The Venture) *** Local Caption *** Trevor Noah; Eva Longoria


【編集部注】Bérénice Magistretti はサンフランシスコに拠点を置くスイス人フリーランスライターである。彼女はサウジアラビア、スイスその他の新興市場におけるスタートアップに焦点を当てている。

木曜日(7月14日)の夜「ザ・デイリー・ショー」のホストTrevor Noaが、シーバスリーガル社の主催する「The Venture」の資金獲得者を発表した。これはそれぞれの事業を善行のために運営している社会起業家たちに向けて与えられるものである。

その100万ドルのファンドを使って「The Venture」は、世界中の社会起業家たちが規模を拡大し、世の認知度を高めることが可能になるように努めている。

シーバスプログラムの一環としてファイナリストのグループは、オックスフォード大学のサイード・ビジネス・スクールのSkoll Centre for Social Entrepreneurship(社会起業研究所)が用意したAccelerator Weekプログラムに、今年の初めに参加している。

木曜日の最終審査で観客と審査員の前でのライブプレゼンテーションを許されたのは5つのグループだけだった。審査員には女優で慈善家のEva Longoriaや、(シーバスリーガルの親会社である)ペルノリカール会長兼最高経営責任者(CEO)のAlexandre Ricardも含まれている。

5つのグループ全てが最終的にファンドを得ることができたが、その中でも飛び抜けた勝者はConceptos Plásticos(30万ドルを獲得)だった。これはコロンビアに拠点を置く企業で、プラスチックやゴム廃棄物を恒久的な住宅の建築基礎の代替品として再生している。

この企業が持つトリプルインパクト(社会的、環境的、経済的)が、審査員に対する決定的なアピール要素となった。「ビジネスの観点から私たちは、企業が目指す目標、プロジェクトの影響の規模、そして長期的な持続可能性などに着目して審査を行いました」とRicardは語った。

ニューヨーク市、ニューヨーク州 - 7月14日:ファイナリストの面々のMaria Pacheco、Kenny Ewan、Or Retzkin、Julia RomerそしてOscar Andres Mendez。加わった審査員たちはEva Longoria、Joe Huff, Sonal ShahそしてAlexandre Ricard。2016年7月14日にニューヨークで開催されたChivas’ The Venture Final Eventにて。(写真提供 Michael Loccisano/Getty Images for Chivas The Venture)

ニューヨーク市、ニューヨーク州 – 7月14日:ファイナリストの面々のMaria Pacheco、Kenny Ewan、Or Retzkin、Julia RomerそしてOscar Andres Mendez。加わった審査員たちはEva Longoria、Joe Huff, Sonal ShahそしてAlexandre Ricard。2016年7月14日にニューヨークで開催されたChivas’ The Venture Final Eventにて。(写真提供 Michael Loccisano/Getty Images for Chivas The Venture)

資金獲得額20万ドルで2位だったのはWeFarmだ。この小規模農家のための知識共有プラットフォームは、インターネットにアクセスすることなく無料のSMSサービスを介して、農業のヒントや、質問と回答、そして回答のレーティングを共有することを可能にする。

5ファイナリストのうちの2つは同じ額の資金(10万ドル)を獲得した。イスラエルのスタートアップであるEyeControlが提供するのは、「体の動かない」患者がいつでもどこでもコミュニケーションをとることができるようにする、安価で、画面を必要としない、モバイル通信装置である。

グアテマラのWakamiは、グアテマラの16の農村地域で生産される手作りのファッションアクセサリーを、世界の20カ国の小売店にデザインして販売している。最後に、ドイツの Coolar(5万ドル獲得)はエチオピアやルワンダなどのオフグリッド地域において、ワクチン、医療品、そして食品保存用に、電源が不要で持続可能なソリューションをポータブル冷蔵庫の形で提供している。

残りの25万ドルは、最後の数週間にわたって行われてきた公開投票を経て、最も人気のあった複数の社会的企業へと割り振られた。Conceptos Plásticosはこの投票でも人気を集め、既に獲得した資金30万ドルに加えて更に5万3148ドルを持ち帰ることになった。

分配された100万ドルの基金は、企業の社会的責任に対して長い伝統を誇るシーバスリーガル社から直接拠出されたものである。

「我々はリターンを求める典型的な投資家にはなりたくないのです」とRicardは語った。「第一の基準は、なんと言っても社会や環境への影響なのです」。The Venture Fundが投資先企業の株式を所有することはない。

ニューヨーク市、ニューヨーク州 - 7月14日:Chivas’ The Venture Final Eventで審査員を務めるステージ上のEva Longoria。2016年7月14日ニューヨーク市にて。(写真提供 Michael Loccisano/Getty Images for Chivas The Venture)

ニューヨーク市、ニューヨーク州 – 7月14日:Chivas’ The Venture Final Eventで審査員を務めるステージ上のEva Longoria。2016年7月14日ニューヨーク市にて。(写真提供 Michael Loccisano/Getty Images for Chivas The Venture)

Longoriaはまた、教育と起業家精神を用いてラテン系移民を支援する彼女自身が運営する財団の視点からも、社会的影響力の重みを述べた。財団の見積もりでは、科学、技術、工学および数学系(STEM)の仕事は、現在米国内では70万人以上不足しているにもかかわらず、そうした仕事を得るために必要なスキルを得て卒業するラテン系の人材の割合はわずかなのだ。

「私がしようとしていことは、ラテン系の人たちがSTEM分野へ入るための教育なのです。何しろラテン系は米国で一番急速に人口が増えている集団なのですから、将来はこの国支える労働力になるのです」とLongoriaは語る。「私たちはそうした人たちを連れて、この先彼らの前に現れる機会へと導いて行かなければなりません」。

運動としての社会起業家精神は世界的な牽引力を持ち続ける、社会的な影響を与えることに特化したAcumenのような財団と共に。

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(翻訳:Sako)