フォードが大規模な構造改革でEVと内燃機関のユニットを分割

Ford(フォード)は米国時間3月2日、電気自動車と内燃機関(ICE)自動車の異なる課題と機会により集中するため、大幅な組織再編を行うと発表した。この2つのユニットは、Fordの既存の企業傘下で運営され、現時点では、以前から噂されていたようなユニットのスピンアウトは行われない。2つの部門はFord Blue(フォード・ブルー)とFord Model e(フォード・モデルe)と呼ばれている。Ford Blueは、Mustang(マスタング)、F-150、Bronco(ブロンコ)などの既存および将来のICE車両を統括し、Ford Model eは、コネクティビティと電気自動車に焦点を当てる。

FordのチーフEVデジタルシステムオフィサー、Ford Model eのDoug Field(ダグ・フィールド)氏は「これは我々のビジネスのやり方の近代化における本当に大きな変化となります」と、述べた。

この変化のもと、同社は収益性の予測と営業利益率を引き上げた。Fordは、この構造改革もあり、2030年までに世界販売に占めるEVの割合が、従来のガイダンスの40%から50%になると見込んでいる。また、営業利益率は8%から2026年には10%に上昇する見込みだ。

Fordによると、この新体制は、118年の歴史を持つミシガン州の自動車メーカーに、スタートアップのスピードと、大量生産企業の深い専門性を持たせることを目的としている。

モデルeビジネスユニットは、フォードの膨大なエンジニアリングおよび製造資源を利用しながら、より迅速に電気自動車を開発・生産することを目的としている。また、Ford Pro(フォード・プロ)、Ford Blue(フォード・ブルー)、Lincin(リンカーン)を含むFordファミリーのすべての部位を対象としたコネクテッド・サービスを開発することも任務の1つだ。

Fordは、Ford Model eが発展していく間、Ford Blueが会社を支えるとみている。

「Ford Blueは、Fordの未来に資金を提供するFordの収益エンジンになります」と、チーフ・トランスフォーメーション&クオリティ・オフィサーのStuart Rowley(スチュアート・ロゥリー)氏は述べている。

Ford Blueは、2つの新しいユニットのうち、おそらくより興味深いものだろう。その存在は、Fordが化石燃料部門からできるだけ多くの収益性を引き出そうとしていることを示している。それには、それなりの理由がある。現在、Fordはどの自動車メーカーよりもダイナミックで人気のあるラインナップを揃えている。Ford Broncoは大ヒット商品であり、超低価格のFord Marverick(フォード・マーベリック)ピックアップは売り切れが続出するほどのヒット商品である。同様に、アメリカで最も歴史のある2つの車名、MustangとF-150は、市場セグメントのリーダーであり、競合他社にその座を明け渡す気配はない。

FordのCEOであるJim Farley(ジム・ファーレイ)氏は、Fordが内燃機関を諦めていないことを明らかにした。「そのことを強調したいです」と、ファーレイ氏は語った。「我々は内燃機関に投資するつもりです」。

このニュースにより、Fordの株価は下落し、プレマーケットの動きで5%近くも下落した。同社の株価は、1月に記録的な高値を付けて以来、下落していたが、それでも過去52週間で33%上昇している。

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(文:Matt Burns、翻訳:Yuta Kaminishi)

「Google Labs」の名が復活、AR&VR、Starline、Area 120が新設された「Labs」チームに移動

「Google Labs(グーグルラボ)」の名称が復活した。だが、今度のそれは実験的な製品やサービスを提供する消費者向けのブランドではない。Google(グーグル)のさまざまな革新的なプロジェクトや長期的な投資を1つにまとめることを目的とする組織再編のもとに設立された新しいチームの社内での名称だ。この新チームを率いるのは、Googleのベテラン副社長であるClay Bavor(クレイ・バーヴァー)氏。最近では「Project Starline(プロジェクト・スターライン)」として知られる最先端のホログラフィック・ビデオ会議プロジェクトなど、仮想現実や拡張現実におけるGoogleの先進的な取り組みを指揮している人物だ。

バーヴァー氏は、既存のARおよびVRへの取り組み、未来的なProject StarlineArea 120(エリア・ワントゥエンティー)と呼ばれる社内インキュベーター、およびその他の「将来性の高い、長期的な」プロジェクトを含む新組織を指揮していく。同氏はGoogleのSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)CEOの直属となる。

2016年に開設されたArea 120は、起業家精神旺盛な人材をGoogleに定着させる方法として構想されたもので、チームがGoogleのデータ、製品、リソースを利用しながら新しいアイデアを試すことができる。

長年にわたり、この組織は数多くのプロジェクトを生み出し、成功させてきた。その中には、新興市場向けのHTML5ゲームプラットフォームで、現在は一部の国でGoogle Chrome(クローム)に統合されているGameSnacks(ゲームスナック)、珍しく外部スピンアウトとなった技術面接プラットフォームのByteboard(バイトボード)、AirTable(エアテーブル)のライバルでGoogle Cloud(グーグル クラウド)に移行したTables(テーブルズ)、A.I.を活用した会話型広告プラットフォームのAdLingo(アドリンゴ)、Google Search(Google 検索)とShopping(Google ショッピング)にそれぞれ移行したビデオプラットフォームのTangi(タンギ)とShoploop(ショップループ)、ウェブベースの旅行アプリでCommerce(コマース)に移行したTouring Bird(ツーリングバード)などがある。

Area 120では現在、職場用の短い動画プラットフォームであるThreadIt(スレッディット)、スペクトルマーケットプレイスのOrion(オリオン)、ドキュメントスキャナーのStack(スタック)などのプロジェクトをインキュベートしている。常に約20のプロジェクトが進行中だが、すべてのプロジェクトが公開されているわけではない。

しかし、以前の組織体制では、Area 120はGoogleのスンダー・ピチャイCEOへの報告系統が3層に分かれており、にも関わらず、ピチャイCEO自身がすべての出口に署名しなければならなかった。また、このグループは、グローバルパートナーシップおよびコーポレートディベロップメント担当プレジデントであるDon Harrison(ドン・ハリソン)氏の下に配置された雑多なグループの中にあった。今回の再編により、Area 120は他の革新的なプロジェクトと一緒に移されることになり、参加しているチームとその取り組みの認知度が向上する可能性がある。

Googleは、新しいグループの名称として「Labs」というブランドを社内で使用しているが、この名称が選ばれた背景には同社の豊かな歴史があり、決して退屈な選択というわけではない。かつてGoogle Labsというブランドは、ベータ版から一般公開に至ることも多いGoogleの対外的な実験に関連するものだった。

2002年から2011年の間に、Google Labsは、Personalized Web Search、Googleアラート、GoogleドキュメントおよびGoogleスプレッドシート、Googleリーダー、Google Shopper(現在のGoogleショッピング)、AardvarkというQuoraのようなQ&Aサイト、Google GoggleというGoogleレンズの前身、Gesture Search for Android、iGoogle、Googleマップ、Google Transit、Googleビデオ、Googleトーク、Googleトレンド)、Google Scholar、Googleソースコード検索、Google Suggest、Googleグループ等々、Googleの中核的な製品やサービスとなる製品を生み出してきた。

Googleの新しい計画は、Labsを対外向けのブランドにするわけではなく、スタッフは(Starlineなどの)プロジェクトチームに採用されることになるが、この組織再編自体は、Googleの大きな賭けのいくつかに向けられる注目を増大させることになるだろう。

また、これまでGmail、Googleドライブ、Googleドキュメント、Google Apps for Work(現在のGoogle Workspace)など、多くの著名なGoogleプロジェクトで製品管理を担当してきたベテランGooglerであるバーヴァー氏がLabsを率いるということは、革新的なアイデアを中核製品に変えた経験を持つリーダーがチームに配置されるという意味である。

スタッフへ向けたアナウンスで、Googleは今回の組織再編が、将来を見据えた新しい投資分野を全社的に起ち上げ、成長させることに重点を置いたものだと説明している。

「この組織の中心となるのがLabsと呼ばれる新しいチームで、テクノロジーのトレンドを推定し、将来性の高い長期的な一連のプロジェクトをインキュベートすることに力を入れます」と、Googleは述べている。

Googleは今回の組織再編を公に発表していない。しかし、社内の関係者からこの動きを聞いたTechCrunchが同社に確認したところ、バーヴァー氏の新しい役職を含め、我々が上述した通りの変更であることを認めた。

「クレイは、拡大した役割を担うことになります。彼の仕事は、当社の中核製品や事業を直接サポートする長期的な技術プロジェクトに集中することになるでしょう」と、Googleの広報担当者は語っている。

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)