パリ市がキックスクーターや自転車のシェアリング企業に課税の方針

パリ市によると、市内には電動スクーターや自転車、オートバイのようなキックスクーターなど、あらゆる形態のシェアリング用の乗り捨てタイプの乗り物が1万5000台あるのだという。そしてパリ市は今日、乗り捨てシェアリングサービスを展開している企業に、展開規模に応じて課税する方針を発表した。

計画通り進んだ場合、自転車シェアリングサービスを運営している企業は自転車1台あたり年間20ユーロを支払わなければならなくなる。キックスクーターの場合だと、1台につき年間50ユーロ(約6300円)、オートバイのスクーターは年間60ユーロ(約7560円)だ。

Le Parisienによると、段階システムになっていて、一定のラインを超えるたびに、さらに払わなければならない。どういうことかというと、例えば500台目から999台目は支払額が10%増え、1000台目から2999台目までは20%増し、3000台目以降は30%増しとなる。

パリ市は小さな街だ。面積でいえばサンフランシスコよりも小さい。駐車したり、運転したりするのはかなり困難だ。だからこそ、パリに住む多くの人が車を所有しない。地下鉄や他の交通手段を利用する方がずっと速く移動できて安上がりだ。

それゆえに、自転車やキックスクーター、オートバイがもてはやされている。路上を走る車が少ないのは素晴らしいが、ここへきて予期しなかった問題が出てきた。

パリ市の自転車シェアリングシステムがネットワークのアップグレード期間中ほぼ使えなかったとき、自転車シェアリングサービスは大繁盛した。 GoBee BikeoBikeOfoMobikeなどこれらすべてがパリでサービスを開始した。しかし、結局すべて失敗に終わった。GoBee Bikeサービスを停止しOfoの自転車は数台まだあるがチームはいないMobikeは国際展開を縮小している。

これは乗り捨てのサービスにとって芳しくないスータートで、その結果、壊れた自転車が多くパリの路上でゴミとなっている。一方、ドック型の自転車シェアリングシステムVélibが現在展開されているが、ステーションは1200カ所以上あり、毎日数万もの利用があるなどうまくいっている。Vélibの自転車は街の至る所で見かける。

キックスクーターに関しては、現在パリでは9社がサービスを展開している。そう9社もだ。いずれもおかしな響きの名前ばかりだ。Lime、Bird、Bolt、Wind、Tier、Voi、Flash、Hive、Dott。

これらのサービスはかなり人気がある。というのも、パリには多くの自転車走行レーンがあるからだ。多くの人がいまだにヘルメットを着用せず、怪我も多い(しかしこれは別の問題だろう)。

他の都市と同様、キックスクーターが歩道を走行することについては、多くの人が苦情を言っている。もしあなたが車椅子やベビーカーの利用者だったり、視覚障害を抱えていたりすれば、このところ歩道を歩くのに困難に感じているかもしれない。

パリ市はそうしたシェアリングサービスを展開している企業に責任を持ってほしいと考えている。企業は実際に稼働しているキックスクーターの数を最大化するためにスクーターを管理する必要があり、壊れたスクーターは回収しなければならない。今後、この分野で事業の統合や破産が出てくるのはほぼ間違いないだろう。

オートバイに関しては、CityscootCoupがサービスを展開している。もちろん課税対象外となる理由はない。それらのオートバイが時々、自転車用の駐輪スペースを占領している。例えば以下の通りだ。

パリ市の対策がシェアリングの自転車やスクーターの散らかりを防ぐのに有効かどうかは、今後明らかになる。乗り捨てサービスは環境に大きく影響を及ぼしている。キックスクーターは数週間しかもたず、すぐに新しいものに代える必要がある。次々とキックスクーターを投入する、というのは解決策にならない。

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(翻訳:Mizoguchi)

Ford、電動キックスクーターのSpinを買収

Fordが電動キックスクーターのスタートアップSpinを買収する、とAxiosが報じている。この件に近い筋によると、“諸々含めトータル買収額は1億ドル近く”とのことだ。Axiosはその前に4000万ドル前後としていた。

Spinは現在、フロリダ州のコーラル・ゲーブルズ、ワシントンD.C.、ノースカロライナ州のシャーロットとダラム、ケンタッキー州のレキシントン、コロラド州のデンバー、ミシガン州のデトロイト、カリフォルニア州のロングビーチでスクーター事業を展開している。それらの都市に加え、5つの大学キャンパスでも利用できる。

Spinは、3月にサンフランシスコで最初にスクーター事業を展開した3社のうちの1社だった。BirdそしてLimeとともに、Spinは市当局が許可プロセスを決めるまで電動スクーターを街から撤去することを余儀なくされた。そして事業展開の許可をSpinはもらえなかったため、この業界で最も静かなスタートアップの一つとなっていた。しかし来週Spinはサンフランシスコでの電動スクーター事業の許可否認について市側と面会する。

情報筋によると、6月時点で、SpinはSegway傘下の電動スクーター製造のNinebotと、1カ月あたり3万台のスクーターを年末まで購入する契約を結んでいた。なぜFordが自前のサービスを展開するのにスクーター製造メーカーと提携する代わりにSpinを買収する必要があるのかについては、完全にクリアではない。

同じ6月、Spinは1億2500万ドルのセキュリティトークン発行を完了させる手続きをとっていた。Spinに近い消息筋によると、Spinのセキュリティトークンは、適格機関投資家から資金を調達するためのもので、この投資家にはSpinが電動スクーター事業であげる収益の一部が付与される。STO(セキュリティトークンオファリング)で、投資家は現実世界の金融商品とリンクするトークンを購入できる。Spinの場合、トークンは収入とリンクする。これまでにSpinは従来のベンチャーファンディングで800万ドルを調達している。

近年、FordはAutonomic、TransLocとともにコミューターシャトルサービスのChariotを買収している。

Spinは、南サンフランシスコとシアトルでステーションなしの自転車事業を開始したあとの2月、正式に電動スクーター業界に参入した。それまでSpinは自転車シェアプラットフォームを運営していただけだった。昨年8月、Spinはステーションなしの自転車シェアプログラムを、先行していたシアトルに続いて南サンフランシスコに導入。そして1月、ステーションなしの電動自転車を披露した。しかしながら関係筋によるとSpinはいま電動スクーターのみにフォーカスしているという。

過去1年かそこらで、電動スクーターはまったく見られない状態からどこにでもある状態へと変わっている。ここには、20億ドルの企業価値を持つサンタモニカ拠点のスタートアップBird、もう一つの電動スクーター企業のユニコーンで、このほどUberと提携したLimeUberのJUMP、Boosted Boardの共同創業者Sanjay DastoorのSkip、そしてLyftなどが含まれる。

現在FordとSpinにコメントを求めていて、反応があり次第アップデートする。

イメージクレジット: Spin

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(翻訳:Mizoguchi)

Bird、自社製の電動キックスクーターとデリバリーサービスを発表

電動キックスクーターのシェアリング事業を展開している企業価値20億ドルのスタートアップBirdは、カスタムメイドの電動キックスクーター導入で同業他社とのさらなる差別化を図ろうとしている。この自前スクーターを使ったサービスはロサンゼルス、ナッシュビル、アトランタ、バルチモア、オースティン、ソルトレークシティーでのテスト後、“数週間”内に始まる予定だ。

Bird Zeroという名称のこのサービスで使うスクーターのバッテリー容量はオリジナルモデルより60%も大きく、安定性や耐久性も優れている。走行スピードなどを表示するデジタルスクリーンも搭載された。

「我々はBird Zeroと呼んでいる。というのも、シェアリング用に我々が特別にデザイン・設計した最初のスクーターだからだ」とBirdのCEO、Travis VanderZandenは今朝TechCrunchに対しこう話した。

Okaiとのパートナーシップのもと、Birdは一からデザインし、製造した。Birdがデザインを手がけ、Okaiが製造を行なった。しかし現在は、いくつかの製造業者と協働している、とVanderZandenは語った。

Bird Zeroはシェアリングのために作られた。なので我々はBird Zeroがどのように使われるか見守り、ライダーやコミュニティのフィードバックを参考にする」と言う。

電動キックスクーター企業の多くが、自前ではスクーターを製造しない。その代わり、何年も使われたスクーターにスティッカーやロゴを貼っている。LimeにBird、そしてSpinは、Segwayと合併した中国のスクーター企業Ninebotの製品で事業を開始した。NinebotにはSequoia CapitalやXiaomi、ShunWeiが出資している。しかしながらLimeはその後スクーター製造でSegwayとパートナーシップを結びSkipも当初から自前のスクーターを製造する計画を明らかにしている。

A Bird Rides Inc. shared electric scooter stands on the Embarcadero in San Francisco, California, U.S., on Thursday, May 3, 2018. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

一番大事なのは、可能な限り顧客第一であること、とVanderZandenは話す。そうして間もなく始めるのが、Bird Deliveryだ。このサービスでは、ライダーはBirdに自宅やオフィスにスクーターを午前8時までに配達するようにリクエストできる。配達された後は、ライダーはそのスクーターを1日中使用できる。

「市当局はトップカスタマーだが、我々はまたライダーの声にも耳を傾け、どんなサービスを利用したいのか理解に努めてきた」とVanderZandenは語る。「ライダーは朝自宅までBirdが配達されることを本当に望んでいる。それはかなりすごい体験になると思う。我々はもう間もなくそのサービスを開始する。そんなにたくさんのライダーがダウンタウン近くに住んでいるわけではない。なので、我々がかなり楽しみにしている要素がそこには含まれている」。

Birdはまだ料金体系を決めていないが、間もなく発表する見込みだ。VanderZandenは我々に対し“あなたにとって経済的にリーズナブル”になると明らかにした。VanderZandenは、理論的には人々が自分のスクーターを購入することもできるが、そうなると充電やメンテナンス、保管も自分で面倒をみなければならず、おそらく購入しないのでは、と考えている。

先月、Birdは1年前のサービス開始からの利用回数が1000万回に達したと発表した。Birdは100以上の都市で電動キックスクーターシェアリング事業を行うのに、これまでのところ4億1500万ドルの資金を調達している。

イメージクレジット: Bird

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(翻訳:Mizoguchi)

Taxifyも電動キックスクーター事業に参入

エストニアの配車サービスTaxifyは、欧州でBird、Limeと競合することになる。 新たな電動キックスクーターブランドBoltを立ち上げ、木曜日にパリでシェアリングサービスを開始した。

Taxifyはスクーターシェアに既存のモバイルアプリを活用している。このアプリは2013年8月に立ち上げて以来、25カ国でユーザー1000万人を獲得した。

同社の広報はTechCrunchに対し、今後はすでにアプリが展開されている欧州と豪州のいくつかの都市でスクーター事業を始める計画だと述べた。しかし、ドイツやスペインなど規則が障害となって配車サービスを展開できていない新マーケットも開拓する。

現在のところ、Taxify が米国のスクーター市場に参入する計画はない。

「Taxifyでは乗車の5回に1回が距離にして3キロ以下で、これはスクーターでカバーするのにちょうどいい長さだ」と、TaxifyのCEOで創設者のMarkus Villigは話す。「配車サービスのユーザーの中には、短い距離の移動にスクーターを選ぶ人もいるだろう。また、違うニーズをもった、完全に新規の客も引き付けるだろう。つまり、多くの人の毎日の移動を手伝えることになる」。

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Boltの利用料金は1分あたり15セントで、最低料金は1ユーロ。他の電動キックスクーターサービスを展開するスタートアップと同じように、GPSで追跡可能なスクーターのロックを解除するには、TaxifyのアプリでスクーターにあるQRコードをスキャンする。そして夜、Taxifyがスクーターを充電するために回収する。

6月末にLimeはパリで電動キックスクーターサービスを開始した。その1カ月後、Birdも参入。Birdはグローバル展開の一部としてパリとテルアビブでサービスを開始した。GoBee Bike、Obike、OfoそしてMobikeなど、これら全てのドックレスバイク事業者もパリでサービスを立ち上げた。その後、GoBee BikeはMobikeのような有力企業との競争に破れ、撤退した。Mobikeは企業価値何十億ドルもの中国の大企業Meituan(美団)が所有する。

この点でTaxifyはプライベート投資家の間で人気だ。5月、TaxifyはDaimlerやDidi Chuxing、その他から資金1億7500万ドルを調達した。これによりTaxifyの企業価値は10億ドルになり、配車サービス大手のLyftや Uber、Careemその他の企業と同じユニコーンクラブ入りを果たした。

電動キックスクーターが米国と同様に欧州でも人気を得るかは、今後見えてくるはずだ。そして、こうした企業が新マーケットに進出し続ける限り、いくつかの米国の都市で直面したような規制の問題がつきまとうことが予想される。

米国拠点のモビリティスタートアップを相手に競争を展開する欧州企業として、Taxifyは優位かもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi)