子供の足をスマホで計測できるマーケットプレイス運営のJenzy

フィラデルフィアで女性が設立するスタートアップの中でも、Jenzy(ジェンジー)ほど大きな期待を抱かせるものはないだろう。オンラインマーケットプレイスと子供の足のサイズを計るバーチャル計測サービスを提供する企業だ。

モルガン・スタンレーのMulticultural Innovation Lab(マルチカルチュアル・イノベーション・ラボ、多文化イノベーション研究所)から125万ドル(約1億3700万円)の投資を受けたこの企業は、絶望から生まれ、2つの大陸で育てられた。

Eve Ackerley(イブ・アケリー)氏とCarolyn Horner(キャロリン・ホーナー)氏の2人の共同創設者は5年前、中国の雲南省の別々の場所で英語教師をしていたときに出会った。物が買える店が少なかったため彼女たちはネット通販に頼っていたのだが、靴を探していたときネット通販の最大の欠点に気がついた。適切なサイズの靴を見つけられないことだ。

写真に向かって左から、Jenzyの共同創設者であるキャロリン・ホーナー氏とイブ・アケリー氏

米国に帰ってきても、その記憶は2人から離れなかった。そこで彼女らは、スマートフォンだけで足のサイズが測れるアプリケーションの開発に着手し、小売店と協力して、女性が自分の足のサイズを正しく知り、適正な靴が買える仕組みを作った。

このアイデアが発展し、初めて会社を設立したこの2人は、靴の購入が厄介なのは大人ばかりではないことに気がついた。正しいサイズを知ることと適切な靴が買えるマーケットプレイスは、子供にこそ必要だと。

「私たちの事業でもっとも独創的な部分は、プラットフォームで扱われるすべての靴を標準化したことです」とホーナー氏は言う。

Jenzyは、コンバース、サッカニー、ケッズといったブランドと共同で、足にぴったり合う子供靴を提供している。「子供は、片方の足のサイズが6で、もう片方が7ということもあります」とホーナー氏。Jenzyなら、それぞれの足にぴったりの靴が届く。「Jenzyで計測すれば、確実に正しいサイズの靴が届けられるよう、卸売業者と協力しています」。

小売店にすれば、大きな負担となっている部分を削減できる。この業界では返品率は30%にのぼるが、Jenzyなら15%まで減らせるとホーナー氏は言う。この節約幅は110億ドル(約1兆2000億円)産業にとって非常に大きいとホーナー氏は見積もっている。

Jenzyは、最初のバージョンのアプリを2017年7月に提供開始したが今年の初めにアップデート版をリリースした。ホーナー氏の概算では、5月から今日までに同社は2万5000の足を測定し、アプリのダウンロード数は1万5000に達するという。

「この計画は、中国から戻った後でも、まだ私たちの興味が続いているかを確かめるものでした」とホーナー氏は会社設立時を振り返って言った。

当初2人は、カリフォルニアにあるアケリー氏のパートナーの自宅で作業していたが、後に子供靴に方向転換すると、ベータテスターたち(子だくさんのホーナー氏の家族だ)と密接に仕事を進めようと、フィラデルフィアに移った。

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(翻訳:金井哲夫)

すべての靴をスマートなIoTシューズにするno new folk studioが2.5億円調達

スマートフットウェア「ORPHE」シリーズを開発するno new folk studioは2月26日、複数の投資家より総額で2億5000万円を調達したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先となったのはMTG Ventures、三菱UFJ信託銀行、Darma Tech Labs、Mistletoe。今回はシリーズAラウンドに当たり、累計の調達額は約3億5000万円になるという。

no new folk studioは靴型のウェアラブルデバイス(スマートフットウェア)を手がける日本のスタートアップだ。2016年には、動きに応じて音や色が変化するスマートフットウェア「Orphe」を発売。表現者をエンパワーする新たなツールとして、舞台演出やメディアアート業界で注目を集めた。

同社ではOrpheで培ったセンサリング技術を応用し、誰でも簡単に高度な行動解析を可能にするスマートフットウェアプラットフォーム「ORPHE TRACK」を今春を目処にリリースする計画。今回調達した資金もその開発に向けた人材採用などに用いる。

ORPHE TRACKは靴のソール部分にセンサーモジュール「ORPHE CORE」を埋め込むことで、どんな靴でもスマートにしてしまうというプロダクト。従来は専門の設備がなければ取得することが難しかった詳細な行動データを誰でも取得できるプラットフォームを目指すという。

一例として詳細なランニングデータを取得することで、ランニングフォームの改善に繋げられるランナー向けのプロダクトを今春一般発売する予定とのこと。その他このプラットフォームを活用して健康保険や情報銀行といった他サービスとの連携や、ヘルスケア向けのプロダクトの開発を進めていく方針だ。