SpotifyがApple TVに、iOS 13ではSiriもサポート

米国時間10月7日、音楽ストリーミングの大手であるSpotifyのサービスがついにApple TVで使えるようになった。またiOS 13に対応した最新のSpotifyアプリがSiriをサポートしたことも発表された。 音楽を聞くときにSiriの音声コマンドが使える。「Hey Siri, play」の後に楽曲名を付け加え、最後に「on Spotify」と付け加えればいい。

Siriのサポートがテストされていることは今年に入って発見されていたが、一般向けにサポートされる日時についての正式な発表はなかった。

Spotifyによれば、AirPods、CarPlay、HomePodでもSiriはサポートされているという。また最新のSpotifyアプリは、データ帯域幅が問題になる場合に役立つ、iOSのデータセーバーモードにも対応する。

アプリのアップデートは順次行われているのでApple TVでSpotifyが使えるようになるまでいま少し待つ必要があるユーザーもいるかもしれない。

これまでSpotifyでSiriがサポートされていなかったのもSpotifyの責任ではなかった。Siriを使ってアプリに音声コントロール能力を与えるAppleのSiriKititフレームワークがiOS 13でやっとサードパーティに公開されたのだ。これでSpotifyなどの音楽サービスはオーディオ再生や、曲のスキップや移動、トラック情報の取得などの機能を音声で操作できるようになった。

iOS 13になって、まずPandora、Googleマップ、WazeなどがSiriのインテグレーションを行った。 つまり日頃Appleのライバルである企業もSiriのサポートができるようになれば即座に飛びつくということが証明されたわけだ。

もちろんSiriの音声コマンドが使えるのは一般ユーザーにとって便利だし、結局アプリの運営者のビジネスにもメリットがあることになる。SpotifyはこれまでAppleの行動を反トラスト法に違反する疑いのある競争制限的なものとして対立していたが、こうした事情がその主張を軟化させたようだ。

長らくSpotifyはAppleのアプリプラットフォームは反競争的であり、自社アプリやApple Musicのような自社サービスを不当に優先するビジネス慣行を継続させてきたと非難してきた。そうした不満の最たるものがAppleがSiriに自社のアプリ、サービスを優先させていることだった。またApp StoreにおけるAppleの取り分が30%であることもSpotifyの成長を妨げる要因だとしていた。

この3月にSpotifyはEUに対しAppleに対して反トラスト的ビジネス慣行の申立を行っていた。また米議会もAppleに関する反トラスト法調査に関連して情報を提供するようSpotifyに接触しているとReuters(ロイター)が報道している。

iOS 13でSirikitがサードパーティに公開され、Siriが使えるようになってもSpotifyは「これでは十分でない」という立場を維持するだろう。たとえばユーザーがSiriにSpotifyを操作させるためにはいちいち「on Spotify」と付け加える必要がある。ユーザーがいつもSpotifyで音楽を聞いているなら、このサービスを音楽再生のデフォルトに設定できる機能があれば大いに手間が省けるわけだ。またSiriのサポートが行われたのはすべてのiOSではなくiOS 13のデバイスのみだ。

Spotifyは本日、Google Nest Home Max、Sonos Move、Sonos One SL、Samsung Galaxy
Foldに加えて、スマートウオッチではMichael Kors(マイケル・コース)のAccessシリーズ、Wear OSを搭載したDiesel(ディーゼル)やEmporio Armani(エンポリオ・アルマーニ)のサポートも発表している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AmazonのAlexaは、答を知らない質問に対して、適切と思われるスキルを探して答えるようになる

Amazonは、EchoとAlexaを搭載したデバイスのオーナーが、仮想アシスタントの機能を拡張する音声アプリケーションを見つけやすくなるようにしようとしている。同社は最近、特定の質問に答えるための第三者のスキル(アプリのこと)を、Alexaに提案させる新機能の提供を始めた。言い換えれば、Alexaが扱えない質問をした場合に、そのタスクを実行できる別のスキルを提案してくるということだ。

Alexaがサードパーティーのスキルを推薦する機能は、最初Voicebot.aiによって発見された。これまでAlexaは答えることができない質問を投げかけられた際には、単に彼女は力になれないと答えるだけだった。

例えば、Alexaはしばしば以下のような応答を返す「ええと、わかりません」、あるいは後でまた聞いてくれと答えるかも知れない。

もしユーザーの必要なスキルを見つけたい場合には、ウェブ上のAlexaスキルストアや、Alexaコンパニオンアプリの中をブラウズする必要がある。

しかし、それが変わろうとしている。最近バーチャルアシスタント(Alexa)は、プラットフォーム用に書かれた音声アプリケーションたちができることを知るようになり、もしユーザーの質問に答えることができそうなものがある場合にはそれを提案してくる。

Amazonはこのスキル推薦機能が新しいものであることを認めたが、サポートスキルとしても、またAlexaの顧客ベースに対しても、まだ広くは展開していない。

Amazonの広報担当者はTechCrunchに対して「現在は、限られたシナリオの中で、Alexaは役に立つかもしれないスキルを使って特定の質問に応答します」と語った。「私たちは、この機能が時間が経つにつれてより多くのお客様に届き、新しいスキルを見つけやすくなって、Alexaを通した情報を得ることをお手伝いできることにワクワクしています」。

Voicebotが、この新しい機能に気が付いたのは、Alexaに株価に関する質問をした時だった。この新機能が登場する前は、質問に対する応答を得るためには、Alexaにその種の情報に答えるサードパーティー製のスキルを開くように依頼する必要があった。しかし現在、Alexaが答を知らない質問を受けると、彼女はこう答える「わかりません。おそらくOpening BellのStock Pricesスキルが役に立つかも知れません。試してみますか?」

また別のケースでは、彼女は別のボイスアプリであるFifty-Two Week Lowを詳しい株価情報のために推薦してきた(上のビデオを参照)。

この動作はスキル発見に関するAlexaの利便性を、Google Assistantを通したGoogle Homeと同程度のものに引き上げる。Google Homeのウェブサイトでの説明によれば、もしGoogle Homeの開発者たちが、アプリが扱えるアクションについて事前にGoogleに登録しておけば、そのアプリはユーザーの質問に対して関連するものとして提供されるということだ。

私たちはAmazonの処理がどのように異なっているのかを判断しようとしているが、スキルの提供するアクションに関しての、似通った理解方法は利用しているのだろうと想像される。

関連スキルを提案する方向への動きは、既に支配的なスマートスピーカープラットフォーム上での音声アプリケーションの利用を促進することになる。

現在Amazonはスマートスピーカーの競争で、はるかに先行している。調査会社eMarketerの予測では、Alexaは今年、音声制御スピーカー市場の70%を占有するものと思われている。その後出されたEdison Researchの別の調査によれば、Amazon EchoとAlexaデバイスがスマートスピーカー市場の82%を占めるのに対し、Google Homeはわずか18%に留まるだろうと予想されている。

Alexaは既にライバルたちに比べて、使えるスキルの数が遥かに多くなって来ている ―― 実際には、今年7月現在でその数は1万5000以上を数える。しかし、それらの多くは、ユーザーたちがその存在を知らないために、あるいは品質が劣っているために、使われていない。一方、Alexaのこれまでの最大のユースケースは、音楽、ラジオ、そしてニュースを聴くといったもの、タイマーを設定すること、またはスマートホームデバイスを制御するといったものだった。

しかし、Alexaの開発者コミュニティが発展し続けるためには、音声アプリケーションが発見可能である必要があり、開発者たちがそれらをビジネスとして上手く回せるようになる必要がある。そのために、Amazonは人気のスキルに対しては、開発者に報酬を支払うことを開始したが、最終的にはそうした直接的な現金支払を越えて、長期的マネタイズ戦略が必要とされるだろう。

スキル提案のニュースと並んで、Amazonはまた、新しい開発者ツールも発表した ―― Alexa Skill Management API (SMAPI)とAlexa Skills Kit Command-line Interface (ASK CLI)だ ―― これらはコマンドラインインターフェイスを使うことに慣れた開発者たちに、Alexaスキルの管理をより簡単にしてくれるものだ。

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(翻訳:Sako)