MetaがAWSを戦略的クラウドプロバイダーに選定、Meta AIの研究開発やPyTorch利用企業のパフォーマンスを強化

MetaがAWSを戦略的クラウドプロバイダーに選定、Meta AIグループの研究開発やPyTorch利用企業のパフォーマンスを強化

Amazon Web Services(AWS)は米国時間12月1日、Metaが戦略的クラウドプロバイダーとしてAWSを選定したことを発表した。

MetaとAWSはこの5年間で連携する範囲を拡大してきた。今回の合意を基に、AWSは引き続きMetaが取り組む研究開発をサポートし、イノベーションの促進、サードパーティやオープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティとのコラボレーションを支援する。

Metaは、AWSの実績あるインフラストラクチャと包括的な機能を活用し、既存オンプレミスのインフラを補完するとともに、AWSが提供するコンピュート、ストレージ、データベース、セキュリティのサービス利用を拡大し、クラウドにおけるプライバシー、信頼性、拡張性を実現するという。サードパーティ企業とのコラボレーションをAWS上で行うとともに、すでにAWSを利用している企業の買収支援にも活用する。

またMetaは、AWSのコンピュートサービスを活かし、Meta AIグループの人工知能の研究開発を加速させる。AWS上でOSSの機械学習フレームワーク「PyTorch」を活用する顧客企業のパフォーマンスを向上させ、開発者による人工知能と機械学習モデルの構築・トレーニング・デプロイ・運用の加速を目指す。

AWSとMetaは、機械学習モデルの大規模な構築、トレーニング、デプロイに向けて、PyTorchのパフォーマンスならびにAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)や、機械学習専用に構築された機能を提供するAmazon SageMakerなどのコアマネージドサービスとの統合において、さらなる最適化を進める。自然言語処理やコンピュータビジョンのための大規模な深層学習モデルを開発者が容易に構築できるよう、両社はAWS上でのPyTorch活用を促進し、AIアクセラレーターの分散システム全体で大規模なトレーニングジョブのオーケストレーションを可能にする。

また両社は、PyTorch上での推論のパフォーマンス、説明可能性、コストを向上させるネイティブツールを共同で提供。本番環境へのモデル展開を簡素化するため、PyTorchのネイティブなサービングエンジンであるTorchServeを強化し、学習したPyTorchモデルを容易に一括展開できるようにするという。これらのOSSへの貢献をベースにAWS上でパフォーマンスを最適化し、大規模な深層学習モデルの研究から本番環境までをより迅速に導入するための支援を展開する。

AWSが新たにM1搭載Mac miniをクラウド化

米国時間12月2日に行われた「AWS re:Invent」カンファレンスの基調講演で、アマゾンのWerner Vogels(ワーナー・ヴォゲルス)CTO兼副社長は、AWSがEC2コンピュートサービスの一部としてM1 Mac miniを提供することを発表した。

AWSが初めてMac miniを同社のクラウドに導入したのは、2020年のことだった。これらのminiは、Thunderboltポートを使ってAWS Nitro Systemに接続され、他のインスタンスと同様にEC2クラウドで利用できるようになる。ここで使用されているミニは、標準的なM1チップ8コアマシンで、16GiBのメモリを搭載している。

新しいインスタンスは、2つのリージョン(米国西部のオレゴン州、米国東部のバージニア州北部)で、1時間あたり0.6498ドル(約73.51円)で提供され、AWSのSavings Planによる割引もサポートされる。AWSは、これらの新しいマシンが「iPhoneおよびMacアプリ構築のワークロードにおいて、x86ベースのEC2 Macインスタンスと比較して、価格パフォーマンスが60%向上している」と約束している。

画像クレジット:AWS

これらのマシンのユースケースは、今回のローンチでも変わらない。初代のMacインスタンスと同様に、ここでのアイデアは、デベロッパーがMac OSやiOS用アプリケーションをビルドしてテストするためのハードウェアを提供することだ。

最初のMacインスタンスが発売されたときには、すでにM1 Mac miniが展開されていたことを考えると、今回の発表はほとんどの人にとって驚きではないだろう。当時、AWSはM1マシンが「2021年初頭」に登場すると述べていたが、展開するには少し時間がかかったようだ。

画像クレジット:AWS

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)