話題のAlexa電子レンジを使ってみたけれど…いまいち

私は一般にAlexa、そして音声コンピューティングのファンだ。しかし、AmazonがAlexaを電子レンジに持ってくると発表したとき、どんなものかなと訝った。音声コンピューティングの価値というのは、ニュースや情報、音楽を入手したり、空調を操作したり、Echo Showでセキュリティカメラの映像をのぞいたりといったスマートホームでできるようなシンプルなタスクを行うことにある。しかし、電子レンジ? 本当に?

電子レンジというのは、キッチンで最もありふれた電化製品の一つだ。従来のオーブンに比べ、恐ろしいほどに使い方はシンプル。

しかしながらAmazonはそうは思っていないらしい。

消費者は電子レンジの進歩したセッティングーそれらは必要以上に複雑だーを十分に活用していない、とAmazonは思っている。それを手伝うのがAlexaだ、とAmazonは言う。

「多くの人は、電子レンジができる全ての機能を使っていない。プリセットや、もっとできるはずの複雑な料理は多くの人にとって手に負えないものになっている」とAmazonデバイスの副社長Charlie Tritschlerは語る。「そして、往々にして人々は“30秒加熱”のボタンを何回も押すだけで終わっている」と続ける。「(電子レンジは)ポップコーンのようなシンプルな料理にもってこいだが、何かを解凍したり他のプリセットを使いたい時、ユーザーは時にマニュアルを参照しなければならない」。

もちろん、それに例外がないわけではない。おそらく、いくつかの電子レンジはすごく直感的なインターフェースを持っているわけではないだろう。しかし学習カーブは急ではない。強さを設定したり何ポンドの肉を解凍しようとしているか入力することを学んだら、大体においてその知識を後のためにとっておく。

しかしもしあなたが、電子レンジの操作は手強いと感じているのなら、音声でアクティベートする電子レンジを活用する価値はあるかもしれない。操作にかかる時間が同じだろうが、少なかろうが、“楽しい”と感じれば消費者の中には購入する人もいるかもしれない。多分(???)。

残念ながら、それは全く楽しいものではなかった。

実際のところ、往々にしていらただしかった。

Alexa電子レンジはEchoのようなものではない。Alexaコネクトキットテクノロジーを活用していて、どちらかというとEchoのコンパニオンデバイスだ。使うには、電子レンジをEchoスピーカーとペアリングしなければならない。そうして、“Alexa”で始まる音声コマンドで操作したり、あるいはボタンを押してコマンドの“Alexa”部分を省略したりできる。

そして、発見したのだが、Echoスピーカーはまた、電子レンジの近くに置いておく必要がある。最初に、リビングルームにあるAlexaに向かって叫んでみたのだが、私の家はオープンフロアにもかかわらず、その半分は届いていなかった。これは、Alexa電子レンジを使うにはキッチン専用のEchoをおそらく買う必要があることを意味する。

Amazonがこの電子レンジをお試しで貸してくれたのは1日だけだったので、より素敵なレシピは試していないーおそらくそこに価値があると思われるーしかし我々の最初の感想というのは、Amazon.comの未来のトップセラーというよりAlexaテクノロジーのデモに近いものだった。

AmazonBasics電子レンジそのものは、小型の700W卓上デバイス(17.3 x 14.1 x 10.1インチ)で、重さは21.9ポンドある。パワーは10段階で、Amazonの最新のwi-fiシンプルセットアップをwi-fiネットワークに接続するー正直、このwi-fiシンプルセットアップが最も感銘を受けた機能だった。AmazonBasics電子レンジの小売価格は59.99ドルだ。

このレンジをオンにすると、まず時刻の0:00が数秒点滅する。そして正しい時刻に設定する。すると、Echoとペアリングする用意が整ったとしてAlexaアプリに新デバイスが検出される。今後の全ての製品がこのように簡単なセットアップであってほしい。

この電子レンジにはリングとターンテーブルも含まれる。そしてマニュアル操作のために正面に標準のボタンがある。一番下にある“Ask Alexa”ボタンに加え、時間と重さによる解凍ボタン、パワーレベルボタン、ポップコーン専用ボタン、タイマー、スタート/ストップ・一時停止ボタンがある。

また、Amazonの補充サービスを通じてポップコーンを再注文できるように電子レンジを設定できる。しかしこれを利用するには、ポップコーンがいつものブランド、いつものパックサイズである必要がある。私はおそらく他の人と同じくらいポップコーンが好きだが、なしでも大丈夫だ。しかしながら、もしあなたが大のポップコーン好きなら…たぶんこの機能はあなたのためのものだ。

この電子レンジを使ってみた限り、あらゆる音声コマンドに反応した。たとえば、「Alexa、コーヒー1杯を温めて」「Alexa、スープ1杯を温めて」「Alexa、ジャガイモ2つを加熱して」「Alexa、ディナープレート1皿を温めて」「Alexa、8オンスのパスタを温めて」などなど。これらはすべて電子レンジについているいくつものクイック調理プリセットのおかげだ。

また、Alexaに調理時間を指示して温めたりすることもできる。

Amazonがつくったコマンドセットから察するに、人々はそれぞれの食品をどれくらい電子レンジにかけたらいいか知らないようだーディナープレートの再加熱? コーヒー1杯? パスタ?

しかし実際には多くの人はおそらくプレート(またはカップ)を見て推測でき、電子レンジにかけるために1分、2分、3分、あるいはもっと、必要に応じて数字のボタンを操作するはずだ。

おそらくパワーレベルを調整するのに時間をかければ、より良い調理となるーしかしもっと“良い”ものにしたいのなら、本物のオーブンを使うはずだ。

いずれにしろ、ボタンひとつを押すというのはオーブンを扱うより随分シンプルだ。

ひとたびセットアップが終わると、他のスマートホームガジェットのように、Alexaコマンドを使えるようになる(“Alexa”の後にコマンドが続く)。または、電子レンジに付いている “Ask Alexa”ボタンを押すとAlexaと呼びかけなくても命令できる。

えーっと、最初にマニュアルを読まなかったのだがー人々は読まない! とAmazonが指摘していたことだー私は今回もそれがあてはまると初め気付きさえしなかった。

なので、“Alexa”音声コマンドにレンジが思った通りに反応しなかったとき、私は最初、“Ask Alexa”ボタンを毎回押す必要があるのかと推測した。

しかしそうではなかった:間違ったコマンドを言っていただけだった。この場合では、正しい音声コマンドはこうであるべきだった:“Alexa, microwave for 2 minutes(Alexa、電子レンジを2分かけて)”。ボタンを押してからのコマンドの場合は、「2分」だけであるべきだった。

「Alexa、2分」というコマンドはタイマーと勘違いされるかもしれないということを今は理解している。しかし、Alexaには私がレンジのドアを閉めたばかりということがわからないだろうか。論理的に、そしてAIパワーで。(結局、Alexaは“ドア感知”のような能力は備えているようだ。レンジをしばらく使わなかった後で、私はAlexaに何かを温めるように命令したー私はレンジの中に水の入ったカップを置きっ放しにしていたーそしてAlexaは電子レンジのドアがあまりにも長くしまったままだと指摘したー残念ながらAlexaはコマンドを実行しなかった)。

マニュアルを読んだ後、自分の過ちに気付き、私はようやくボタンあり、なしどちらでもレンジを使えるようになった。

しかし時々Alexaのコマンドを理解する能力は困惑させるようなものだった。

たとえば、Amazonのマニュアルでは、電子レンジ調理中に音声で命令できるとある。しかしレンジ作動中に私が「Alexa、30秒追加して」と言った時、Alexaは「それはわかりません」と答えた(それから私はその操作のためにボタンを押さなければならなかった)。

しかし、これはAlexaが理解できなければならないコマンドのように思える。電子レンジはそのとき動いていたのだ! タイマーは使っていなかったのだ! 一体全体どうしてAlexaが「30秒追加」を理解できないことがあるだろう。

繰り返しになるが、この問題は語義論の一つだ。ボタンなしの音声コマンドは「Alexa、電子レンジに30秒追加して」であるべきだった。

わかってる。

ああああああ!!! というのが正直な感想だ。

あるときは“Alexa”と言うことはできるが、別のときには音声コマンドを使うのに先立って付け加えなかった。物事を簡単にするかわりに、複雑なものにしている。

ボタンを押した後だと、「2分」とだけ言えるようになる。

しかし驚くことに、長く音声コマンドを使っていると、忘れずに“Alexa”を省くようにするのは実際難しい。

いい例:

この電子レンジは、音声コマンドの出し方が2通りではなく1通りであった方が機能すると思う。あるいは、ボタンを押す代わりに、レンジのドア開閉に“ボタン押し”と同じ機能を持たせるといいのではないか。

結局のところわかったのは、電子レンジを使うにはもっと簡単な方法があるということだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonの60ドルのAlexaレンジを近くで見てみた

Amazonは今日のイベントで、21世紀の電子レンジはほとんど変わっていない、とひとこと指摘した。おそらくそれは、遍在するこの家電製品に対する正当な批判だろうが、Amazonbasics Microwaveは、スペースエイジテクノロジーというよりは、Alexaをさらにキッチンに呼び込むための製品といえるだろう。

昨年のEcho Buttonsと同じく、この製品も社内のリファレンスデザインとして出発した、と同社は言う。言い換えれば、Amazonは単なる消費者向け電子レンジを作ろうとしたわけではない。むしろ同社は、Amazonbasicsの低価格製品群にこれを加えたことを喜んでいるように見えた。

最後の部分には説明が必要だろう。これは、なんといっても60ドルの製品だ。多くのハイエンド高級レンジにある便利な機能はついていない安物の電子レンジなので、もしリフォームしたての新しいキッチンに置くための素敵な新商品を探しているのなら、残念だがマリオ、きみの電子レンジは別のお城にある。

新商品の狙いは何よりもまず利便性であることは、同社がポップコーンのDashボタンをレンジそのものに組み込んだことから明らかだ。「笑ってもらって結構」と壇上の担当者がこの純然たるばかばかしさを認めた。そうは言っても、電子レンジ本体にEコマースを統合するなら、ポップコーンは何よりも適した出発点に違いない。

この製品を作るためにはAmazonの裏方が大きな仕事をする必要があった。実は、Wi-Fi信号と共存する電子レンジの設計は極めて困難だ。意味はあるものの、おそらくGeneral Electricに勤めていない限り本気で考えることはないだろう。どうしてもWi-Fiが必要なのは、”Ask Alexa” ボタンがついているにもかかわらず、このレンジがアシスタントを呼ぶためには、Echoなどの外部ハードウェアが必要だからだ。

つまるところ、この電子レンジは…ただの電子レンジだ。そして、低価格製品を目玉商品やリファレンスデザインとして市場に送り出すことで、サードパーティーが独自ハードウェアを開発するよう仕向ける同社の方針に沿っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook