デバイスが自分の視覚を持って行動できる時代に向けてビジョンプロセッサのMovidiusが$40Mを調達

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GoogleのTangoタブレットが使っているビジョンプロセッサ(vision processor, 視野プロセッサ, 視界プロセッサ)を作っているMovidiusが、Summit Bridge Capital(Atlantic Bridge CapitalWestSummit Capitalの共同事業)が率いるラウンドにより4000万ドルを調達した。これは、ファブレス半導体企業への投資としては近年で最大である。

このラウンドに参加した新しい投資家はARCH Venture PartnersとSunny Optical Technology Group、そして初期の投資家Atlantic Bridge Capital、AIB Seed Capital Fund、Capital-E、DFJ EspritそしてRobert Bosch Venture Capitalも参加した。

シリコンバレーとアイルランドとルーマニアにオフィスのある同社は、新たな資金をR&D努力の強化と技術者の増員、および、同社製の高速コンピュータビジョンプロセッサをデベロッパたちが有効活用するための、ソフトウェアツールの改良に投じる予定だ。

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MovidiusのCEO Remi El-Ouazzaneによると、今後の数か月で同社の製品がいくつかの消費者製品の中に見られるようになる。その多くは、有名ブランドの製品だ。まだ具体的には明かさないが、彼によると、Movidiusはとても良いタイミングで消費者市場にやってきたと言える。彼が挙げるのは、ドローンやVR(仮想現実)への関心の増大だ。どちらも、同社の技術が完璧にフィットしている分野だ。たとえばドローンが自動で飛べるのは、自分のまわりを正確に見られて衝突などを避けられる場合に限る。正しいビジョン処理に基づく衝突回避は、もっとも高価なプロ級のドローンでさえ、精度の高い実装がまだできていないほど、難しい。

VR(とMicrosoftのHoloLensのようなAR)の分野では、Movidiusは位置と人間の目の動きを追跡する主役になる。VR体験が本当にリアルで没入的であるためには、レイテンシのない高速なビジョン処理が欠かせない。今、主なヘッドマウントディスプレイのメーカーは5社あるが、同社はそのうち3社と協働している。

El-Ouazzaneによると、今日のようなベンチャーキャピタルの投資活動が盛んな時代においてすら、半導体企業の資金調達はきわめて困難である。“資金調達のためのバーの高さがものすごく高い”、と彼は言う。しかもビジョンプロセッサには今、Intel、Nvidia、Qualcommなどの既存勢力が関心を示している。それでも、これまでに蓄えたIPとソフトウェアツールへの注力により、Movidiusが当分先頭を走るだろう、と彼は言う。“価格とパフォーマンスとパワーでMovidiusには勝てない、と彼らに納得させることが、われわれの責務だ”、と彼は語る。

おもしろいのは、Movidiusが最初から、車載用などの市場を放棄していることだ。これらの市場では製品を出すためのリード時間があまりにも長すぎて、小さなスタートアップではそれだけのキャッシュフローをまかなえないからだ。“うちは、最先端技術を必要としている高成長市場に向かう”、とEl-Ouzzaneは言う。

国別では、中国が今後の同社の重要な市場になるだろう、という。“われわれに合っている先端技術製品の一部に関しては、中国が先頭を走ることになる、と確信している”、と彼は言う。“たとえばドローンのトップメーカーDJIは中国企業だし、カメラモジュールの最大のメーカーも中国だ”。そこで同社が中国におけるプレゼンスを加速するためには、主導的投資家たちが中国に強いことが望ましい。今回のラウンドでは、WestSummitとAtlantic Bridgeがそれに相当する。

同社の今後のロードマップとしては、まずMovidiusのビジョンプロセッサの次世代機が近く登場する。El-Ouazzaneによると、“うちはこれから、高速コンピュータビジョンの黄金時代へ入っていく”。近未来の最先端製品の重要部分は、まわりに何があるかが分かって知的な行動のできる製品となる。消費者製品でも、学術あるいは産業用の製品でも。新たに大きな資金を獲得したMovidiusは、そのための視界・視野技術を先頭に立って開拓していきたい、という。それが彼の言う、“黄金時代”の意味だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

無理のないエラスティックな分散ストレージプラットホームHedvigがステルスを脱して$12Mを調達

新しいストレージプラットホームのローンチが、それが分散型という珍しいタイプのものであっても、人の胸をときめかせることはないと思うが、今日ステルスを脱して新たな資金調達を発表したHedvigには、ちょっと気にしてみたくなるすごい血統がある。HedvigのファウンダAvinash Lakshmanは、FacebookでCassandraを発明し、Amazonでは他と共同でNoSQLデータベースDynamoを発明した人物なのだ。スケーラブルな分散ストレージの作り方を知っている人といえば、それはたぶんLakshmanのことだ。

同社の今日の発表によれば、シリーズAで1250万ドルを調達し、ラウンドを仕切ったのはAtlantic Bridge Capital、これにTrue VenturesとRedpoint Venturesが参加した。この資金は同社の初のプロダクトの市場展開と、技術営業両面における陣容拡大に投じられる。

Hedvigの核となる考え方は、これまでのストレージでは、今日の企業が日々作り出しているデータの膨大な累積量とその増加になめらかに対応できない、というものだ。対してHedvigの分散プラットホームでは、ストレージの拡張が必要に応じて簡単にできるし、ストレージのアーキテクチャを頻繁に組み直す必要もない。

Lakshmanはこう書いている: “Hedvigは、企業が最初からすべてを分かっていると想定して、多くの時間と労力と予算を押し付け、やがて時の経過とともにそれが陳腐化する、というやり方を採らない。むしろ、まず既存のストレージ資産に無理なく適応し、その後、必要に応じて未来のストレージの購入もできる、という方式を提案する。そのストレージは、プロプライエタリなものでも、コモディティでも、どちらでもよい”。

Hedvigの主張によると同社のストレージソリューションは、ハードウェアとコンピューティング環境を特定せず、レガシーシステムでも仮想化システムでもクラウド環境でもどこでも利用できる。ユーザには“AWS的にシンプルな”利用インタフェイスを提供する(AWSのインタフェイスがシンプルだと言うAWSユーザはほとんどいないと思うが)。ストレージのプロビジョニングはアドミン自身が簡単にやれて、また社内社外のユーザにセルフサービス型のアクセスを提供できる。小さな展開からペタバイト級へのスケーリングも容易であり、データはその企業の方針によりオンプレミスでもパブリック/プライベートなクラウドでも、どこにあってもよい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa