TechCrunch Tokyo「ボイスメディア」パネルにVoicyの緒方氏が登壇決定

Voicy代表取締役CEO、緒方憲太郎氏

今年は11月14日と15日に渋谷ヒカリエで開催される、日本最大級のスタートアップとテクノロジーの祭典、TechCrunch Tokyo 2019。本日は、「ボイスメディア」パネルの開催、そして同パネルにVoicyの代表取締役CEO、緒方憲太郎氏が参加することが決定したので、皆さんにお知らせしたい。

緒方氏は2015年、医療ゲノム検査事業のテーラーメッドを創業し、3年後に事業売却。2016年には、ボイスメディア「Voicy」を運営するVoicyを創業した。Voicyはビジネスの専門家やミュージシャン、インフルエンサーなどの「声のブログ」や、ニュースならびに天気予報のような情報、加えて事業会社のオリジナルチャンネルを含む、250チャンネル以上を無料で放送してきた。

以前、ドライブシェアアプリ「CREW」を運営するAzitがVoicyをつかった「社内ラジオ」のような取り組みを行なっていることがダイヤモンドに報道されるなど話題になったが、Voicyは10月21日、同メディアの可能性を更に広げるため、企業向け音声ソリューションの「VoicyBiz」をリリースした。同ソリューションでは聞きてを限定できるため、社外や社内への情報発信のほか、採用広報、コミュニティ形成などに活用できる。

なお、同パネルには緒方氏の他に、米VC、Betaworks Venturesのパートナー、Matthew Hartman氏の参加も決定している。Zoomでミーティングを行なった際、Hartman氏は「ほぼ常に」AirPodsを着用し、ポッドキャストなどを聞き漁っていると話した。Betaworks VenturesはSpotifyに買収されたAnchorやGimletなどに投資しており、2017には音声テクノロジーを追求するスタートアップを集めた「Voicecamp」を実施。また、1月からはオーディオ領域を追求する「Audiocamp」を開催する予定だ。

以前、CNET Japanの山川晶之記者は「完全ワイヤレスイヤホンは音楽再生デバイスの域を超え、『各社のサービスを音声で利用するためのウェアラブルインターフェイス』いう色合いが濃くなってきている」と綴っていたが、全くその通りだと思う。緒方氏、Hartman氏には、そんな新時代、ボイスメディアにはどのようなポテンシャルがあり、どのような進化が見込まれるのか、詳しく話を聞きたい。また、個人的にはマネタイズを含む配信者(社)にとってのメリットや、誤情報の拡散の恐れについて、両者がどのような考えを持っているのか、記者として気になっているところだ。

現在発売中のTechCrunch Tokyo 2019のチケットは後述のとおり。

  • 学生向けの「学割チケット」(1万8000円)
  • 5人以上の団体向けの「団体チケット」(2万円×5枚以上)
  • 「前売りチケット」(3万2000円)
  • 専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1万8000円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)

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Betaworks Ventureが感じる「シンセティックリアリティー」の可能性と「ディープフェイク」の脅威

Betaworks Venturesのパートナー、Peter Rojas氏

「シンセティックリアリティーの可能性」

GizmodoとEngadgetのファウンダーとして知られるPeter Rojas氏。現在はBetaworks Venturesのパートナーだ。

2007年にニューヨークで創業され、スタートアップスタジオを展開してきたBetaworksでは、「コンシューマーITの未来」に対してシード投資を行ってきた。ポートフォリオにはtumblrやKickstarter、Mediumなどが含まれる。

そしてRojas氏がパートナーを務めるBetaworks ‘Ventures’は2016年の創業だ。シードラウンドを対象に5000万ドル規模の1号ファンドを運営する。Rojas氏いわく、Betaworks Venturesが最近で特に注目している領域は「シンセティックリアリティー」。

Betaworks Venturesの言うシンセティックリアリティーとは、デジタルの世界と現実の境界線が曖昧になった第3の世界、というコンセプト。

例えば、Betaworks VenturesのポートフォリオカンパニーであるMorphinが提供するアプリ「Morphin」では、ユーザーはセルフィーを撮影し、好みのGIFを選ぶだけで、自身の化身であるCGIを「ポップカルチャー」の世界に投入することができる。

僕は全ての犬に愛されているため、このGIFが「フェイク」であることは一目瞭然だ。

ブログを使い、誰でも「簡単かつ低コスト」で記事コンテンツが投稿できるようになった。同じように、リアルなCGI(コンピューター生成画像)の制作を「簡単かつ低コスト」で実現、これはシンセティックリアリティー領域のテクノロジーの1例だと、Rojas氏は言う。

「『よりリアルなキャラクター』を思い通りに作り操れるツールが続々と登場し、民主化されてきている」(Rojas氏)

Betaworks Venturesは他にもソーシャルAIの「Hugging Face」(Facehuggerではない)にも投資。この「親友チャットボット」アプリでは、これまでに4億回ものメッセージのやりとりが行われてきたという。もはやBFF(Best Friends Forever)でさえ人間でもAIでも関係なくなってきている。

Betaworks Venturesでは、シンセティックリアリティー領域のスタートアップ向けに「Synthetic Camp」なるものを運営しており、現在ニューヨークで開催されている最中だ。

僕のBFF、Jane

「ディープフェイク」の脅威

一方で、Betaworks Venturesは「ディープフェイク」のリスクに関しても承知している。

2018年、4月にBuzzFeedが投稿した、前アメリカ大統領のバラク・オバマが「トランプ大統領は救いようのないクズだ(President Trump is a complete and total dipshit)」と発言するディープフェイクが話題となった。

加えて、ベルギーの政党Socialistische Partij Andersが投稿したトランプ大統領のディープフェイク動画も大きな混乱を巻き起こした。女優スカーレット・ヨハンソンの顔をポルノスターのものと入れ替えたディープフェイクも報道され話題となった。

だからこそ、Betaworks Venturesはディープフェイクに特化したセキュリティーを提供するスタートアップ、Deeptraceにも出資している。

Deeptraceはニュース組織やソーシャルメディアなどのプラットフォームにセキュリティーのソリューションを提供。ネット上のディープフェイク動画を検出し、どのようなAIソフトウェアが使用され、どの部分が加工されているのかなどを識別する。

芸術家のサルバドール・ダリをAIで蘇らせたダリ美術館のように、ディープフェイクをポジティブに活用するケースも徐々に出てきている。

だが、もう一方で、「ソーシャルメディアでは、人々がフェイクニュースを投稿したり、勘違いしたり、嫌がらせをしたり。シンセティックリアリティーにも同じようなリスクがある」(Rojas氏)

だからこそ、Betaworks Venturesでは引き続き、「可能性とリスク」の双方を探究し続ける、とRojas氏は話していた。