米国有料ケーブルテレビの契約数、史上最悪の激減

MoffettNathansonのレポートによれば、2017年第1四半期にて有料ケーブルテレビの契約数が762,000件も減ったのだとのこと。ちなみに昨年の第1四半期における減少数は141,000件だった。

アナリストのCraig Moffettは「有料テレビの契約者数は過去最悪の減少傾向(-2.4%)を示している」と述べている。2013年からみると、「コードカッター」(cord-cutter:有料テレビの契約をやめた件数)および「コードネバー」(cord-never:有料テレビ契約を行ったことのない視聴者)のひとたちが650万件増加しているのだそうだ。

こうした傾向が示すのはなにか。まずは有料テレビの契約解除(cord cutting)が、一般的な風潮となってきていることを意味する。多くのテレビプログラムがストリーミングで提供されるようになったこともあり、面白い番組を発見して楽しむ、という視聴スタイルも減ってきた。ネットワーク局としては、コンテンツを視聴者に届けるまでのハードルが非常に高くなっているわけだ。NetflixやHuluなどが、見たい番組を見るというスタイルを強調して、有料テレビから視聴者を奪ったという側面もある。スポーツや海外番組などはストリーミングで提供されるのが一般的となり、今後もますますこの傾向が強まると考えられている。

こうした動きの中、もちろんケーブルテレビ会社も手をこまねいているわけではない。また、Huluなどへの契約者流出は一時的なものであるという人もいる。しかしMoffettは、その主張を否定している。

「理由がなんであるにせよ、現在が最悪の時期であると考えるのは甘いように思える。むしろ、ここがスタートだと認識すべきだろう」と、Moffettは述べている

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Netflix、複数の米国ケーブルテレビ会社と交渉中との報道

Netflixは、自社のオンライン・ストリーミングビデオサービスを、セットトップボックスのアプリを通じて利用できるようにするために、複数米国ケーブルテレビ会社と交渉の初期段階にあると、Wall Street Journalは伝えている。もし契約がまとまれば、ここれは同社が視聴者の習慣を変えたためにケーブルテレビ会社にとって無視できない存在になったことを示すとい意味でNetflixにとって大きな勝利だ。本誌はNetflixにメールでコメントを求めている。

ニュースの1ヵ月前、Netflixは英国のケーブル会社、Virgin Mediaと同じような契約を交わしたことを発表した。Virgin Mediaの顧客380万人が、ケーブルテレビ番組用のオンラインガイドでNetflixの番組も検索できるようにするものだ。

Neflixは、オンデマンドテレビが欲しい視聴者のための、ケーブルテレビに代わる低価格な選択肢として自社を位置付けてきた。この契約はケーブル会社にとってこれ以上Netflixに顧客をとられないための手段の一つだ。しかし、ケーブル会社にとっては、Netflixユーザーがより高速なブロードバンド料金を払う意志が持っているという期待もある。さらには、Netflixの古い番組ライブラリーを、チャンネルに支払う手数料の交渉材料にすることもできる(この手数料に関わる論争は、主要チャンネルが一部地域で配信停止される事態を招いた)。

この契約によって、視聴者はケーブル会社が提供する新しいセットトップボックスアプリを通じてNetflixを利用できるようになる。つまり、テレビをインターネットにつなぐ必要はなくなる。これは、 ChromecastXboxのコンソールやApple TVなどのデバイスを設置しなくてよいことを意味する。

この交渉の潜在的障壁は、Netflixがケーブル会社に自社のOpen Connectテクノロジーを使わせようとしていることだ。ストリーミングビデオの配信を改善するための技術だ。これはNetflixfが専用のサーバーをブロードバンドプロパイダーのネットワークに直接つなぐことを意味している。WSJによると、Comcast、Time Warner Cable、AT&T、およびVerizon Communicationsは、Netflixの技術を使うことを拒否したという。これは他のオンラインサービスも特別待遇を要求してくることにつながるからだ。これらのケーブル会社は、自社のブロードバンドネットワークが、既にNetflixのトラフィックを扱う能力を持っていると主張している(もしNetflixが顧客に高速接続のための特別料金を払わるつもりなら、ここは重要なポイントだ)。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)