DropboxがAutodeskを統合、大きな設計ファイルのコラボレーションがクラウドを意識せずにできる

Dropboxが今日(米国時間11/14)、Autodeskのユーザーが大きな設計ファイルに、より容易にアクセスし共有できるための、二つのプロダクトを発表した。ひとつはDropboxに保存しているAutodeskのファイルをAutodeskのソフトウェアからオープンしセーブするためのデスクトップアプリケーション、もうひとつはAutodeskがなくても設計ファイルを見ることができるアプリケーションだ。

Dropboxでデベロッパーユーザーのお世話を担当しているRoss Piperによると。今DropboxにはAutodeskのファイルが15億あり、毎月8500万ずつ増えている。数も驚異的だが、設計ファイルはファイルサイズが大きい。大きくて複雑なファイルが毎日たくさん生成されるからこそ、クラウドストレージが何よりもありがたい。だからAutodeskの統合はDropboxにとって、とっくにやっているべき課題だった。

両社は互いにパートナーになることによって、これらのファイルをもっと扱いやすくしよう、と決心した。

Dropboxのデスクトップアプリケーションは今日から可利用になり、ユーザーはAutoCadアプリケーションから直接に、クラウド上(==Dropbox上)の.dwg設計ファイルをオープン/セーブできる。ユーザーはAutoCadの中で直接これらのファイルを開ける。その感覚は通常のファイルと同じで、Dropboxから取り出していることを意識しない。作業を終えたファイルの保存も、自動的にDropbox上へ行われる。

DropboxがAutoDeskを直接統合。写真提供: Dropbox

もうすぐ提供される単独のビューワーアプリケーションは、設計ファイルをAutodeskのないユーザーとも共有できる。しかも、それらの人びとがファイルにコメントできるので、役員や顧客、協力企業などが変更を要望するなど、設計に容易に‘参加共有’できる。

たとえば、設計者が描いた図面を見て、その中のひとつの部屋や領域をセレクトすれば、その部分に関するコメントを見たり書いたりできる。

写真提供: Dropbox

Dropboxが提供するこれらのツールは、AutodeskのAutoCad App Storeからダウンロードできる。そして、インストールすればすぐに使える。

今回の発表は、Autodeskのような有力なサードパーティパートナーとDropboxの深い統合が、今後もいろいろありえることを示している。各種ビジネスアプリケーションのユーザーは、いちいちDropboxからファイルをダウンロード/アップロードしなくても、仕事用のメインのソフトウェアを使いながら、その中で、必要なファイルのオープン/セーブがごく自然に、できるようになるのだ。

実はBoxも、Autodeskとのこのようなパートナーシップを、2年前から結んでいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

VRを利用した3D建築モデルのInsiteVRがシードラウンドで150万ドルを調達

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今のところ、VR分野で資金を順調に調達している企業の多くはエンターテイメント分野の企業だ。企業向けサービスにVRを利用する企業にはあまり注目が集まっていないことだろう。

VRを利用した3D建築モデルのInsiteVRが150万ドルのシード資金を調達したことを発表した。VRを活用することで施工前の建築プロジェクトの完成後のイメージを顧客に体験してもらうというサービスを展開している。本ラウンドにはY CombinatorCyberAgent Ventures、GREE VR Fund、PlanGridのTracy YoungとRalph Gootee 、Greg Castle、Rothenberg Venturesが参加している。

非エンターテイメント分野でのVRの活用法となると、VRを利用してバーチャルな建物の中を歩いているかのような体験を提供するという事例が出てくることが多い。不動産業界でこの試みをするスタートアップは多いなか、それを建築業界のワークフローやプレゼンテーションに適用するという例は少ない。

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InsiteVRが展開するサービスは、VRを使って顧客をCADファイルの中に「入り込ませる」ことで、現実により近い形で建物の完成図を体験してもらうというものだ。建築業者が建物の3DモデルをInsiteVRのサービスにアップロードすることで、Gear VR、Oculus Rift、HTC ViveなどのVRヘッドセットを通して仮想現実空間に再現された建物の完成イメージを体験することができる。「非対称VRプレゼンテーション」と呼ばれるInsiteVRのサービスでは、複数のVRユーザーが同じコンテンツを同時に体験することができ、パソコンを使ってユーザーを色々な場所へと誘導していくことが可能だ。

同社の前身は、2014 TechCrunch Disrupt NY Hackathonの優勝者であるVrbanだ。その後、創業者のAngel Sayは彼の大学時代のルームメイトであるRussel Varrialeとタッグを組むことになる。そして、二人の創業者は2015年冬に開催されたY Combinatorのアクセラレーター・プログラムに参加し、InsiteVRを創業した。1年半という時間があっという間に過ぎ去り、同社のVRソフトウェアはこれまでに4000以上のプロジェクトで利用され、2500件以上の建築モデルがInsiteVRのサービスを使って仮想現実化されている。特筆すべきInsiteVRの導入事例として、Unityのサンフランシスコ本社や、ローリーにあるMicrosoftのオフィス、フィラデルフィアの30th St.駅の改築工事などが挙げられる。

今後、「建物のバーチャル体験」という分野に参入するスタートアップは確実に増えてくるだろう。しかし、特定の業界に存在する顧客のニーズにフォーカスすることで、他社のどのプロダクトよりも顧客のニーズにフィットしたプロダクトを開発することが可能だとSayとVarrialeは話す。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

人体のGoogle EarthがシリーズAの資金調達―BioDigitalはブラウザ・ベースの精密な3D人体図鑑

ニューヨークに本拠を置く画像処理のスタートアップ、Biodigitalが野心的なプロジェクトを開始したのは昨年だった。精密な3Dのアニメーション人体図鑑をブラウザを通じて提供しようというのだ。共同ファウンダーのFrankSculliとJohn QualterはCAD、HTML5、WebGLなどのテクノロジーを駆使して印刷版の解剖学教科書を時代遅れの存在にしようという試みをスタートさせた。

昨年のローンチ以来、Human Biodigitalと名付けれられた3Dバーチャル人体には病気や妊娠など医学的に正確な何千もの画像が追加されている。このバーチャル人体はGoogle Earthによく似た方式で回転させたり傾けたりズームインしたりできる。ユーザーはすでに100万人に上っている。Sculliがわれわれに語ったところによると、Bioditalは2500以上の学校で解剖学の授業に活用されているという。また一般ユーザーも健康に関する知識を得るために利用し始めている。

また病院やクリニックで医師が患者に症状を説明する際にもBiodigitalのバーチャル人体が利用されている。しかし共同ファウンダーたちの長期的な野心は、強力なAPIを提供し、サードパーティーのデベロッパーがアプリやサービスを開発できるようにして、Biodigitalを人体画像のプラットフォーム化することだ。

サービスの拡大にともなって、Biodigitalは今日(米国時間9/24)、400万ドルのシリーズAの資金調達を行ったことを発表した。今回のラウンドはFirstMark Capitalがリードし、NYU Venture Fund、数人のエンジェル投資家が参加している。

Sculliは今日発表したブログ記事で「3D画像処理テクノロジーはゲームや映画のあり方を根本的に変えただけなく、Google Earthのようなサービスを通じて今や一般ユーザーにも馴染み深いものになりつつある。バーチャル人体以上にこの3Dテクノロジーの建設的な応用場面は少ない」と書いている。これには私もまったく同感だ。ブラウザが3D画像処理をネーティブにサポートし、APIベースのビジネスが爆発的に拡大している現在、Sculliの意見では、バーチャル人体は医療やヘルスケアにとどまらず、ウェブ一般にあらゆる応用が考えられるという。

今回の資金調達でBiodigitalは本格的にAPIの開発に乗り出すことができる。現在バーチャル人体は無料で利用できるが、同時に有料のプレミアム版も提供している。

われわれのJohn Biggs記者のファウンダーに対するインタビューと初期のプロダクトのデモのビデオを下にエンベッドした。オリジナル記事はこちら


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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+