AIが個人個人の得意・不得意を分析し、解くべき問題へと誘導するタブレット型教材「Qubena(キュビナ)」。同サービスを展開するCOMPASSは7月31日、この仕組みを家庭でも気軽に利用できるiPadアプリ「Qubena Wiz Lite(キュビナ ウィズ ライト)」を公開した。
Qubenaに関してはこれまでも何度か紹介している通り、生徒一人ひとりの問題の解き方や間違え方をAIが分析し、数万問の中から個々に合った最適な問題(簡単すぎることもなく、難しいすぎることもない)を出題してくれるサービスだ。
現在は小学算数と中学数学に対応。ペンを使ってタブレット上に手書きするスタイルで、定規やコンパス、分度器を使った作図もでき、タブレット1台あれば全ての学習が完結する。
間違え方によって次の問題が変わるのはもちろん、その単元の基礎となる部分でつまずいているような場合には、学年をまたいで本来解くべき問題へと誘導してくれるのが特徴。COMPASSで執行役員を務める坂井祐太氏の話では、このような仕組みによって「自分が解ける問題だけを解いたり、反対に難しすぎる問題ばかりに挑んでやる気を失ったりすることもない。モチベーションを保ちながら自信をつけていくことができる」という。
結果的に効率的な学習をサポートできるため、自社運営の学習塾では中学校の数学1年分の学習範囲が平均32時間で修了するという成果もでているそうだ。
これまでCOMPASSでは河合塾や練成会といった学習塾にQubenaを提供しているほか、自社運営の塾やフランチャイズ教室で同サービスを活用。また個人向けのプロダクトとして、Qubenaの教材と講師のチャットサポートをセットにしたオンライン家庭教師サービス「Qubena Wiz」を展開してきた。
今回リリースしたQubena Wiz Liteは、月額9800円で提供しているQubena Wizから教材部分だけを切り出して、月額1950円で提供するというもの。
「Qubena自体がまだまだ成熟しておらず、知名度も高くない段階。体験して初めて使い勝手がわかるプロダクトなだけに体験者を増やすことが目標だったが、月額9800円というのは価格面のハードルが高く想定ほど増やせなかったのが課題となっていた。アプリのみを提供することで価格を抑え、体験のハードルを下げていきたい」(坂井氏)
今までよりも安い価格で提供するといっても、アプリの機能自体は変わらず小学算数と中学数学をカバー。保護者がサイトから学習履歴や達成状況を確認することも可能だ。
ユーザーの要望によってQubenaを導入する学習塾やフランチャイズ教室を紹介することも、オンライン家庭教師サービスを紹介することもできるだろう。現在Qubenaのユーザー数は1.7万人とのことだけど、今回の新サービスは「ユーザー数を増やすための窓口のひとつ」(坂井氏)として機能することも期待されているようだ。
なお運営元のCOMPASSは2012年12月の設立。2015年6月にインフィニティ・ベンチャー・パートナーズと個人投資家から4000万円、2017年3月に7人の個人投資家から2.2億円、2018年4月に伊藤忠テクノロジーベンチャーズなどから6億円を調達している。