Web 2.0の寵児 “Delicious”、オーナー交代で直近のサイト変更を復旧へ

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むかしむかし(たぶん2004年頃)、Delicious というソーシャルブックマークサービスは、ウェブで最もホットな存在だった。当時のあらゆるバズワードにあてはまっていたが(コラボラティブ・タギング、フォークソノミー、AJAX)、他の多くのサービスと同じく、Yahooが2005年にこの会社を買収した後、放置した。それ以来オーナーが2度代った ― まず、YouTubeのファウンダーらが所有する会社、AVOSへ、2014年にはScience Incへと移った。

Yahoo、AVOSと同じく、Scienceもこのウェブサービスの生ける化石をどうしていいかわからなかったことは明白だった。Deliciousブログの最新記事によると、現在同サービスはDelicious Mediaが運営している ― DomainersuiteとScience Inc. による新たなアライアンスだ。Domainersuiteのファウンダー、Tony Alyが現在Delicious MediaのCEOを務めている。

「ScienceはDeliciousの運営をわれわれの新組織に委ねたので、今後私たちのチームは、このすばらしい、有用な、草分け的サイトの長期的成功に全力を尽すことができる」と、昨日静かに公開された 発表の中でAlyが語った。

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それを実現するために、新たなオーナーたちは以前のオーナーがサイトに施した多くの変更を、元に戻そうとしている。Alyは、SEOの経験を持ち、前オーナーがサイトを再構築した際に使ったJavaScriptフロントエンドは、GoogleやBingに対するコンテンツの可視性に関して最適とは言えないと指摘している。

実は、以前のオーナーらがあかりを灯し続け、旧バージョンをprevious.delicious.comの名前で動かしていたので、旧バージョンへの復帰も難しくないだろう。

もっと奇妙な動きは、サイトがURLもオリジナルに戻そうとしていることだ:del.icio.us。これは、Deliciousがスタートした時のドメイン名だが、後に覚えやすいDelicious.comに変えた。Alyによると、この行動は「移行の条件の一つ」だそうだが、私が思うにこれは、いずれdelicious.comドメインを高値で売る計画なのではないだろうか。そもそもDomainersuiteは、ドメインを管理して低品質の広告コピーで「ドメイン帝国を統治する」のを手伝うのが本業だ。

少なくともハードコアなDelicious del.icio.usファンにとっての朗報は、Alyがスタックを復活させると約束していること。これはユーザーがリンクのコレクションを協力して作る機能だ。AVOSは、Yahooからサイトを買った約2年後の2012年に、これを抹殺した

正直なところ、彼らの最良の日が戻ってくる光景を、今思い描くことはできないが、まずは疑わしきは罰せずの原則で、新オーナーを見守りたい。

本誌はAlyに連絡を取ったが、まだ返信はない。情報が入り次題続報する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

まだ生きていたDelicious, デザインを一新

ソーシャルブックマーキングサービスDeliciousはかなり長期にわたって、Web 2.0運動のシンボルのような存在だった。ブックマークをソーシャルに共有するシンプルなサービスだったが、オープンでコラボレーション的でタグやユーザ生成コンテンツも多く、VCたちにとっても、めぼしい投資先を探すときの情報源の一つだった。

一般公開されてから10年になるが、いまでもdel.icio.usドメインは存続している。オーナーは何度か変わったが、元々のコンセプトはあまり変わっていない。でもこのたび、10歳の誕生日を記念してデザインを一新したので、久しぶりに同サイトを取り上げてみよう。

創業から2年後にYahooが買収して評判になったが、その後はずっと、鳴かず飛ばずの状態が続いた。Yahooが買収したWeb 2.0サービスの多くが、そういう運命をたどった(Flickrもその一つ)が、Deliciousも2010年ごろにはほとんど、過去のものになってしまっていた。

Deliciousはもう、かなり前から、ヒップなプロダクトではなかった。 タクソノミー、フォークソノミーといった独特の用語の、魅力も薄れていた。同社はもはや、成長を忘れたマイナーな存在だった。当時Deliciousが閉鎖したら、怒り狂う常連ユーザも多かったと思われるが、でも大半のWebユーザは閉鎖に気づきもしなかっただろう。

しかしYahooはDeliciousを閉鎖せずに、2011年の4月にAVOSに売った。AVOSはYouTubeのファウンダChad HurleyとSteve Chenが、当時はもっぱらDeliciousの受け皿として作った企業だが、その後はビデオサービスのMixBitや中国語のVineクローンWanpaiを立ち上げた。AVOSはその後黙々とDeliciousの改良を続けたが、トラフィックは回復せず、ソーシャルブックマーキングの人気が再び盛り上がることもなかった。Deliciousの作者Joshua Schachterも2008年にYahooを去り、Deliciousに残っている初期のデベロッパは一人もいないようだ。

今度の新デザインも、大きな効果があるとは思えない。ユーザインタフェイスはすっきりして反応がよくなり、コンテンツの発見にはTwitterを利用した個人化を導入している。ダブルクリックで立ち上がるブックマークエディタも、8年前ならユーザに喜ばれただろう。

しかしそれでもなお、AVOSはDeliciousを支えつづけるようだ。ビジネスモデルらしきものは、依然としてないけど。デザイン改訂の発表声名も、世の中には無視されたが、その中で同社は、Androidアプリと新たなブラウザエクステンションを開発中だ、と言っている。

今ではリンクの共有はもっぱら、TwitterやFacebookの上で行われている。だからDeliciousがこれまでの路線のままで活気を取り戻すことは、難しい。今回の再ローンチに際してチームが作ったMixbitのビデオの中で彼らは、“これは新しいDeliciousの始まりにすぎない”と言っている。AVOSの買収からすでに2年も経っているから、その言葉もなかなか信じがたいが、でもAVOSがDelicious生かしつづけていることは、なぜか、良いことのように思える。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


どのWebページにも注釈や付箋紙, 強調表示のできるDiigoがデザインを一新

【抄訳】

ソーシャルブックマーキングとWebアノテーションとリサーチツールを提供しているDiigoが今日(米国時間8/19)、そのデザインを一新した。このサイトは登録ユーザが700万おり、これまでずっと自己資金だけでやっってきたが、そろそろ利益を出したいと考えている。同社のファウンダは本誌TechCrunchに、Diigoはまだ健在である、という単純な事実を告げた。この分野は、やめてしまったサイトが圧倒的に多いが、Diigoの健在ぶりには、何か学ぶべきものがあるはずだ。

Diigo(Dee’go, ディーゴゥと発音する) は2005年にオンラインブックマーキングサイトとしてローンチしたが、すぐにWebページのハイライト機能(カラーマーキングによる強調表示)や付箋紙をつける機能を加えて、アノテーション(annotation, 注釈付け)の能力も持った。当時本誌TechCrunchのファウンダMichael Arringtonは、Diigoは好きだけど、類似サイトが多い中で“予選を通過する”のが難しいだろう、と書いた

それから8年後の今日を見ると、たしかに、予選通過者は少ない。Hypothes.isの調査によると、アノテーションツールを作ろうとした56社のほとんどが、閉鎖、休眠、あるいは伸び悩んでいる。わりと好調なのは、Diigo、MendeleyDocumentCloudRapGeniusGoodreaderの計5社だ。ただしMendeleyとGoodreaderは、アノテーションがメインではない。Rapgeniusは自分のサイトにアノテーションできるだけだが、DiigoはWeb全体に対してできる。

Diigoの会長でファウンダのWade Renによると、Diigoと、VCが投資しているRapgeniusだけがアノテーションの分野で生き残った理由は、両者とも、アノテーションがメインのビジネスの一部にすぎないからだ。Rapgeniusはアノテーションを使ってデスティネーションサイトを作っている。Diigoではアノテーションが、パーソナルナレッジ管理のためのリッチなツールの一部だ。Renによると、彼は、アノテーションだけではうまく行かないことを学んだ。だから今ではDiigoには、ソーシャルブックマーキングやコラボレーションによるリサーチ、スクリーンショット、画像の保存、ページのキャッシング、などなどいろんな情報管理ツールがある。

知っている人は少ないが、Webをアノテーションするという考えが、Googleをその後の成功に導いた。2003年にGoogleのファウンダLarry Pageは、こんなことを喋っている(Diigoのページ上でハイライト化…これがDiigoの共有機能の例だ):

“そもそもわれわれは、検索エンジンを作ろう、と思ったわけではない。最初に作ったのは、アノテーションのためのランク付けシステムだった。Webをアノテーションしたい、と思ったのだ。ユーザがどこかのページを見てアノテーションボタンをクリックすると、ほかの人たちがそのページについて言っている優れたコメント*が見られるようにしたかった”。

〔*: 今のようなそのページの正規のコメントではなくて、多くのビジターによるアノテーション。いわば、“分散外付けコメント”。〕

そのランク付けシステムはPageRankとよばれ、Pageによると、“PageRankはアノテーションよりも検索に便利だ、と気づいたのは、ずいぶん後のことだ”。

Diigoの一新されたサイトは、すっきりとして使いやすくなった。検索が大幅に改良され、ブックマークしたページの全文検索もできる。ロゴも変わり、ChromeブラウザのエクステンションDiigo Web Collectorもデザインを変えた。

このツールを使ってユーザは、Webページ上に付箋紙を付けたり、ページの一部をハイライトできる。将来そのページを訪れたときも、それらのノートやハイライトは生きている。それらのDiigoでブックマークしたページは、再度訪れると赤いマークが付いており、スクロールバーの横の黄色いドットをクリックすると、ハイライトした箇所へジャンプする。EvernoteのようにGoogle検索との連動機能もあるので、Google検索からDiigoしたページを見つけることも容易だ。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Delicious、「ソーシャル」強化を狙ってTwitterおよびFacebookログイン機能を実装

最近、とんとDeliciousについての話題を耳にしなくなっていた。ソーシャルブックマークのためのサービスで、2005年にYahooにより買収され、そして2011年にAVOSに売却されていた。当時、AVOSはDeliciousを再度ベータ版に戻して、新たな視点からのサービス提供を試み始めていた。しかし多くの利用者を集めるには至らず、また面白そうな機能が追加されるようなこともなかった。

そのような中、しばらくの間の無更新状態から復帰して、Deliciousのブログに新しい記事が登場した。すなわちDeliciousに新しい機能を追加したというものだ。TwitterやFacebookというソーシャルネットワークに移り、ソーシャルブックマークという概念を忘れ去ってしまったような人を意識した機能追加となっている。

ソーシャル界の巨頭を意識したアップデートとはすなわち、TwitterないしFacebookアカウントによるログインを可能にしたというものだ。これにより、Facebookで共有したリンクおよびTwitter上でシェアおよびお気に入りに登録したものが自動的にDeliciousに登録されるようにもなっている。Deliciousは、こうした形でのリンク共有サービスの提供を考えて、2011年11月にTrunk.lyを買収してもいた。そしてTwitterについては昨年3月、そしてFacebookについても昨年6月から、リンク情報の共有自体は提供を開始していた。

TwitterやFacebookの情報を利用してサインインできるということに新しさは全くない。しかしDeliciousに「ソーシャル」機能を持たせることになったとは言えよう。さらに「ソーシャル」を意識したものとして「Friend Finder」機能も搭載されるようになった。名前の通り、TwitterやFacebook上の知り合いをDelicious上で発見するためのツールだ。

また、パフォーマンス面等での改善も行なっている。ブックマークレットやサイト自体の読み込み速度も若干向上したようだ。さらに、以前から要望のあった「first saver」情報も提供されるようになった。これはDeliciousで最初に情報を共有した人を記録しておくものだ。

今回のアップデートがDeliciousを救うことになるのかどうかはわからない。ソーシャルネットワーク上にリンクを保存するということ自体が、もの珍しかった時代はとうの昔に過ぎ去ってしまった。しかしDiggも、まだまだ活躍の場を探って話題にのぼっている。懐かしのdel.icio.usにも新しい活躍の場があるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)