DocuSignとZoomを統合する機能が登場、Zoomミーティング内で署名が可能に

コロナ禍の初期に書類に署名をしなくてはならなかった人は、誰もが動揺と危険を感じただろう。人と対面で会いたいとは誰も思わなかったが、ビジネスのためにはそうせざるを得なかった。

米国時間2月15日、ZoomDocuSignがオンライン署名をシンプルにする取り組みとして、書類をZoomミーティング内で確認して署名できる新たな統合を発表した。法的手続きが大幅にシンプルになり、出社する必要がなくなる。

新機能を発表するブログ記事の中でDocuSignは「『DocuSign eSignature for Zoom』により、企業は顧客や取引先の信頼と安心感を高めながら、合意形成・契約締結までの時間を短縮することが可能になります」と述べている。

DocuSignのeSignatureプロダクト担当責任者でSVPのJerome Levadoux(ジェローム・レベデュー)氏は、コロナ禍はリモート署名が求められる典型的なユースケースになったという。同氏は「ここ数年、進化する顧客のニーズに対応するため、俊敏性と生産性を向上するツールの必要性が高まってきています」と述べている。つまりミーティングのためにZoomを開き、契約書に署名するためにDocuSignを開くのではなく、1つで済むツールを提供するということだ。必要なものがすべて1つのアプリ内にあるので、対面での実施にかなり近いワークフローとなる。

たいていの場合、署名する人は事前に書類を確認できるので、ミーティングでは書類を表示して署名するだけだ。ZoomマーケットプレイスからDocuSignを追加すると、ZoomのインターフェイスにDocuSignが追加される。ミーティングを開始し、DocuSignのアイコンをクリックするとワークフローが開始されるので、署名する書類を選ぶ。

次に、最初に署名する人に制御を渡し、口頭で最終の確認をしたら、最初の人が署名をする。署名をする人が複数いる場合は、次の人に制御を渡す。ミーティング後には出席者全員に対し、署名済み書類のPDFがZoomの招待に使われたメールアドレスに送信される。

公証が必要な場合は、公証人が署名する順番になったときにその手続きの1つとして関係者の身分証明を確認できる。米国では34州がオンライン公証を認めている。

コロナ禍となり、企業がオンラインで事業を運営していく上でZoomがその中心となっている。Zoom以外のSaaSツールもあり、人が集まらなくても事業を続けられるようになってきている。オフィスに戻るにしても、人と会うために移動することなくこのようにして仕事ができる。時間の節約になるだけでなく、複数の関係者が集まることによる環境への影響も抑えられる。

画像クレジット:Marta Shershen / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

市場の懸念、嫌悪、魅力的な企業向けギフト

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

親愛なるみなさん、今回は3つのテーマを取り上げる。1つ目は懸念、つまり市場の懸念だ。2つ目は嫌悪、ある特定の企業ニュースに対する私の直感的な反応だ。そして最後に企業ギフト、魅力的なスタートアップ戦争へ飛び込む。では始めよう!

懸念

電子署名企業のDocuSign(ドキュサイン)は、先週金曜日に株価が40%以上下落して、大きな打撃を受けた。これは、詐欺やその他の企業の不正事例を除けば、私が今まで見た中で最悪の業績報告後の株価変動だ。

何が起きたのだろう?DocuSignは、直近の四半期(2022年度第3四半期)には収益予想を上回っていた。しかし、同社の請求額(将来の収益を表す)は、予想を大幅に下回った。同社のCEOであるDan Springer(ダン・スプリンガー)氏は、投資家向けの手紙の中で次のように述べている。

成長が6四半期の間加速した後、お客様はかつての正常な購入パターンに戻り、その結果、請求額は前年比で28%増加しました。

スプリンガー氏は、市場が過剰反応していると考えており、来週DocuSign株を購入する予定だ。市場は、DocuSignがより普通の成長へ回帰したと思われるものを、あまりにも重視しているのだろうか?

そうでないかもしれない。これが起きてから、私は仲間たち(その中には仕事の場で私の正気を保ってくれる友人のロン・ミラー記者もいる)と、私たちが見ている現象はウォール街の焦りなのか、それとも別のものなのかを語ってきた。私は後者(別のもの)に傾いている。

Yahoo Financeのデータによれば、DocuSignは大幅な下落の後でも約270億ドル(約3兆円)の価値がある。あるいは、現在のランレートの約12.4倍だ。将来の収益の減速について強いヒントを示す公開テクノロジー企業に対して、椅子から立ち上がってそれは低すぎるというのは誰なのだろうか?

実際そういう人は多い、しかしそれは一般にSaaSの勢いが長い間非常に強かったためなのだ。それほど昔の話ではない。DocuSignが請求額の成長が28%だと公表したあとで、ランレートの12.4倍という評価額は、それほど良くはないとしてもまずまずの数字だ。以前の成長状態に戻るのは許されない話なのだろか?

懸念。それが、ソフトウェア会社の間で複数の収縮が見られる場合に、私が味わうことを予想する感覚だ。非公開市場における非常に多くの賭けは、公開企業の評価額が高いままであるという期待に頼ってきた。しかし、先週のような一般的なハイテク株にとって最悪な数字が出現すると、ハイテク業界に対する風潮は、100%のリスク偏重から、よりバランスの取れたものへとついにシフトする可能性がある。

嫌悪

Better.com(ベタードットコム)は、SPACデビューで7億5000万ドル(約846億円)を手に入れ、事業のために十分な資金を得た。そして、従業員の一部を解雇した。あるオンラインコールでCEOは、解雇されるスタッフは15%だと述べた。一方Better自身は、その数は実際には9%だと主張している。CEOがメモを読みながら、レイオフを通知するためにそのオンラインコールを行っているというなら、その数字の食い違いは問題だ。彼が決定を下したのなら、数字を間違えたりするだろうか?

とにかく、ここに労働者の多くを解雇しないですむ方法のレッスンがある。

(このバージョンが取り消された場合に備えて、ビデオのコピーを保存している)。

忘れてはならないこと。職場は自分の家庭ではないということ。労働者としてのあなたは、会社が利用して利益を引き出したい資産に過ぎないのだ!

企業向けギフト

時計を2020年初頭に戻そう。その年の2月、パンデミックが発生する直前に、私はSendoso(センドソー)の4000万ドル(約45億1000万円)のシリーズBを取り上げた。同社は企業ギフトの分野を扱う企業で、それ以降1億ドル(約112億8000万円)のシリーズC調達を行っている

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これとは別に、私が知っている投資家が、Sendosoと同じ市場の別のプレイヤーであるPostal.io(または単にPostal)を私に紹介した。この2つの企業は、現在および潜在的な顧客市場におけるギフトでシェアを競い合っている。つまり巨大な市場なのだ。

通常版のExchangeをよく読む読者は、最近この話題に触れていなかったのではないかと思っているかもしれない。実は取り上げている!9月には、Disruptの直前に、Postalとその進捗状況をお知らせした。

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しかし、私はそれ以降、PostalとSendosoからいくつかの成長指標を抽出して、この分野の継続的なカバレッジに追加したいと思った。なぜこれを気にかけるのか?なぜならこの分野は、OKRソフトウェアや即時食料品配達市場に似ているため、追跡する価値のある興味深いスタートアップクラスターがある。

たとえばSendosoとPostalは、Alyce(アリス)やReachdesk(リーチデスク)と競合する。オンラインからオフラインへの市場チャネルに対して、多くのスタートアップ活動が集まっている。そして、市場は複数のプレイヤーが同時に成長できるくらい十分に大きいのだ。たとえばSendosoは、Coresight(コアサイト)を引用して「米国の企業向けギフト市場は2021年末までに2420億ドル(約27兆3000億円)に達すると予測されている」とThe Exchangeに語った。

Postalはメトリクスで最も突出していて、過去5四半期連続で70%のサブスクリプション収益の伸びが見られたことを公表している。また顧客数が35から286に増加したため、GMV(流通取引総額)の規模は2020年第3四半期から2021年第3四半期にかけて3765%に増加した。それが理由で、同社は9月に資金を調達することに成功できたと私たちは考えている。

Sendosoの最近のパフォーマンスに関しての数字は、より控えめ目なものだった。スタートアップは2019年に330%成長したことを思い出して欲しい。しかしその最近の結果に関しては数字を公開するつもりはないようだ。その代わりに、Sendosoによれば、現在900の顧客(詳細にいうならそれらの企業の中にさらに2万件超えのアカウント)を持ち「北米、ヨーロッパ、アジアの倉庫から165か国以上で300万以上の出荷を行った」という。

AlyceならびにReachdeskからは、この記事の公開に間に合うようには新しい数字を得ることができなかった。もし彼らに数字を共有して貰えた場合は来週お知らせする。

また、OKRスタートアップ市場のように、より大きなテーマにはバリエーションが付きものだ。企業向けギフトの場合、Postalはよりデジタルなサービスを構築し、商品会社と購入者を結び付けている。一方、Sendosoは、独自の物理的なアイテム集約場所を含む実世界でのフットプリントが大きくなっている。私たちは、ビジネスケースがリアルタイムで競い合うのが大好きだ。

ただし、激しい競争が起きると、すべての関係者が無傷のままとはいかないということは忘れないように。OKR市場を見ると、Koan(コウアン)は次の資金調達のマイルストーンに到達できず、Microsoft(マイクロソフト)はスタートアップ企業の1つをすくい上げた。即時食料品配達市場では、1520がちょうど破綻したところだ。SendosoやPostalが現金を使い果たす危機にさらされているわけではないが、もしその市場の中で統合の動きが出てきたとしたら興味深いだろう。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

2021年最も働きがいのある米国のテック企業、スタートアップベスト10(Glassdoor調べ)

Glassdoor(グラスドア)が2021年に「最も働きがいのある米国企業」の年間ランキングを発表した。その中から大企業(従業員数1000人以上)と中小企業で、上位10社のテック企業を抜き出してみた。

大企業のリストは、従業員数1000人以上の企業の中から、そこで働く従業員のフィードバックに基づいてランキングが作成されている。Glassdoorでは、従業員がその会社のCEO、出世の機会、報酬と福利厚生、文化と価値観、ワークライフバランスといった項目で企業を評価している。大企業でランクインするためには、各属性ごとにそれぞれ75件以上の評価を得る必要がある。中小企業ランキングでは、会社が75件以上の評価を必要とする。

それでは、Glassdoorによる米国で働きたいハイテク企業トップ10をご紹介しよう。カッコ内には、ベスト100企業における各社の総合順位と平均従業員評価が記載されている。

2021年テック系企業ベスト10

1位 NVIDIA(エヌビディア)[総合2位、4.5点]
2位 HubSpot(ハブスポット)[総合4位、4.5点]
3位 Google(グーグル)[総合6位、4.5点]
4位 Microsoft(マイクロソフト)[総合9位、4.5点]
5位 Facebook(フェイスブック)[総合11位、4.4点]
6位 LinkedIn(リンクトイン)[総合13位、4.4点]
7位 DocuSign(ドキュサイン)[総合15位、4.4点]
8位 KnowBe4(ノウビフォー)[総合16位、4.4点]
9位 Salesforce(セールスフォース)[総合17位、4.4点]
10位 RingCentral(リングセントラル)[総合18位、4.4点]

そしてGlassdoorの中小企業ランキングよると、2021年に就職すべきテック系スタートアップのトップ10は以下のとおりだ。

2021年テック系スタートアップベスト10

1位 Ike(アイク)[総合3位、4.9点]
2位 Harness(ハーネス)[総合6位、4.9点]
3位 Lendio(レンディオ)[総合8位、4.9点]
4位 Jobot(ジョボット)[総合9位、4.9点]
5位 Lower(ローワー)[総合10位、4.9点]
6位 Orchard(オーチャード)[総合16位、4.8点]
7位 SimplrFlex(シンプラフレックス)[総合17位、 4.8点]
8位 Flockjay(フロックジェイ)[総合21位、4.8点]
9位 Wonolo(ウォノロ)[総合24位、4.8点]
10位 Thrasio(スラシオ)[総合27位、4.8点]

【注記】総合14位にランクインしたAsana(アサナ)は公開企業であるため、このリストから除外した。また、Ping Identity(ピン・アイデンティティ)も、従業員数が1000人近くに達しており、まず間違いなくスタートアップの段階を超えているため、このリストから除外している。

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)