個人化サービスのDynamic Yieldをあのマックが買収、ドライブスルーのメニュー充実へ

マクドナルド(McDonald’s)が、「個人化(パーソナライゼーション)を行う企業Dynamic Yieldを買収することで合意に達した」と発表した。

発表にその価額は含まれていないが、情報筋によると3億ドル(約330億円)あまりだ。マクドナルドの、これまでの20年間で最大の買収だ。

Dynamic Yield自身の説明によると、同社はeコマースや旅行、金融、メディアなどの企業に、Amazonのような個人化されたオンライン体験の提供を可能にする。

マクドナルドによると、同社はその技術を利用してドライブスルーのメニューをそのときの天候や、お店の混み具合、メニューアイテムのトレンドなどに合わせてカスタム化する。またお客がオーダーを始めると、その選択に基づいて追加メニューをおすすめする。

実は同社は、2018年に米国内の数店でこのやり方をテストした。2019年には本格展開の予定で、その後国際展開もする計画だ。またこの方式をセルフサービスのキオスクやマクドナルドのモバイルアプリなど、他の部門にも導入するつもりだ。

マクドナルドの社長でCEOのSteve Easterbrook氏は、声明でこう述べている。「テクノロジーは私たちの回転率向上計画の重要かつ必須の要素であり、顧客に最大限の便宜を提供することによって顧客体験を向上させたい。この買収で弊社は、テクノロジーとデータが弊社の未来に演ずる役割を増強し、また、顧客により個人化された体験をより早く提供したいというビジョンの実現を早めたい」。

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Easterbrook氏が述べている同社のテクノロジー導入計画は、2017年の3月に初めて発表され、そのときは同社のモバイルアプリや、同社の未来型店舗が強調された。

マクドナルドによると、買収後もDynamic Yieldはスタンドアローンの企業として操業を続け、既存および将来のクライアントにサービスを提供していく。また同社の中核的技術であるパーソナライゼーション技術への投資も続ける。

Crunchbaseによると、Dynamic Yieldはこれまでに8330万ドルを、Innovation Endeavors、Bessemer Venture Partners、Marker Capitalなどから調達している。またNaver(メッセージングアプリLineとSnowのオーナー企業)、Baidu、The New York Times、Deutsche Telekomなども同社に戦略的投資を行っている。

Dynamic Yieldの共同創業者でCEOのLior Agmon氏は、声明でこう述べている。「私たちは7年前に、顧客中心型の企業は個人化が中核的な営為であるべき、との前提のもとにDynamic Yieldを始めた。今回、マクドナルドのような代表的世界企業に加わり、人びとの日常生活に本物のインパクトを与える方法のイノベーションに取り組めることは、とても喜ばしい」。

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オンラインショップ向けのパーソナライゼーション・ツールDynamic Yieldが2200万ドルを調達

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ショップのWebサイトなどを顧客別にパーソナライズすることができるツールのDynamic Yieldは現地時間20日、シリーズCで2200万ドルを調達したと発表した。

CEOのLiad Agmonによれば、彼がDynamic Yieldを2011年に立ち上げた理由は、既存のパーソナライゼーション・ツールは「さまざまな問題に対して個別のソリューションを提供する」ものが多かったからだという。

一方、Dynamic Yieldではあらゆる問題に対処できる総合ツールを提供している。このツールが提供する機能には、A/Bテスト、メッセージング、パーソナライズされた商品リコメンデーション、そして、モバイルアプリやモバイルWeb、Eメール、オンライン広告などから取得したデータによって「顧客情報を全方位から把握できる」機能などがある。

一見ささいに思えることであっても、それを顧客ごとにパーソナライズすることで収益を増加させることができるとAgmonは話す。彼が私に見せてくれた例では、Webサイトのヘッダー画像を顧客の性別にあわせて入れ替えるだけでショップの収益が増加したことが分かる ― 彼が言うように、「1回目のデートと同じで、第一印象が重要だ」ということだ。

Dynamic Yieldによれば、Eコマース、メディア、ゲーミング、旅行業界が同社の主要顧客だ。Under Armour、Rolling Stone、Sephora、CWなどが同社のツールを利用している。それらの顧客企業が抱えるユーザーは5億人を超すという。

本調達ラウンドを合わせ、同社がこれまでに調達した金額は合計で3600万ドル以上である。このラウンドでリード投資家を務めたのはVertexとClalTechだ。その他にも、新規投資家のBaidu、Global Founders Capital、そして既存投資家のBessemer Venture Partners、Marker LLP、Innovation Endevorsなども本ラウンドに参加している。また、Vertexに所属するAviad Arielと、ClalTechに所属するDaniel Shinarの2名がDynamic Yieldの取締役に就任する予定だ。

Baiduの資本参加は特筆すべき点だろう。これについてAgmonは、今回のラウンドによってBaiduとDynamic Yieldの関係がより一層深まったと話している ― 結局のところ、パーソナライズされたWeb体験を提供することでオンライン広告の効果がより高まるということだ。

「近年、Web、モバイル、そしてEメールのパーソナライゼーションはマーケッターにとって欠かせない武器となっています」。そう語るのは、Baidu USAのバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーであるAlex Chengだ。「トラフィック獲得は重要である一方で、顧客は商品を購入する前にその商品のことを調べ、さまざまなインターフェイスを通してブランドとの交流を深めています。それゆえに、Webとモバイルにおけるシームレスで包括的なカスタマー・エクスペリエンスこそが、ビジネスのROIを左右する重要な要素となっているのです。私たちはDynamic Yieldが創りあげたテクノロジーに感銘を受けており、同社のプラットフォームはすべての広告主にメリットを与えるものだと信じています」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter