データセンター企業であるEquinix(エクイニクス)は最近、69四半期連続の成長を記録した。継続的な売上成長を達成した手法の1つは戦略的買収だ。同社は米国6月1日、カナダの大手電気通信事業者であるBell Canada(ベルカナダ)からデータセンター13カ所を7億5000万ドル(約800億円)で買収し、カナダ国内の基盤を大幅に拡大すると発表した。
Equinixは買収金額について売上高と調整後利益という2つの財務的指標から詳細に説明した。売上高に関しては、直近四半期の実績を4倍した「年換算売上高」1億500万ドル(約110億円)に対し、7億5000万ドル(約800億円)を支払ったと説明した。買収価格は売上高マルチプル(買収価格を売上高で割った値)で7倍強となる。
同社はまた調整後利益マルチプルも開示した。13カ所のデータセンターの「買収金額はEV/EBITDAマルチプルで約15倍」だという。つまり同社は、買収対象資産のEV(事業価値)は、EBITDA(利息、税金、減価償却費控除前利益)の約15倍の価値があるとしている。これは健全な価格のように見える。法外というわけではない。
今回の買収により、同社は世界第10位の経済において確固とした足場と売上を得るだけでなく、Bellのデータセンターを使用する600社の顧客を獲得する。そのうち500社がEquinixにとって新規の顧客となる。
多くの企業はパンデミックおよび現在の経済危機の中でデジタルトランスフォーメーション(DX)を試みている。Equinixは、今がカナダで多くの顧客に迅速なデジタル化を促すチャンスだと見ている。
「Equinixはトロントからカナダ市場に対し10年以上サービスを提供している。今回の拡大はカナダ市場にDXへの明確かつ迅速な移行への道を開く。カナダに拠点を置く既存顧客との関係を深め、また新規顧客に対してはデジタル面での成功を支援できることを楽しみにしている」と米州Equinix社長のJon Lin(ジョン・リン)氏はTechCrunchに語った。
Equinixが多数のデータセンターを通信会社から入手したのはこれが初めてではない。実際、同社は3年前に、Verizon(TechCrunchの親会社)から29のデータセンターを36億ドル(約3900億円)で買収(未訳記事)した。
通信会社がデータセンタービジネスから離れると、Equinixのような企業は新しい市場に参入し、売り上げを増やせる。毎年売上高の成長を継続する方法の1つだ。
本日の買収は、新しい市場への拡大と売上高の成長を続ける新しい方法を見つけるための戦略の一部にすぎない。多くの企業にサービスを利用してもらうことで、同社は成長する。Equinixは企業が必要とするすべてのサービスを提供するためにデータセンターを貸し出す。企業自身がデータセンターを保有する必要はない。データセンターには、暖房、冷房、ラック、配線などが含まれる。
Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)などのパブリッククラウド企業が売上高を伸ばし見出しを飾っているにもかかわらず、多くの企業は、機器と建物を費用をかけて自社で保有せずに運用したいと考えている。
今回のような買収で必要とされる規制当局の精査をすべてクリアできれば、買収取引は今年後半に完了する予定だ。
画像クレジット:Erik Isakson / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)