FitbitのPebble買収により、Pebbleのサービスは縮小・停止へ

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Appleや他のスマートウォッチメーカーに先駆けて、腕に装着したデバイスを通じてさまざまな情報を提供する仕組みを開発してきたPebbleが、単独での活動を終了することとなった。

FitbitがPebbleを買収するのではないかというは、先月から流れ始めていた。私たちの入手した情報によると、価格は3400万ドルないし4000万ドルとのことだった。ちょうど、Pebbleの負債額に相当する額だと言われていた。しかしこれまでは、Twitter上に流れるうわさ話に対して、肩をすくめる絵文字を投稿するだけで、話を肯定するようなことはなかった。

ところが今日になって、PebbleのCEOであるEric Migicovskyがブログ記事を公開し、買収されることを正式に認めた。記事の中では製品を今後どうしていくのかということについても記されている。ただし買収価格の詳細などについては触れられていない。

「Pebbleの操業を停止して、デバイスの製造を停止するというのは、かなり苦しい判断ではありました」と記している。「これまでのPebbleはなくなります。ただしチームPebbleの多くはFitbitに移籍し、ウェアラブル向けソフトウェアの開発を続けていくことになります」。

「今日はほろ苦い日として記憶に残ることと思います。しかしともかく、Pebbleコミュニティを支えてきてくださった皆様に、心からの感謝をお伝えしたいと思います」。

また次のようにも記している。すなわち、Pebbleプロダクトが直ちに動作しなくなるようなことはなく、「普通に」使い続けられるとのこと。「すぐに何か変化があるというわけではありません」。ただし「Pebbleのサービスは、徐々に停止していくこととなります」とのことではある。

つまるところ、Pebble端末はいずれ使い物にはならなくなるということだ。いつまで使えるのかは、Fitbitの判断によるということになるのだろう。

Pebble端末についての保証業務は既に縮小されつつある。Pebble 2は今月に出荷が始まったばかりだが、新たな出荷はキャンセルとなり、オーダーも受け付けられていない。

Kickstarterで出資して、その見返り分が到着していない人については、クレジットカードの決済取り消しにより、4ないし8週間以内に全額を返金することになっている。12月7日以前にPebbleデバイスを返品した人に対しても全額返金が行われる。

ブログ記事中、買収によりFitbitが得るものについても記されているが、それはすなわち「多くのPebbleスタッフ」であるとのこと。そうしたスタッフたちはFitbitでウェアラブル関連のソフトウェア開発に従事することとなる。

Fitbit側の目的は、基本的にソフトウェア分野にある様子。「Fitbitによる買収についての最終合意が行われました。Pebbleの持つ技術、ソフトウェア、その他の知財がFitbitのものとなります」。

「Fitbitに移籍するメンバーたちは、ツール類の開発や、今後のFitbitプロダクトの価値を一層高めるためのソフトウェア開発に従事することとなります」とも記されている。

開発者向けのブログには、「Pebble SDK、CloudPebble、モバイルアプリケーション、開発者向けポータル、アプリケーションストア、タイムラインAPI、ディクテーションサービス、メッセージングサービス、およびファームウェアなどはこれまで同様に提供される」旨が記されている。「将来に向けても、可能な限りコミュニティに必要なサービスの提供を続けていきたいと考えています」とのこと。

Pebbleの開発者コミュニティの人たちに、引き続いての参加を促し、そしてそのままFitbitに移行してもらおうという考えもあるのかもしれない。

Crunchbaseによれば、Pebbleは2009年の創立以来1538万ドルの資金を集めている。ちなみに出資者のうちの大きな部分は、Kickstarter経由のクラウドファンディングとなっている。

今回の件は、クラウドファンディングのファンたちにとっては残念な出来事だろう。クラウドファンディングとは小規模なイノベーターを支援するという目的をもつものだ。しかし市場の中で力を持つ存在に出会ったとき、小規模なままで事業を継続していくことは非常に難しいこととなる。

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(翻訳:Maeda, H

新しい丸型ウォッチPebble Time Roundの裏話

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Pebbleは新しいウォッチ、Pebble Time Roundを発売した。今日発表したPebbleの共同ファウンダー・CEO Eric Migicovskyは、Disrupt SFのステージで本誌Greg Kumparakのインタビューを受け、新型ウォッチの開発秘話や今会社で何が起きているかを話した。

「他の製品をやめるつもりはない — これは当社製品群の一部だ」と彼は言った。「一つのスマートウォッチ、一つのウェアラブル、一つのフォームファクターが全員を満足させることない。選択肢が増えるのはすばらしいことだと私は思う。他よりスタイリッシュな製品もある。この製品でわれわれは、今自分の腕にスマートウォッチを付けていない人たちを対象にすることを考えている」。

そして、Migicovskiの手首に巻かれた新しい時計は確かに薄くて小さかった。新しいTime Roundには、Eインクカラーディスプレーが使われている。ではどうやってこの会社はその時計をここまで小さくできたのだろうか。

「われわれが強く意識していることの一つは、Pebbleが驚くべきバッテリー寿命で知られていることだ。これに関しては少しも妥協したことがない」とMigicovskyは言った。新モデルは最長2日間のバッテリー寿命を約束していて、これは他のモデルの5~7日間より短い。それでもApple WatchやSamsung Gear SやMotorolaのAndroidウォッチよりは長いが、週末の旅行にはケーブルを持っていく必要がある。Pebble Time Roundの電池が切れたら、15分間充電すれば1日は持つ。

Migicovskyは、現在のスマートウォッチ事情についても話した。同社が最初のKickstarterキャンペーンを始めた時、誰もスマートウォッチを作っていなかった。今、事態は変わっている。

「大きなライバルがいくつかいる。われわれはどちらかといえば将来を楽観している。将来人々はデバイスを「着用」するようになるとわれわれは見ている。スマートウォッチはその第一号だろう」と彼は言った。「Android Wearを見てみると、そこでは8~9社がAndroid Wearウォッチを作っている。その結果指揮系統は複雑になっている。

Appleと同じく、Pebbleはハードウェアとソフトウェアの両方を制御できる特異な立場にあるため、会社がユーザー体験を制御することが可能だ。Appleと異なり、Pebbleウォッチは価格が手頃だ。Pebble Timeは200ドル、Time Roundは250ドルで買える。Pebbleは今年Kickstarterでウォッチを10万台売った。

そして今、買収の噂がある。Pebbleは家電の巨人と争うスタートアップであり、買収の標的には最適だ。Migicovskyに会社を売るつもりがあるか尋ねたところ、答は曖昧だった。

「そういうことはどこのスタートアップにも起き得る」と彼は言った。「われわれは人々が欲しがる物を作る必要がある。もし本当に人々が欲しいものを作れば、そこには長期的価値が生まれると信じている。われわれはまさにそれを信じているのだと思う。少なくとも昨年の成功を見れば明らかだ」。彼は、買収の提案についてはコメントできないとも言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマートウォッチのPebble、2000万ドルを集めながら破綻の噂

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スマートウォッチメーカーのPebbleにトラブルが起きているらしい。会社に近い筋によると、同社は成長を維持する上で困難に遭遇し、Sillicon Valley銀行に500万ドルの融資および500万ドルの与信枠を要望した。シリコンバレーのベンチャーキャピタルらは、同社からの新たな資金調達要求を却下している。

PebbleのCEO Eric Migicovskyはコメントしていない。

同社は最近驚異的に成功したKickstarterキャンペーンで2000万ドルを集め、現在150人の従業員を抱えさらに雇用している。クラウドファンディングによる資金注入 ― 手数料差引後約1800万ドル ― にもかかわらず、会社は成長を維持するためにVC資金を求め、今度は「沈まないために」銀行融資に頼った。

情報源によると、多くの従業員が、Apple、Androidその他のライバルに直面するにつれ、会社の方向性に不満を感じているという。例えば、Olio watchが発売されれば、Pebbleのインディー・スマートウォッチの看板を奪われるかもしれない。Pebbleは最近、フラグシップ機の99ドル白黒Eペーパーウォッチの後継として、Pebble Timeを発表した。新機種はカラーEペーパー画面を採用し、内蔵マイクロホンを持つ。

しかし、会社はすべてを失ってはいない ― 今のところ。私が話した匿名の社員は、慎重ながらも楽観的だった。しかしGlassdoorの3月の記事によると、彼らの雇用プロセスは ― 元Appleハンチョーで法務顧門のJeff Hymanが運営している ― 評判が悪い。

「うちは若い会社だ。Pebbleの前途は非常に明るい。これまでの道のりは素晴らしかった」と匿名を希望する現従業員は言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PebbleのCEO、第2弾製品の発売戦略を語る


Kickstarter史上最高額プロジェクト(締切まで24日を残して!)となったPebbleは、6万人近い支援者から同社のユニークなスマートウォッチ・コンセプトの支持を得ることに成功した。

他のメーカーが、自社製スマートフォンと明らかに類似したスマートウォッチを作る中、Pebbleは7日間持続するバッテリーとシンプルなインターフェースという正反対の方向に集中した。先週われわれは、Pebbleのメンローパークオフィスに立ち寄り、CEOのEric Migicovskyにこの新スマートウォッチ開発に至った論理を聞いた。

Pebble CEO Eric Migicovsky

Pebbleの新しいTimeインターフェースには、各画面に数多くの軽快なアニメーションが使われているが、基本はシンプルだ ― あるボタンは過去の物事を表し、次のボタンは近々すべきことを表し、もう一つのボタンはタイムラインの情報を残しておくためのピンを表示する。

Migicovskyいわく、もしユーザーが本格的にアプリが使いたいなら、すぐそこのポケットにスマホがあるのだから、重複する機能を提供する必要はない。この発想によって、物事を効率良く見せることに集中できる。これは操作の時間についても、バッテリーについても言える。

すでに100万台のスマートウォッチを販売している会社がKickstarterに戻ってくることに違和感を持つ人たちもいる。新しいスタートアップや小さなプロジェクトのためのプラットフォームだと思われているからだ。それほど熱心なファンがいるなら、自分のサイトで予約販売すればいいじゃないか? そうすればKickstarterの手数料を回避できる。Migicovskyは、Kickstarterの支援者こそ一番気にかけてくれている人々なので、何年にもわたる彼らのサポートに報いのだと言う。

今日(米国時間3/3)のPebble Time Steelの発表によって、Kickstarterを使うことには特定のファンとつながる以上の戦略的理由があったことが明らかになった。Pebbleは、第2世代Steelモデルのために、別のキャンペーンを立ち上げ必要はなく、すでにTimeを予約したユーザーは、獲得した順番を失うことなくSteelにアップグレードできる。この週をまたがったリリース日程によって、Pebbleは2週目も報道を維持することができ、Kickstarterを使うことによって、戦略を漏らすことなく、注文の変更に応じられるカスタムバックエンドを作る必要もなく、スケジュールを守ることができたのだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook