アマチュア・デベロッパー、Facebookのメンバー情報検索ツールを開発―非力な検索にしびれを切らす

2015-12-03-facebook-search-engine

Facebookには残念ながら使いやすく高度な検索機能がない。 これにしびれを切らしたデベロッパーが “Search Is Back”〔検索が戻ってきた〕と名付けた独自のFacebook向けツールを開発した。ユーザーは馴染みのあるドロップダウン・メニューを開いてユーザーの住む都市名、交際ステータス、出身校、ファーストネーム、その他の情報を検索できる。加えて写真、イベント、投稿などの文字情報も検索できるようなにった。

このツールのいいところは、ユーザーがFacebookの複雑きわまりないグラフ検索の仕組みを知らなくても望みの検索ができるところだ。たとえば「友達の友達」でファーストネームが「Sarah」、「スタンフォード大学出身」などという条件による検索が簡単にできる。Search Is Backのごくシンプルなメニューからいくつか選び、適切な内容を入力して実行するとサイトはFacebookを検索する。Facebookが検索を実行し、結果は公式サイに表示されるが、ユーザーがそれを見るのに改めてログインする必要はない。

現在のところ安定したグラフ検索の結果を見ることができるのは主にアメリカに居住するメンバーのようだ。もし読者のところで正しい検索結果を得られていないようなら、言語設定を英語にしてみると改善されることがある。

Facebook Advanced Search

Search Is Backで検索できる情報には以下のようjなものがある。

  • 同じ都市の出身で、現在独身で、近所に住んでいるメンバー
  • 友達の友達までの範囲で、ユーザーが職に応募しようとしている会社に勤めているメンバー
  • 訪問を予定している都市に住む友達
  • 別のSNSのメンバーでファーストネームがSamまたはSamanthaと名乗り。サンフランシスコに住んでいるUCLA出身者
  • パーティーで会ったことがあり、Googleに勤めていて、友達のDanの友達である人物
ユーザーはそういう人物や物事の写真、関係するイベント、や「いいね!」の数などの情報も入手できる。さらにこんな使い方もあるだろう。
  • 特定の2人の人物yがタグづけされている写真全部(元カレ、元カノをストーカーするのに使うのは厳禁)
  • 今夜予定されるイベントで友達が出席する予定なっているもの(話ができるかもしれない)
  • ロンドンについての友達の投稿(訪問する予定なのでアドバイスがもらいたい)
  • 同じアーティストのファンで、都市に住んでいる誰か(いっしょにコンサートに行く相手を探している)

Search Is Backは、映画製作が本業でサンフランシスコに住むMichael Morgensternが開発した。MorgensternはFacebookで何かを検索しようとすると、ひどく手間がかかったりまったく不可能だったりするのにうんざりしていたという。

私はFacebookに対して「Search Is Back.をどう評価しているのか?」と問い合わせたが返事はなかった。しかしFacebookのPlatform Policiesを丁寧に読んでみたが、Search Is Backが規定のどれかに違反しているとは思えなかった。

ソーシャル・メディア界はGraph Searchを使うと誰かが2013年に何を言ったか分かってしむと言って大騒ぎをしている。これは検索のキーワードに単なる単語でなくまとまったフレーズが使えるところからくる誤解だ。実際、Facebookの検索担当副社長、Tom
Stockyは10月に私と話し合ったとき、「自然言語を利用した対話的検索というのは(伝統的な単語検索に比べて)膨大なユーザー層を対象とした場合、適当ではないだろう」と語っていた。

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なるほどFacebookがフルテキスト検索を提供し始めたとき、 システムはフレーズと単語の区別がつかないことがあるので、グラフ検索が非常に困難になったことがあった。そういうわけで、 Facebookには高度な検索機能は実装されているのだが、目立たない場所にいくつにも分割して隠されている。 「友達を検索」するツールの一部やサイドバーのグラフ検索が導入される前の古いタイプの検索などだ。

Michael Morgenstern

Search Is Back developer Michael Morgenstern

デベロッパーのMorgensternは私の取材に対して、開発の動機について、「Facebookで何か検索しようとするたびにいひどい目に会わされてきたからだ」と語った。Morgensternは適当な既存のツールがないか探したが、どこにも見つからなかったので自作することにした。機能の実現のためにはFacebook APIではなく、一般のユーザーが使うのと同じFacebookが航会しているURLを使っている。Facebookがmorgensternのツールが気にいらなかったとしてもシャットダウンするのはAPIを使ったツールよりはるかに難しいだろう。

良きハッキングの伝統に従って、Morgensternは「モバイル・アプリができなくてもウェブを通じればできること」を試しているにすぎない。それでもFacebookはSearch Is Backをシャットダウンに追い込む方法を見つけるかもしれない。しかし作動している間、このサイトはプライバシー漏えいの懸念なしに安全にさまざまな情報を検索できる興味ある検索ボックスとなっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、記事キーワード検索をローンチ―数日中にデスクトップとiOSの全ユーザーに公開

Facebookがついに検索機能を本格化させた。今日(米国時間12/8)、Facebookは記事のキーワード検索公開した。これで情報の発見能力でGoogleに、リアルタイム会話能力でTwitterに挑戦することが可能なる。2年前に「ロサンゼルスに住んでいる私の友達」などという自然言語〔英語〕形式で友達、場所、写真などを検索可能にするグラフ検索が公開されたが、それにくわえて過去記事の内容がキーワードで検索できるようになった。

プロダクト・マネージャーのRousseau Kaziは私の取材に答えて、「この新しい検索は、ユーザーごとに個人化されており、ユーザーがニュースフィード中で以前に興味をもった友達の投稿、写真、ビデオなどを簡単に再発見することを助けることを第一の目標としている」と語った。

たとえば、「歯科医」とか「ピザ」というキーワードで検索すれば友達の推薦が発見できるのでGoogle検索の役割を果たす。一方で「マイケル・ブラウン」とか「高速101号線」などと検索するとTwitterのように最近のニュース記事や、友達からのリアルタイムの交通渋滞情報などが得られる。

今回のアップデートでFacebookは新しいモバイル広告やキーワード広告の導入は計画していない。しかしキーワード連動広告への需要は極めて高いから、Facebookはなんらかのビジネス化の実験を始めることになるのではないか。「レストラン」とか「弁護士」というキーワードに非常な高値がつく状況は容易に想像できる。

キーワード検索は、膨大なニュースフィードの底に埋もれたしまった過去の情報を自由に発見できるようになることでFacebookの性格を大きく変える。 「ユーザーはいわば『コミュニティーの集合的記憶』にアクセスできるようになる」と Kaziは言う。.

これは一方でFacebookの「オブスキュリティー〔曖昧さ、無知〕によるプライバシー」を失わせることになる。これまでFacebobookでは「探しだすのに手間がかかりすぎる」ことによってプライバシーが保たれてきた面がある。もちろん記事検索機能によってユーザーのプライバシー設定が影響を受けることはない。検索はあくまで検索するユーザーに対して個人的に公開された記事だけが対象となる。つまり友達の投稿やコメントが対象で、公開投稿やページの投稿は対象にならない。しかし、友達が「酔っ払った」と告白している投稿を簡単に探し出すことはできるわけだ。ユーザーは自分の投稿をキーワード検索して、スキャンダルになりそうな投稿は削除するなりプライバシー設定を変更するなりしたほうがいいかもしれない。

キーワード・グラフ検索の詳細

Facebookの新検索機能はここ数日ですべてのデスクトップユーザーとiOSユーザーに公開される。Android版については現在バグを修正中ということで、これも近く公開される。 この記事の執筆時点では記事検索機能が有効になっているユーザーは少ないかもしれない。もし読者が私の友達なら、“Josh Constine dancing”と入力すると私がバカをやっていることろが見られるはずだ。

検索結果の表示順序はユーザー別に個人化されたアルゴリズムによって制御される。これはニュースフィードに表示する記事を選択するアルゴリズムに近く、キーワードとの関連性に加えて投稿した友達との親しさなどを総合して決定される。検索結果はニュースフィード形式で表示され、キーワードは青でハイライトされる。検索結果が写真であれば専用の写真閲覧インターフェイスが用意されている。

私が見たデモでは新しい検索機能は直感的で反応も高速だった。検索結果の絞込のための初歩的なフィルターもあるが、Googleのような「高度な検索」オプションが欲しいところだ。

【中略】

Facebookの全知全能化

キーワード検索は「集合的記憶」の活性化と同時に、GoogleのAdWords広告をかくも強力なものにしているユーザーのサービスや製品の「購入意図」を把握するのに役立つ。しかもFacebookはウェブ一般でもないし、Twitterのようにすべての「世界の鼓動」を伝える場でもなく、ユーザーと個人的な関係をもつ友達との親しい会話の場だ。Kaziは「ある事柄について友達の意見をすぐに調べることができるのは非常に強力な機能だ」と語った。

もちろん要求もある。もしリアルタイム会話でTwitterに張り合おうとするなら、時間の逆順〔最新の投稿がトップ〕で表示されるオプションが必要だろう。またわれわれジャーナリストにとっては全公開投稿を対象にした検索機能が欲しいところだ。

また人々の検索の習慣を変えるのは普通に考えるよりもはるかに困難だ。Facebookがグラフ検索を公開してから2年もたつのにローカル・ビジネスの検索シェアをGoogleからいくらかでも奪うまでに至っていない。Facebookには自分たちが強力な検索エンジンであることをユーザーに強く印象づけるキャンペーンが必要だろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+