Facebook、 いよいよサードパーティへのモバイル広告配信ネットワーク、FANをローンチ

今日(米国時間4/30)開催されたf8デベロッパー・カンファレンスでFacebookはFAN(Facebook Audience Network) という新しいモバイル広告ネットワークを発表した。

これによりサードパーティーのモバイル・アプリのデベロッパー、パブリッシャーは広告営業、広告ターゲティング、実績管理、支払い管理などを自分自身でしなくても広告収入を得られるようになる。

先週私がスクープしたとおり、FANに参加すれば、広告に関するすべてをFacebookが代行してくれる。デベロッパーはバナー広告を掲出するなら数行のコードを書くだけよいし、もっとアプリのコンテンツの一部に溶け込んだ広告を掲出したければFacebookの協力を受けることができる。

Facebookによれば、デベロッパーはFANにこちらからサイインアップすることもできるし、Facebookの広告代理業者に連絡を取ってもよい。このプログラムは現在ベータテスト中で、今後数ヶ月かけて一般に利用可能になる。当面対象となる広告主はモバイル・アプリのインストールや利用を呼びかけるデベロッパーだが、将来はFANを他の分野の広告にも拡大する計画だ。ウェブサイトのトラフィック増強のための広告やeコマースの広告などが含まれることになるだろう。Facebookは「テスト期間中に次第に〔広告の〕パフォーマンスが改善されるものと期待している」と述べている。

FANではIABバナー広告、IABインタースティシャル広告、ネーティブ広告の3種類が用意される。広告デザインはモバイル・アプリのインストールなどそれぞれのビジネス上の目的に合わせて最適化される。

Facebookによれば、Facebook SDKないし広告統計サービスを利用することによって広告主はFANによる表示回数やコンバージョン件数などをモニタできる。また年齢、性別その他の広告閲覧者データも収集できる。

Facebookがモバイル広告ネットワークのテストを開始したのは2012年に遡るが、その後Facebook内での広告の強化に集中するために、オフサイトでの広告ネットワーク・プロジェクトは棚上げとなっていた。

2013年9月にFacebookはモバイル広告ネットワークのテストを再開した。これはそれまでの実験と異なり、広告主、パブリッシャーと直接に取引するタイプとなった(サードパーティーを介さないのでFacebookのマージンが大きくなる)。最近行われた2014年第1四半期の決算報告でCOOのシェリル・サンドバーグは「この広告ネットワークのテストでは関係者から高い評価を得た。大いに希望のもてる結果だった」と述べた。

Re/codeのMike IsaacはFacebookは今日この広告ネットワークをローンチするだろうと報じていた。今日、私はその名称がFAN (Facebook Audience Network)であり、IABガイドラインに沿った定形広告だけでなくカスタマイズされたフォーマットの広告をサポートすることを含め、各種の詳細を確認することができた。以下は、バナー、インタースティシャル、カスタム、それぞれのサンプルだ。

この広告ネットワークはInMobiなどのネットワークのライバルとなる。 [アップデート:FANはTwitterのMoPubのような仲介サービスとは競争関係にないことが判明した。このようなサービスはFANを通じた広告を他の広告ネットワークからの広告と同時に表示することができる。FANとMoPubの協調関係についてのフォロー記事を参照]

FANが十分な広告主とパブリッシャーを集めて運営が軌道に載るまでには数四半期かかるだろうが、Facebookの収入の新たな重要な柱となる可能性を十分に秘めている。

今回のFANのローンチでFacebookは、マネタイズのチャンネルを自らのネットワーク内での広告掲出から、サードパーティーのパブリッシャーへの広告配信へと拡張した。これまでFacebookの売上はニュースフィード内の広告の表示数とそれを訪問するユーザー数に直接比例していた。

広告ネットワークを通じたサードパーティーへの広告配信ならFacebook内に広告を溢れさせてユーザー体験を悪化させることなく、収入を増やすことができる。たとえFacebook内でのユーザー・エンゲージメントが頭打ちになっても影響を受けにくいし、ライバルに対しても安定して優位性を確保できる。FANが成功すれば、Facebookのユーザーにとっては幸運なことに、Facebook内の広告は減少さえするかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


インターネットストリーミング|テレビ放送|録画番組|オンデマンド…すべてを単一のストリームに一体化する”テレビ視聴の革命”Fan TV

ビデオを見つけてくれるサービスFanhattanが、テレビの見方を変えようとしている。同社のストリーミング専用セットトップボックスは、テレビとDVRとVOD(オンデマンド)の良いとこ取り+インターネット上で人気のストリーミングサービス、という何でもありの製品。ブランドをFanと変え、独自のイノベーションをひっさげて、ライブTV*とストリーミングサービスの世界へ船出する。〔*: live TV, 今放送中のテレビ放送/番組のこと。〕

そのFan TVボックスは、今日のD11カンファレンスで披露されたが、売りはコンテンツの多様さよりもむしろ、Yves Beharデザインの、トラックパッドに似たビューティフルなコントローラ(リモコン)だ。また、便利な検索発見画面で、テレビ放送、録画、そしてストリーミングの各コンテンツを一体的にナビできる。

数年前にFanは、iPad用の検索発見アプリをローンチした。これもテレビ番組とストリーミングを一体的に検索できるツールだった。そのアプリでは、今見られるコンテンツの名前などが高輝度表示された。

ストリーミングからライブTVを見つける逆転の発想

今回の、テレビ用セットトップボックスでも、やはりテレビ放送とストリーミングサービス、とVOD(ケーブルや衛星)および録画済みのコンテンツを、一体的に検索発見できる。

そう、Apple TVやRokuやWDTVなどと違うのは、Fanがあくまでもストリーミングデバイスであり、それが、お宅に前から来ているケーブルテレビにも接続される、という点だ。Fanの、最大の差別化要因がそれだ。しかもNetflixやHulu Plusなどの、インターネット上のストリーミングサービスをテレビ受像機に送り込むだけでなく、このデバイスの検索発見ツール/画面を使ってライブTVの番組も見つけることができるのだ。

Fanは大手のペイTV(pay TV, 有料テレビ==ケーブル会社)と契約して、彼らの顧客にもFan TVを使わせようとしている。同社はセットトップボックスの値段を明かさないが、ビジネスモデルとしてはサービスのプロバイダがデバイスの代金を助成する方式…携帯やワイヤレスのこれまでの常套手法…になるようだ。

ではFan TVは、ライブTVの受け入れは同軸ケーブルで行うのか? ノー。テレビ放送も、WiFiまたは背面のイーサネット(Ethernet)ポートへストリーミングされるのだ。その点では、RokuのボックスやApple TVによく似ている。

ケーブルや衛星のテレビ配給会社から見ると、Fan TVのある家庭にはもう、Ciscoなどの古くさくて格好悪いセットトップボックスを置かなくてもよい。Fanの方がユーザ体験が優れているだけでなく、お値段が従来のセットトップボックスよりも大幅に安い。まだパートナー企業は発表されていないが、この夏の終わりまでにはFanを採用するケーブルや衛星企業が決まるだろう。CEOのGilles BianRosaによると、年内に合衆国の既存のケーブルテレビユーザのうち6000万世帯にFan TVが提供されるだろう、という。〔訳注: アメリカではケーブルテレビ会社と契約するのが、いちばんふつうの、いちばん多いテレビの見方。〕

リモコンがビューティフル

ありとあらゆるテレビ/ストリーミングソースを一体化してしまうこともかっこいいが、さらにすばらしいのがトラックパッドふうのリモコンだ。これまでの、ボタンだらけの醜い使いづらいリモコンとは大違い。

Fan TVのデザインは、工業デザイナーのYves Beharにお願いした。売れっ子の彼は、このカンファレンスにも製品が二つ出ている。そしてその結果は、非常に画期的なテレビリモコンだ。片手でタッチ〜スワイプするだけでチャンネルの切り換えやメニューの指定、音量調整などができる。

自分でも使ってみたが、このリモコンにわずかでも似たものは過去にないと思う。携帯をタッチで使っているときと、同じ感覚だ。おっと、携帯用のテレビリモコンアプリが、今ではあるけど。でもFanのはもっとシンプルで、そのほかのデバイスを必要としない。

テレビファンにもコードカッターにも

Fan TVは、今のテレビに満足している人にもモアベターなユーザ体験を与える…検索が容易にできるから、録画も見つけやすい。今のふつうのケーブルテレビ視聴者にも、テレビの見方の革命をもたらすだろう。

また、Fanとパートナーするケーブル/衛星側から見ると、このプロダクトはコードカッターや“コードネバー族”*を呼び戻せるかもしれない。Fan TVでは、インターネットのストリーミングサービスを見られると同時に、同じ検索画面からライブTVにも行ける。ケーブル会社はぜひ、若者向けの安いプランを提供すべきだ。いずれにしてもそうなれば、ケーブル事業者にとってはすばらしいことだ。Fan TVの、経営的未来のためにも。〔*: cord cutter, ケーブルテレビのコードを切った人、cord never, 最初からケーブルテレビと契約しない人。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))