「起業家と伴走できる関係でありたい」グリーベンチャーズが70億円規模の新ファンド

左からグリーベンチャーズ代表取締役社長の天野雄介氏、パートナーの堤達生氏

左からグリーベンチャーズ代表取締役社長の天野雄介氏、パートナーの堤達生氏

グリーベンチャーズは5月12日、新ファンド「AT-II投資事業有限責任組合」(AT-II)を組成し、1次募集(ファーストクローズ)を完了したことを明らかにした。主な出資者は、グリー、みずほフィナンシャルグループ各社(みずほ銀行、みずほ証券プリンシパルインベストメント、みずほキャピタル)など。ファーストクローズ時のコミットメントは約40億円。12月末まで出資者を募集し、総額約70億円規模のファンド組成を目指す。

グリーベンチャーズは2011年12月の設立。名称から分かるように、グリー傘下の組織ではあるが、いわゆる本体との事業シナジーを狙ったCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは異なり、非常に独立性の高い投資活動を行っているのが特徴だ(むしろグリー本体の事業と関わるゲーム領域の投資は行わないというのが基本方針だ)。グリーベンチャーズ代表取締役社長の天野雄介氏、パートナーの堤達生氏ともに個人としてもGP(ジェネラルパートナー、無限責任を負う組合員)としてファンドに出資するというのも、いわゆるサラリーマン的なCVCとは異なる点だろう。

これまでの投資実績はBtoB領域を中心にした国内および東南アジアの約30社。バラマキでなく、ハンズオンでの投資を行うという。4月に朝日新聞社が買収したサムライトも同社の投資先だ。国内に加えてすでに東南アジアでのイグジット実績もある(東南アジアのスタートアップの場合IPOではなく現地大企業や現地に進出したい日本企業による買収が中心だそう)。「具体的数字は公開できないが、(前回のファンドは)2年で投資が完了して、すでにファンドサイズの半分近くの金額を回収している。結構なペースだ。(それを評価して)今回のファンドでも前回のファンドの投資家が積極的に投資してくれている」(天野氏)。

新ファンドでも引き続きこれまで投資してきた日本国内・東南アジア地域への投資を行うが、新たにインドでの投資も進める。新ファンド組成にあたり、インド出身者も含めたキャピタリストを複数人を採用した。投資の対象となるのはコンシューマーインターネット、モバイルサービス、マーケティングテクノロジーなどインターネット領域全般。引き続きBtoB領域を重視する。これら領域のシード・アーリーステージに対して原則リード投資家として1社あたり約1億〜3億円の投資を実施する予定。最近TechCrunchでも紹介したSORABITOookamiはこの新ファンドのそれぞれ1号、2号案件となる。

ちなみにGPでもある天野氏、堤氏に投資の際、最も重要視するポイントを聞いたところ、2人からそれぞれ「マーケット」だという回答が返ってきた。

「僕らはマーケットに対するこだわりがある。大きくて、かつすごく伸びるマーケットを狙っていく。建機も、スポーツも飲食メディア(それぞれ投資先のSORABITO、ookami、Rettyを指している)もまだまだビジネス化されていない領域。そこにちゃんと真剣に取り組むべきかどうか。経営者がシリアルアントレプレナーである必要はないし、シードの極めて早い段階で投資するケースが多いので、起業家と投資家としてではなく、(より近くで)起業家と伴走できる関係でありたいと思っている。あとは24時間とは言わずとも楽しく仕事できるかは重要だ」(堤氏)

「最終的には狙っているマーケットが重要。その市場に可能性があるのか、規模は大きいのか。もちろんマーケットへのアプローチは、挑戦していく中で変わっていく。だがそこでアベレージのパフォーマンスを出せるかどうか。マーケットが成長していればアベレージのパフォーマンスでもいいし、さらに伸びる可能性がある。だがマーケットを間違うとそうはならない」(天野氏)

テキストの目的効果パフォーマンスを分析するTextioが$8Mを調達、TwitterやMicrosoftもユーザだ

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TextioのCEO Kieran Snyderは大学で、定量的言語学研究を専攻した。だから彼女と協同ファウンダのJensen HarrisがMicrosoftを去って新しい会社を始めたとき、それが言語を軸とする企業になったのも、当然の成り行きだった。

かくして、一定の状況における、テキスト中の語句のパフォーマンスを分析するスタートアップTextioが誕生した。同社は今日(米国時間12/16)、Emergence Capitalが率いるラウンドで800万ドルを調達したことを発表した。Cowboy VenturesとBloomberg Beta、およびUpside Partnershipがこのラウンドに参加した。

Snyderは語る: “テキスト中の語句の処理は相当長らくディスラプトされていない、と前から感じていた。コンピュータ処理のユーザインタフェイスはコマンドラインからGUIに変わったけれども、処理の中身が変わっていない。インターネットがやってきて、ソーシャルとか共有の時代になった。そのことをベースに、AIとその関連技術が、テキストに対する次の大きなディスラプターになるだろう。ドキュメントのパフォーマンスが発表前に分かれば、それを直してから発表できるようになる”。

Textioの最初のツールは、人材獲得、たとえばジョブポスティング(job postings, 求人票, 求人広告)のためのドキュメントが対象だ。それらのドキュメントのパフォーマンスとは、良い人材がたくさん集まるかどうかだ。言葉を適切に選び、良いレイアウトをすれば、多くの求職者の関心を集めることができる。そこで同社のサービスは、ドキュメントに対する予測的分析を行う。たとえばそのツールでは、要点が箇条書きになっているジョブポスティングは、文章だけのよりもパフォーマンスが良い、という結果が出ている。

もちろん、テキストのパフォーマンスは、メールや履歴書など、そのほかのドキュメントでも重要だし、Textioのツールが十分に使える分野だ。いろんな文書に対して、テキストの効果を採点する技術を応用できることが、投資家にとって、同社の魅力だ。

そして、もうひとつ、投資家にとって価値があるのは、同社の顧客だ。Textioはすでに、Twitter, Atlassian, Starbucks, Square, それにMicrosoftなどが利用している。自然言語処理(Natural Language Processing, NLP)の技術は…出来の良いものであれば…応用範囲がきわめて広いから、投資家という蜂たちにとっては、蜜の豊富な花なのだ。

Textioの予測的分析技術は、6万あまりの語句(語とフレーズ)を認識する。Snyderによれば、そのデータ集合は継続的な運用を通じてコンスタントに変化している。この技術はたとえば、語の並びを分析する(“このフレーズは動詞が重い(難解である)”とか)。ドキュメントの構文関連の特性も分析する。それらの分析結果を合わせて、現状のドキュメントを採点し、そのドキュメントが目的をどれぐらい達成しそうか、を評価する。

Textioは言語学の専門家が使うわけではないから、使いやすさが重要だ。だからドキュメントの評価を文章ではなく高輝度表示やドロップダウンボックスを利用して行う。ユーザはNLPの専門家でもないから、このツールの舞台裏で統計学が活躍していることも、ユーザはあまり感じていないようだ、とSnyderは言っている。

もちろん、NLPは昔も今もコンペティタが多い分野だ。大物ではIBMのWatsonがテキストの分析もやるし、そのAPIを上手に使えばTextioと同じようなことができるだろう。しかしSnyderがTextioの強みとして挙げるのは、技術の、コンテンツタイプ別のチューンナップだ。たとえば上述の、人材獲得用ドキュメントの場合のように。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Airbnb、15億ドルの巨額資金調達を正式に認める

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今年の6月、WSJはAirbnbが15億ドルという巨額の調達ラウンドを実施したことを報じた。今日(米国時間12/7)、同社はSEC(証券取引委員会)提出資料を通じて記事の内容を認めた。

興味のある人のために書いておくと、正確な調達額は14億9993万7904.00ドル。

今やAirbnbの評価額は250億ドルを超え、驚くほかはない。またAirbnbは、上場を考えるより前に海外事業の強化に焦点を当てているよkだ。

同社はここ米国内でも始終戦っている。各都市は彼らのやり方を止めようと試みている…効果はあまりでていないようだが。

これはAirbnb CEO Brian Cheskyが、昨年のDisruptで会社の生い立ちについて話しているビデオだ:

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook