インドのジオ・プラットフォームズにジェネラルアトランティックが約930億円出資

Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏率いるJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)は、General Atlanticに対し1.34%の株式を発行することに合意した。インドの大手通信事業者であるJioがこの数週間で実行した一連の取引の中で最新のものとなる。

ニューヨークに本社を置くプライベートエクイティファンドのGeneral Atlantic(ジェネラルアトランティック)は米国時間5月10日、インドで最も企業価値の高いReliance Industries(リライアンスインダストリーズ)の子会社であるインドの通信会社に8億7000万ドル(約930億円)を出資した。創業3年半の同社に大金を賭けたFacebook(フェイスブック)、Silver Lake(シルバーレイク)、Vista Equity Partners(ビスタエクイティパートナーズ)などの米国の投資家に続く。

General Atlanticの出資ではJio Platformsを650億ドル(約6兆9820億円)と評価した。Jio Platformsによるとこの評価額は、Silver LakeとVista Equity Partnersの取引における評価と同じで、Facebookの取引に対しては12.5%のプレミアムが乗っているという。

さらに10日の発表で、Jio Platformsの魅力が高まっていることが明らかになった。同社は過去1カ月で14.7%の株式を売り出し88億5000万ドル(約9500億円)を調達した。急速に成長する世界第2位のインターネット市場に張っておきたいと考える外国人投資家が買い手だ。

General Atlanticは消費者向けテクノロジー分野で著名な投資会社でありAirbnb、Alibaba、Ant Financial、Box、 ByteDance、Facebook、Slack、Snapchat、Uberなど数十の企業に投資してきた。インドでも10年以上にわたり主要な投資会社として存在してきたが、同国での消費者向けテクノロジー分野の投資は避けてきた。

General Atlanticは、バンガロールを拠点とするスタートアップであるNoBrokerを含め、インドのスタートアップ数社に小切手を切っている。NoBrokerはアパートの賃借や購入を考えている人を不動産の所有者とつなぐ。General Atlanticはまた、エドテックの巨人であるUnacademyByju、決済処理のBillDesk、インド国立証券取引所にも小切手を切った。インドでこれまで約30億ドル(約3220億円)を投資したGeneral Atlanticは先週、インド企業に2021年までにさらに15億ドル(約1610億円)の投資を検討していると語った。今回は消費者向けテクノロジーの分野で活動するプレーヤーが対象だ。

Reliance Industriesの会長であるアンバニ氏はJio Platformsの立ち上げに300億ドル(約3兆2220億円)以上を注ぎ込んだ。「Jio Platformsは、General Atlanticが40年にわたるテクノロジー投資を通じて実証したグローバルな専門知識と戦略的洞察を活用する」と同氏は語った。

「General Atlanticはインドのデジタル社会のビジョンを共有し、13億のインド人の生活を豊かにするデジタル化の変革力を強く信じている」と同氏は付け加えた。

小売店で販売されているReliance JioのプリペイドSIMカード (画像クレジット:INDRANIL MUKHERJEE / AFP via Getty Images)

Reliance Jioは2016年後半の創業で、インドの通信業界を割安のデータプランと無料の音声通話で圧倒した。Reliance Industriesの子会社であるJio Platformsは、Jio Infocommという通信ベンチャーを運営しており、設立以来3億8800万人の加入者を集め、国内最大の通信事業者になった。

Reliance Jio Platformsは音楽ストリーミングサービスJioSaavn(公開予定)、スマートフォン、ブロードバンドビジネス、オンデマンドライブテレビサービス、決済サービスなども展開している。

「わずか3年半で、Jioはデータとデジタルサービスの民主化に変革をもたらし、インドを主要なグローバルデジタル経済に押し上げた」とGeneral Atlanticのマネージングディレクター兼インド・東南アジア地域ヘッドのSandeep Naik(サンディープ・ナイク)氏は声明で述べた。

新しい資金はインド最富裕であるアンバニ氏が投資家に約束したことを実現するために使う。同氏は2019年に、Relianceの約210億ドル(約2兆2260億円)の純負債を2021年初頭までにゼロにすることを目指すと述べた。同社の中核事業である石油精製と石油化学製品は、新型コロナウイルス感染拡大の中で甚大な影響を受けた。3月31日に終了した四半期の純利益は37%減少した。

アンバニ氏は2020年4月の同社決算説明会で、フェイスブックとの契約をきっかけに、数社がJio Platformsの株式購入に関心を示したと語った。Bloomberg(ブルームバーグ)は先週、Saudi Wealth Fund(サウジウェルスファンド)がアンバニ氏とJio Platformsの株式購入について交渉中だと報じた

フェイスブックは、Jio Platformsの9.99%の株式取得を通じた資金提供だけでなく、eコマースをはじめとする多くの分野でインドの巨人と協力するとしていた。出資の数日後、インドで最も企業価値の高いRelianceが経営するeコマースベンチャーであるJioMartが、インド最人気のスマートフォンアプリであり同国で4億人を超えるアクティブユーザーを抱えるWhatsAppで「注文システム」のテストを開始した。

ムケシュ・アンバニ氏の長男である29歳のAkash Ambani(アカシュ・アンバニ)氏は声明で「Jioはすべてのインド国民、特に才能のある若者に計り知れない機会を提供するデジタルの力でインクルーシブなインドを作っていく」と述べている。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

好調の外国語eラーニングサービス「Duolingo」が10億円超を調達した理由

SEC(米証券取引委員会)への提出書類によれば、外国語のeラーニングを提供するユニコーン企業(10億ドル企業)であるDuolingo(デュオリンゴ)は2020年4月初めにベンチャーキャピタルのGeneral Atlanticから1000万ドル(約10億7000万円)の資金を調達している。好調を伝えられるオンライン言語学習プラットフォームとしては、ほぼ3年ぶりの外部投資の受け入れとなった。これにともないGeneral AtlanticはDuolingoに取締役の席を1名分確保した。

Duolingoの最近の会社評価額は15億ドル(約1605億3000万円)だったが、「今回のラウンドにより評価が増加した」と述べている。ただし具体的な額についてはコメントを避けた。

General AtlanticはOpenClassroomsRuangguruUnacademyなど世界で多数エドテック企業に投資している。Duolingoは「General Atlanticのグローバルなプラットフォーム、アジアでのオンライン教育の経験は、特にこの地域におけるDuolingoの英語試験を拡大する計画に大いに役立ち、同社の成長を加速させる」と述べた。

Duolingoは2019年12月に15億ドルの会社評価額で3000万ドル(約32億1000万円)を調達している。こうした資金調達の数カ月後にそれより小さい額の資金調達を行うのは異例だ。 過去の例をみると、そうした資金調達は次のようないくつかの理由で起きている。1つは後の投資が同じ資金調達ラウンドの一部だった場合だ。もう1つの可能性はなんらかの理由で企業がさらに現金を必要とする事情があり、単にそれを調達した場合だ。あるいは新しいラウンドでも多額の資金を調達しようとしたそれができなかった場合もある。

ではDuolingoはどれだったのか?

Duolingoは、新しい投資家を獲得したかったが、多額の資金は必要なかったため1000万ドルとなったとしている。同社はキャッシュフローには余裕があると述べている。

過去数週間で、Duolingoは子供たちが読み書きを教えるアプリをリリースした。このDuolingo Plusの有料サブスクリプションは100万を超え、収入は通年換算で1億4000万ドル(約149億8000万円)となったとしている。また同社は最近、最初の最高財務責任者と顧問弁護士を採用した。

DuolingoはTechCrunchの取材に対して次にようにコメントしている。

「我々のビジネスはとても急速に成長しており、資金も十分以上にある。自己資本を拡大するために資金調達を行う必要性は少なかった。しかし、我々は2019年にGeneral Atlanticとの提携関係を強化してきた」。

他方でGeneral AtlanticのマネージングディレクターのTanzeen Syed(タンジーン・サイード)氏は「Duolingoは外国語学習では市場リーダーだ。急速な成長を維持しながら事業は利益を上げており、ビジネスモデルも効果的だ」と述べている。

もう1つの興味深い事実は、1000万ドルの調達と同時に二次市場における発行済株式の売買があったことだ。こうした取引は株主が持ち株を売却したり、会社が自社株買いを実施した場合などに起きる。

Duolingoの場合は、General Atlanticの所有率を押し上げるために既存投資家が持ち株の一部を同社に売却した。General Atlanticはこの取引の詳細を明かすことを避けている。

この情報に照らしてみると、常に大量の英語学習者を抱える有望市場であるアジア地域へのDuolingoの進出をGeneral Atlantiは歓迎しており、他の投資家は株式売却によって負担を減らしたようだ。

つまり公開株式市場が厳しさを増し、未公開株の市場も事実上停止している状況でDuolingoの既存投資家の一部は株式の現金化を図ったのだろう。現在、スタートアップが未公開のまま留まる期間がこれまで以上に長期化しているため、二次市場における取引はまったく普通のことになっている。

二次市場における売却は既存株主が投資先企業の方向性に対して懸念を抱いていることを示す場合ももちろんある。

しかしDuolingoはこの分野の世界制覇という大きな目標に向けて全力で前進しており、金庫にキャッシュを加え、取締役会にこの提携先の代表も加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookがインド教育スタートアップのUnacademyを支援

インドで最も急速に成長している教育スタートアップの1つであるUnacademyが、Facebook(フェイスブック)から支援を受けた。

この件に詳しい情報筋がTechCrunchに語ったところによると、Facebookは創業4年のUnacademyにおける、シリーズEの資金調達ラウンドに参加したという。

ラウンドはGeneral Atlanticがリードし、情報筋によればその規模は約1億ドル(約110億円)だという。Facebookがどの程度の金額を出資したのかは今のところ不明だが、2000万ドル(約22億円)以下だとの情報がある。Unacademyは以前に9000万ドル(約100億円)を調達しており、今回のラウンドによって評価額は4億ドル(約440億円)を超えるという。

Unacademyは大学入試の準備している学生と、卒業に向けたコースを目指す学生を対象としている。これにより、学生は教師のライブ授業を見たり、後でセッションに参加して、トピックをより詳細にレビューすることができる。

1年前、Unacademyは学生にすべてのライブクラスへのアクセスを提供する、サブスクリプションサービスをローンチした。Unacademyの共同設立者でCEOのGaurav Munjal(ガウラフ・ムンヤル)氏は今月、サブスクリプションサービスが3000万ドル(33億円)のARRビジネスになったとツイートした。

Facebookがインドのスタートアップに投資するのは、これで2回目だ。2019年に同社はProsus Ventures主導のソーシャルコマースことMeeshoによる1億2500万ドル(約140億円)の資金調達ラウンドに参加した。

FacebookとUnacademyは今回の資金調達に関する質問に回答していない。

Facebook IndiaのVP兼マネージングディレクターのAjit Mohan(アジット・モハン)氏は、2019年のTechCrunchとのインタビューで、同社はインド市場のためのソリューションを構築しているスタートアップに門戸を開いていると語った。

「現在のビジネス以外にも機会がれば、さらなる投資を模索する用意がある」と、モハン氏は語っている。

インド紙のMintが2019年12月に報じたところによると、UnacademyはGeneral AtlanticおよびGGV Capitalと、1億ドル(約110億円)の資金調達について交渉中だという。また、2月初めにエデュテックスタートアップのVedantuに投資したGGV Capitalは、Unacademyの資金調達ラウンドに参加していない。

VedantuとUnacademyは、General Atlanticから投資を受け80億ドル(約8800億円)の評価額を持つ、インドのスタートアップのByjuと競合する。Chan Zuckerberg InitiativeはByjuに投資しているが、少なくとも株式の一部を売却していることがEntrackrの報告書で明かされている。

インドのスタートアップエコシステムが成熟し始めるにつれて、同国は大企業を惹きつけ始めた。Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Twitter(ツイッター)もインドのスタートアップに投資している。TwitterはソーシャルプラットフォームのShareChatを支援している一方、GoogleはハイパーローカルコンシェルジュアプリのDunzoに投資している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

コンピュータービジョン技術で細胞を分析し病原体を見つけるPathAIが67億円超を調達

コンピュータービジョンの技術で病原体を見つけるPathAIのサービスは、臨床現場での実用化まではまだ1年あまりと言われるが、同社は最近の資金調達ラウンドで6000万ドル(約67億円)を獲得した。

医師は、患者から採取した標本細胞を同社の技術を利用して分析し、細菌やウィルス、癌細胞などの病原体の存否を判定する。しかし現時点では、PathAIの技術は病院における患者の診療よりも製薬企業の新薬開発に使われていることが多い。同社の共同ファウンダーでCEOのAndy Beck(アンディー・ベック)博士はそう語った。

ベック博士は語る。「私たちの今日の最大のフォーカスは、(臨床よりもむしろ)難病の新しい治療法を見つけるために使われている研究プラットホームにある。安全で効果的な医薬品の開発を加速することは、患者にとって本当に重要な問題だと考えている」。

製薬企業は新しいテクノロジーに病院よりも大きな額を投じているから、PathAIのようなスタートアップにとっても魅力的なマーケットだ。同社が病理学者たちと協働するときは、彼らは研究目的で技術を使っているとベック博士は語る。しかし臨床での診断のためには治験が必要であり、規制当局が認可するまで時間がかかるとのこと。そして「そのため、直接臨床で使われるようになるまではあと1〜2年はかかる」そうだ。

同社の最新のラウンドはGeneral Atlanticがリードし、さらにこれまでの投資家であるGeneral Catalystや8VC、DHVC、REfactor Capital、KdT Ventures、そしてPillar Companiesも参加したPathAIの社員は昨年60名あまりに増え、そしてBristol-Myers SquibbやNovartisとパートナーシップを結んだ。

新たな投資の結果としてGeneral AtlanticのマネージングディレクターMichelle Dipp(ミッチェル・ディップ)博士が同社の取締役会に座ることになる。General CatalystのマネージングディレクターであるDavid Fialkow(デイビット・フィオーコウ)氏は声明で次のように述べている。「PathAIの技術によって疾病診断の精度と再現性が向上し、それらの疾病を治療する新薬の開発を助けるだろう」。

画像クレジット: Ed Uthman/Flickr CC BY 2.0のライセンスによる

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa