ノースカロライナ拠点の気候監査Climate Serviceが約4.1億円を調達

世界中の企業が、自社による事業活動が地球規模の気候変動に与える影響に注目する中、投資家たちは気候変動の影響を食い止めるためのソフトウェアやサービスを次々と支援している。

その中でも最も新しい資金調達を行ったのがThe Climate Serviceで、直近の資金調達ラウンドで382万ドル(約4億1000万円)を調達した。

興味深いことに、ノースカロライナ州ダーラムを拠点とするThe Climate Serviceは、従来のベンチャー投資会社やエンジェル投資家に加えて、国際公認会計士協会(Association of International Certified Professional Accountants)からも出資を受けている。

さらに、Persei VentureやSynovia Capitalなどの機関投資家も、このラウンドに参加した。

The Climate Serviceは今回調達した資金を、同社のソフトウェアサービスで監視する気候シナリオやリスク、資産クラスの範囲を拡大するために使用するという。

同社の気候監査サービスは、Climate-Related Financial Disclosuresのタスクフォースが策定した枠組みに基づいて気候リスクのモデルと価格設定を行っており、世界中の1000以上の組織で使用されているという。

「投資家、市場、規制当局は企業に対し、気候変動に関連するリスクへのエクスポージャーを測定するようさらに求めている。その結果として気候リスクを理解し、定量化し、管理するよう迫られている業界の要求に応えるために、The Climate Serviceはこの資金調達ラウンドを計画した」と、Persei VentureのDavid L.Jadow(デビッド・L・ジェドー)氏は語る。「我々はThe Climate Serviceに今後も大きな成長が見込まれ、気候リスクをグローバルな意思決定に組み込むという同社のビジョンとミッションを支援することを誇りに思う」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

2019年の気温は記録史上最高だった3年前に次ぐ第2位の高温に

合衆国政府のデータは、現政権はそう言わないかもしれないが、地球が温暖化していることを示しているようだ。どうやら今年の地球は、記録にあるかぎり2番目に暑い10月を経験したようであり、このまま行くと同じく記録上、今年は2番目に暑い年になるようだ。海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)のデータがそれを示している。

10月が暑かっただけでなく、南極の氷が1979年に観測を開始して以来最も小さく縮小した。10月の暑さは記録に残るかぎり、2003年以降で10度目の、それ以前の記録を破る暑さであり、しかもその10回の記録破りの内の5回は過去5年連続だ。

地球の気候変動につながる大気中排出物質を減らそうとする政策をトランプ政権は廃棄しようとしているが、NOAAのような政府機関は、この惑星がどれだけ変わりつつあるかを正確に示す報告書を出し続けている。

今月初めに国務長官のマイク・ポンペオ氏は、米国を気候変動に関するパリ協定から離脱させる手続きを公式に開始した。現政権の極めて重大なこの出来事を、世界はTwitterから知らされた。

ポンペオ長官は「すべての排ガスの削減」へのこの国のアプローチを賞賛しているが、ヨーロッパとアフリカとオセアニア、カリブ海地域、そしてハワイ諸島はかつてない記録的な温度に達し、世界の平均海面温度は記録上で2番目の高温に達した。

一方、新たな予測が、気温上昇による氷河の溶解によって起きる海面上昇で都市が直面するリスクの大きさを、従来の予測の3倍に上方修正している。

研究団体であるClimate Centralが作り、NatureCommunicationsに載った地図は、都市の耐性が強化されるか、または気候変動の方向が今の逆にならないかぎり、海面上昇によって現在1億5000万人が住む陸地が2050年までに洪水や高潮の下になる。

連邦準備制度ですら、気候変動によるリスクに目覚めつつある。米国の金融政策を司るこの規制当局は、今月初めに、気候変動が財政に与える影響にフォーカスしたイベントを開催した。

The New York Timesの記事によると、このイベントのために前もって用意されたコメントで連邦準備制度理事会のメンバーであるLael Brainard(ラエル・ブレイナード)氏は「連邦準備制度が気候関連の研究と実践にもっと積極的に参加すれば、強力な経済と安定的な金融システムをもっと実効的に支援できるはずである」と述べている。

画像クレジット: NOAA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アメリカ政府の最新報告書によると気候変動の被害額は今世紀中に年間$500Bに達する

【抄訳】
気候変動の社会的影響に関するアメリカ政府の新しい報告書は、何も対策が為されなかった場合、さまざまな気候学的事象がこの国にもたらす被害額は2090年までに年間5000億ドル近くになる、と指摘している。

議会が作成している全米気候評価報告書(National Climate Assessment、NCA)は、気候変動の影響に関する報告書で、10あまりの省庁にまたがるおよそ300名の著述で構成されている。その1000ページにわたる報告書は、アメリカの農業や労働、地勢、そして健康に及ぼす気候変動の影響を取り上げている。

報告書の第二巻は、国の政策立案者に向けた、地球温暖化がアメリカに及ぼす影響を詳述している。

それが公開された現時点は、国の現在の政権が、自らの省庁が挙げている増大して止(や)まない証拠をあらゆる手段を駆使して反駁し、グローバルな気候変動の影響を抑えるべき国内的および国際的な責任から逃れようとしている

報告書は、対策が取られなかった場合のアメリカの厳しい状況を詳しく描写しており、気候変動が国にもたらす多くの変化の中には、不可逆的(回復不能)なものも多い、と述べている。

【後略】
〔以下、報告書原文と解説。報告書第I巻は2017年に公開され、ネット上の各所で共有されている。この記事が取り上げている、最近公開されたばかりの第II巻は、まだネット上で共有されていないようだ(11月24日現在)…担当部門のページ上でもcoming soonになっている。〕

〔関連記事: Y Combinatorが気候変動対策スタートアップを募集(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa