PCの部品の中で、あまり愛されていないもの、それはファンだ。その小さな回転するプラスチックは単価があまりにも安いので、高度なテクノロジに投資されるせいぜい数十万ドルにすら、これまでは見向きもされなかった。
コンピュータのファンが話題になるのは、それが自分の仕事を正しくやってるときだけだ。“ファンを止めなきゃ、YouTube見れないよ、うるさいんだもん”。
ファンは徐々に要らないものになりつつある。携帯電話〜スマートフォンも、タブレットも、それにラップトップすら、電力消費量が少なくてあまり発熱しないチップを使うようになり、強制排熱の必要性がなくなってきた。
でも、今でもゲームやビデオエディタなどは電力を大食らいする。それらのユーザにとって、ファンは今でも、日常の現実だ。
CoolChip Technologies は、これまでのように厄介者扱いされないファンを作ろうとしている。ファンが嫌いな人のためには、水冷方式など、ファンに代わる冷却方法がすでにある。でもCoolChipの製品なら、マシンの内部のレイアウトがそれほど変わらない。
Highway1’s のデモデーでCoolChipのファウンダWilliam Sanchezは、同社のファンは、これまでのファンよりサイズは半分で熱性能は35〜40%大きい、と主張していた。それはすごいけど、でも、そんなこと気にしない消費者が多いよね。しかしSanchezがマイクを使って騒音を比較したときは、違いがはっきりわかった。仮に冷却性能が同じとしても、旧来のファンはノイズがちゃんと聞こえるのに対して、CoolChipのファンは静かだ。
とくにPCでゲームをする人にとっては、この違いが大きいね。いわゆるゲームPCはグラフィクスカードが最大4つもあるから、CPUも加えてそれらが発する熱量たるや、どうしても強力なファンで排出しなければならない。その強力なファンがCoolChipのだったら、史上初めて静音タイプのゲームPCが出現する。
CoolChipファンの静音性に気づいたのはもちろんぼく一人ではない。Sanchezによれば、Cooler Masterはこの技術をライセンスして同社独自のアドオン製品を来年早々出す。Microsoftも同社に接近してきて、静音タイプのXbox Oneを出したいと言ってるそうだ。次の、まだ未発表のXboxも(たぶんXbox One Slim)。
ゲームばかりではない。エンタプライズ市場もインフラストラクチャ市場も、こんな小型で強力で静かなファンを待ち焦がれていただろう。FacebookやGoogleやAmazonがデータセンターの何十万台ものサーバのファンをCoolChipファンにリプレースしたら、電気料金の節約額だけでも相当なものだ。データセンターのプロセッサは従来のPC用チップからARM機のネットワークに移行していくらしいから、冷却を要するCPUの個数はすごく増えるのだ。
これだけの機会があるのだから、Peter ThielのFounders Fund が目をつけるのも当然だ。2012年にはささやかに50万ドルを投資しているが、下のビデオで見られる最新のプロトタイプ機は、もっともっとすごいみたいだ。
VIDEO
[原文へ ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa ))