ソフトバンクが2億ドル出資したモバイル広告のInMobi、対話的ビデオ広告のプラットフォームをローンチ

InMobiは119億ドルのモバイル広告マーケットでさらに大きなシェアを獲得すべく、今日(米国時間2/10)、新しいモバイル・ビデオ広告プラットフォームをローンチした。

この広告プラットフォームはInMobiがGoogleやFacebookに匹敵するようなエコシステムの構築を目指す努力の一環だ。昨年の10月、InMobiはモバイル広告の効果を強化するような広告パブリッシャー向けホワイトラベルのアプリストアを立ち上げている。

InMobiのCEO、Naveen Tewariは私の取材に対して、「向こう半年から1年の間にわれわれの既存の広告主の30-40%は新しいプラットフォームに移ると考えている。InMobiの売上の少なくとも25%は近くビデオ広告にシフトするはずだ。これは同時に、これまではテレビに出稿していた新しい広告主の獲得にもつながるだろう」と答えた。

InMobiが発表した顧客の反応からするとTewariの予測は楽観的にすぎるということはなさそうだ。

正式ローンチ前の数週間、世界で9社がベータテストに参加し、それぞれ5万ドルを投じてビデオ広告を掲載したところ、2億回の再生、6万件のコンバージョンがあったという。

新しいビデオ広告プラットフォームはテレビCMで流していたようなビデオを単にモバイル・デバイスに表示するわけではない。InMobiによれば「顧客との対話性を向上させることによって、テスト参加企業の場合、反応は5倍になり、売上も大きく伸びた」ということだ。これには昨年のOverlay Mediaの買収によるコンテキスト・ターゲティングの能力も大きな力になっている。

InMobiは2年後には売上10億ドルを達成すると期待されている(2013年の売上は5億ドル)。同社のモバイルへのシフトは、ユーザーがモバイル化しているだけでなく、もっとも多くのイノベーションと競争が生まれている分野だということもあって、なおさら重要だ。

ユーザー総数6億9100万人の広告ネットワーク(人数ではFacebookに次いで2位)のInMobiはこれまでに2億1600万ドルの資金をSoftBank、Sherpalo Ventures、Kleiner Perkins Caufield & Byersなどから調達している。2011年にシリーズCのラウンドでSoftBankから2億ドルを調達した後、InMobiはMMTGLabs、Appstores.com、Overlay Mediaの3社を買収している。

InMobiはコンテキスト対応モバイル・ビデオ広告を武器に差別化を図っている。これはOverlay Mediaを昨年買収したときからの戦略だ。 しかし同時にInMobiのビデオ広告はテレビCMでは不可能な対話性により、顧客からリアルタイムの反応を引き出すことができる点が重要だ。

InMobiのビデオ広告は個人の特性、ロケーションその他のコンテキスト情報にもとづいてターゲティングされている。たとえば、夏の暑い日にスターバックスの近所にいるユーザーのスマートフォンに冷たい飲み物の広告を表示するようなことができる。またビデオ広告をクリックしてリアルタイムで購入を行うことも可能だ。

「InMobiのモバイル・ビデオ広告はすでに10億回以上の再生に成功し、世界的なスケールを実証することができた」とプロダクト担当副社長のPiyushShahはコメントした。

InMobiのモバイル・ビデオへのシフトはオンライン広告市場の大きな流れを表すものだ。インストールベースも滞在時間でもますますユーザーのモバイル化が進み、GoogleからFacebookまで有力プレイヤーはすべてこの方向に動いている。伝統的なバナー広告はすでに過去のものだと考えられる中、どのプレイヤーがどのような成績を上げることになるのか注目だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


iTunesもGoogle Playもかったるい, 「自分の」アプリストアを開きたいならAppGalleriesを利用しよう

InMobiがMMTG Labsを買収してから1年あまりとなる今日(米国時間10/22)、このモバイル広告企業は買収の成果となる初めての大型製品をお披露目した。それはAppGalleriesの新バージョンで、パブリッシャーが自分のアプリストアを作って開店でき、そこに広告も入るというものだ。新バージョンではUIが一新され、パブリッシャーがアプリを選択~校閲する自由度が大きくなった。また、巧妙なアルゴリズムにより、ストアの自動的な在庫充実が可能になった。

これはInMobiのより広範な刷新の一環で、ほかにも、テンプレートを使ったカスタムな広告フォーマットにより、ゲーム、天気予報アプリ、ユーティリティなど各種のアプリの広告を作れるようになり、広告上のクリックを前よりも増やせることが期待できる。

MMTGの協同ファウンダRyan MerketがInMobiのプロダクト担当ディレクターになり、彼によると、ホワイトレーベルのアプリストアをパブリッシャーに提供できるのは良い方向性だ、と言う。それはこれまでAppStoresと呼ばれていたサービスで、そのドメインを今ではInMobiが保有し、AppGalleriesへリダイレクトされる。自分に合ったアプリを見つけるのは難しいから、消費者はどうしても、これまで自分が良いと思ったアプリやブランドの関連製品を一望したいと思う。そういう一望の場所を作れるのが、AppGalleriesの便利なところだ。ただしこれまでMMTGには、強力な収益化モデルがなかった。

“自力でスクラッチ〔ゼロから〕で広告ネットワークを作るのはたいへんだから、買収される道を選んだ。うちのビジョンはVCたちになかなか理解してもらえないだろう、とも思った”、とMerketは語る。“InMobiには、そのビジョンを実現するだけの技術力がある”。

InMobiは、今では独立系広告ネットワークの大手だ。このネットワークのユーザ総数は6億9100万に達する。これは、Merketによると、Facebookに次いで二位である。JumptapとMillennial Mediaを合わせたよりも大きい。InMobiのネットワーク上には30000あまりのアプリとサイトがあり、InMobiが扱う広告はモバイルインターネットの全ユーザの60%、全世界のスマートフォンユーザの40%に達していることになる。InMobiのモバイル広告からダウンロードされたアプリは、5000万ダウンロードに達する。

AppGalleriesをパブリッシャーは無料で利用できるが、そこには自分が選んだアプリだけを‘陳列’できる。またその個人化されたアプリストアの在庫は、InMobiが選んだアプリでやユーザ自身のサイトからのセレクションで自動充填されることもある。Merketの説明によると、たとえばあるブログ記事にあるアプリのリビューが載っていたら、そのブログでリビューされているすべてのアプリをAppGalleriesのストアに集めることもできる。Javaで書かれたアルゴリズムが、そういう自動充填処理を行う。その処理には期間や次元を設定できるので、たとえば本誌TechCrunchがAppGalleriesによるアプリストアを持ったら、“これまでの10分以内に公開されたすべての記事中で言及されているアプリを集める”、といった処理も可能だ。しかもInMobiは記事中のリンクを書き換えて、そのパブリッシャーのAppGalleriesストアへ行くようにもできる。もはや、iTunesやGoogle Playへは行かないのだ!

また、そういうアプリのリンクを有料広告に変えられれば、広告収入が得られる。パブリッシャーが自分の広告を売ってもよいし、InMobiのネットワークからの広告を使ってもよい。ただし最小限一つの、InMobi広告がストアのリスト上に”sponsored”のタグ付きでなければならない。それが、AppGalleriesの利用条件だ。InMobiによると、初期のAppGalleriesのテスト結果では、最大でアプリのダウンロード数が600%も増加し、eCPMも、モバイル広告の平均が1~3ドルのところ、最大で12ドルに達した。

アプリインストール広告はFacebookなどでも成功しているから、そのコンセプトを完全なアプリストアへと拡張し、そこに、そういう広告と選ばれたアプリのリストを混ぜ込むことは、理にかなっている。だからInMobiとしてはAppGalleriesをあらゆるパブリッシャーに、アプリストアの自己店として利用してもらいたい。それはHTML5で書かれているので、モバイルのWebサイトでも、あるいはiOSやAndroidのネイティブOS内でも使える(Windows Phoneなどそのほかのプラットホームについては不明)。そしてそれらは、Webサイト上の広告やスタンドアロンのアプリ、あるいはパブリッシャーのアプリそのもののリンクからでもアクセスできる。

MerketによるとInMobiは今、AppGalleriesの展開をFacebookなど大手ソーシャルネットワークのプラットホーム上でも行いたい、と考えている。まだ具体的には決まっていないが、たしかにFacebookやTwitterやLinkedInなどがAppGalleriesを実装したらおもしろいことになるだろう。今はどこでも、今後の成長源としてモバイルを意識しているから、今後の課題は短時間で飽きられがちなプラットホームにどうやってユーザのエンゲージメントをつなぎとめるか、になってくる。Facebookなど大手SNSにおいても、ユーザの滞留時間の増と、それに伴う広告の効果の増大が、今および今後の重要な関心になるはずだ。AppGalleriesは、上手に作り込めば、まさにその関心に応えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))