SaaSやFinTechサービスのデータ連携が可能な財務会計領域iPaaS「ActRecipe」のアスタリストが5800万円調達

複数SaaSやFinTechサービスのデータ統合・連携が可能な財務会計領域特化クラウド「ActRecipe」(アクトレシピ)を提供するアスタリストは11月8日、第三者割当増資などによる総額5800万円の資金調達の実施を発表した。引受先はEast Venturesをはじめとする複数の投資家。調達した資金は、主にサービスの機能拡充や利用企業数拡大のために活用する。これにより、既存の契約企業やSaaSを利用している企業に新たな価値を提供し、アスタリストのさらなる成長につなげるとしている。

ActRecipeは、データ統合・内部統制に向けたiPaaS(integration Platform-as-a-Service。クラウド統合プラットフォーム)として2019年8月にサービスローンチ。2020年6月には電子決済代行業者の登録を完了したことで、銀行APIを通じてSaaSから銀行への自動送金や入出金明細の自動取得を行なう取り組みも開始した。

2013年11月設立のアスタリストは、「”Create time through innovation” (イノベーションによって時間を創る)」をミッションとするスタートアップ。ITの活用により企業の生産性向上や内部統制強化を支援する事業を行なっている。現在はActRecipeに注力しており、SaaSやFinTechサービスのさらなる活用とDXの推進を目指している。

 

BizteXが約500のSaaS対象にAPI連携状況をデータベース化した「SaaS連携マップ」公開

BizteXが約500のSaaS対象にAPI連携状況をデータベース化した「SaaS連携マップ」公開

BizteXは10月15日、国内展開されている約500のSaaS(Software as a Service)を対象にAPI連携状況をデータベース化した「SaaS連携マップ」を公開したと発表した。

SaaS連携マップは、BizteXが国内約500のSaaSについて、サービス提供各社が公表しているプレスリリースやAPI連携情報をもとに独自で調査・情報整理したデータベース。約500のSaaSを「経費精算」「労務管理」「Web会議」「ビジネスチャット/社内SNS」といったカテゴリーごとに分類することで調べやすく、カテゴリ一覧上で各サービスの連携数を一目で確認可能。

企業が新たなSaaS導入時やSaaSベンダーのプロダクト開発時に、既存SaaSとの連携可否などを確認できるとしている。

BizteXでは、今後も継続的にデータベースの拡充を図ると共に、調査データに基づく情報を発信することで、効果的なSaaS活用やDX推進を通じた業務課題の解決に貢献する。

働き方改革やBCP(事業継続計画)対策対策、コロナ禍を背景に、多くの企業が業務の効率化・自動化、リモートワーク、情報共有を推進する中、サービスをスピーディーに導入できシステムの拡張性も高いSaaSの利用ニーズは益々高まっている。

国内企業では、1社あたり平均で20種類のSaaSを使っているとされる一方、複数SaaSを使うことでデータが各サービスに分散し、管理・運用が煩雑になるという課題があるという。

こうした中、BizteXでは、2020年5月よりSaaSなど複数システムを連携し、業務自動化・データ統合を実現するiPaaS(Integration Platform as a Service)「BizteX Connect」(正式版)の提供を開始。幅広い企業の業務課題やSaaSベンダーとの連携に取り組んでいる。

BizteX Connectは、同社提供のクラウドRPA「BizteX cobit」との連携によって、SaaSはじめ様々なシステムと連携し、ワークフローの自動化や一元化を実現できるサービス。プログラミングを行うことなく、画面操作だけでアプリ連携を設定できる。また、営業部門からマーケティング部門、人事・労務等の管理部門まで、幅広い部門の業務効率化を実現可能という。

カテゴリー: ネットサービス
タグ: iPaaSRPA / ロボティック・プロセス・オートメーションBizteX日本

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クラウドRPAとiPaaSの二刀流で企業の業務自動化を支援へ、BizteXが6.3億円調達

クラウドRPA「BizteX cobit」を展開するBizteXが、iPaaS(integration Platform as a Service)領域にプロダクトを拡張することで顧客の業務自動化を加速させる取り組みを始めるようだ。

同社は4月20日、みやこキャピタル、KDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、TISおよび既存投資 家のWiLを引受先とする第三者割当増資と日本政策金融公庫や商工組合中央金庫からの融資により総額で6.3億円を調達したことを明らかにした。

BizteXでは昨年10月よりiPaaS領域のプロダクトを一部の既存顧客に対してステルスで展開しており、5月にも一般公開をする予定。今後はクラウドRPAとiPaaSを組み合わせることで企業のワークフロー改善を広範囲でサポートしていく計画だ。

なお今回の調達はBizteXにとってプレシリーズBラウンドに該当するもの。同社では昨年8月から11月にかけてシリーズAラウンドでWiLやジェネシア・ベンチャーズ、グロービス経営大学院から4億円強を調達しているほか、2017年7月にも同じくジェネシア・ベンチャーズより4000万円を調達している。

クラウドRPAで定型業務を自動化、累計で1000社近くが活用

BizteXでは2017年11月にローンチしたBizteX cobitを通じて、さまざまな顧客企業における定型業務の自動化を支援してきた。

RPA領域のプロダクト自体はすでに多数存在するが、BizteX cobitはクラウド型でスピーディーかつ安価に導入できるのが特徴。月額10万円からのSaaSモデル(初期費用は別途30万円必要)で、即日よりすぐに試せる。複雑なプログラミングスキルも必要なく、現場の業務担当者が身らの業務を効率化することが可能だ。

売上規模100億円以上のミドルエンタープライズ企業がメインの顧客層で、昨年秋頃からは大手企業への導入も加速しているとのこと。業界上位トップ10のうち7割に導入されている広告業界を筆頭に、人材や不動産、IT関連など幅が広がっている状況で、2020年3月末時点でPoCを含めた累計利用社数が1000社近くにまで増えた。

また既存企業によるアップセルも好調だ。BizteX cobitでは作成したロボットのアクション数(ステップ数)によってプランが変わる設計のため、ヘビーユーザーが増えたことで収益面でも大きく成長し、その点が今回のラウンドでも評価されたという。

「1つの現場から小さく始めて、少しずつ広げていくモデル。たとえば営業部門のマネージャーの『この業務を自動化したい』という要望をRPAで実現し、そこから他の業務でも自動化できるものがないか自動化コンサルのような形で伴走しながら進めていく。ミドルマネージャー層の共通課題は、人をあまり増やせない中でいかに売り上げを伸ばしていくか。その点、RPAを用いた業務効率化はニーズにもマッチしていて、部署横断で使ってもらえる事例も増えている」(BizteX取締役CSOの武末健二朗氏)

クラウドRPA+IPaaSで「Automation Tech」を推進

既存事業であるクラウドRPAの拡大と並行して、BizteXでは密かにもう1つのプロジェクトを進めてきた。それが冒頭でも触れたiPaaS領域の新プロダクトだ。

iPaaSについては知っている人も多いとは思うけれど、複数のシステムを連携させて業務自動化やデータ連携を実現するプラットフォームのこと。近年はSaaS型のシステムが増えていることから、APIを用いてSaaSをつなぎ、業務効率化を支援するiPaaSが国内外で注目を集めている。

米国ではZapierWorkatoなど複数のプレイヤーが参入するレッドオーシャンになっているほか、日本国内でも1月に2.2億円を調達したAnyflowなどこの領域にチャレンジする企業が徐々に増えてきた。

BizteXでも昨年からクラウドRPAとAPIコネクタを融合したiPaaSプロダクトを非公開でリリースし、一部の企業へ提供をスタート。現在は一般公開に向けた準備も着々と進んでいる状態で、5月中の公開を予定しているそうだ。

同社の強みは自社でクラウドRPAを保有していること。たとえばRPAを用いて加工したデータをAPI連携でストレージ系のサービスに保存したり、他のSaaSプロダクトにアップロードしていったりといったように、RPAと組み合わせることで多様な業務を自動化できるのが既存のiPaaS事業者と異なる部分だという。

武末氏によると実は当初から社内でもAPIの活用に関する議論はあったそう。ただ当時はAPIの仕様が自動化したい業務と合っていないことや、用途が制限されていることが多かったため「いかにAPIを使わない形で業務自動化を実現するか」にトライしてきた。

「広告業界の例だと、多くの企業が使うディスプレイアドのサービスの管理画面自体はAPIがあるのでそれを活用した業務自動化もできなくはない。ただAPIが昔の設計で用途が制限されていて、そのまま使っても顧客の自動化したい業務に全然応えられないということが過去にあった。これは1つのシステムに限った話ではなかったので、(APIを活用するのではなく)RPAで対応するようにしていた」

「一方で近年はSaaSの台頭でAPIエコノミーも広がってきており、APIを使うことで簡単かつスピーディーに自動化できる業務なら、わざわざロボットを作らなくてもいい場面も出てきた。顧客が実現したいのは業務の自動化で、その手段がRPAなのかiPaaSなのかはそこまで重要視されていない。クラウドRPAとiPaaSの二刀流で、ニーズに合わせて適切なやり方を提案するのがベストな選択肢だと考えた」(武末氏)

時には「RPA vs iPaaS」のように対比構造で紹介されることもある2つのテクノロジーだが、それぞれ得意な領域やできることが異なり、この2つを組み合わせることで「顧客の自動化したいニーズを広範囲にカバーできる」というのがBizteXのスタンスだ。

同社ではクラウドRPAやiPaaSなどを通じて業務自動化を実現するテクノロジーを「Automation Tech」と定義し、今後はSaaSベンダーや販売パートナーとの連携を強化しながら「Automation Tech群戦略」を推進していく計画。新規投資家のKDDIやTISともプロダクトの拡販に向けて連携する方針だという。

「新型コロナウイルスの影響で国内企業でもリモート化が進んでいる。社内システムをオンラインやクラウドに移行する波が広がれば、分散化が進むことでシステム間のデータ連携やデータの転記を簡単にしたいというニーズも増えるはず。こんな状況下だからこそ、クラウドRPAやiPaaSを用いた業務の自動化によって顧客のワークスタイルを支援していきたい」(BizteX代表取締役の嶋田光敏氏)

複数SaaSを繋ぎ定型業務を自動化、“プログラミング不要”のiPaaS「Anyflow」が約2.2億円を調達

プログラミングなしで複数のSaaSを繋ぎ合わせ、業務を効率化できる「Anyflow」。同サービスを展開するAnyflowは1月8日、グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Coral Capitalより約2.2億円を調達したことを明らかにした。

同社は昨年9月にCoral Capitalから2000万円を調達していて、今回はそれに続くプレシリーズAラウンドという位置付け。調達した資金を用いて組織体制を強化し、対応SaaSの拡充などプロダクト開発を加速させる計画だ。なお今回のラウンドを含めると同社の累計調達額は2.6億円となった。

9月にも紹介した通り、Anyflowは複数のSaaSをAPI接続によってつなぎ合わせることで定型業務の自動化を実現するクラウドネイティブiPaaS(integration Platform as a Service)だ。

たとえばSlackにコマンドを打ち込むと勤怠管理サービスに勤怠情報が自動で打刻される仕組みを作ったり、クラウドサインで締結した書類のPDFをGoogle DriveやDropboxなどに保存して自動でバックアップをとったり複数のSaaSにまたがる作業をAnyflowに「ワークフロー」として登録しておくことで、その都度手を動かす手間がなくなる。

Anyflowで代表取締役CEOを務める坂本蓮氏によると大きな特徴は「国内のローカルSaaSに対応していて、なおかつプログラミングレス(ノーコード)」であること。日本国内でこそiPaaSを手がけるプレイヤーの数は限られているものの、グローバルで見ればZapierMulesoftを含めこの領域のプロダクトも多い。ただし海外のiPaaSは日本のSaaSに対応していなかったり、日本語のサポートを受け付けていなかったりするので、そこにニーズがあるという。

現在はkintoneやChatwork、クラウドサイン、freeeなど数種類の国内SaaSに対応済み。SalesforceやSlackといった海外の主要SaaSも含め約10種類のサービスを連携させることが可能だ。

また一口にiPaaSと言っても、エンジニア向けのものもあればビジネスサイドのメンバーをターゲットにしたものもあり、用途や想定しているユーザー層も各サービスで異なる。

Anyflowの場合は「『エンジニアがやっていることを民主化する』ような形で、コードを書けない人でも簡単に作業を自動化できる仕組みがあれば便利ではないか」という考えから生まれたこともあり、ビジネス職のメンバーが自身で作業を自動化できることを重視。APIに関する知識やプログラミングスキルがなくてもiPaaSの恩恵を受けられる仕組みを作った。

同サービスはクローズドでのPoC期間を経て10月にベータ版をローンチし、現在までに約10社へ導入されている(トライアル含む)。ITスタートアップだけでなくメガベンチャーでの活用も始まっているそうだが、中には海外のiPaaSとAnyflowを併用している企業もあるとのこと。やはり国内SaaSへの対応や、ビジネスサイドのメンバーでも使いこなせる設計には需要があり「1社の中でも複数のiPaaSが導入される可能性があることは意外な発見だった」と坂本氏も話していた。

また“定型業務やワークフローを自動化する”という観点ではiPaaSはRPAにも近しいが、前回の記事でも詳しく触れた通り、それぞれの特徴や得意分野が異なるため「完全にリプレイスするというよりは(用途に応じて)使い分けられていく」というのが坂本氏の見解だ。

RPAはレガシーなシステムを対象とする場合には使いやすい反面、SaaSのように頻繁にアップデートがあるプロダクトには必ずしも向いていない(ロボットが都度止まってしまうようなケースがある)。そのためすでに社内でRPAツールを導入している企業からAnyflowを併用したいという問い合わせもあるという。

Anyflowは昨年「Incubate Camp 12th」や「B Dash Camp 2019 Fall」で優勝するなど界隈で注目を集めた影響もあり、9月からこれまでで約200件の問い合わせがあったそう。ただ現時点では各顧客に対して担当者が細かく現状や要望をヒアリングするなど比較的ハイタッチな運用をしていて、実際に活用まで至っている企業はその中のごく一部だ。

今はプロダクトマーケットフィット(PMF)を図っている段階のため、顧客と密に連携しながらプロダクトを作り込んでいるが、徐々にビジネスサイドの体制を強化しながらセールスにも力を入れていく計画。ある程度セルフサーブ(ユーザーが自発的にプロダクトを試しながら理解を深めて使いこなしていく形)で成長していけるように、チュートリアルなども含めた使い勝手のアップデートも進める。

9月にはクラウドサインと連携。国内SaaSへの対応は順次進めていく計画だという

直近の注力ポイントは連携SaaSの拡大とレシピ数の拡充。今後はSmartHRやSansanなどもカバーしていく予定だ。

「主にプロダクトの開発強化に投資をしてまずはPMFを目指していく。1番のメインは対応SaaSを増やすことだが、複数のSaaSに対応していても『それらを連携させることで、どんなことができるのか』がわからなければ始まらない。レシピとして具体的なユースケースをどんどん貯めていくことで、ユーザーが素早く簡単に業務効率化を実現できる体験を作っていきたい」(坂本氏)

プログラミングなしで複数SaaSを連携、定型作業を自動化するiPaaS「Anyflow」が資金調達

生産年齢人口が減少しこれから人手不足が一層深刻化すると考えられる日本において、テクノロジーを活用した業務の効率化・自動化にかかる期待は大きい。

特に近年はAIを活用したものを中心に様々なプロダクトが登場してきているが、「定型業務を自動化する仕組み」という観点で注目を集めるのがRPAだ。

Robotic Process Automationという名の通り、ロボット(プログラム)がPC上の業務を自動で実行してくれるこの技術は国内でも徐々に拡大。昨年紹介したPRAカオスマップを見ても多様なプレイヤーが関わっていることがわかるし、国内企業のRPA導入率は32%なんて調査結果もある(MM総研が2月に発表したもの。年商50億円以上の国内企業1112社が対象なのであくまで参考程度ではあるけれど)。

その一方で「ロボットが間違えを起こした」「エラーで止まってしまった」などRPAに関する課題や悩みを声を聞くようにもなってきた。他のテクノロジーと同じようにRPAも万能ではなく、時にはフィットしない場面もある。それが徐々に浮かび上がってきたタイミングということなのかもしれない。

今回紹介するAnyflowはそんなRPAとは異なる「iPaaS」というアプローチで業務の自動化・効率化に取り組むスタートアップだ。

同社は9月24日、事業拡大に向けてCoral Capitalを引受先とするJ-KISS型新株予約権方式により2000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

SaaS同士をつなぎ合わせ、より便利にSaaSを使えるように

Anyflowが開発する「Anyflow」はクラウドネイティブなiPaaSだ。

iPaaSとはそもそもintegration Platform-as-a-Serviceの略称で、SaaSのようなクラウドサービスとオンプレミス型のサービスを統合するプロダクトのこと。Anyflowの場合はプログラミングなしで複数のSaaSを簡単に繋ぎ合わせ、業務を効率化できる。

たとえば名刺管理ソフトとSalesforceを連携させて、名刺交換した人の情報を自動でSalesforce上に転記したり。労務ソフトの入力をトリガーに、Slackなど社内ツールへメンバー招待業務を自動化したり。SaaS同士を繋ぐことで、各SaaSをもっと上手く使いこなせるように手助けするプロダクトと捉えてもいいかもしれない。

Anyflowを使う際には自動化したいアクションを「ワークフロー」として管理画面上に作成していく。ワークフローは自分でゼロから作るほか、既に登録されているレシピ(テンプレートのようなもの)を使ってもいい。

ワークフローを自分で作る場合は連携させたいSaaSを選び、どんな場面でどのようなアクションを実行するのか、具体的な条件を設定していく。分岐や繰り返し、フィルターなど設定を細かな調整をすることはもちろん、ワークフローから別のワークフローを呼び出すことも可能。特殊なケースでなければ、大抵の業務はビジネス部門のメンバーが自身でサクサク効率化できるという。

「日本の企業は1社あたり平均で20種類くらいのSaaSを使っていて、その連携に困っているという悩みがある。従来は自社のエンジニアや外部のSIerに依頼するのが一般的だったが、スピードやコストの面が課題。(SaaS間の連携を)ビジネス職の人が自分でできるようになるというのがAnyflowの特徴だ」(Anyflow代表取締役CEOの坂本蓮氏)

方向性としては冒頭で触れたRPAと似ている部分もあるが、坂本氏によると「RPAとの決定的な違いはAPIをフル活用すること」にある。

基本的にRPAはコンピュータのマウスやキーボードをシミュレートして操作する類のプロダクトであるため、仕様変更が少ないアプリケーションに関する作業の自動化にはもってこい。一方でSaaSのようにアップデートが多いものを対象とする場合、その都度ロボットが止まってしまう恐れがある。

「Anyflowでは各SaaSが公式で用意しているAPIを使っているので仕様変更に強い。ただ必ずしもiPaaSの方が優れているという話ではなく使い分けだと思っていて、APIがなければiPaaSの力は発揮できないし、RPAの方が向いているアプリケーションもある」(坂本氏)

実はもともとAnyflowでもクラウド型のRPAを作ろうと思っていたのだそう。しかしヒアリングを繰り返している内に「SaaSを使っている企業にとってはRPAだと仕様変更がボトルネックになる」と感じ、最終的に現在のiPaaSへと方向性をシフトした。

Anyflowは7月にベータ版をローンチ。これまでは約10社とPoCのような形で同サービスを使った取り組みを進めてきたが、今月からとあるマザーズ上場企業で有償導入もスタートしているという。

プライシングは連携できるSaaSの数に応じた月額モデル。現時点ではミニマムで3万円から利用できる仕様だ(3個まで連携可能)。

SaaS同士をつなぎ合わせ、より便利にSaaSを使えるように

国内ではiPaaSの認知度はそこまで高くないかもしれないが、海外ではむしろRPA以上にiPaaSのマーケットが広がっている。Salesforceが2018年に約7000億円で買収したMulesoftや日本でもちょこちょこ耳にするZapierを始め、プレイヤーの数も多い。

膨大な数のアプリケーションを連携できる海外の主要プロダクトに比べると、Anyflowで連携できるのはSalesforceやSlack、Googleカレンダーなど約10サービスとまだ少ない。ただし日本のSaaSや日本語のサポートに対応しているものは限られるため、まずは国内SaaSを中心に連携できるサービスを増やしながらプロダクトの機能強化と顧客獲得を進めていく計画だ。

国産のSaaSではfreee、Senses、Sansan、kintoneなどの対応を進めているそうで、直近では電子契約サービス「クラウドサイン」との連携もスタート。同サービスで契約締結されたらSalesforceに登録されている取引のフェーズを「契約締結完了」にしたり、締結した書類のPDFをGoogle DriveやDropboxに保存してバックアップを取ったりといったことを自動化できるようになった。

Anyflowは2016年にサイバーエージェント出身の坂本氏を含め、3人のエンジニアが共同で立ち上げたスタートアップ。最初の約2年間はグルメサービスなどC向けのプロダクトを開発するもなかなか上手くいかず、何度かチャレンジした末に現在のクラウドネイティブiPaaSに行き着いた。

「全員エンジニアだったこともあり、必要な時は自らコードを書いて作業の効率化や自動化を進めていた。初めてRPAの概念を知った時に『エンジニアがやっていることを民主化する』ような形で、コードを書けない人でも簡単に自動化できる仕組みがあれば便利だし、自分たちも得意な領域だと考えたのがきっかけ。ユーザー調査を進めていく上で『RPAよりもiPaaSの方が良いのでは』という結論に至り、今のAnyflowが生まれた」(坂本氏)

Anyflowのメンバーと投資家陣。左から3人目が代表取締役CEOの坂本蓮氏

同社はC向けのプロダクトを開発していた頃に赤坂優氏や堀井翔太氏、古川健介氏から資金調達を実施しているが、iPaaSへと方向転換してからは今回が初めての調達。まだ始まったばかりではあるものの「過去のプロダクトよりは手応えを感じている」そうで、先日開催されたIncubate Campでは総合1位も獲得している。

最近はTechCrunchでも日本のSaaSスタートアップのニュースを紹介する機会が増えてきた。今後このマーケットがさらに拡大すれば「SaaSをさらに使いやすくするプロダクト」としてAnyflowのようなiPaaSのニーズも増していきそうだ。