スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA

4月24日、日本人飛行士の星出彰彦氏ほから4人を乗せたSpaceX Crew Dragonが、再利用された宇宙船として初めての国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功しました。このCrew-2ミッションは、再利用されたFalcon 9ロケットによる初の有人ミッションでもあります。

また、ISSで星出飛行士を迎えた野口聡一らが乗り込んで打ち上げられたときにCrew Dragonに登場したのはNASAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の飛行士でしたが,今回はそれに欧州宇宙機関(ESA)の飛行士も加えた3機関の飛行士が同時にCrew Dragonに搭乗した初のミッションであり、初物づくしのミッションになっています。

なお日米欧の宇宙機関の飛行士が同時にSpaceXの宇宙船でミッションを行うのもこれが初めて。NASAにとっても20年ぶりのことです。さらに言えば、日本の飛行士が2名同時にISSに滞在するのは、2010年の野口飛行士と山崎直子飛行士以来の出来事です。

今回のドッキングでISSに搭乗した4人を加えて、現在ISSには11人の飛行士が滞在していることになります。これもまた、スペースシャトルが現役だったころ以来の人口密度。ただし、Crew-1ミッションでこれまでISSに滞在していた野口飛行士ら4人は、約6か月の滞在を終えて28日に地球へ帰還の途に就く予定。ISSは星出飛行士が船長に就任します。

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA TV

再利用宇宙船によるISSへの人員輸送成功は、民間企業による宇宙飛行がさらに一般的になってきたことを示すものです。SpaceXは、2022年1月には民間だけでの宇宙飛行ミッションAX-1を計画しており、さらISSへの人員輸送も、すでに2023年までの予定が組まれているとのことです。

ちなみに、JAXAのリリースによると星出飛行士のISS滞在中の任務としては「次世代水再生システム構築に向けた技術実証、筋萎縮予防に貢献可能なバイオ素材の有効性検証や細胞内の重力感知メカニズムに関する宇宙実験、船内ドローンロボットを使ったプログラミング競技会」などが予定されています。

(Source:NASAJAXASpaceXEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:Crew Dragon(製品・サービス)JAXA(組織)SpaceX / スペースX(企業)NASA(組織)Falcon 9(製品・サービス)

スペースXが再利用Dragon宇宙船での宇宙飛行士の打ち上げに初成功

SpaceX(スペースX)は米国時間4月23日の金曜日朝、Crew Dragon宇宙船の打ち上げと軌道投入を予定通り実施し、またしても有人宇宙飛行を成功させた。Crew DragonはFalcon 9ロケットに搭載され、米フロリダ州ケープカナベラルから東部時間4月23日午前5時49分(日本時間4月23日午後18時49分)に離陸した。搭乗したのはNASAのMegan McArthur(メーガン・マッカーサー)飛行士、Shane Kimbrough(シェーン・キンブロー)飛行士をはじめ、JAXAの星出彰彦、ESAのThomas Pesquet(トーマス・ペスケ)氏ら4名の宇宙飛行士である。

これはスペースXにとって、2020年のCrew-1に続く2回目のNASA向けの正式な宇宙飛行士輸送ミッションだ。Crew-1とは異なりCrew-2では、Crew-1の打ち上げ時に使用された第1段ブースターや、ペースXが初めて有人宇宙飛行を行った際に使用されたCrew Dragonカプセルなど、宇宙船システムのうちの2つの再使用部品が使用された。Crew DragonカプセルはNASA向けの宇宙船認証プログラムの最終デモンストレーションミッションで、Bob Behnken(ボブ・ベンケン飛行士、このミッションのパイロットであるマッカーサー飛行士はベンケン飛行士の妻)とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)飛行士をISSに送り込んだ。同社は再使用部品を使用することは新品部品を使用するよりも間違いなく安全であると指摘しており、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは4月22日の夜に行われたXPRIZEのPeter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)氏との会話の中で「工場から出てきた宇宙船の初飛行」には参加したくないと述べている。

Crew Dragonは目標とする軌道に到達し、これから24時間弱かけて国際宇宙ステーション(ISS)とのランデブーを実施する。そして翌日の早朝には、スペースXのもう1機のCrew Dragonが2021年4月初めにISSの別のポートに移動した際に空けられたばかりのドッキングポートに取り付けられる予定だ。

今回の打ち上げにはブースターの回収も含まれており、スペースXのドローン着陸パッドを使って海上に着陸した。このブースターはすでに2組の宇宙飛行士を搭乗させており、改修後にさらに別の宇宙飛行士を乗せることができる。

スペースXとNASAとのCommercial Crewプログラムは、NASAが研究や宇宙開発ミッションのためにより多くの民間企業と提携する動きの中でも、重要な成功例であり続けている。アポロ計画以来初めて月に人間を帰還させるアルテミス計画の有人着陸システムの開発に、NASAはスペースXを起用した。同社の有人宇宙飛行計画にとって次の大きなマイルストーンは、現在秋に予定されている民間人のみで構成されたミッションの初飛行だ。

関連記事:SpaceXとNASAが4人の宇宙飛行士を乗せた初の有人Dragon運用ミッションの打ち上げに成功

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXCrew DragonFalcon 9ロケットNASAJAXA

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「宇宙ビッグデータ米」が2021年中に販売予定、宇宙領域の天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が栽培着手

「宇宙ビッグデータ米」が2021年中に販売予定、宇宙領域の天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が栽培着手

JAXA認定の宇宙領域スタートアップ「天地人」は4月6日、スマート水田サービス「paditch」(パディッチ)を提供する農業ITスタートアップ笑農和(エノワ)、米卸大手の神明と協業し、「宇宙ビッグデータ米」の栽培に着手すると発表した。

現在日本の農業は、生産者の高齢化にともない農業就業人口は減少傾向にあり、今後の供給力が懸念されている。天地人と神明と笑農和の3社は、「米が足りなくなる」という共通の危機感を持っているという。そこで3社は、将来的なコメの生産増につながる農業施策として、宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクト「宇宙ビッグデータ米」を立ち上げ、栽培に着手するとした。

同プロジェクトは3社の強みを活かしており、以下の特徴を備えるとしている。

  • 地球観測衛星のデータを活用した天地人の土地評価エンジン「天地人コンパス」を採用。収穫量が増える圃場(ほじょう。農産物を栽培する場所)や、よりおいしく育つ可能性のある圃場を見つける
  • スマホで水管理を自動化できるpaditchを活用し、適正な水温・水量を維持することで、よりおいしい米を多く栽培する
  • 神明の直営店「米処 穂」で販売予定

宇宙ビッグデータ米の目的のひとつは、「気候変動に対応したブランド米をつくる」ことという。そのため、同タイミング同地域で「天地人コンパス」を使い見つけた圃場にpaditchなどテクノロジーを活用する方式と、従来方式とで栽培を行い、食味や収量などの比較を行う予定としている。

また近年、地球温暖化によって「高温障害」が多発しており、米の外観品質の劣化と食味の低下が懸念されているという。この問題に関しては、圃場選びや水管理で回避できると考えており、今回の栽培方法が有効かを実証する。

天地人は、JAXA職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙領域スタートアップ。天地人コンパスを使い、衛星データからビニールハウス内の作物に対する日射量を推定するプロジェクトや、キウイフルーツなどの作物の新規圃場の検討など、農業に関わるプロジェクトを実施している。

神明は、「私たちはお米を通じて、素晴らしい日本の水田、文化を守り、おいしさと幸せを創造して、人々の明るい食生活に貢献します。」の企業理念のもと、基幹事業である米穀事業に加え、無菌包装米飯・炊飯米などの加工食品の製造販売、水産品や青果流通への参入、外食事業の展開など、食に関わる多彩なビジネスを展開している。

笑農和は、「IT農業を通じて笑顔の人の和を創り社会に貢献する」を企業理念に掲げ、全国でスマート農業機器の販売と農業コンサルティングを展開。稲作工程中で最も時間と労力を使う「水管理」工程に着目し、スマホで水管理が行えるるpaditchシリーズを販売している。

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