脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

メガネの販売専門店チェーン、「JINS」を運営するジンズが、独自開発のセンサでまばたきや視線移動を計測できるウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」の新モデルを発表、JINS一部店舗(100店舗)、JINSオンラインショップ、Amazonが10月14日に取り扱いを開始します。

JINS MEME の初代は2015年11月に発売。研究開発に5年以上を費やした今回の新モデルは、分散して配置していた2つのセンサーとバッテリーを小型化しつつ、すべてノーズパッド周りに集約することで、軽量化に成功。これまで以上に“メガネ感覚”で楽しめそうです。

度付きレンズを含む価格は1万9800円(税込)。求めやすくなったのも旧モデル(4万2120円)からの改善点です。

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

JINS MEME 旧モデル

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

JINS MEME 新モデル

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

旧モデルに比べてフレームやカラーバリエーションが増えた

JINS MEME の特徴は大きく3つあります。まず1つ目は眼球の動きにより生じる電位差を3点式眼電位センサーが計測し、まばたきの強さと速度、まばたきの間隔、視線移動の速さから脳の状態を分析できること。

2つ目は3軸方向(x・y・z軸)の加速度を計る加速度センサーと、ジャイロセンサーを組み合わせ、身体の姿勢を計測できること。

そして3つ目は計測したデータをBluetooth経由でスマホに転送し、専用アプリで可視化してくれることです。具体的には、姿勢の状態、前後左右の傾きの角度をリアルタイムで表示したり、姿勢や歩行の状態やスコアを集計したりできます。

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円
単に“データを可視化”するだけでなく、身体と精神のバランスをうまく保てるような機能をアプリに搭載。具体的にはストレッチやヨガ、瞑想の正しいやり方を指導してくれるほか、姿勢が悪く緊張しているときに通知してくれる機能などを備えます。

なお、同アプリはiOS版が先行配信され、Android版は11月に登場予定。初年度は無料で使えますが、2年目以降は月額500円か年額5000円の追加料金がかかります。

また、カメラによるモーションキャプチャーを使わず、取得したデータを活用してユーザーのアバター動画を作れるiOS向けアプリ「VTUNER」(11月下旬ローンチ)も発表。同社いわく、かんたんにダイナミックなアバター動画を作成できる、とのことです。

このほか、同社は10月6日の記者会見で、頭の動きやまばたきの情報を基に、PCやスマートフォンといったデジタルデバイスを操作できる構想を掲げ、「JINS MEME CONTROLLER」として研究開発を進めていることも明らかにしました。

昨今のコロナ禍で在宅時間が増えるとともにリモートワークが浸透し、デジタルシフトに向けた各界の動きも活発化しています。テクノロジーで心身ともに健康でいられる──というメッセージ性が強く具体化されたのが JINS MEME 新モデルだと筆者は考えます。

(Source:JINSEngadget日本版より転載)

東北大の川島隆太教授が「Google Glassなんて3日で飽きる」と語ったワケ

5月に発表されたジェイアイエヌのメガネ型のウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズミーム)」。その機能や会見の様子はすでに当日の記事で紹介した。話を聞いてから少し時間が経過してしまったが、ここでは当日の展示会場で東北大学 加齢医学研究所の川島隆太教授に聞いた話を紹介したい。川島氏はジェイアイエヌに打診されて、4年前からJINS MEMEの開発に協力してきた。

僕はGoogle GlassやOculus Riftを初めて使ったときにやっぱり感動したし(普段メガネをつけていることもあって、正直それより重いデバイスの常時利用には慣れがな、とは必要だとは思ったけど)、もちろん川島氏の考え方だけがすべてではないと思う。ただ川島氏の声は、ウェアラブルデバイスやIoTといったテーマに注目が集まっている今、本当に必要とされ、利用されるデバイスがどんなモノなのかを考える1つのヒントになるのではないだろうか。

–最大のポイントは3点の眼電位のセンサーなのでしょうか。(眼電位は、角膜と網膜の電位差のこと。眼電位を計測することで、目の動きをモニターすることができる。これまで4点の測定が必要なセンサーば一般的だったが、JINS MEMEでは3点のセンサーを開発することで、通常の「メガネ」の形状にセンサーを収めることができた。詳細は過去記事を参考にして欲しい)

今までは眼電位センサーが4点あり、電圧の変化を計測しやすかったんです。ですが、JINS MEMEではあくまで「普通のメガネ」にどうセンサーを入れ込むかという点に技術屋は燃えました。もちろん電池もトランスミッターも一次解析装置もこの(JINS MEMEの)中に入れています。

半導体はオリジナルで設計しています。当然国内のものです。一番難しかったのは電池を小さくすることでした。電池(を取り出して)の交換は考えていません。非接触で充電できるようにします。データの吸い出しはUSBで実現しています。

まだまだ日本の技術ならいろいろ入れられると思うんです。(36グラムのJINS MEMEを持って)これでもまだまだ不満です(笑)

—2015年の発売ということですが、製品としてすでに完成形していませんか。

BtoBtoCで提供するのであれば、家電と同じで「誰でも使える」というものでないといけません。BtoBであればこのままでもいいでしょう。タクシー運転手やドライバーに使ってもらう、という姿はもう想像できます。ですが、もっともっと安定性を求めないといけません。

—あえて改善する点を挙げるとすればどこでしょうか。

もっとバッテリーが入ればいいですよね。ここ(フレームの細い部分を指して)に入ればなおいい。日本の技術に期待したいですよね。

–ジェイアイエヌから川島さんにメガネの製作に関する打診があったのは4年前ということでしたが、当時から同じような姿だったのでしょうか。

僕は脳のセンシングに関する研究をずっとやっていて、ウェアラブル領域には満足していたんですよ。ですがJINSさんがどうしてもやりたいと言っていて、だったらメガネにデバイスを入れ込もうとなりました。

最初2年はメガネで何ができるかをずっと考えていました。アイデアに費やしました。最初は(ジェイアイエヌから)「頭をよくするメガネ」というテーマを言われたのですが、陳腐なアイデアしか出なかったんですよ。そこで発想転換して、「メガネじゃなきゃだめなものはなにか」と考えるようになりました。

—会見ではGoogle Glassのカメラのように、自然に身に付けるモノではなく、あえてつけるような装置は利用しないのではないか、と語っていました。

国の方針でビッグデータ解析を医療分野にも持っていくという流れがあり、国費も投入されていいます。そこで何か人に身に付けさせようと皆さん考えるんですが、うまくいかないと思います。

(川島氏を取り囲んでいた記者に向かって)皆さんGoogle Glassをかけますか? あれは本当に好きな人しか掛けないですよ。あれをみんながかける世界が来ると信じていたらあの会社(Google)は潰れる、くらい思っていいます。

だからこそ、普段必ず使う物の中にセンサーが入っていて、自然な生活の中でセンシング情報がたまっていって、その情報を健康なり何なりに使えるということが重要です。そういう物は今までありませんでした。

その点ではメガネは日本人には合っている素材です。これをBtoBtoCに展開できれば、面白い世界が待っていると思います。1年先に販売して広がると、情報科学分野の先生たちが一気に業界に入ってきていろんなこと——情報を我々の生活からキャッチアップしていくと——少し今とは違った世界になるでしょうね。

あとは、頭の加速度センサーのほうが、商売の可能性があると思っています。スポーツをやっている人って頭の動きをすごく気にするんです。一流のアスリートは頭が動かない(ブレない)んですよ。ではそれを今までどう測っていたかというと、モーションキャプチャーで数千万円かけないといけなかったんです。

JINS MEMEが出ると、数万円で自分の頭の動き、パフォーマンスなどを知ることができます。2020年のオリンピック市場も狙っていたりするんですよ。

–通信について教えて下さい。また会見では将来は老人の見守りなどに利用したいという話もありました。

今は汎用性が高いのでBluetoothを採用しています。カーナビとも直結しますし。将来的には、同意した人の情報をBluetoothでスマートフォンに飛ばして、どこかに持っていくということもできるでしょう。ただしそこはJINSでやるのではなく、公的機関や医療サービスを提供する事業者がやるのかもしれませんが。

今、本気で考えているのは認知症の対策です。認知症の方は歩行がすごくぶれるんです。では認知症のどれくらい前からそういう症状が出るのかが分かれば、その疑いが出たときにすぐに病院で見てもらって治療する、もしかしたら予防も実現するかもしれません。

—開発パートナーについて教えて下さい。

知っていますが、名前を挙げていいか分からないんでJINSさんに聞いて下さい(笑)

—例えばJINS MEMEに震える、光るといった機能を入れることは考えていますか。

フィードバックをメガネでやるのかという話です。スマートフォンでいいのではないかと考えています。重量も増やしたくありません。

Google Glassみたいにここ(目の前)にディスプレイがあるというのは、生活に支障を与えます。不自然なことはしたくない。あくまで自然の中でデータを計測して、自然に(情報や反応を)返すことが大事だと思っています。

–価格はいくらくらいでしょうか。

そんなに馬鹿高くはならない、お小遣いで買える額にできないかとは考えています。

—Googleは、コンタクトレンズにカメラを埋め込むという試みにも挑戦するようです。

それができたら面白いですね。ただコンタクトレンズ上で電子部品を走らせるのは少し怖いところがあります。角膜は再生しません。

今お話ししながら考えたのは、センシングのためのデバイスではでなくて、コンタクトレンズにコイルか何かを入れて、アンプ機能を持たせることはありえるかもしれません。ですが、それは「あえてつける」になってしまいますよね。そうなるとつけませんよ。Google Glassだって、買ったって本当に好きな人以外は3日で飽きちゃいますよ。


「人機一体」こそウェアラブルの本質–JINSがまんま”メガネ”の新デバイス「JINS MEME」を2015年春に発売

 

 

Google Glassの登場以来注目を集めるメガネ型のウェアラブルデバイス。「JINS」ブランドでアイウェアを展開してきたジェイアイエヌもその領域に参入することを明らかにしたが、そのコンセプトはこれまで発表されてきた製品とは一線を画すようだ。同社は5月13日に記者会見を開き、次世代戦略商品となるアイウェア型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」を発表した。2015年春に国内での発売を開始する。

これまで「PC向け」「花粉対策」など、視力矯正以外の「機能性アイウエア」を世に送り出してきたジェイアイエヌだが、4年前に東北大学 加齢医学研究所の川島隆太教授に打診し、新しいアイウェアの可能性を探ってきたのだそうだ。ジェイアイエヌ代表取締役社長の田中仁氏は会見で、これまでのアイウェアが「外を見る」ための役割であったことに対して、JINS MEMEが「内を見る」ためのものだと説明する。

JINS MEMEは、三点式の眼電位センサーと六軸の加速度、角速度センサーを備える——といっても、センサーは少し太めのフレームに収められている。Google Glassのようにモニターがついているわけでもなく、メガネそのものとほぼ変わりないと言っていい——ウェアラブルデバイスだ。ウェリントン、ハーフリム、サングラスタイプの3種類のモデルを用意。ウェリントンタイプで重量約36グラムとなっている。僕も実際にデモ機を掛けてみたが、通常使用しているメガネ(フレームが太くて多少重く感じていた)よりも軽い付け心地だった。通信にはBluetooth 4.0を採用する。バッテリー内蔵で連続8時間の使用が可能。メガネのフレームを延長して頭部をカバーするヘアバンドのようなアタッチメントパーツを取り付ければ、約16時間までの利用が可能になるという。非接触での充電に対応する予定で、蓄積されたデータを送信するためのUSBポートも備える。価格は現状非公開だが、「JINSが作る商品なので、皆さんの手の届かない物ではない」(田中氏)とのことだ。

注目はこの眼電位センサーだ。眼電位とは、角膜側が正、網膜側が負の電荷をそれぞれ帯びているのだが、その電位差のことをいう。眼電位を計測することで、目の動きをモニターすることができたのだが、これまでの技術では目の周囲に4点のセンサーをつけないと計測ができなかった。今回JINS MEMEでは、眉間、鼻パッド部分の3点のセンサーを開発。これによって通常のメガネとほぼ同じ形のデバイスを実現したという。センサーは9方向とまばたきを検知可能で、現在特許出願中。センサーやセンサーを利用した各種の技術は、川島氏をはじめ、芝浦工業大学 工学部電子工学科の加納慎一郎氏、慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科の稲見昌彦氏らと協力し、産学連携で技術を開発しているという。バッテリーや回路でも国内メーカーと連携しての開発を進めているということだが、その詳細については、非公開とされた。各種センサーや産学連携で開発する技術により、目の向いている方向から姿勢や疲れ、眠気などの個人の詳細な身体データ(DEEP DATAと呼んでいた)を可視化できるようになるという。

会見では、ビジネス、ドライブ、フィットネスという3つのシーンでの利用イメージが紹介された。JINS MEMEでは眠気や疲れを「me」という独自の単位で測定する。この数値が高ければ元気で、低ければ疲れているということだ。例えばビジネスシーンやドライブシーンでは、数値が低くなれば連動するスマートフォンアプリでアラートを出してくれる。また頭に加速度センサーがつくことで、フィットネスのシーンでもリストバンド型のデバイス以上の精度で姿勢も含めた健康状況を図ることができるといった具合だ。ドライブ分野ではすでにデンソーと慶應義塾大学メディアデザイン研究科との産学協同での研究を進めることが決定しているという。また順次APIも公開し、開発者らとオープンなプラットフォームを作っていくとしている。ちなみに以下の動画は、会見で実際に行われたデモ。目線を左右に動かすことで、その動きに合わせて画面をスクロールさせている。

田中氏はJINS MEMEについて「内側を見るデバイス」と語ったが、同じく会見に登壇した川島氏や稲見氏も、これまでのアイウェア型ウェアラブルデバイスのあり方に疑問を投げる。川島氏はそもそも人間がGoogle Glassのカメラのように、「あえてつける装置」を利用しないのではいかと語り、稲見氏は「メガネ型のスマートフォンやカメラがウェラブルなのか? 無意識の行動を把握してサポートする『人機一体』、これがウェアラブルの本質的な意義ではないか」と語った。もちろんGoogle Glassや開発中のTelepathyのデバイスなど、モニタまでを搭載したデバイスとJINS MEMEを同じように考えても仕方ないのだけれど、ウェアラブルデバイスにまた1つの可能性が生まれたのは事実だろう。現時点ではパートナー向けの施策など詳細は明らかにされなかったが、ほかのデバイス同様、今後の展開を楽しみにしたい。

右から稲見氏、田中氏、川島氏