アップルの取締役会にジョンソン・エンド・ジョンソンのCEOが参加

Apple(アップル)は、Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の会長兼CEOであるAlex Gorsky(アレックス・ゴルスキー)氏が同社の取締役会に加わったことを発表した。ゴルスキー氏は、2022年1月に予定されているJohnson & JohnsonのCEOとしての退任に先立ち、Appleの取締役に就任した。また、Appleがヘルステックにより注力している時期とも一致する。

Appleは、何年もの間iOSやWatchOSに健康に特化した機能を数多く投入するなど、健康とウェルネス分野への野望を公にしてきた。ゴルスキー氏をガバナンスチームの一員として起用したことは驚くべきことではない。

AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOは、プレスリリースの中でこう述べた。「アレックス(・ゴルスキー)は、長年にわたりヘルスケア分野で先見性を発揮し、その卓越した洞察力、経験、テクノロジーへの情熱を、人々の生活を改善し、より健康的なコミュニティを構築するために注いできました。彼のリーダーシップと専門知識から、私たち全員が恩恵を受けることになるでしょう」。

ゴルスキー氏は、1988年にJohnson & Johnsonに入社し、2012年にCEOに就任した。Appleは、同氏は在任中イノベーションとテクノロジーを重要な優先事項とし、医薬品、医療機器、コンシューマーヘルス分野の未来を形作るための投資を行ってきたと述べている。

ゴルスキー氏はプレスリリースで、次のように述べている。「テクノロジーには人々の生活を向上させ、より健康的なコミュニティを生み出す可能性があるというAppleの信念を、ずっと共有してきました。Appleの取締役会に加わり、私たちの生活を助け、向上させるために絶えず革新を続けている価値主導の企業の一員となることを光栄に思います」。

画像クレジット:Steven Ferdman / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

米国が1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチン緊急承認、通常の冷蔵庫で保管可能

FDAが1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンを緊急承認、通常の冷蔵庫で保管可能

Leah Millis / reuters

米食品医薬品局(FDA)は、ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発した1回の接種だけですむ新型コロナウイルス用ワクチンに緊急使用許可を出しました。これは米国ではモデルナ、ファイザーに続いて3番目に認可された新型コロナワクチンで、通常の冷蔵庫で保管できます。

先発のモデルナおよびファイザー製新型コロナワクチンは、いずれもmRNAと呼ばれる種類のワクチンで、ウイルスの一部の遺伝物質を体内に直接送達する仕組み。ただし、遺伝子の構造が破壊されやすく、保管温度がマイナス20℃(モデルナ)、または−75℃(ファイザー)と指定されています。そのため、医療施設には専用の保管用冷蔵庫が必要となり、運搬時の温度管理をどうするかといった課題があります。またどちらも2回の接種が必要とされます。

これに対し、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは英アストラゼネカのワクチンと似た種類を採用、不活性化した風邪ウイルス(26型アデノウイルス)に新型コロナの遺伝子を挿入したウイルスベクターワクチンで、1回の接種で完了するうえに、通常の冷蔵庫に保管が可能と手間と管理コスト両方にメリットがあるのが特徴です。米国、南アフリカ、ブラジルで行われた治験では、85%の重症化予防効果があり、中程度の症状も66%を予防できたとされます。FDAが出した緊急使用許可は、米国の18歳以上を対象とします。

先発2社のワクチンは予防効果が約95%と言われており、その点でジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンの効果が低いとする声も一部にはあるようですが、CNNは専門家の意見としてジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは治験が伝染性が高いとされる変異種も含む状況で行われたためとの見方を示しました。そして米国でも春頃から変異種の感染が急増する可能性があると指摘。「今日ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンが打てて、明日モデルナのワクチンが打てるなら、待つ必要はありません。今日打つ方を選ぶべきです」との言葉を伝えています。

ちなみに、日本では2月17日から医療従事者を対象としてワクチンの先行接種が始まったばかり。3月1日にはファイザー製ワクチンの第3便が到着する予定で、第1便から数えると合計で68万人(x2回)分が到着するとのこと。今後は国内の医療従事者470万人に順次優先接種が行われ、高齢者も含めてそれぞれ2回接種可能な分のワクチンを全国に分配する見通しです。

また、アストラゼネカは日本政府との契約のもと厚生労働省にワクチンの日本国内生産を申請しており、承認され次第、最大9000万回分を国内から供給する予定です。一方で、他の製薬会社による日本独自の国産ワクチンの開発も進められてはいるものの、こちらは輸入(国内生産含む)ワクチンの接種が本格化すれば臨床試験の実施が難しくなる可能性も考えられ、いつ頃実用化できるのかはまだわかりません。

(Source:FDA。via:Ars Technica。Coverage:CNNBBCNikkeiEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Johnson & Johnson(企業)新型コロナウイルス(用語)米食品医薬品局 / FDA(組織)ワクチン(用語)アメリカ(国・地域)

1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンは米国で3月に配布開始の見込み

Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の子会社であるJanssen Pharmaceuticals(ヤンセン・ファーマシューティカルズ)が作った単回接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを配布開始する準備がほぼ整った。同社は第Ⅲ相試験のデータに基づく有効性報告書を発表したばかりで、この新しいワクチンが新型コロナ感染症の中等度から重症化の予防には全体で66%、重症化の予防には85%の有効性があることを明らかにした。

これらの数字は、すでにFDA(米国食品医薬品局)の緊急使用承認を受けて配布が始まっているModerna(モデルナ)やPfizer(ファイザー) / BioNTech(ビオンテック)が開発したワクチンの報告されている数字(どちらも90%以上の有効性が報告されている)に比べると印象的ではない。しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、2回の接種が必要なく、1回の注射で済むため、はるかに簡単かつ早く配布することができるはずだ。このワクチンはまた、接種後28日目には、試験参加者の入院や死亡を100%防ぐ効果を示しており、これは新型コロナウイルスが保険資源に与える影響を考える上で重要な指標となる。有効性は地域によって異なるが、米国では中等度および重度の症例では72%の有効性が証明されたのに対し、世界全体では66%だった。

Johnson & Johnsonの第Ⅲ相試験が、英国や南アフリカで確認された変異種のように、より感染力の強い新種のウイルスが出現している中で行われていることも重要だ。ModernaやPfizer / BioNTechが試験データを発表した時点では、これらの変異種はまだ見つかっていなかった。

Johnson & Johnsonのワクチンは、改変した風邪ウイルスの一種(アデノウイルス)をベクター(運び手)として使用し、人の体に、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)が人の細胞に付着するために使用するスパイクタンパク質の複製を構築する指示を出す遺伝子情報を送達する。この改変されたアデノウイルスは、人間の細胞内で複製することはできず(病気にならないという意味)、免疫反応が起こるだけで、これが後に新型コロナウイルスの感染を抑える抗体を作り出す。このアデノウイルス法は、現在使用されている他のワクチンが採用するmRNA法と比べると、人での使用という点では、はるかに実績がある。

つまり、ModernaやPfizerのデータと比較すると、数字の上では物足りないように見えるものの、ジョJohnson & Johnsonの報告は、実際には非常に勇気づけられるものであるということだ。同社によると、2021年2月にはFDAに緊急使用承認(EUA)の要求を提出する見込みで、翌月2021年3月には配布が可能になると予想されるという。世界的な感染と戦うための武器が、また1つ加わることになりそうだ。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Johnson & Johnson新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Thiago Prudêncio/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)