“DXの鴻海”目指すKaizen Platform、NTTアドと企業のDXを支援する合弁会社設立

企業のDXを支援するプラットフォームを手がけるKaizen Platform(以下 Kaizen)は4月1日、エヌ・ティ・ティ・アド(以下 NTTアド)とともにDXプランニングやDXコンサルティングを行う新会社・DX Catalystを設立した。

新会社は両社による合弁会社となり、NTTアドが51%、Kaizenが49%を出資する。両社の強みを活かしながら、デジタルを活用した顧客体験の改善と企業の事業成長を支援していく計画だ。

なおNTTアドは2019年1月にKaizenへ約5億円を出資済み。今回、同じく既存株主であるNTTドコモ・ベンチャーズからKaizenの株式を4月1日に追加取得し、資本提携を一層強化したことも明らかになった。この株式譲受により、NTTアドではKaizenの株式の7.3%を保有することになる(譲受前は4.2%)。

両社では2019年1月に資本業務提携を締結して以降、共同でNTTグループ内のWebサイトにおけるコンテンツの動画化、5Gを見据えた動画中心のマーケティングソリューションの開発などに取り組んできた。資本提携の強化や合弁会社の立ち上げは、今後NTTグループ自体がDXを推進していく中でそれを支えるだけでなく、より手厚く外部企業のDXをサポートすることが目的だ。

Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏によると、ここ1〜2年ほどでプロダクトの機能拡張とともにエンタープライズ企業からのDXに関する相談がかなり増えているそう。今回は新会社設立にも繋がる、同社の直近のアップデートや今後の方向性について話を聞いた。

なお、あらかじめ開示をしておくと、僕は2014年から2015年にかけてKaizenで学生インターンとして働いていたことがある。

2つの軸で企業のUXを改善

現在kaizenでは大きく2つの事業を展開している。1つがWebサイトのUI改善やパーソナライズ機能の実装によって顧客体験を改善できる「Kaizen Platform」。そしてもう1つがクリエイターネットワークを用いた動画制作プラットフォームの「Kaizen Ad」だ。

Kaizen Platformは同社が初期から手がけるサービスで、ざっくり言えばSaaS型のツール(KAIZEN CLOUD ENGINE)とUX改善をサポートするクラウドソーシング型の外部チーム(KAIZEN TEAM for X)を組み合わせたもの。Webサイトにタグを設置するだけでUX開発環境を構築でき、その上で約1万人のグロースハッカーの中から自社に合った人材にサイトの改善を依頼できる。

当初はA/Bテストツールの色が強かったが、顧客のニーズに合わせてパーソナライズエンジンなど機能を拡張してきた。

そしてもう1つのプロダクトが2017年6月にローンチしたKaizen Ad。これは独自の発注システムと外部のクリエイターネットワークによって「1本5営業日、5万円から」動画を制作できるサービスだ。

須藤氏によると元々は動画広告のニーズを想定して立ち上げたが、5G時代を見据えて既存のバナーやサイトのLP、紙のチラシやパンフレットなどさまざまなコンテンツを動画化したいとの声が多く、広告以外でも幅広い用途で使われているそう。動画自体の注目度が上がっていることもあり、1年前と比べて事業も約3倍に成長しているという。

大企業におけるIT部門とビジネス部門の課題

前回紹介した2017年12月のシリーズCの頃と比べてもkaizenの基本的な部分は変わっていないけれど、プロダクトの機能拡張とともに顧客層も広がってきた。特に近年は製造業や金融を始めエンタープライズ企業のDX支援のニーズが拡大しているという。

背景にあるのは、特に大企業のIT部門とビジネス部門が直面している課題だ。須藤氏の話ではエンジニア不足の影響もあって、IT部門はほとんどの時間を「既存システムの保守運用」に使っている。そのためビジネス部門からの「こんな施策をできないか」という要求に対応しきれないのだそうだ。しかも他社との差別化を図るため要求の高度化・増加が進み、両部門のギャップは広がっている。

「そんな状況においてビジネス部門の現場では『基幹システムを触ったりする必要のある重たい施策は難しいので、まずはフロントエンドでできることをやりたい』というニーズが生まれている。そこにkaizenのソリューションが上手くはまった」

「kaizenの場合はタグを入れるだけでサイトのUI改善やパーソナライズができ、しかも外部のメンバーとチームを作ってスピーディーに施策の実行まで繋げられる。当初から第三者のグロースハッカーがしサイトを触る前提だったので、セキュリティやQA、インフラの強化に取り組んでいたことも大きかった」(須藤氏)

結果的にエンタープライズのDXプロジェクトのPoCがどんどん増え、金融機関のログイン後のUX改善などでも同社のサービスが使われているそう。事業全体として累計の取引社数は500社を突破し、顧客単価もかなり伸びているようだ(既存サービスのA/Bテストやグロースハックなどと比べると、DX案件は平均単価が3〜4倍とのこと)。

「レガシーなシステムを変えるのは大変だけど、タグを入れるだけで出来るならやりたいとの声を受けて始まった。たくさんの案件をやっていく中で、IT部門に頼むとどうしても時間がかかってしまう、組織内で人材を確保するのは難しいので外部のチームを作りたいといった悩みやニーズに気づいた。自分たちから『DXやるぞ!』とやってきたわけではなく、顧客の相談を受けてそれに対応してきた形だ」(須藤氏)

意識しているのは「DXの鴻海」

DXはかなり抽象度の高い言葉で、使われ方によっても微妙に意味が異なるけれど、kaizenにおけるDXとは「デジタルを活用して優れた顧客体験を提供することで、事業自体を成長させること」。

たとえば従来は売り切り型のビジネスをしていた企業が、サブスク型のモデルにも挑戦しようという動きが徐々に増えているが、そこでは良いものを作るだけでは十分ではなく、デジタル上で良い顧客体験を提供できなければならない。顧客体験を改善することが継続率を高めることにも繋がり、事業成長にもダイレクトに影響を与えるからだ。

今やビジネスモデルや事業の構造自体もデジタルを活用しながらアップデートしていく必要が求められている時代であり、そのサポートができるプロダクト・プレイヤーには大きなチャンスがある。

特に現在は「GAFAがさまざまな業界を変革する時代になり、多くの企業で今のままではマズイという危機感が高まっていること」と「スマホやタブレットが業務の中で使われるようになったこと」から、デジタルと遠かった業種・業界でもDXのニーズが高まっている状況とのことで、kaizenとしてもそういった企業の課題解決を進めていくことになる。

今後の戦略について聞いている中で興味深かったのが「DXの鴻海(ホンハイ)のような存在」を狙っていくという話。須藤氏の中では「鴻海はある意味製造業におけるAWSのような位置付け」と捉えているようで、今後DXが広がっていく上でも同じような役割が求められるという。

「5G時代の製造ラインはクラウド上のソフトウェアやプラットフォームになり、そこにたくさんの人が参加して活躍する時代がくるのではないかという仮説を持っている。要はデジタルプロダクトの組み立てやDXのクリエイティブな仕事のクラウド化、分散化が進むということだ。実際kaizenで活躍するグロスハッカーの8〜9割は東名阪以外のエリアに住んでいて、その現象が加速している」

「DXをしたいと思った時に、1番足りないのは人材。DXを推進できる人材や必要な機能が備わっているプラットフォームを色々な会社に提供できれば、さまざまな業界を良い方向に変えていくことにも貢献できると思っているし、プラットフォーム上で仕事を受けてくれる人にとっては新しい仕事や機会を生み出すことにも繋がる」(須藤氏)

NTTアドと連携強化で大企業の課題解決加速へ

今回NTTアドと合弁会社を設立したのも、より多くの企業をサポートすることが目的。冒頭でも触れた通りNTTアドとkaizenでは共同でNTTグループ内のDXを支援してきたが、今後は新会社を通じて両社の強みを活かしながらグループ内外のDXニーズに応えていく方針だ。

「DXの課題解決をしていると、自分たちだけでは解決できないことが山ほどある。そのための企画を片手間でやるよりは、そこに特化した会社を作った方がより効果的なサポートができると考えた。実行の部分ではkaizenのソリューションを使っても良いし、他のスタートアップのプロダクトとのコラボもありえる。それらを組み合わせながら大企業のDXのお手伝いをしていきたい」(須藤氏)

Kaizen Platformが5.3億円調達し、動画広告の改善サービス強化へ

WebサイトのUI/UX改善サービスなどを提供するKaizen Platformは12月13日、SBIインベストメント電通イノベーションパートナーズみずほキャピタルYJキャピタルを引受先とした第三者割当増資を実施し、総額5億3000万円を調達した。これにより、同社の累計調達金額は26.3億円となる。

Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏

Kaizen Platformは、Webページのデザインを改善することで各種KPIを上げていくというサービスを提供している。一般のA/Bテストサービスでは、コンサルやSlerなどが専用のツールを利用してUI/UXの改善を目指す一方で、Kaizen Platformでは、「グロースハッカー」と呼ばれるスキルを持った個人から改善案を集め、その効果を比較しながら継続的に改善していくという、クラウドソーシングに近いモデルを採用している。

現在、グロースハッカーの人数は5000人以上。Kaizen Platformを利用する登録企業ユーザー数は300社を超える。前回の資金調達の際にTechCrunch Japanが取材した2016年2月時点では企業ユーザー数が170社ということだったから、Kaizen Platformはこれまでも順調に成長を重ねてきたようだ。

Kaizen Platformが今回の資金調達を実施した目的は、動画広告の改善サービス事業を強化することだ。同社は2017年6月、WebサイトのUI/UX改善のノウハウを動画広告に応用した「Kaizen Ad」を発表している。これは、従来のKaizen Platformと同くグロースハッカーたちから集めた改善案によって動画広告の配信から効果検証までPDCAを回していくというサービスだ。

Kaizen Adによる動画広告の改善例。写真はバンダイナムコのゲームタイトル「テイルズ オブ ザ レイズ」の北米向け広告

Kaizen Platformは電通デジタルと業務提携し、このKaizen Adを利用したソリューションパッケージ「P動CA」を提供していたが、これが一定の成果を得たことから資本業務提携を結び、動画広告を改善するクリエイティブ人材のマーケットプレイス事業を加速していくという。それにしても、「P動CA」というネーミングセンスは素晴らしい。一度聞いたら忘れられない。

Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏は今後の展望について以下のように語る:

「クリエイティブ人材のパフォーマンスや実績を可視化し、付加価値を高めるクリエイティブ人材が健全に評価されるマーケットプレイスを広げていくことで、21世紀の新しい働き方と雇用の創出という当社のビジョンの実現に向けて邁進していく」。

Kaizen表彰式でグロースハッカーたちが「ビフォー・アフター」事例3つを解説

Web上でビジネスを展開する事業者のWebページを改善してコンバージョン率や売上向上に貢献する「グロースハッカー」を2900人ほどプラットフォーム上に抱えるKaizen Platformが、2015年につづいて2回目となる表彰式「Japan Growth Hacker Awards 2016」を2月23日に東京・渋谷で開催した。表彰式では、実際に大きくKPIが改善した3つの事例をビフォー・アフター形式でグロースハッカーたちが解説する場面があった。実際現場のグロースハッカーたちは、どんな画面をどう改善しているのだろうか。TechCrunch Japanの読者にもPC/モバイルともWebページを担当する人が多いだろうから共有したい。

作り手の思い込みを排除せよ

1つ目の事例は、クレジットカードのゴールドメンバーへの会員登録を促す以下のようなページ。何がマズいか分かるだろうか?

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このページの改善に取り組んで、1回目の改善でコンバージョン率を24%、続く2度目の改善でオリジナルに比べて48%という改善オファーを提案したグロースハッカーの牧野健太郎氏(スプリットエンジン代表)は、主に以下が問題だと指摘した。

・メインビジュアルがAmazonギフト券プレゼントとなっているが、果たしてアメックスのゴールドカードの対象顧客がほしがるのものだろうか?
・申し込みボタンが3つ並んでいるが、どれが何のボタンか分からない
・ゴールドカードのページにしてはステータス感がない

という3つ。牧野氏がこの疑問を解消するために行った改善結果の「アフター」が次の2つ。

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申し込みボタンを分かりやすくしたほか、黒とゴールで高級感を出す配色にしてある。さらに、Amazonギフト券の扱いを小さくしている。ゴールドカードを使う層は「たくさん買い物する人なので初年度だけのお得感より継続的なメリットを訴求するほうがいいと考えた」(牧野氏)ことから、永久不滅ポイントが溜まるというメッセージに変更するなどしているそうだ。

「年会費初年度無料は申し込みボタンのそばに置いた。迷っている顧客の背中を押せればと考えた」など改善の1つ1つに理由があるが、最も大切なこととして、「作り手側の思い込みを排除することが、ユーザーにとって分かりやすいサイトを作ることになる」と話した。

情報の取捨選択をユーザーにさせると離脱する

事例の2つ目は「@nifty転職」だ。改善前のページを画面に表示しつつ説明を始めたグロースハッカーの片岡彩子氏は「ビフォー」のUIについて手厳しい。「良かれと思って、いろんな情報が載っていますが、PCと違って見てる間に疲れてしまうんです」

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ページを下まで見たときに条件変更できないなど使い勝手が悪い面もある。そこで必要最小限に絞って次々に転職情報を見比べられるようにした「アフター」の画面が以下。

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かなり大胆に情報を削ったことが分かる。一覧には案件ごとの最小限の情報だけを載せて、アクションボタンを1つに絞った。これによって詳細ページへの遷移率が15%向上したのという。

「話しを聞いてもらえるものだと思って情報を載せてしまいがち。取捨選択をユーザーにさせてしまうほど情報を載せると離脱に繋がります」

ユーザー視点に立てるのは初見のときだけ

事例の3つ目は派遣スタッフサービスの「オー人事」。スタッフ登録ページは「振り分けページ」とも呼ばれているそうで、派遣スタッフの登録には、説明会に行く方法とオンライン登録の2つの方法があるという。以下がその「振り分け画面」の「ビフォー」だ。

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グロースハッカーの北古賀紀行氏の評価は厳しい。というより、初見の違和感をストレートに口する。まず、似たボタンが3つあって良く分からない。その上、初めて登録に来たユーザーにしてみれば2通りの方法があるという業界慣行すら分からないのだから、もっと簡単に分かるようにしないとダメだという。北古賀氏が改善した結果が以下だ。

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「スマホの場合はファーストビューはすごく大事。そこでボタンが見えるのは大事です。一方で、こんなメリットがありますよと、どんどん情報を入れたくなりますが、間違ってもここをクリックして『詳細はこちら』なんてやっちゃダメですよ」という。ボタンを分かりやすくして無駄を省いたことで登録率は12%アップしたそうだ。

「ユーザーの視点に立つということを良く言いますが、実際はなかなか立てません。唯一立てる瞬間はファーストインプレッション。初見のときだけです。だから私は8割方は初見で『あれっ』と思った点について改善のオファーを作っています」(北古賀氏)

実はセオリーで改善できるのは最初だけ

3つの事例を紹介したグロースハッカーは、それぞれデザイン事務所やウェブ制作会社を運営している人々で、今回表彰を受けたグロースハックのプロだ。そのプロたちに少し立ち話をして話を聞いたのだけど、事例紹介で指摘したような分かりやすい改善ができるのは最初だけ。基本的には個別事例について仮説を立てて、結果を見ながら地道に改善を繰り返していくというのを日々行っているそうだ。高額商品か低額商品かでユーザーの行動は違うし、ターゲット層の違いでも全然最適化は違う。実は仮説が正しいかどうかは、実際にA/Bテストしてみないとグロースハッカー自身にも分からないことが多いそうだ。一方で、今でも基本的なレベルで改善すべき点が多々あるWebサイトも多い、とは北古賀氏の指摘。特にPC向けに最適化はしていてもモバイルでは落第というサイトが多いという。

Kaizen Platformのクライアント企業には大企業も多い。Kaizen Platformの須藤憲司CEOによれば1度の改善による売上貢献として、2015年中には23例で1億円以上の改善があり、最大8.6億円というものがあったそうだ。

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Kaizen PlatformがシリーズBで9.5億円を調達、「経営のオープンソース化」を海外にも

WebサイトのUI/UX改善のためのプラットフォーム「Kaizen Platform」を運営するKaizen Platformが今日、シリーズBとして総額約9.5億円(800万ドル)の資金調達を実施したことを発表した。今回の調達ラウンドで新たに投資したVC・事業会社は、YJキャピタルNTTドコモ・ベンチャーズコロプラセゾン・ベンチャーズの4社。出資比率は非公開だが、既存株主であるEight Roads Ventures JapanグリーベンチャーズGMO VenturePartnersの3社も追加投資をしている。これで2013年8月の創業以来、累計の資金調達額は約21億円(1780万ドル)となる。

Kaizen Platformは東京・新宿に拠点をおいていて、創業から約2年半で社員数100人にまで成長している。社員の9割は日本にいるが、法人登記は米国。グローバル市場への展開を視野に入れて、当初から「米国企業」としてスタートしている(だから調達資金もドル建てとなっている)。現在マーケティング担当者を中心に10名ほどが米サンフランシスコ拠点で活動している。

日本でエコシステムとして回り始めたKaizen Platformは、日本以外の市場にどれだけ広げていけるのか? 共同創業者でKaizen Platform CEOの須藤憲司氏に話を聞いた。

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共同創業者でKaizen Platform CEOの須藤憲司氏

クラウドソーシング型のA/Bテスト、プラットフォーム

KaizenはPC向け、モバイル向けを問わず、Webページ(多くはいわゆるランディングページ)のデザインを改善して各種KPIを上げていくというサービスを提供している。ボタンの位置やサイズ、色、メッセージ、フォームの文言などを変えることによって、例えばECサイトであればCVR(コンバージョン率)を上げ、それによって売上増を目指す。この一連の最適化がKaizenのプラットフォーム上で行える。

A/Bテストというと「A案とB案のどちらがいいか」といった内容だと思うかもしれないが、実際には2〜10案を同時に試してダッシュボード上で推移を見ながら改善を続けていく。この分野では米OptimizelyAdobe Targetなどが先行しているが、Kaizenが違ったのは、「グロースハッカー」と呼ばれる個人やデザイン会社所属のプロたちが、顧客企業からの依頼に対して改善案を同時に多数提案するクラウドソーシングモデルとなっていることだ。

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須藤CEOは「A/Bテストツールを作るなどしてコンサルやSIerが改善していたのが従来です。Kaizenはツールを作っているのではなく、コラボレーションのソフトウェアを提供しているんです」と違いを説明する。

現在Kaizen Platformにはグロースハッカーが2900人ほど登録していて、そのグロースハッカーに仕事を依頼する企業ユーザー数は約170社となっているという。誰もが知る航空会社やECサイト、通信会社、保険会社など大企業が顧客となっている。1社あたりの支払額としては月額100万円がボリュームゾーンだ。顧客企業は売上規模で100億円以上のところがメインの顧客層だが、「もっと小さな会社にも使ってもらえています」という。「月額100万円って2人社員を雇うようなもの。自社でUI/UXの専門家を雇って、ユーザーのセグメントを分け、機械学習をやってっていう改善のサイクルを回すとか、なかなかできないですよね」

例えば、ある会社が保険契約のランディングページを改善したいとKaizen上で14万円など報酬金額とともに「オファー」を出すと、これに対してグロースハッカーたちから10〜30案ほどが集まる。ここから数案を実サイトに導入して、それぞれの数字の改善率をみる。案によっては数字が悪化するし、案によっては数%〜数十%、多いと100%以上も改善するということになる。これを継続的に続けていくことで、どんどんWebページを変えていく、というのがKaizen Platformだ。

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ワンショットでの「改善」ではなく、継続改善

プラットフォームに発注側と受注側が乗っかるというモデルは当初から目指していたものだが、このモデルの事業性には不安もあったという。

「改善がうまく行ってお客さんがいなくなってしまう事業だと怖いなと思っていました。でも、実際には継続してお使いいただいています。結局、今やサイトがお店になったわけですよね。で、お店だったら、ふつう店頭って変えますよね。店頭の陳列やディスプレイを変えないお店なんて、誰も行かないですよね」(須藤CEO)

改善を続けるべき理由は、例えば旅行業者なら季節性や為替・治安の変化があって同じ旅行先をオススメはできないし、ファッションでも季節性があるからだそう。同じ商品を売り続けているとしてもターゲットとするユーザー層が変わってくることもある。例えばネット保険だと、すでにネットリテラシーの高いアーリーアダプターは加入済みで、その次の層を狙いたいとなると、必然的にメッセージの出した方も変わってくるだろう、という。

ちなみに、「会員数を増やしたい」という顧客の声に対してであれば、会員登録の導線やエントリフォームの改善、誘導するエリアをどう改善するかということになるが、まずやるべきなのはファンネルモデルでいうと、いちばん最後の部分。そこを改善しないことには「穴の空いたヒシャクで水を汲むようなもの」になるからだそうだ。

改善すべき箇所は多数あり、何か特定指標だけ改善するというものではないという。

photo03「数万回の改善をやってきているから分かるんですが、単一の指標、例えばCVRだけを上げたいというようなことはありません。客単価、売れ筋、再訪率、インストール数、アクティブ率、フリークエンシー、回遊率、課金率なんかを改善するというようにいろいろあります。有料サービスのサブスクリプション解除を抑えるようなこともやってきました」

少し脇道にそれるようだが、ここでぼくが気になったのは、サブスクリプション解除を抑えるようなKPI改善によってブランドを傷つける例が最近増えているのではないか、ということだ。解約・退会方法を分かりづらくするという本末転倒のKPI改善が多くなったりしないのだろうか?

「いや、解約を分かりにくくするのは愚策だと思います。でも、例えば解約の直前に実はこんな機能がありますとメッセージを出す、とかはできますよね。サービスの良さを理解してもらった上での解約ならいいですが、そうでないなら改善できます。もちろん、こういうのはやりすぎると、いずれユーザーアクティビティーが下がったり、指標が下がっていきます。ロングタームの指標が傷ついたら仕方ないですよね」

ぼくが最近気になっているのは、ユーザーを騙すようなUIだ。例えば検索からたどり着いたランディングページにダイアログが出てきて、2つボタンが提示される。それぞれ「専用アプリでこのアイテムを表示する」「xyzをダウンロードする」とある。実は、どちらのボタンも挙動は同じで、結局アプリのダウンロードへと誘導される。ダイアログ上にバッテンボタンはなく、キャンセル方法はダイアログ以外の場所をタップすることしかない。あるいは、位置からしていかにも「続きを読むボタン」に見えて、実はアプリのダウンロードボタンというのもある。こういうUIならコンバージョン率は上がるに決まっているが、ハッキリ言って印象は最悪。ぼくはこういうサービスを信用できないので誰かに勧めようと思わない。

須藤CEOに言わせれば、こうしたUIが出てくる理由は「当座のKPIだけを見てるからではないか」ということ。「どの機能を使った人がどこでつまづいたかも分かる。ちゃんと指標を見ていれば、ユーザーがガッカリしてるのかどうかも分かるはず」だそうだ。

起こっているのは「経営のオープンソース化」

Kaizen Platformでアカウントを取得してログインしてみると、ほかの利用者やグロースハッカーがどういう改善をしているのかを見ることができる。これは結構すごいことで、須藤CEOは「経営のオープンソース化」という言葉で説明する。各社の改善の取り組みが丸見えとなっている様を画面で見るのは、初めて他社ソフトウェアのソースコードが丸見えになったときに似た、ちょっとした衝撃がある。もちろんオープンソース同様に企業によっては情報を非開示とする選択をしているところもある。

すでに書いたとおり何を改善すべきかという項目は多岐に渡るので、改善による結果は発注側担当者のプラニング、つまり力量に左右される面がある。どこの会社の何の担当者が、どのくらい「改善」しているのかというのはKaizen Platform上では可視化されている。改善する側のグロースハッカーについても、いつも高い勝率、改善率を叩き出す人や会社のランキングが数字やバッジで可視化されている。結果が優秀な人ほど報酬の割合が高くなる。さらに、近々高ランキングのグロースハッカーは最初から発注額を変えることも検討しているそうだ。

これは、担当営業の熱意とか、継続利用しているからという理由でWebサイトの構築・運営を特定業者に任せっぱなしにするような委託モデルに比べると、はるかにフェアで、厳しい実力の世界だと思う。

最初に作るWebページを起点として、後はJavaScriptを埋め込んでどんどん外部から改善していくというモデルは、検収や納品作業を省力化できるというメリットも大きいそうだ。グロース担当、サイト担当者がともに入れ替わっても改善を継続していけるので、「ナレッジが蓄積して人材の代替性を担保できる」(須藤CEO)というのもKaizen Platformの特徴だという。

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マーケ部門とIT部門は仲が悪い

発注・受注の組み合わせでの流動性が高くなることは、日本の企業社会では、ある種の必然という面がある。このあたり、須藤CEOの見立てが、とても面白い。

1つは大手製造業やファッションブランドといった「オールドエコノミー」に属する企業には、そもそもネットに強い人材が寄り付かず、採用ができないという事情があるのではないかということ。もともとIT人材は不足がちだが、テック成分の高いスタートアップなんかはマシなほうなのだろう。そして、この傾向はさらに加速する。ホテル・飛行機予約などネット対応が進んでいるビジネスもあるが、それでもネット化率は市場全体の10〜20%。須藤CEOは「オールドエコノミーのインターネット化率は3.6%に過ぎません。今後、ネットに強い人材はもっと採用できなくなる」と見ているという。

もう1つ、Kaizenのようなエコシステムがウケている背景に、多くの企業で「マーケティング部門とIT部門って仲が悪いんですよね」(須藤CEO)という事情があるのだという。マーケ担当者が「A/Bテストがやりたいです」と言っても、「うちはできません」とIT部門に突っぱねられるというような話だ。笑ってしまうが、読者にも大いに心当たりがあるだろう。そう、あなたがマーケ部門にいるなら「そう! あいつら!」と思うだろうし、あなたがIT部門にいるなら「そう、あいつら!」と思うだろう。キミらは仲が悪いのだ。

というように、Kaizen Platformのようなエコシステムが回り始めたのは、日本企業で人材の流動性が低いことがあるのかもしれない。

海外にもエコシステムが広がるか

Kaizen Platform上での改善による顧客企業の売上の伸びの累計は約241億円(ただし、Kaizen自身による推計。大雑把に言えばコンバージョン率と単価をかけたものだそうだ)。Kaizen Platformでは売上は毎月10%ずつ伸びていて、すでに売上は「最近マザーズに上場しているようなスタートアップ企業程度はある」(須藤CEO)という。年商10億〜20億円のレンジで成長中だが、「われわれも投資家も上場は焦ってはいません。事業の拡大がいちばん大事だと思っています。今あるエコシステムを日本で拡大していき、そして2年で作ったこのプラットフォームが海外に拡大できるかに取り組んでいく」

今のところ改善の対象となるのはページレイアウトやデザインだが、今後はディスプレイ広告やFacebook広告の最適化、DMPと連動させた商品のターゲティングオファーのような仕組みも取り入れていくという。

現在、海外企業によるKaizenの利用はシンガポールやロンドン、スペインなど10社程度。サイトを継続的に改善していくという課題自体は万国共通だろうが、今後どの程度海外への広がりを見せるのか。大型資金調達を終えて、もう1段階アクセルを踏み込むKaizen Platformがどこまで市場を拡大できるか注目だ。

A/BテストとDMPが連携するとどうなる?–KAIZENとIntimate Mergerが新施策

A/Bテストとクラウドソーシングを組み合わせてウェブサービスのUI改善を実現するKAIZEN platformの「planBCD」が、フリークアウトPreferred Infrastructureの合弁会社であるIntimate Mergerの提供するDMPと連携したことを発表した。

通常、A/Bテストをする場合、サイト訪問者の属性とは関係なく、一定の割合でクリエイティブを切り替えてその反応を計測し、最適なクリエイティブを選択している。だが今回の連携によって、サイト訪問者の属性ごとに、それぞれ一定の割合でクリエイティブを切り替えて表示できる表示することができるようになる。

これによって、planBCDでA/Bテストを実施するサイトは、サイト訪問者の属性にあわせて、より最適なクリエイティブを見つけ出すことができるようになるというわけだ。

今回のサービス連携の恩恵を得るには、あらかじめIntimate MergerのDMPの導入が必要だ。DMPの利用料金は月額固定費用が15万円から、データ利用費用が別途見積もりとなっている。

KAIZEN Platformによると、すでに複数のクライアントが導入を決定しているという。同社の発表によると、これまでplanBCDを導入したサイトは、コンバージョンが平均で52%改善されている。A/Bテストと聞くと、「全体最適」のための施策という印象を持つが、これが「(サイト訪問者の属性ごとの)個別最適」もできるようになることで、どのような変化を起こすのだろうか。


大手Web企業→スタートアップの流れが来る? クラウド会計「freee」にex-Googlerが続々ジョイン

日本のスタートアップ業界でex-Googler(GoogleのOB/OG)の存在感が高まってきている。今年4月にローンチしたクラウド予約システム「Coubic(クービック)」を手がける倉岡寛氏、5月に東証マザーズに上場したDSP事業のフリークアウトを設立した佐藤裕介氏は、どちらもGoogle出身。クラウド会計ソフト「freee」を運営する佐々木大輔氏もその1人だ。TechCrunch Japanでは5月、「大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」というテーマでイベントを開催したのだが、その際に佐々木氏が「海外のex-Googlerは起業したり、スタートアップにジョインするのが普通の選択肢」と語っていたのが印象的だった。そのfreeeにex-Googlerが続々とジョインしている。

2013年9月には、日本の中小企業向けマーケティングで「みんなのビジネスオンライン」のプロジェクト立ち上げから推進までを統括していた東後澄人氏が取締役として就任。今年2月には、Google日本語入力のUXなどを担当していた関口聡介氏が加わった。そして今日、2003年にGoogle Japanの17番目の社員として入社し、中小企業向けの広告営業チームを立ち上げた野澤俊通氏が執行役員に就任した。野澤氏はGoogle時代、フリークアウト佐藤氏の上司でもあった人物だ。

佐々木氏によれば、野澤氏は「中小企業向けのオンラインセールス・サポートチームのマネジメントのプロ」。Googleはかつて、「プロダクトがよければすべての問題を解決するというような思想の組織」だったというが、「野澤さんは、人がスケーラブルなサービス提供をする価値を実証してきた」と高く評価している。同氏の加入によって今後は、新規や既存ユーザー向けのサポートといった「人の手を含めた」サービスを強化する狙いだ。

冒頭で紹介した弊誌イベントには、リクルートを経てA/BテストのKAIZEN platformを創業した須藤憲司氏もご登場いただいたが、同社には2014年2月、元Google Japanの小川淳氏がカントリーマネージャーとして加入したほか、グリーおよびGREE Internationalでゲームやアドテクノロジー分野のプロダクトマネジメントを手がけた瀧野諭吾氏が参画している。

いわゆる大企業というのと違うのかもしれないけど、Googleのようなテックジャイアントからスタートアップという流れは来ているのかもしれない。


5月29日開催 KAIZEN、freee、みんなのウェディングに起業の理由を聞く

以前に告知したとおり、いよいよTechCrunch School第4回が5月29日午後6時から東京・秋葉原(末広町)にて開催される。参加申し込みの受け付けは間もなく終了となるので、興味のある読者は是非とも遊びに来て頂きたい。

1月から開催中のイベントTechCrunch Schoolでは、これまで起業やグロースハック、PRをテーマにしたイベントを開催してきた。今回は「大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」をテーマに、これまで勤めていた企業から飛び出してスタートアップした起業家たちにその思いや、チームの作り方、働き方について聞く。勤めている企業から飛び出してスタートアップを立ち上げたい人、スタートアップに参加したい人、またそんな人たちと出会いたいスタートアップの人事担当者などに是非とも参加してほしいと思っている。

ゲストスピーカーとして登壇頂くのは、KAIZEN Platformの共同創業者でCEOの須藤憲司氏、freee代表取締役の佐々木大輔氏、みんなのウェディング代表取締役社長の飯尾慶介氏の3人。

それぞれ、リクルート、Google、ディー・エヌ・エー出身の3人に、大企業とスタートアップの違いや、過去の経験の生かし方、信頼できる仲間の集め方などを聞いていきたい。須藤氏は起業から1年もたたずに大型調達を実現。海外進出を進めている。佐々木氏もサービス開始から約1年で7万字業者が利用するまでに成長した。飯尾氏は、DeNAのスピンオフから3年半でマザーズ上場を達成した。それぞれの成長の理由も聞いていきたい。

パネルディスカッションに関しては、会場でのみ聞ける「オフレコタイム」を設ける予定だ。プレゼンテーションの模様は記事や動画でも紹介する予定だが、会場に来て頂いた人たちに限定して、登壇頂く起業家の生の声を届けたい。

今回は1人3000円の有料イベントとなる。要望のあった当日券の販売も用意しているが、こちらは3500円となっている。19時半以降の交流会では食事とドリンクも用意するので、是非お申し込み頂ければと思う。

TechCrunch School #4
起業志望者注目!
「大企業から飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
【開催日時】 5月29日(木) 17時半開場、18時開始
【会場】 東京・末広町 3331 Arts Chiyoda 3331 Arts Chiyoda地図
【定員】 100名程度
【参加費】 3000円
【参加資格】 起業を志す、もしくはスタートアップに興味のある大〜中小企業の社員および、学生の方。スタートアップへの参画を希望する人材と出会いたいスタートアップの起業家、CxO、人事担当者
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
18:00〜18:05 TechCrunch Japan挨拶
18:05〜18:50 講演セッション
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
18:50〜19:30 パネルセッション「僕らが大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
パネラー:
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
西村賢(TechCrunch Japan編集長)
19:40〜21:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

グロースハックツール提供のKAIZEN platformが500万ドルを調達、海外進出に積極投資

KAIZEN platformは2013年設立でもっとも注目の集まったスタートアップの1社だろう。同社の手がける「Plan BCD」は、異なるユーザーインターフェース(UI)のウェブページを用意し、ユーザーの反応をもとにコンバージョン率の改善などを図るA/Bテストを実現するサービスだ。

自らページを用意するだけでなく、登録するグロースハッカーにページのUI改善を依頼できるのが特徴。その詳細はTechCrunch Japanでも「グロースハッカーごとサービスで提供――、日本発の新A/Bテストの『Kaizen Platform』」「A/Bテストの「KAIZEN platform」がグーグルとグリー出身者を要職に起用して海外展開へ」として紹介してきた。提供から半年でのエンタープライズ版の導入社数は30社以上。2013年11月リリースのオンライン版は提供から4カ月で世界15カ国500社に導入されているという。

Plan BCDのイメージ

そんな同社がFidelity Growth PartnersJapanとグリーベンチャーズから総額500万ドルの資金調達を実施したと発表した(グリーベンチャーズはシードラウンドからの追加投資となる)。

同社では今回の調達をもとに、かねてから発表されていた海外進出を本格化。米国サンフランシスコとニューヨークの両地域にてマーケティングを強化するという。「日本のビジネスは拡大基調。少なくとも日本のマーケットはできてきたので、海外でのセールスを強化していく。米国ではクライアントの獲得と合わせて、デザイン会社、グロースハッカーとの提携を進める」(創業者兼CEOの須藤憲司氏)

調達にあわせて、今後は須藤氏が海外事業の立ち上げに注力する。初夏をめどに、拠点も米国に移す予定だ。国内については、グーグル日本法人で広告営業部門を立ち上げた経験もある小川淳氏が、カントリーマネージャーとして統括する。なお、KAIZEN Platformは日本人チームによる創業だが、当時より海外進出を想定していたため、米国に登記している。

戦える500人のグロースハッカーが必要

実はこれまでPlan BCDを導入しているのは、グロースハッカーやデザイナーを社内、プロジェクト内に抱える企業が中心だという。Plan BCDの“キモ”とも言える外部のグロースハッカーへのクラウドソーシングは、品質管理も含めて一部の導入企業でテストの真っ最中だ。

同社ではこれまで国内のデザイン会社などにグロースハッカーの登録を促してきたが、「事業をやって分かったが『天然モノ』のグロースハッカーはいない。我々が『養殖』するしかない状況だ。根本的にはツールを使える人は少ないので外部のリソースが欲しい。日本も海外も人が全然足りない」(須藤氏)状況だという。

そのため今後は学校との提携や地方自治体と連携した人材教育なども視野に入れていくという。「戦えるグロースハッカーが500人いれば、相当な案件をさばけるようになる」(須藤氏)。また、クラウドソーシングによって得られる対価も「デザイン会社などでも、単なるサイトの受発注では単価が安くなるが、我々がやるのはコンバージョンの改善。比較するのが広告費やシステム費なので、1万、2万円の作業でなく、数十万円の広告と換算できる」(小川氏)と期待を寄せる。

左から小川淳氏、須藤憲司氏、瀧野論吾氏(写真は2月のもの)