私は長い間、Koboにはなんとなく憧れのようなものを抱いていた。それには、いくつかの理由がある。1つは単純に、そのメーカー(現在は楽天の子会社)が、電子書籍リーダー市場でAmazonと競合する、最後に残ったわずかな会社の1つだということ。2つめは、Pocketのような機能も統合していること。そして3つめは、ePubのようなフォーマットをサポートする、同社のデバイスのオープンな性格だ。それによって、1社のストアに縛られる必要がなくなる。
またKoboは、実験することを決して恐れない。昨年登場したFormaは、その完璧な例だ。Kindleのハイエンド機、Oasisの直接の対抗機だが、丸みを帯びた特徴的な形を採用し、物理的なページめくりボタンを備えている。画面サイズは8インチだ。この画面サイズは、280ドル(日本では税込3万4344円)という価格設定と相まって、このデバイスをニッチなカテゴリーに追いやるものだろう。
新しいLibra H2Oは、かなり実用的な製品で、Formaのカタチを7インチの画面で実現している。価格も、ずっとリーズナブルな170ドル(約1万8000円、日本版価格は未発表)に抑えている。もちろん、それでも電子書籍リーダーの世界では安いほうではない。例えば、Kindle Paperwhite(日本版は1万3980円)よりも約40ドル高い。しかしFormaの特徴が、より入手しやすい製品に反映されるのを見るのは嬉しいものだ。電子書籍リーダーの世界は、革新が遅いことで悪名高い。というのも、もはや競合する会社がわずかしか残っていないからに他ならない。
私も、OasisやFormaが採用した「ハンドル」付きのデザインが、だんだん気に入ってきた。本物の本のような左右対称のデザインではないが、それはそれで、製品としての扱い方を考慮した形状になっている。Nookがなくなってしまってからというもの、多くの会社が完全にミニマリスト的な設計を選択するようになった。サイドパネルと、物理的なページめくりボタンを装備したことは、最小限の形状よりも、機能を重視する方向への転換として歓迎できる。
もちろん、価格の安さは、より安っぽい材料の採用に直結する。Libra H2Oは、いかにもプラスチックっぽい。特にOasisを使った後では、そう感じる。ボタンの質感も、Oasisには及ばない。やはり素材の質を落としているからだろう。また、これはちょっと奇妙に感じられるのだが、ボタンの機能が上下逆になっているように感じられる。デフォルトでは、上のボタンで前に戻り(下向きにスクロールし)、下のボタンで先に進む(上にスクロールする)。これは、設定で簡単に入れ替えることができるものの、Koboではそちらが「逆」なのだ。
やはり、このカタチはなかなかいい。縦向きに持っても横向きに持っても読むことができ、内蔵の重力センサーによって、自動的に画面も回転する。背面はざらざらしたグリップになっていて、大きな電源ボタンも配置されている。右側(持ち方によっては下側)には、充電とファイル転送用のmicroUSBがある。電子書籍リーダーの世界では、まだしばらくはUSB-Cが採用されることはないだろう。
Koboは、ソフトウェアを改良して、見やすいメニューの表示や、スクラブ操作によってプレビューを表示する機能などを実現している。また新たなタッチ操作として、画面の側面をスワイプすることで、フロントライトの明るさを調整することも可能となった。
H2Oという名前が示すように、LibraはIPX8規格の防水機能(水中形)を備えている。これは、水面下2メートルで最長約60分間使うことができるというもの。そう、つまりお風呂に持ち込めるのだ。ストレージは8GB(最大約6000冊)で、512MBのRAMと1200mAhのバッテリーを装備する。1回の充電で、だいたい1週間は使えるだろう。
Libraは、米国内では10日から予約を受け付ける。その翌週には店頭にも並ぶ予定だ。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)