「コービーはLAで愛されていた」テック業界もNBAスーパースターの死を悼む

ロサンゼルスのスタートアップコミュニティも世界と共にNBAのスーパースターで起業家、投資家でもあったKobe Bryant(コービー・ブライアント)氏の死を悼んだ。ブライアント氏は1月26日午前10時前、カリフォルニア州カラバサスでのヘリ墜落で死亡した。

ブライアント氏と同氏の娘で13才のGianna Maria-Onore Bryant(ジアナ・マリアオノーレ・ブライアント)さん、そして他に7人が乗ったヘリはブライアント氏のバスケットボールトレーニング施設Mamba Academyに向かっていた、と報道されている。搭乗者の全員が死亡した。

41才のNBAスターで、オリンピックメダリスト、オスカー受賞者、そして4人の子どもの父親であったブライアント氏はバスケットボールでの偉業で広く知られているが、彼は起業家で投資家でもあり、ホームと呼んでいたロサンゼルスエリアを超えて活動していた。

「コービーはロサンゼルスで愛されていた」。ロサンゼルス拠点のベンチャーキャピタル会社Upfront Ventures(アップフロントベンチャーズ)でマネージングパートナーを務めるMark Suster(マーク・サスター)氏はTechCrunchにあてたメッセージでこう述べた。「彼はスポーツで頂点を極めただけではなく、映画や本、慈善活動でもすばらしかった。LAにとって本当に悲しい日だ」

Crunchbaseによると、ブライアント氏は2013年に、パートナーでシリアルアントレプレナー(連続起業家)のJeff Stibel(ジェフ・スティベル)氏とともにベンチャーのキャリアを開始した。2人はLegalZoom、Scopely、Art of Sport、The Honest Company、RingDNA、FocusMotion、DyshAppそしてRepresentといったロサンゼルス拠点の企業にアーリーステージとレートステージの投資をミックスして行った。

投資会社は2019年、プライベートエクイティファンドPermiraと提携して立ち上げた投資ビークルを17億ドル(約1850億円)規模に拡大した、とUSA Todayは報じていた。

「我々の会社には、偉人は偉人から学ぶという言葉がある。そのため私はさまざまな業界トップのストーリーを読む。しかし、コービーは偉人以上の存在だった。彼は、取り組むと決めた『ゲーム』が何であっても大志を抱いて常に最善を尽くした。バスケットボールにおいて彼は同世代の中で最も優れたプレイヤーだった。著書で彼はオスカー賞を受け、テックと投資の分野では投資会社を立ち上げ、すぐさま巨額のリターンを得た。BodyArmorへの600万ドル(約6億5000万円)の投資は2億ドル(約218億円)になった」とMAC Venture CapitalのMarlon Nichols(マーロン・ニコルズ)氏は書いている。「彼は努力と才能がマッチした、稀な才能ある人物の1人だった。個人的に私は、彼からゴールに向けて集中すること、身を捧げることを学んだ。コービーはただの偉人を超えたレジェンドであり、世代を超えたリーダーだった。彼は生きている間に1人、見ることができるかどうかというくらいの才能あるリーダーだった」

The Honest Companyの共同創業者Jessica Alba(ジェシカ・アルバ)氏は訃報に接し、自らの想いをTwitterで表した。またScopelyのオフィシャルTwitterアカウントも同様に想いを共有した。

ロサンゼルス・レイカーズ所属時、ブライアント氏による18回のオールスターゲーム出場やMVP獲得は歴代最多で、チームを5度のNBAチャンピオンに導いた。またShaquille O’Neal(シャキール・オニール)氏とともに2000年代初めのレイカーズ黄金時代を築いた。

「コービーはコートの内外で神から才能が与えられた『mamba mentality(マンバ・メンタリティ)』と呼ばれる無敵の競争心を持った稀有な存在だった。NBAチャンピオンシップやオスカー、VCへの参入、そして何よりも大事な父親としての役目など、彼が集中したものはすべてすばらしい結果を伴った」とUpfront Venturesのゼネラル・パートナーKobie Fuller(コビー・フラー)氏は書いている。「彼を失ったことがあまりにもショッキングで、この世での一瞬一瞬がいかに大事なのか思わずにはいられない。耐えがたいこの困難なとき、私の心はブライアント家とともにある」

ブライアント氏のスポーツにおけるキャリアは有名なものであり、その後のメディアと投資におけるキャリアも成功した一方で、2003年には性的暴行疑惑があった。のちにこの件は和解し、ブライアント氏は謝罪したものの罪は認めなかった。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

著名選手とファンの今昔―NBAのコービー・ブライアント、TwitterとFacebookで引退を発表

????????????????????????????????????

*お気に入りのナツメロを流しながら読んでいただきたい*

私の若い頃、有名スポーツ選手が引退するときには、テレビカメラの前に座り、家族全員を左右に座らせて記者会見を開いたものだ。

たとえば1993年にマイケル・ジョーダンが最初に引退を表明したときがそうだった。ジャーナリストが黒山のように群がって質問を浴びせていたテレビ画像をよく覚えている。

もしジョーダンが今の時代、つまり「デジタル時代」の選手だったら引退発表はどんな具合になっていただろう? ちなみにジョーダンのTwitterアカウントJumpmanには250万人のフォロワーがいるが、ジョーダンはファンとは交流しない。何か個人的な情報を投稿したのも見たことがない。 パーソナルな要素は一切なしだ。

一方、同じバスケットボールの有名選手でもコービー・ブライアントに792万人のフォロワーと密接に交流している。

今日(米国時間11/30)、ブライアントはお決まりの記者会見を飛ばして(今のところは、ということだが)、ファンに対してNBAから引退すると決めたことを発表した―
つまり、Twitterを通じてだ。

親愛なるバスケットボール・ファンへ:コービー・ブライアント

自分は引退を決めた。皆んなにそのことを今知ってもらいたい。残り少ない時間を共に味わおうではないか。

ブライアントがメッセージに貼ったリンク先は偉大な野球選手だったデレク・ジーターのサイトだ。ヤンキースの現役時代、ジーターはありとあらゆるプレッシャーに打ち勝ってきた。ジーターが引退後にスタートさせたサイトがThe Players’ Tribuneで、スポーツ選手がフィルターを通さず、ファンに対して直接情報を発信できるようにしたものだという。ブライアントの例をみてもこのサイトは機能しているようだ。

Screen Shot 2015-11-29 at 4.14.36 PM

ブライアントのツイートは 3万3796回リツイートされた。これは選手の引退をたとえばESPNのようなスポーツチャンネルの番組で眺めるのとは全く異なった世界だ。レイカーズで20年もプレイしてきたブライアントの引退は早くから予期されていたものでショックではないが、引退を決めたときにまずそのことをソーシャル・ネットワークでファンに知らせようとしたことには驚かされる。

この投稿(テレビは画面にツイートを映した)をフォローして―タイムスタンプによればほんの数分後だ―ブライアントはFacebookにも同内容の簡単な投稿をした。こちらは 23万回の「いいね!」を受けている。.

ブライアントの投稿を読むにつけて、われわれ皆が「行動が起きる場所」を共有する自体に生きていることを感じる。われわれが尊敬し、その尊敬の念を他のファンとも分かちあってきた選手がこれほど身近に感じられる時代はいまだかつてなかったに違いない。

ちなみに、NBAも急いでコメントをTwitterに投稿し、コミッショナーの声明のリンクを貼った。

〔日本版:ブライアントがファンに向かって書いた手紙の全文は原文参照。〕

Featured Image: evergreenkamal/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+