本のフリマアプリ「ブクマ!」運営のLabitメンバーがメルカリに参画、子会社で新サービスも予定

左からメルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏、鶴田浩之氏、同代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏、同執行役員・ソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏。写真は7月に撮影されたものだという。(鶴田氏のブログより引用)

2月にオークションアプリ「スマオク」を運営するザワットを買収し、7月にはスタートアップ向け出資プロジェクト「メルカリファンド」をスタートしたメルカリ。M&Aや投資でビジネス領域を拡大する同社にまた新たなスタートアップが合流した。フリマアプリ「ブクマ!」を運営するLabitのメンバーがメルカリに参画したという。

Labitは当時20歳だった代表取締役の鶴田浩之氏が、2011年に設立したスタートアップだ。西川潔氏や川田尚吾氏、木村新司氏など複数の個人投資家が支援をしていることでも知られる。2014年にソーシャル時間割アプリの「すごい時間割」をリクルートグループに事業譲渡。2015年にゲームメディア「Game8」を手がける子会社のゲームエイトをGunosyに譲渡するなどしてきた。

現在は2016年にiOS版をリリースしたブクマ!が利用者数を伸ばしていて、2017年2月にTechCrunchが取材をした時点で累計出品冊数が20万を突破。それから約3ヶ月後の5月にはメルカリがブクマ!を追いかけるかたちで本やCDに特化した「メルカリ カウル」を公開し注目を集めた。

鶴田氏のブログによると2017年7月から鶴田浩之氏を始めLabitで働いていたメンバーがメルカリに参画。鶴田氏は新規事業を担うメルカリ子会社ソウゾウの執行役員にも就任し、新プロダクトをリードしている。ただしこれはメルカリによるLabit買収というスキームを採っておらず、鶴田氏やLabitのメンバーがメルカリに転職するかたちになっているという。Labit社は登記上存続しており、ブクマ!や、同社が運営している東京・渋谷のブックカフェ「BOOK LAB TOKYO」(2016年6月に立ち上げ)については事業を継続。「既存投資家の方とのコミュニケーションを行いながら、分社化や事業譲渡などの方向性で検討を進めている」(鶴田氏)という。

ブログでも自身の思いを語っている鶴田氏だが、今回のメルカリへの参画について、「今回は、大変ポジティブな気持ちで、かつGO BOLDな意思決定だと思う。ブログにも書いたとおり、ミッションや『コト』に向かっていくということを最優先の判断基準にして仕事に取り組んでいる。まったく起業家らしさを失わずに仕事ができ、高い目標が自然に受け入れられる社風は、とても幸せなこと。また、Labitの支援者である投資家の方の理解をいただき、背中を推して頂いたことに心から感謝している」とコメントした。

鶴田氏を中心としたメンバーは、今後ソウゾウから新プロダクトをリリースする予定だ。

本に特化したフリマアプリ「ブクマ!」、累計出品冊数20万冊に達しAndroid版もリリース

本に特化したC2Cフリマアプリ「ブクマ!」運営元のLabitは2月9日、iOS版の出品冊数が累計20万冊に達したことを明らかにした。あわせて同日より、Android版アプリの提供も開始した。

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ブクマ!は本の売買に特化したフリマアプリ。本の裏表紙にあるISBNバーコードをカメラで読み取ることで「本の出品が最速10秒でできる」ことが特徴だ。本を売りたいユーザーは、まず本のバーコードをスマホでスキャンする。すると、ブクマ!のデータベースをもとに商品名や表紙といった書籍の基本データが自動で入力されるため、販売価格や商品の状態、発送元の地域や方法・日程を入力すれば出品に必要な作業は完了。実際に購入された後は、チャット形式で購入者とやり取りをして発送作業を進めるという流れだ。

現在はまだ提供されていないが、今後はユーザーの行動データを分析して個々のユーザーに合わせて商品のレコメンドやトップページに表示される書籍を変えていく機能も提供していく予定だという。

Labitでは、2016年8月25日にブクマ!のiOS版をリリース。利用者数は徐々に増加し、2017年1月には週あたり約2万冊の本が新規で出品された。累計の出品数も20万冊を超え、2017年度末までに出品点数1000万冊を目指している。今後は古本だけでなく新刊本の取り扱いも検討しており、大手取次との交渉を進めているほか、書籍と同様に「型番」がある他ジャンルへの横展開も考えているという。

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本に特化したフリマアプリの可能性

斜陽産業と言われる出版市場の中で、リユース文化やC2Cフリマアプリなどの普及もあり成長が期待されている古本市場。ECサイトやオークションサイト、フリマアプリなど様々なチャネルがあるが、何といってもAmazonの存在が大きい。電子書籍はもちろん、紙の書籍でも新書・古本問わずAmazonで購入するという人も少なくないだろう。ブクマ!を開発するLabit代表取締役の鶴田浩之氏も「本を購入するならAmazonでいいのでは?という人は多いと思うし、ブクマ!を作っていて今さら本のフリマアプリを作るの?という反応もあった」と話す。

その一方で普段からフリマアプリを頻繁に利用する周囲の若い世代の声や、Twitter上の投稿にも「本もメルカリで売るのが楽でいいよね」といった意見が多くあることに着目。スマートフォンで簡単に本を出品・購入できる特化型のフリマアプリには可能性を感じていたそうだ。

「フリマアプリ自体がメリカルを筆頭に成熟してきているが、本を出品するとなると写真をとったり書籍の情報を入力したりとなかなか大変。バーコードを用いて簡単に出品できるようになると面白いのではと、本に特化したフリマアプリでチャレンジすることに決めた」(鶴田氏)

リリースしてから約半年が経つが、出品者数1人あたりの出品数が多いことが分かってきた。2016年12月時点では、1人あたりの平均出品冊は11.2冊に上り、手応えをつかみはじめているという。とはいえ現状では見つからない本もまだまだ多い。今後は本格的にプロモーションなどにも力を入れ、「『たくさんの人の、生涯で読む本を増やす』というミッションの下、読書体験という文化を残していくことに貢献できるサービスにしていきたい」(鶴田氏)という。

Labitは2011年の設立。2014年にソーシャル時間割アプリの「すごい時間割」をリクルートグループに事業譲渡、2015年に子会社でゲームメディア「Game8」を手がけるゲームエイトを Gunosy に譲渡するなどしてきた。

Labitがゲームメディア運営の子会社「ゲームエイト」をGunosyに譲渡

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Labitは12月15日、同社子会社のゲームエイトの保有株式をニュースアプリ「グノシー」を運営するGunosyに譲渡することで合意したことを明らかにした。譲渡の金額等は非公開。これによりゲームエイトはGunosyの連結子会社となる。また現在代表取締役を務める西尾健太郎氏が、引き続き事業を牽引する。

Labit代表取締役の鶴田浩之氏は兼任していたゲームエイトの取締役を辞任、また西尾氏もLabit取締役を辞任する。すでに西尾氏が保有していたLabit株式は鶴田氏が買い取っており、今後Labitとゲームエイトの資本・経営両面での関係性は一切なくなるという。

ゲームエイトは2014年8月の設立。Labitで運用していたゲーム情報サイト「Game8」の事業を切り出すかたちで100%子会社として分社化した経緯がある。その後西尾氏に加えて外部株主2者がいる状況だったが、今回Gunosyが100%の株式を買い取ることとなった。Game8は現在、月間ユーザー数1059万人(11月14日〜12月14日実績:Google Analytics調べ)で、単月黒字化を達成。Labitいわく「国内で有数のゲーム情報メディアとして成長いたしました」とのこと。

では子会社を売却したLabitの今後はどうなるのだろうか? 代表の鶴田氏は次のように語る。「Labit社としての物語は続く。何年後か分からないが、世界有数のカンパニーになることを夢見ている。 現在フルタイムのコアメンバー3人にアルバイト2人の少数精鋭。今夜にも新サービスをリリースする予定だ」

Labit、「すごい時間割」の事業を譲渡へ–時間割共有サービスは「体力ある場所で成長させるべき」

設立から3年を迎えたばかりのLabitが大きな決断を発表した。同社は4月18日、自社で開発・運営する「すごい時間割」および学生領域の事業について、ジョブダイレクトに対して譲渡することを合意したことを明らかにした。7月をめどに事業譲渡を完了させるとしている。

譲渡先となるジョブダイレクトは、リクルートホールディングスの100%子会社で、求人情報サイト「ジョブダイレクト」を運営している。Labitは、2012年9月にリクルートの投資子会社リクルートインキュベーションパートナーズ2号R&D投資組合を引受先とした第三者割当増資を実施。その後相互送客や共同プロモーションをはじめとした取り組みを進めてきた中でジョブダイレクトへの事業譲渡を決めたとしている。今回の事業譲渡に伴う役員や社員等の異動、資本関係への影響はないという。

Labitによると、すごい時間割のユーザーは累計約20万人。2013年度で10万人のユーザーが増えたという。また、登録された講義データは累計110万件以上になる。総務省の統計データによると、2012年の大学生(学部)は256万人。決して多くの大学生が利用している状況ではなく、以前の取材で掲げていた目標には満たなかったが、「ユーザー数は全国1100大学以上に分布しており、ロングテールの図を描いている。感度の高い大学生が全国で広く浅く認知して利用しているのは特徴的な事例だと考えている」(labit創業者で取締役の鶴田浩之氏)としている。また事業譲渡の理由について、「これからのグロースのためには『マスに向けた施策』が必要不可欠。サービス、ユーザーのためにリソースの限られたスタートアップ企業での運用が適切かどうか慎重に検討した」(鶴田氏)とした。

鶴田氏、そしてLabit共同創業者で代表取締役社長の西尾健太郎氏の話から見えてきた、ユーザー増加のペースを遅らせた理由は“時間割”というサービスそのものの特性にあったようだ。

すごい時間割のユーザーグロースを期待できるのは、大学の前期、後期の講義を決めるタイミングのみ。そうなると当然、年間でも多くて2つの時期しか施策を実施できない。その影響は、Labitがサービスを設計した時点での想定を上回るものだったのだろうか。

現在事業の譲渡が完了していないこともあり、詳細については回答できないとするLabitだが、すごい時間割の事業譲渡後も「これからも西尾、鶴田の二人三脚で新規事業に挑戦する」(西尾氏)「2014年になって2人が入社し、直近でも5、6人にアルバイトをお願いしている。次のサプライズに向けて準備している最中」(鶴田氏)とした。