12月18日、19日の2日間、石川・金沢にある石川県立音楽堂で開催されたInfinity Ventures Summit 2018 Winter Kanazawa。2日目の朝にはスタートアップ企業14社によるピッチイベント「Launch Pad」が行われた。各社の持ち時間は6分、Q&Aはなしというスタイルだ。
2時間以上にもおよぶ熱戦を勝ち抜いて優勝したのはエアロネクスト。同社は10月に開催されたB Dash CampのPITCH ARENAに続いての入賞となった。2位はバーチャルキャスト、3位はRevComm、4位はRF Locus、5位はPLIMES。
■審査員
- 慶應イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長 山岸広太郎氏
- KLab代表取締役会長兼社長CEO 真田哲弥氏
- 大和証券 専務取締役 企業公開担当 丸尾浩一氏
- YJキャピタル代表取締役/CEO 堀 新一郎氏
- ディー・エヌ・エー 川田尚吾氏
- Skyland Ventures代表パートナー&CEO 木下慶彦氏
- フリークアウト・ホールディングス 本田謙氏
- ITC Holding EVP & Director of International Business Development Corina Birta氏
- e.ventures Partner Brendan Wales氏
- AppWorks Partner Joseph Chan氏
- ウォンテッドリー代表取締役CEO 仲 暁子氏
- Drone Fund投資家 Drone Fund General Partner投資家 千葉功太郎氏
- クラウドワークス 吉田浩一郎氏、gumi代表取締役会長 國光宏尚氏
gemfuture
コミュニケーションをAIがナビゲートとする世界唯一のマッチングサービス。AIが出会いから相手の気持ちの変化、自分の行動による結果などをリアルタイムで分析。事前にライフプランを共有でき、最適な異性を1〜5人を紹介してくれる。デートを誘うまでの会話についてもAIのチャットアシストがあり、効率よくコミュニケーションが取れる。5年後の年間売り上げ目標は50億円。仕事と愛を両立できる社会を目指す。
RevComm
電話営業を人工知能で可視化するサービス。顧客と担当者が何を喋っているかわからないというブラックボックス問題を解消する。数を打てば当たるという従来の電話営業の生産性を高くすることが目的。会話はすべて録音・解析され、ダッシュボードで一元管理。これにより沈黙の回数などがわかり、オペレーターと顧客のスピードがマッチしているかも判断できる。MiiTelwo導入するとPLのP(Profit)が上がりL(Loss)が下がる。将来的には自動でアポを取るAIなどの開発を目指す。
Hubble
法務ドキュメントのバージョン管理システム。Wordをベースにした従来の契約書の作成や締結までワークフローでは、メールで何度もやり取りが必要で、やり取りが多いほど煩雑になる。現在もうまく管理する方法が確立されていない。Hubbleでは、ドキュメントのバージョンと修正履歴を自動で管理できるほか、過去の交渉過程や検討したリスクも後から確認でき、蓄積したナレッジも共有可能。コメント機能も備わっており、迅速な意思決定が可能になるそうだ。Hubbleをビジネス版Githubとして位置付けリーガルの世界を変えたいとのこと。
GVA TECH
コストの問題で弁護士に頼めない、法的理解がない、時間がないといった課題解決のために作られたのがAI-CON。現役の弁護士が立ち上げたAI契約書レビューサービスで、AIとクラウドを活用して契約書のレビューを行う。サービスにログインし、WordファイルやPDFファイルをアップロードすれば、1営業日以内に条文ごとのリスク評価や修正案などが提示される。GVA TECHは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。
Zenport
煩雑な貿易業務の効率化をサポートするクラウドサービス。貨物のトラッキングや受発注・在庫管理、データ分析、貿易書類の管理などの機能を提供している。同サービスが効率化する分野は大きく分けて書類管理と輸送管理。書類管理については、10枚ほどの書類のやり取りが必要な従来の流れをダッシュボード画面で一元管理することで、それぞれの関係者が必要な情報をすぐに見られるのが特徴。今後、国際貿易のプラットフォーム、国境のない経済を目指す
RF Locus
RAIN RFID(UHF帯RFID)タグが貼付された物品を高速・高精度にサーチするためのソフトウェア開発キット「P3 Finder(Phase based 3D RAIN RFID tags Finder SDK)」を共同開発。10メートル以上の読み取り可能なRAIN RFIDタグ位置をユーザーに正確に示すことで、紛失物、サイズ・色違い品、消費期限間近品などを早期に発見できるのが特徴。RFIDリーダ制御の詳細な知識不要で、数行のSwift言語を記載することでアプリケーションに組み込める。
エアロネクスト
機体のフレーム設計を基本から見直して機動性の向上と特徴的な飛行姿勢を実現した、4D Gravity技術を搭載したドローンを開発。産業用途にも応用できるという。具体的には、ドローンの飛行部(プロペラ、モーター、アーム)、搭載部(カメラ、積載物)を物理的に切り離し、機体を貫通するジンバルを1本通すことで、機体バランスの安定を図っており、従来のドローンとは異なり軸がぶれない飛行を可能にする。エアロネクストは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。
マッシュルーム
宅配クライシス、再配達問題を解決する箱のスマート化を目指すスタートアップ。スマホを利用して解錠が可能な宅配ボックスを開発。配達ドライバーが宅配ボックスに荷物を入れると、ユーザーのスマホアプリでその通知を受け取れる。受け取りの記録が宅配事業者に送信されるため、受取確認の捺印書類などが不要になる。ネットスーパーやフードデリバリーの受け取りなども可能。目指すのは「時間消費の束縛から解放」。
モノオク
個人間で荷物を預けることのできるシェアリングエコノミー型のサービス。例えるなら物置き版のAirbnb。登録できるのは部屋の一角にある押し入れやクローゼット、使っていない倉庫や空き部屋を始めとした個人が保有しているスペース。ホストと呼ばれる荷物の預かり手となるユーザーは、これらの空きスペースを活用して荷物を預かることで収益を上げることができる。小さなスペースをかき集め、テクノロジーと組み合わせることで新たな価値を生み出したいとのこと。
Review
ネット検索ではなかなか見つからない街の情報を写真付きで閲覧できるサービス。主に不動産会社や求人広告会社が必要とする、直近3カ月以内の空地、更地、駐車場、新築物件、求人広告などの情報を提供する。調査専用のiPhoneアプリを自社開発し、スピーディに信頼度の高い情報を収集。調査撮影した画像情報を社内スタッフが手作業にて入力しているとのこと。圧倒的な低コストで町のタイムリーな情報をデータベース化。アプリを一般公開することで主要都市から全国展開を目指す。
Velodash
サイクリングイベントプラットフォーム。これまではサイクリング関連のイベント情報がさまざまなソーシャルプラットフォームに散乱していたほかマッププラニングツールも数多くあり煩雑だったが、Velodashには必要な機能がすべて備わっているという。チーム同士の位置の把握やチャットも可能。
Eco-Pork
農家の改善を支援し、最適な養豚経営を実現させるシステム。データ分析や業界標準から業務のあるべき姿を設定・共有することで、組織での継続的な経営改善を狙う。豚肉の生産性をデータを活用し生産性の改善を可能に。農家が抱える生産コストだけでなく持続可能性を脅かす社会的コストも最小化し、「みんな安心して食べられる環境」を目指す。Eco-Porkは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。
PLIMES
人工知能が嚥下を測るウェアラブルデバイス「GOKURI」を開発。このデバイスは、筑波大学および筑波大学附属病院における研究成果である、頸部装着型嚥下モニター(特許第5952536号)と情報システムがベースになっている。首に装着したセンサで嚥下音や姿勢を計測し、AI技術とクラウドデータベースが解析し、正しく嚥下できたかどうか、嚥下能力がどの程度なのか定量化するという。日本人の死因の1つである肺炎、その肺炎の7割が誤嚥によるもの。GOKURIを使えば97.3%の制度で嚥下を探知できるという。
バーチャルキャスト
ちょっと間違えた未来を作る。ミッションは脳汁の最大化。現実より楽しい仮想現実を提供する。開発者は「本物の美少女になりたい」というその一心でこのサービスを作った。日本の次は中国進出を目指す。後半はバーチャル空間でのプレゼンとなり、来場者を沸かせた。