約17億円の量子コンピューターを無料で貸し出すD-WAVEの「Leap」、ついに日本でも正式公開

カナダの量子コンピューター企業D-WAVE Systems(以下、D-WAVE )は日本時間3月26日、同社の量子コンピューター「D-WAVE 2000Q」に無料でアクセスできるクラウドサービス「Leap」を、日本を含む33カ国で利用可能にすると発表した。これまではアメリカおよびカナダ限定の公開だった。

D-WAVE Systemsの量子コンピューター「D-WAVE 2000Q」

Leapは、D-WAVEが販売する量子コンピューターにアクセスできるクラウドサービスだ。その量子コンピューター「D-WAVE 2000Q」は販売価格が1500万ドル(日本円で17億円程度)とも言われ、さらにシステムを最適な状態で動作させるには専門家のサポートが必要だった。しかし、そのコンピューターへのアクセス権をクラウド上で貸し出すことで、誰もが気軽に量子コンピューターを使用することができる。また、本格的な開発者のためには1時間あたり2000ドル(約22万円)の有料プランも用意している。

これまで、Leapは(正式には)アメリカとカナダ限定のサービスであったが、今回の発表でEU、日本、アイスランドなど33カ国でも新たに利用可能になる。D-WAVE CEOのVern Brownell氏は、TechCrunch Japanの取材に対し「D-WAVEの日本顧客は、量子コンピューターアプリケーションという領域を真っ先に拡大してくれた人たちです。自動運転からデジタル広告配信の最適化、工場の自動化まで、彼らは様々な分野で素晴らしいイノベーションを起こしました」とコメント。

また、日本市場への拡大について同氏は、「私たちは何千もの量子コンピューターエンジニアのためにLeapを開発してきましたが、それを日本人の開発者にも届けることは私たちにとっても重要なマイルストーンの1つだったのです。今後も、日本マーケットは最新鋭の量子コンピューターアプリケーション、その専門知識、そして研究成果の生まれ故郷となるであろうと思っています」と話した。

D-WAVEはこれまでにデンソーやリクルートコミュニケーションズなどの日本企業と量子コンピューターアプリケーションの実証実験を進めてきた。同社は今回の発表と併せ、それらの実証実験が終了したと発表。今後はそのアプリケーションを実際のビジネスの現場へと応用していく。デンソーはD-WAVEの量子コンピューターによって開発した自動走行車を同社の工場に配置。そしてリクルートコミュニケーションズは量子コンピューターによって最適化されたTVコマーシャルを運用する予定だ。

Alibabaが顔認識による決済システム‘smile to pay’をKFCの杭州店でテスト開始

中国はデジタル決済ではかなり先を行っている。その最新の跳躍は顔認識技術、お客は笑顔を見せるだけで支払いができるのだ。

Alibaba傘下のAnt Financialが、その‘smile to pay’(笑顔でお支払い)サービスを、本社のある杭州で開始した。テストするお店はKFC(ケンタッキーフライドチキン)だ。

下のビデオでお分かりのように、顧客がすでにAlipayアプリで登録して顔認識を有効にしていれば、支払いのためにスマートフォンは要らない。POPのところにある3Dカメラが顧客の顔をスキャンして、本人性を確認する。電話番号入力で、セキュリティを強化することもできる。

今回の試行は、Alibabaにとっていろんな努力の成果だ。

同社は2年前にドイツで行われたIFAで、初めて顔認識技術を披露したが、そのとき社長のJack Maが紹介したのは、セルフィー(自撮り写真)を撮ってから支払いをするオプションなど、いくつかの基本的な機能だった。その後オプションは、かなり進歩した。ここでAlibabaが使っているのは中国のスタートアップMegviiのFace++と呼ばれる技術で、MegviiはFoxconnなどから1億5000万ドルあまりの資金を調達している。

KFCをテスト店に選んだのは、KFCの中国のオペレーターYum ChinaにAlibabaが投資しているからだ。McDonaldsやTaco Bellも、中国では同社がオペレーターだ。

Alibabaがこの技術をeコマースの未来と位置づけているのは、オンラインとオフラインのリテールを統合できる、と考えているからだ。同社は今年の初夏にキャッシュレスのストアを開店し、上海ではモバイルアプリで顧客体験を最適化できる近隣ショップを10店営業している

だから‘smile to pay’も、そういった戦略の一環だ。また、Alipayの人気を高めることにも貢献する。こちらはTencentのWeChat Payという強敵がいるから、とくに重要だ。なんといっても、WeChatは中国で巨大な人気を誇るメッセンジャーアプリだから。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))