農作物への化学物質の影響を低減するバイオ農薬開発のTerrameraが48億円超を調達

農業から化学物質の使用を減らすためにバイオ農薬(生物由来の農薬)や種子処理剤を開発・販売しているカナダのTerramera(テラメラ)がこのほど、4500万ドル(約48億円)の資金を調達した。

この投資ラウンドをリードしたのは戦略的投資家Ospraie Ag Science(オスプライAgサイエンス)、Terrameraのこれまでの投資家であるSeed2Growth Venturesだ。

モンサントの役員だったCarl Casale(カール・カサーレ)氏が率いるOspraie Ag Scienceは、生物農薬や有機農法のための製品のメーカー企業を支援している。Terrameraのほかには、Marrone BioInnovations(マッローネ・バイオイノベーションズ)やAgrospheres(アグロスフェレス)なども同社の支援企業だ。

バンクーバーに本社を置くTerrameraは最初、植物のニーム(Neem、インドセンダン)を使用する農薬を大手スーパーマーケットのTargetなど北米の小売企業で売って注目を浴びた。その製品は、トコジラミやダニなど家庭の害虫やカビがターゲットだ。

同社は今、新製品のActigate(アクティゲート)に注力している。そして今回の資金で研究開発と営業マーケティングの能力を上げたいとしている。

同社の創業者でCEOのKarn Manhas(カーン・マンハス)は声明で「弊社は、世界中の農業における合成化学物質の使用量を、Actigateによって2030年までに80%減らしたいと考えている」と述べている。

同社によるとActigateは、生物農薬と従来からの化学農薬の両方の効果を上げるので農業における化学物質の使用を減らせるという。

Ospraie Agのカサーレ氏は「TerrameraのActigateプラットホームはパラダイムシフトを起こし、生物的殺虫剤の効果を上げて化学製剤に対する競争力を高める。その新しい価値を作り出す機会はとても大きく、またコストと無駄と環境被害を減らしながら従来的なやり方に大きなインパクトを与える」と語る。

この投資の数カ月前にTerrameraは、種子処理剤の技術で多くの特許を持つExosect(エグゾセクト)を買収した

Exosectのパテントポートフォリオには、有機的および化学的な種子処理剤のデリバリを改善するための合成物質が多く含まれており、これがTerrameraの技術開発に大きく進歩させるものと思われる。

買収時にマンハス氏は「この知財を獲得したことによって新たな機会が開け、Terrameraの特許であるActigateの目標性能技術(Targeted Performance technology、特定の害虫だけにしか害を与えないこと)が補完される。その知財ポートフォリオは、安全でより効果的な植物保護製品の開発力を高め、世界の誰にでも入手可能で汚染のない食品を作るというわが社のビジョンを実現可能にする」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ビッグデータによる気候予測のスタートアップ、Climate Corporationをアグリビジネスの巨人モンサントが11億ドルで買収

今日(米国時間10/2)のビッグニュースはアグリビジネスの世界的トップ企業、MonsantoClimate Corporationを11億ドル前後で買収したことだ。Monsantoのプレスリリースでは買収金額は9億3000万ドルとなっているが、投資家からの情報によると、Climate Corprationの従業員引き止めのための優遇策などを加えた買収費用総額は10億ドルを超えるという。

Climate Corporationへの投資家にはFounders FundKhoslaGoogle VenturesNEAIndex VenturesAtomicoが含まれる。このスタートアップは機械学習を利用してビッグデータを解析し、気候変動の予測など農業ビジネスのために必須な情報を提供している。

Monsantoはバイオテクノロジーを利用した新品種の種子を始め農業関連のさまざまな商品とサービスを全世界で提供している。買収されたClimateCorporationは名称をそのままに独立の企業として運営を続ける一方、Monsantoはそのビッグデータ解析による情報を世界の農業関係者に提供していく。

今回の買収の発表は世界最大のアグリビジネスの一つであるMonsantoが第4四半期の決算で 予想以上に大幅な2億4900万ドル(1株当たり0.47ドル)という損失を発表したのと同日だった。

Monsantoはこの買収を長期的な業績回復のための布石の一つと捉えている。Climate Corporationの気候変動監視テクノロジーが地球温暖化などマクロ的スケールにおけるリスクマネージメントに大きく寄与すると考えているわけだ。 Monsantoは年来遺伝子組み換えテクノロジー などによる市場占有で小規模なアグリビジネスを圧倒してきた。Climate Corporationの買収がこれまでのMonsantoの戦略のどこに収まるのか注目される。

こちらはMonsantoのプレスリリース

Climate CorporationのCOO、Greg Smirinは私の取材に対し「この買収は双方にとって理想的だ。周知のように地球気候は近年変動が激しくなっている。われわれは以前からMonsantoに親近感を抱いていた。われわれが開発したデータ解析テクノロジーはMosantoの種子ビジネスにきわめて大きな好影響を与えると確信している」と述べた。

Climate CorporationのCEO、David Friedbergは元Google社員で、Googleの最初の企業買収担当幹部の一人だった。IndexのNeil RimerによるとFriedbergはSkypeの買収を社内で提案したことがあるという。 IndexはClimateに最初の30万ドルのシード資金を提供している。

私はMonsantoの世界戦略担当副社長、Kerry PreeteとFriedbergをわれわれのスタジオに招いてインタビューすることができた。

こちらは昨年、Climateが5000万ドルの資金を調達したときのFriedbergインタビュー。

取材協力:Ingrid Lunden

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+