フォードマスタングMach-E、テスラのModel 3を抜いてコンシューマー・レポート誌の「最も推薦できるEV」に選出

Tesla(テスラ)の「Model 3(モデル3)」は、過去2年間にわたって「Consumer Reports(コンシューマー・レポート)」誌の「最も推薦できるEV」に選ばれてきたが、同誌は今回、新たなチャンピオンを宣言しようとしている。CRは、Ford(フォード)の「Mustang Mach-E(マスタング・マックE)」がModel 3を押しのけて、コンシューマー・レポート誌のトップピックEVに選ばれたことを明らかにした。CR編集部によると、このマスタングのクロスオーバーは「より実用的」であるだけでなく、発売年度の信頼性が高く、基本的な操作に複数の手順を必要としない「はるかに簡単な」インフォテインメントシステムを備えているという。乗り心地の良さや騒音が抑えられていることも評価された。

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また、フォードの運転支援技術「BlueCruise(ブルークルーズ)」は、運転者監視システムがテスラより効果的で、これが車両スコアに加算されることも、Mach-Eの首位に貢献した。テスラの運転支援技術「Autopilot(オートパイロット)」は、ドライバーが目を離している間も機能してしまうことが減点の対象となった。

それでもコンシューマー・レポートは、Model 3のスポーツカーのようなパフォーマンス、長い航続距離、充電ネットワーク、テクノロジーなどを評価し、依然として推薦車種に挙げている。しかし、Mach-Eの直接的なライバルである「Model Y(モデルY)」は、EVトップピックとして推薦できないと、CRには判断された。このテスラのSUV風モデルは、ラインアップの平均的な車種よりも信頼性が「はるかに低く」、平均的と評価されているModel 3よりも明らかに劣るという。

これは、長年にわたりCRとあまり友好的ではない関係を築いてきたテスラにとって、喜ばしいことではない。両者はこれまで、テスト結果を巡って何度か論争し、CRはいくつかのモデルの推薦を一時的に取り下げたこともある。しかし、今回の評価は、テスラのなかなか消えない信頼性に対する懸念が反映されたものになっている。このEVメーカーは、最近数カ月の間に相次いでリコールを行っており、オーナーからは製造品質の問題が頻繁に報告されている。これだけがテスラを首位から陥落させた原因ではないかもしれないが、同社の足を引っ張ったことは確かだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:MATT BURNS

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードの電気自動車への移行はコスト削減が中心となる

フォードの新しい電気自動車(EV)モデルは、最高経営責任者のJim Farley (ジム・ファーリー)氏が 「信じられないほどの需要」と呼ぶほど好調だが、同社はその需要を満たしつつ利益率の改善を図る中で、コスト削減をEV戦略の重要な要素に位置づけた。

米国時間2月3日に行われた第4四半期および通期の決算説明会で、ファーリー氏は、フォードがバッテリー電気自動車(BEV)の部品表を「通常の部品コスト削減を超えて大きく」削減するためのタスクフォースを設置したことを明らかにした。

「例えばMustang Mach-E(マスタング・マッハE)では、私たちのチームは先月だけで、1台あたり1000ドル(約11万5000円)のコスト減の機会を見つけました。これは、設計の簡素化、垂直統合、生産の拡大にともなうサプライチェーンでの規模の活用によって意図的に実現してきたものです」とファーレイ氏は述べている。「そしてチームはまだ始まったばかりなのです」。

注目すべきは、フォードがコスト削減や効率向上につながる変更を行うために、第2世代のクルマまで待ってはいないという点だ。

ファーレイ氏は、Mach-Eの製造過程で、エンジニアリング、サプライチェーン、製造の各部門をよりよく統合することで、フォードは利益を拡大できる方法を学んだのだという。例えばMach-Eの冷却システムは、モーターが2個で済むところを4個使用していたり、ホースが60本もしくは70本もあるが、実際にはその3分の1で十分に機能するとファーレイ氏は指摘する。

「それらは今まさに追い求めているチャンスなのです。2023年を待つつもりはありません」と彼はいう。「マイナーチェンジ を待つのではなく、この車両を今リエンジニアリングして、そのノウハウをLightning(ライトニング)やE-Transit(イー・トランジット)、そしてもちろんすべての電動プラットフォームへ活用していきます」。

フォードのCFOであるJohn Lawler(ジョン・ロウラー)氏は、同社のBEVのマージンを改善する必要があると述べている。

「私たちにはチャンスがありますが、それを大規模にやらなければならないのです」とロウラー氏はいう。「現在のMustang Mach-EやLightning、そして商用車のE-Transitのような、大量生産されるセグメントの主要な車両で、頼りになる強力なラインナップを持ちたいと考えています。複雑さを削減していくのです」。

フォードF-150LightningトラックとE-Transitバンはまだ市場に出ていないが、バンは2022年1月末から納車が開始される予定だ。現在のフォードのBEVポートフォリオは、Mustang Mach-Eだけだが、2021年発売されて以来、このクロスオーバーEVの販売は加速している。2022年の1月だけでMach-Eは2370台を販売した(前年同月は238台)。

コストを下げるためには、明らかにオペレーションを拡大することが有効だが、そのためには多くの先行投資が必要となる。

フォードとバッテリーメーカーのSK Innovation(SKイノベーション)は、114億ドル(約1兆3000億円)を投じてテネシー州とケンタッキー州に2つの工場を建設し、バッテリーや次世代電動Fシリーズトラックを生産する計画で、1万1000人の新規雇用を創出するとしている。フォードはこのプロジェクトに70億ドル(約8047億2000万円)を拠出するが、これは118年の製造の歴史の中で単一としては最大規模の投資となる。この投資は、先に発表した2025年までに電気自動車に300億ドル(約3兆4488億円)を投入する計画の一環である。

ファーレイ氏は内燃機関(ICE)車事業を、成長著しいEV事業とは別の事業と位置づけているもの、フォードは内燃機関車事業のコスト削減にも力を入れている(Transitバンのように両セグメントにまたがるモデルもあるが)。フォードの利益は依然としてICEモデルが中心であるため、この点は重要なポイントだ。

ロウラー氏は「ICEビジネスでは、車両に対する計算を活用して、製造コストを大幅に削減し、業務を簡素化し、それを車両のボトムラインに還元していきます」と語り、パートナーと協力して流通コストを削減する方法も検討していると述べている。

健全なICEビジネスへの投資を継続することの目的は、健全なBEVビジネスの成長を促進することだとファーリー氏は述べ、ICE車の将来の製造は、フォードの電動化に注入できるキャッシュリターンを最適化することに主眼を置いていると語る。

フォードは、2020年の第4四半期に計上した28億ドル(約3222億6000万円)の損失から一転し、2021年第4四半期には123億ドル(約1兆4140億円)の純利益を計上した。このフォードの利益には、2021年11月に上場したEVスタートアップ企業Rivian(リビアン)への投資による82億ドル(約9427億5000万円)の利益が含まれている。Rivian社からの利益を除いた調整後の第4四半期の利益は20億ドル(約2299億4000万円)となる。第4四半期の売上高は、5%増の377億ドル(約4兆3344億円)だった。

通年でみたときにはフォード純利益は179億ドル(約2兆581億円)で、これは2020年の12億7000万ドル(約1460億2000万円)の赤字から改善している。

フォードの業績がアナリストの予想に届かなかったため、時間外取引でフォードの株価は4.37%下落している。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

フォード、EV「マスタング・マッハE」の生産能力を2023年までに3倍に

Ford(フォード)は2022年、EV(電気自動車)「Mustang Mach E(マスタング・マッハE)」の生産を拡大する。「驚異的な需要」に対応するため、2023年までに現在の生産能力を3倍にする計画だと、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏が米国時間12月10日遅くにツイートした。

マスタング・マッハEの具体的な見通しが示されたのは、今回が初めてだ。

Fordは11月、2023年までにEVの生産能力を世界で60万台に引き上げると発表した。この目標の中には、Mustang Mach E、F-150 Lightning、Eトランジット商用バンの台数が含まれる。60万台という数字は、Fordが今後2年間で見込んでいた生産台数の2倍だ。

ファーリー氏はこうツイートした。「驚異的な需要に応えられるほどにMustang Mach Eを迅速に生産するのは難しいと思いますが、必ず挑戦します。2022年から生産量を増やし、2023年には北米と欧州で年間20万台以上の生産を見込んでいます。2021年の生産量の3倍にあたります」。

FordはTechCrunchに対し、一部車種をメキシコのクアウティトラン工場で製造すれば、Mustang Mach Eの生産台数を増やせると述べた。

ツイートと同じ日に、Automotive Newsの報道があった。同誌は、Fordがサプライヤーに送ったメモに基づき「Explorer(エクスプローラー)」と「Lincoln Aviator(リンカーン・アビエイター)」クロスオーバーのバッテリーEVバージョンの生産開始を約18カ月遅らせていると報じた。いずれのEVバージョンも、メキシコのクアウティトラン工場で組み立てられる予定だった。

フォードはこれまで、Mustang Mach Eの生産初年度(2021製造年度)の販売台数は、北米と欧州で5万台程度になると予想していた。同社の最新の販売データによると、欧州では第3四半期末までに1万5602台米国では11月末までに2万4791台のMach Eを販売した。合計4万393台の販売であり、目標としていた5万台の販売は達成するはずだ。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】フォード2021マスタングMach-E GTとGTパフォーマンス初試乗、ついに「Mach-E」の名にふさわしいものに

Mustang Mach-E(マスタングMach-E)という名前について議論するのはもうやめよう。Mach-Eではなく、もう片方のことだ。電気SUVに塗られたポニーカーの血統。その議論に終止符を打つ。人々は二手に分かれたのだ。Mach-Eがマスタングかどうかという疑問は妥当ではない。「Mach-E GTがGTの名にふさわしいか」という、それよりはるかに差し迫った問いが私たちに投げかけられている。


無条件で、Mach-E GT(5万9900ドル[約684万円]から)とMach-E GTパフォーマンスエディション(6万4900ドル[約741万円]から)の両方がFord(フォード)のグランドツーリングの名にふさわしい。これは通常のMach-Eからのトリムレベルの著しい強化、新たなトラックモード、そしてパフォーマンスエディションではアップグレードしたサスペンションシステムにより実現した。

アンブライドルド

画像クレジット:Roberto Baldwin

ベース車のMach-EはEVパワートレインのおかげですでに加速面で優れている。GTとGTパフォーマンスエディションでは、加速とスロットルレスポンスが増して驚異的な速度のバーストを生んだ。標準のGTは480馬力、600ポンドフィート(約814ニュートンメートル)のトルクを誇り、完全停止状態から3.8秒で時速60マイル(約96km)に達する。フォードは加速のために、バッテリーパックは88 kWhと変わらないままパックの配線とチューニングを強化しつつ、フロントモーターをアップグレードした。

予算に余裕があり、もっと早く時速60マイル(約96km)を出したい人には、480馬力、634ポンドフィート(約860ニュートンメートル)のトルクで、3.5秒でゼロから時速96kmに達するGTパフォーマンスエディションがよい。GTと同じく、バッテリーの配線とチューニングのアップグレードとフロントモーターの強化が行われた。

両車とも出荷時は前輪駆動(AWD)標準だ。すべてのEVトルクを道路に伝達するのに役立つが、そのパワーは本来あるべきほど十分に維持されない。複数回のローンチの間、両方の車両の前輪が、ローンチ時または時速30マイル(約48km)に達する前にスリップした。また、GTパフォーマンスエディションで、完全停止状態からアクセルを踏んだ瞬間のトルクステアも体験した。

これらの小さな急加速がGTで予想される。通常のMach-Eと同じマルチリンク式サスペンションで回転する。しかしGTパフォーマンスエディションは、MagneRideサスペンションシステムを装備したフォード初のEVだ 。コーナーでボディロールを減らすことには優れているが、発進時にフロントのホイールのスリップを減らすためにバックエンドが飛び出さないようにするには、もう少し調整が必要なようだ。私は同日に両方の車を運転して、高速道路と田舎道の両方でMagneRideの利点を見ることができた。GTは角を曲がったところで適切なハンドリングができたが、より高価なGTパフォーマンスエディションよりもはるかに多くのボディロールが見られた。ヘアピンターンでこれは特に顕著だった。そこではパフォーマンスエディションは車体を保持していたが、GTは外側に飛び出していた。

コーナリングに関しては、どちらの車両もAWDで、わずかなアンダーステアを示した。これさほど驚くことではない。しかし試乗2日目には、フォードはGTパフォーマンスエディションでレース用トラックを走らせてくれた。トラクションコントロールをオフにするとコーナーでよりニュートラルに感じ、力を入れるとわずかにオーバーステアが生じた。

BlueCruise

GTを運転している最中に、フォードのハンズフリー運転支援システム「BlueCruise(ブルークルーズ)」に初めてお目にかかった。GMのSuper Cruise(スーパークルーズ)のように、レベル2システムにより一定条件下でドライバーがホイールから手を離すことができる。スーパークルーズと同様、システムは地図化されている中央分離帯のある高速道路に対してジオフェンスされており、ドライバーモニタリングシステムを使用してホイールを握る人が道路に注意を払っているか確認する。フォードは、ブルークルーズをオプションの1900ドル(約22万円)のフォードCo-Pilot360 アクティブ2.0パッケージの一部として両方の車両で利用できると述べた。

テスト中、システムはGMの製品よりもわずかに堅牢性が低く、急カーブ後の車両のノッキングが少し多いことがわかった。1度だけ、車両が十分に鋭く曲がっていないと感じ、隣の車線に滑り込んでいくと思ったため、ステアリング動作を引き継いだ。ほとんどのコーナーで、直線で走行するとき、変化する交通状況とカットインを上手く処理していた。前方の路上ではなくインフォテインメント画面を見るのに時間をかけすぎると、システムに適切に注意してくれた。

警告音が少し大きくなり、フォードがダッシュクラスターに加えて、ライトバーまたは警告灯が車両のステアリングホイールに追加され、注意が必要なときやBlueCruiseのハンズフリー機能が解除されるときに警告してくれるようになることを強く願う。BMW、GM、Mercedes(メルセデス・ベンツ)はオンホイールインジケーターを使用している。フォードが彼らの先導に従わないことに決めたのは残念だ。

内装:同じだが、違う

内装は通常のMach-Eと同じだが、新しいシートでは素材がアップグレードされている。GTではスポーツスタイルのシートにより、コーナリング中にドライバーがシートから飛び出さないよう、サイドボルスタリングをわずかに追加している。新しいシートは、過度にスポーティーでなく快適だ。

GTパフォーマンスエディションのシートは別の問題がある。パフォーマンスのシートはショルダーラインに追加エレメントがあり、身長190cmの私は態勢をどう変えても座り心地がよくなかった。背が低い場合は大丈夫だが、私は座り心地が悪く、GTに乗り換えるとよくなった。

通常のMach-Eと同様、二種類のGTはSync 4A を搭載したフォード製15.5インチポートレートディスプレイを採用している。インフォテインメントシステムはわずかなレイテンシを示した。その表面積の大きさが、これが車の未来であることを思い出させてくれる。ほとんどの機能をすぐに利用でき、ディスプレイ近くに大きなノブがあることがこの車で一番のお気に入りだ。

温度調節はインフォテインメントシステムによって処理されるが、私は好きではない。コントロールが常に画面の下にあるため、温度の調整は比較的簡単だった。

両方の車両の後部座席は、背の高い大人でも快適だ。また、後部座席の後ろにあるMach-Eの29.7立方フィートの貨物スペースは、中型の荷物を4〜5個運ぶには十分だ。

バッテリ―とレンジ

画像クレジット:Roberto Baldwin

GTのすべての楽しみは、ベース車のMach-Eの4万2895ドル(約490万円)と比べて、大きなコスト差のある価格で提供される。

パワーが増強されると、走行距離を失う。Mach-E(5万775ドル(約580万円)から)は1回で306マイル(約492km)走行できる。Mach-E GTは最高270マイルに達し、GTパフォーマンスエディションは260マイルの後電力系統に接続する必要がある。

幸運もどちらもDC急速充電ステーションで最大150 kWの充電をサポートしている。さらにはプラグアンドチャージ機能を備えていることから、Electrify America(エレクトリファイ・アメリカ)のような充電ステーションでアカウントを持っていれば、車両を接続するだけで、アプリやクレジットカードを使用せずにその電気を車両のバッテリーに送り始める。車両を認識してくれるのだ。

どちらを購入するか

Mach-E GTパフォーマンスエディションは5000ドル(約57万円)をパワーのわずかな向上とサスペンションの改善に費やすことへの、説得力ある事例を作り出している。現実は、運転者のほとんどがトラックを見たり、フォードのMach-E trackトラックモードのUnbridled Extend機能を使用したりすることは絶対にない。彼らはトラックタイムより交通状況を見る、日常生活のドライバーである可能性が高い。その場合、ハンズフリーのBlueCruiseを搭載した1900ドル(約22万円)の運転支援パッケージは価値ある出費だ。

どちらを選択しようとEVの運転体験が得られる。私たちは同意しないかもしれないが、間違いなく認めることができるのは、マスタングがGTバッジにふさわしいということだ。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Dragonfly)

EVは警察の任務に耐えうるか?ミシガン州がフォードの改造版マスタングMach-Eでテスト開始

今度ミシガン州でクルマを止められたら、それはSUVスタイルのEVに乗った警官かもしれない。Ford(フォード)の思惑通りに事が運べば、の話だが。米国の自動車メーカーである同社は、既存のモデルを法執行機関向けに改造する「Police Interceptor(ポリスインターセプター)」プログラムの加速を進めている。このプログラムでは、車両のサスペンションやブレーキ、馬力などが強化されている。

Fordはこのプログラムを英国の警察機関に提案しており、ミシガン州アナーバー市ではすでに2台の車両を発注している。また同社は米国時間9月17日、(通常版でも480hpのツインモーターを搭載する、Mach-E GTをベースにしていると思われる)Mustang Mach-E Interceptor(マスタング・マッハE・インターセプター)のプロトタイプのうち1台を、ミシガン州警察に近日中に提供すると発表した。この車は、Mach-EのようなEVが過酷な警察の仕事に耐えられるかどうかを確認するための実地テストになる。

Fordは、300億ドル(約3兆3000億円)規模の複数年にわたるEV技術への投資の一環として「今回のパイロットプログラムテストをベンチマークとしながら、将来的には専用の電気警察車両を検討していきたい」と述べている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Andrew Tarantola(アンドリュー・タラントーラ)氏は、Engadgetのシニアエディター。

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画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Aya Nakazato)

フォードの新型EV「マスタング・マックE」に初試乗、第一印象はがっかり

これは2021年型Ford Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)スポーツSUVのレビューではない

数週間前、私はこのフォードが間もなく発売するEVに、2時間という短い時間のみ乗ることができた。わずか数時間ほど運転しただけで結論を出すのは気が引ける。マックEにはもっと時間が必要だし、フォードがこの記事を読んだ後、私はおそらく長期テストの列の最後に並ぶことになるだろう。

私がマックEと短い時間を過ごしている間に、1つのことが明らかになった。マックEはマスタングと呼ばれるべきではないし、SUVと呼ばれるべきではない。

マックEをマスタングのSUVと呼ぶことで、フォードは実体のない体験を顧客に売り込もうとしている。これは意味論による議論ではない。マックEは、伝統的な作法に則ったスポーティSUVではない。それはAudi E-Tron Sportback(アウディ・イートロン・スポーツバック)やTesla Model X(テスラ・モデルX)を見ればわかるだろう。これらはマックEに欠落しているいくつかの重要な特性を備えている。マックEが小さく、ゆるく、締まりがなく感じるのに対し、これらのSUVは頑丈で、骨太で、パワフルだ。

気になる点はいくつかある。私はヴィークルダイナミクス(車両の運動性能)に疑問を感じた。スロットルは不快感を覚えるし、リアエンドはトラクションを維持するのに苦労している。航続距離(一度の満充電で走れる距離)はライバル車に比べて劣っており、AWD(4輪駆動)バージョンはテスラの競合モデルより80kmも短い。電気自動車において、運動性能や航続距離よりも重要なことが他にあるだろうか?

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初期の印象

数週間前、私は2021年式マスタング・マックE AWDに乗って、ミシガン州南部の慣れ親しんだルートを回った。自動車ジャーナリストなら、誰もがこの地域をミシガン州の地獄と呼ぶことを知っている。だが、そんな名前とは裏腹に、原生林の広葉樹が並び、クルマが息を吹き返すような緩やかなワインディングロードが続く素敵なエリアだ。幹線道路を降りて、砂利道でちょっとしたスリルを味わうのも楽しい。しかし、このエリアはマックEには優しくなかった。

短時間のテストだったが、いくつかの印象が残っている。

マックEは、安物のクロスオーバーのようにガタガタと走る。乗り心地やハンドリングに自信も安心も感じられない。「マスタング」という名前がついていても、マックEはマスタングのようには走らない(冗談は置いといて、最新型のマスタングは素晴らしいクルマだ)。マックEは、コーナーに飛び込んで安全に立ち上がることを期待できるようなクルマではない。ボディは大きく傾き、後輪はだらしなく滑り、マスタングという名前に対する敬意は失われてしまう。

アクセルは過敏で微妙な調整がやりづらい。ペダルに足を乗せるだけで、マックEは前方に飛び出す。アクセルペダルを戻すと積極的に作動する回生ブレーキと相まって、マックEの運転には慣れが必要だ。パワートレインは気力が感じられない。電気自動車には洗練させるための修練が必要だ。電気モーターは滑らかに、そしてドライバーの予想どおりにパワーを供給する必要がある。威圧することなく、ドライバーに興奮と自信を感じさせなければならない。難しい公式であり、最初から正解を導き出せる自動車メーカーはほとんどない。

運転してすぐに、AWDのマックEのハンドリングの酷さに困惑させられた。最近のEVは、運転しても安定しているが退屈なものが多い。しかしマックEは違う。リアエンドは乗用車にしては元気が良すぎる。かといってスポーティな性格というわけでもない。これでは単に粗雑で無頓着なだけだ。普通の交差点を曲がるだけで簡単にタイヤが滑ってしまう。アクセルペダルを踏み込んで車輪を回転させようとすると、後輪が空転しないように頻繁にトラクションコントロールが作動する。

マックEをスポーティなクルマと言い張ることで、フォードは自らの技術力以上のものを顧客に期待させようとしているのだ。だが、ドライバーがマックEの性能面に向き合うと、緩みが生じてしまう。私がマックEに試乗していた時、普通にコーナーを回っているのに後輪が予想外の挙動をしたり、車幅が広すぎると感じることが何度かあった。これはスピードが上がるとさらに誇張される。AWDシステムが雪や氷にどれだけ対応できるかも気がかりだ。私が試乗中に、砂利の上で何度か苦労したからだ。

試乗後、フォードのエンジニアにオーバーステアがあまりにも強いことについて尋ねると、彼は「ああ、そんな運転をした場合にはね」と答えた。それが引っかかったのは、私は自分のせいではないと思うからだ。私はミシガン州アナーバー周辺で、マックEを特にアグレッシブに走らせたわけではない。しかも路面は乾いていた。それなのに、私の短いドライブの間に、何度かトラクションコントロールが作動した。そんなことはあってはならないはずだ。

マックEは、真っ直ぐ走る分にはずっと良かった。加速は速い。アクセルペダルを床まで踏み込むと、マックEは後ろ足で路面を蹴り、勢いよく前方に飛び出す。テスラより速いかって?それはない。だが、それでもこの価格帯のクルマの中では一番速いし、信号が変わって発進する際に隣車線のクルマを置き去りにすることは容易だろう。

マックEには3つのドライブモードが用意されている。標準モードとエコノミーモードでは、粗雑で扱いにくい印象のあるパフォーマンスモードよりも、より洗練された秩序に基づいてパワーが供給される。どのモードでも、積極的に回生ブレーキを利用して、いわゆる「ワンペダル走行」(ブレーキペダルを使わず、アクセルペダルの開閉だけで加減速をまかなう走り方)が可能だ。

航続距離もマックEで考慮すべき要素の1つだ。EPA(米国環境保護庁)による推定航続距離は、テスラ Model Y(モデルY)のAWDバージョンが326マイル(約524.6km)であるのに対し、マックEのAWD仕様は最大270マイル(約434.5km)に過ぎない。

今回のような短いテストでは、マックEのバッテリーが現実の路上でどのくらいの距離を走れるかについて、判断を下すことはできない。それにはもっと長い時間、日常的にマックEと過ごし、街中と長距離の両方を含む様々な状況で実際に走らせる必要がある。私が報告できるのは、2時間のドライブの結果だけだ。その際に私は、1kWの電力で平均2.7マイル(約4.3km)の距離を走行した。クルマを返却した時、あと112マイル(約180.2km)の距離が走行可能と表示されており、バッテリー残量は56%だった。私が試乗したのは、容量88kWhのエクステンド・レンジ・バッテリー(標準バッテリーは68kWh)を搭載したAWDモデルだったが、EPAとフォードによると、このバージョンのマックEは1度の充電で270マイル(約434.5km)の距離を走行できるとされている。

マックEの価格設定は、4万2895ドル(約444.2万円)からと競争力がある。AWD+エクステンド・レンジ・バッテリー搭載バージョンは5万4700ドル(約566.5万円)からで、オプションを付ければさらに高くなる。米国の購入者のほとんどは、7500ドル(約77.7万円)の税額控除を受けることができる。テスラ Model 3(モデル3)は3万7990ドル(約393.4万円)から。ロングレンジAWDのModel 3は4万6990ドル(約486.7万円)から、クロスオーバーのModel Y(モデルY)は4万9990ドル(約517.7万円)からだ。

競合他社にも不利な面がある。テスラのModel 3とModel Yは、クラストップの航続距離を誇る斬新なクルマだが、製造品質に疑問が残るなど、欠点がないわけではない。他にもPolestar 2(ポールスター2)のような素晴らしいクルマはあるが、航続距離が短く、価格も5万9900ドル(約620.4万円)からと高い。

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マックEのインテリアは素晴らしい。だが、それで驚くことはなかった。フォードはそのクラスで最も美しいインテリアをいくつか作っているからだ。マックEの車内もとても素敵だ。

ほとんどのEVと同様に、フォードは伝統的な自動車の部品を現代的な同等品に置き換えるという大きなステップに踏み出した。メーターパネルの代わりに、小さな細長い液晶画面がドライバーの前に装備されている。高級感があり効率的だ。センタースタックには、メディアの再生や空調コントロール用の大型LCDスクリーンが設置されている。スクリーンの下部には回転するノブが取り付けられており、物理的な操作で音量調節が可能だ。私はこのボリュームノブがとても気に入った

シートも問題なさそうだ。私は2時間しか座っていないが。

車内は少し窮屈だが、小型クロスオーバーとしては許容範囲。ドライバーはコマンダーポジションと呼ばれる高い位置に座るので、これがこのSUVを選ぶ理由になるかもしれない。大人2人が座れる後部座席は、街中を巡る小旅行には最適だが、足元のスペースが不足しているので、長時間座っていたいとは思わない。

マックEの車内にはいくつかの楽しい装備も見られるが、私にはそれよりも運動性能に対する不満の方が大きかった。オーナーは自分のスマートフォンをクルマのキーとして使用でき、よくできたロードトリップマップのアプリを使ってドライブ前にナビゲーションルートを設定しておくことができる。ドアはボタン操作で開閉可能。それによってドアノブのないすっきりしたエクステリアを実現している。フォードはさらに、無線アップデートでハンズフリー運転機能も追加するという。しかし、これらの項目はほとんど重要ではない。残念な味のケーキを食べたとき、誰がその飾り付けを気にするだろうか?

長すぎて読む気がしない人へ

私はマックEに乗れることに興奮し、楽観的な気分で短い試乗に臨んだ。だが、私のこのクルマに対する第一印象は悪かった。私にとって、このフォード・マックEは、電気自動車の楽しさを、慣れ親しんだ車名と伝統ある自動車メーカーを通じて、大衆に届ける存在であるはずだった。私はミシガンに住んでいるフォードファンであり、地元の誇りを持ってマックEの開発を見てきた。それなのに、がっかりだ。

現時点では、私は自分の第一印象に基づき、消費者がフォード・マスタング・マックEを購入する前に、競合他車を試すように勧めすることしかできない。私はこのクルマがテスラよりも十分に買う価値があるとは思えない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:フォード電気自動車Mustang Mach-Eレビュー

画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:TechCrunch Japan)

EPA発表のフォードMustang Mach-Eの走行距離は340〜483kmと平凡な結果

EPA(米環境保護庁)はMustang Mach-E(マスタング・マッハ-E)に関する調査結果を発表したが、そこには良いニュースと悪いニュースが混在していた。モデルによって異なるが、EPAによれば、Mach-Eの走行距離は211マイル(約340km)から300マイル(約483km)の範囲に収まるとのこと。Mach-Eの走行距離はFord(フォード)が提示したものと一致しており、EPAがそれを認めた形になった。だがその一方で、この数値はライバルとなる他メーカーの車種をずいぶん下回るため、競争の激しい電気自動車市場では劣勢になるという問題がある。Fordは9月にMach-Eを値下げしている。

Mach-Eには、標準レンジと延長レンジの2タイプのパワートレーンがある。どちらも、オプションでデュアルモーターの全輪駆動仕様が選べる。延長レンジでは、走行距離が60〜70マイル(約70〜113km)延長される。このオプションを選択すれば、全輪駆動仕様で270マイル(約435km)、後輪駆動仕様で300マイル(約483km)走れるようになる。標準レンジでは、全輪駆動仕様が211マイル(約340km)、後輪駆動仕様が230マイル(約370km)だ。

これらの数値は、フォードがMach-Eで目標にしていたものとほぼ一致しており、同メーカーの技術力を向上が伺える。

だが、後輪駆動モデルの300マイルという最高の値ですら、Mach-EはTesla(テスラ)Model 3の走行距離を大きく下回る。Mustang Mach-Eと同等の価格でありながら、Model 3は400マイル(約644km)走ることができる。Mach-Eにより近いライバルとなるModel Yも、やはり走行距離で秀でている。デュアルモーターで全輪駆動というこのTeslaのクロスオーバーモデルは、同じ仕様のMach-Eの270マイル(約435km)に対して、最大走行距離が326マイル(約525km)と長い。

Mustang Mach-Eはフォード初となる主力電気自動車だ。予約していた人たちには12月から納車が開始される。この車両は、ますます競争が激しくなる分野に投入されようとしている。TeslaとともにMustang Mach-Eは、夢のようなPolestar(ポールスター)2やAudi(アウディ)の車種を増やしつつある電気自動車ラインアップ、Kia(起亜)やHyndai(現代)のお手頃なクロスオーバーなどと対抗して販売を伸ばさなければならない。あるものはこの同社初の電気自動車よりも走行距離が長く、あるものは価格が安い。

Mustang Mach-Eは、フォードによる電気自動車の最初の提案に過ぎない。走行距離がマーケットリーダーよりも劣ることは、同社も承知していたはずだ。目標は、楽しくて手頃な価格のフォード製電気自動車の「馬小屋」を立ち上げることのようだ。だとすれば、走行距離は短いものの、Mach-Eはその役割を果たしている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford電気自動車Mustang Mach-E

画像クレジット:Ford

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(翻訳:金井哲夫)