オウンドメディア支援のサムライトがグリーベンチャーズなどから1.2億円調達、ネイティブ広告ネットワークを展開

企業が消費者に向けて情報を発信するオウンドメディア。その記事作成や編集といった制作支援事業を手がけてきたサムライトが、これまでの実績を生かしてネイティブ広告ネットワークの展開を本格化する。同社は10月10日、グリーベンチャーズなどを引受先とした1億2000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

サムライトは2013年9月の設立。代表取締役の柴田泰成氏は、楽天でアドネットワークなど事業を手がけた後、リクルートで家具を取り扱うメディア「TABROOM」を立ち上げた人物。インキュベイトファンドが開催するインキュベーションプログラム「Incubate Camp 5th」(2013年開催)の優勝者でもある。

同社では現在、編集者10人、外部ライター100人超をネットワーク化してオウンドメディアのコンテンツ制作から運営までを手がけている。現在20媒体以上のオウンドメディアを手がけている。また、オウンドメディアのキュレーションメディアである「somewrite.jp」も展開している。somewrite.jpでは80社のオウンドメディアと連携している。これらの事業と並行する形でネイティブ広告ネットワーク「somewrite ad」を開発してきた。サムライトでは、ライターのネットワーク、オウンドメディアのネットワーク、ネイティブ広告のネットワークを合わせて「サムライト ネットワークス」と呼んでいる。

somewrite adは、形態素解析によってページの文章を解析し、同時にユーザーの求めるコンテンツをリアルタイムに学習していくことで、コンテンツの内容やユーザーの好みに合わせて関連記事やネイティブ広告を表示するというもの。ネイティブ広告だけでなく、関連記事なども表示されるため、サイト回遊率の向上も見込めるという。サムライトでは10月より試験的な運用を開始している。「リターゲティング広告でユーザーを追いかけ回したり、ミスタップを誘うスマートフォン広告はひどいと思うが、これまでビジネスとしては自分もそこに荷担していたので気持ち悪かった。今の事業では、『自分の見たいと思った記事がたまたま広告だった』という状況に変えていくことができると思っている」(柴田氏)

米Outbrainや東大発スタートアップのpopInなど先行する競合がいるが、オウンドメディアのネットワークやコンテンツ制作までを手がけられるのが同社の強みだと柴田氏は語る。「オウンドメディアの運営代行も、ネイティブ広告が広がることを見越して始めた。これからは広告が記事そのものになる時代だ。だが一方で海外の事業者などは(広告配信の)システムは持っていても、コンテンツを取っていけない。我々はsomewrite.jpを運営することでコンテンツ持っている人たちとの接点作りから始めて、その次にオウンドメディアを運営を手がけてきた。その状態で満を持してsomewrite adを開始した」(柴田氏)。

オウンドメディアの運営代行の金額を聞いたところ、月額15万円程度から展開しているとのことだったで正直利益が出ているのか?とも思ったのだけれど、そもそもそこはメディアのネットワーク作りと割り切っているところがあり、マネタイズの中心となるのはsomewrite adなのだそうだ。オウンドメディア運営代行としてはセールスフォースやDraper Nexusなどから資金を調達しているイノーバなどもあるが、事業の方向性が異なるようだ。

サムライトでは今後、ポータルサイト、ニュースサイトを中心にネイティブ広告ネットワークの拡大を目指す。「ページビュー(PV)は重要視していないが、月間20〜30億PVを1年以内に目指す。ただしネイティブ広告はサイトの一番下に張っておけばいいというわけではない。コンテンツとして広告を表示できるようにしていく必要がある」(柴田氏)


Sponsifyは、YouTube上の商品プレースメント広告のためのプラットフォームを目指す

デビューしたばかりのスタートアップ、Sponsifyは、YouTubeにネイティブ広告を大々的に持ち込もうとしている。

YouTubeを訪れる人の中に広告が少ないと苦情を言う人はいないと思うが、今の広告は殆どがプレロール形式のビデオと横に表示される広告コンテンツだ。Sponsiftyは、もっと意味のある形でコンテンツに統合された広告に焦点を絞る。例えば、ビデオ内の商品プレースメントだ。

この種のキャンペーンは、広告主にとって価値があるだけでなく、クリエーターにも富をもたらす。従来の課題は、Sponsifyの共同ファウンダー・CEO、Muhammad Huzaifaによると、クリエーターがネイティブ型キャンペーンを実施する唯一の方法は、Maker StudiosやMachinimaなどのマルチチャネル・ネットワーク(MCN)と組まなくてはならないことだった。しかしそれは、クリエーターが望む以上に大きい賭けになることもある ― Hufaizaによると、MCNとの契約の60%はは、永久拘束条項が含まれている。

「クリエーターには、自分のコンテンツのために広告主を調達できる独立プラットフォームがない」

そこでSponsifyはそのギャップを埋めるべく、、広告主が目的にかなった視聴者を持つクリエーターを見つけられる方法を提供することを目指す。Sponsifyは、製品のレビューや推奨、YouTubeチャンネルプロモーション、バイラルビデオの制作、Facebookやツイートのスポンサー付メッセージなどのキャンペーンを広告主に提案できる。

会社はまだごく初期段階にある ― Huzaifaによると、彼が弟のMuhammad Jehanzaibとこのプラットフォームに取りかかったのは「6~7週間前」だという。この2人チームは現在パキスタンのカラチに拠点を置き、ロンドンへの移転を計画している。そして、実際にはまだ一度もキャンペーンを実施していない。それでもHufaizaは、すでにクリエーターから大きな関心が寄せられていて、100チャンネルの登録があり計1000万人以上の購読者にリーチできると言っている。

透明性と情報開示の問題について尋ねられると、Hufaizaは、既に似たようなキャンペーンがYouTubeに存在していることを指摘した ― しかし、広告主には独立クリエーターを見つけるための効果的方法がない。そして、確かにビデオの説明文の中には何らかの情報開示が必要だが、彼はこう付け加えた、「ビデオの平均的視聴者にとってそれは大した問題ではない」。

これらのキャンペーンの効果を追跡する方法に関してHufaizaは、YouTubeのAPIを使って「膨大な量のデータ」を提供できると語った。

Sponsifyは、新しいオンラインフォーマットにこの種のキャンペーンを導入しようとしているスタートアップとして、最も新しく参入した一社にすぎない。モバイルおよびソーシャルゲームに商品プレースメント広告を持むMediaSpikeは今月520万ドルを調達した。

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(翻訳:Nob Takahashi)