モバイルアプリのエンゲージメント分析のNeuraが約17億円を調達

ユーザーがアプリをどう使っているかを知りたい開発者を支援するスタートアップ、Neura(ニューラ)が、シリーズBで1600万ドル(約17億円)を調達した。このラウンドはシリーズAでも投資したPitango Venture CapitalとLiberty Technology Ventureが主導し、Moneta Capital、Amdocs、AXA Venturesが参加した。

米国サンフランシスコに本社を置くNeuraは、シリーズAで1100万ドル(約11億7000万円)を調達したと2016年に発表していた。今回のラウンドまでの合計調達額は3200万ドル(約34億円)となり、今回の資金は従業員の雇用、米国とEUでのビジネスの拡大、新規プロダクトの提供に使われる予定だ。

Neuraには現在、旅行、交通とライドシェア、健康、eコマース、フードデリバリー、保険などの業種に30社以上のクライアントがいる。開発者はNeuraのSDKを使って、アプリのエンゲージメントやユーザーのモバイルデバイスの使い方に関するデータを分析できる。

例えば月経サイクルトラッカーのMyDaysは、ユーザーがプッシュ通知にどう反応するかをNeuraで分析した。毎日決まった時刻にアプリが通知を送信する機能では、ユーザーの30%は就寝中に通知を受信し、25%は毎日の活動を開始してから受信していた。ユーザーが反応する可能性が最も高い時間帯に応じて通知をカスタマイズしたところ、リテンションが32%上昇した。

かねてからNeuraは、ユーザーのプライバシー保護を優先すると発言している。Facebookのケンブリッジ・アナリティカのような重大なスキャンダルがあって、プライバシーに対する消費者の意識は高まっている。

CEOのAmit Hammer(アミット・ハンマー)氏はメールで「Neuraは広告よりもカスタマーエクスペリエンスを重視しているため、PII(個人を特定できる情報)やユーザーIDは一切収集しないし、GDPRなど最も厳しいプライバシーの規則に準拠している。現在の消費者は、プライバシーを守りつつ、自分に関係のあるパーソナライズされたデジタル体験を得ることを望んでいる。我々は、モバイルのエコシステムの透明性が向上することを歓迎している」と述べている。

画像:Neura

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

物のインターネット(IoT)に完全なプライバシー保護を具備させようとするNeuraがシリーズAで11Mを調達

shutterstock_246031558

インターネットに接続されているデバイスの振る舞いををユーザが個人化でき、しかも個人のデータを保護できる、というプラットホームNeuraが、このほどシリーズAで1100万ドルの資金を獲得し、そのSDKをプロモートしていくことになった。このラウンドをリードしたのはAXA Strategic PartnersとPitango Venture Capitalで、これにLiberty Israel Venture FundとLenovo Groupが参加した。

Neuraは今、55種あまりのデバイスやソフトウェアチャネルと統合でき、最近“数万名のユーザによる”ベータを終えたばかりで、SDKのローンチによりユーザ数の大きな増加を期待している。協同ファウンダでCEOのGilad Meiriによると、今回の新たな資金はSDKのプロモーションと、テク企業とのパートナーシップ締結、および社員の増員に充てられる。

今多くのテク企業が、インターネットに接続されたデバイスが互いに“対話する”方法を模索している。たとえば、フィットネストラッカーがユーザの睡眠を感知したら、玄関のスマートロックをトリガする、とか、コーヒーメーカーは朝スマートフォンからのアラームを受信してコーヒーを淹れ始める、など。

Neuraはこのような機能を実現するが、しかしこの、カリフォルニア州サニーベールのスタートアップのファウンダたちによると、彼らがもっと関心を持っているのは物のインターネット(Internet of Things, IoT)と人間との対話だ。同社の技術はユーザの行動パターンを経時的に分析し、その結果に基づいてアプリやデバイスを各人向けに個人化(パーソナライズ)する。

Neuraが生成する行動パターンデータの中には、個人の執務時間帯や健康情報、住所など機密データもありえるから、同社は、各サービスとシェアしてもよい個人データをユーザが完全にコントロールできることを確約している。

GSM Associationによると、2020年にはインターネットに接続されたデバイスが240億に達するという。SmartThingsWinkなどは、ユーザがインターネットに接続されたフィットネストラッカーや、温度計、家電機器、エンタテイメントシステムなどと単一のダッシュボードから対話できるプラットホームを開発している。しかし最近のユーザはますます、企業が自分の個人データを集めることに関して神経質になっているから、プライバシーに重点を置くNeuraは競合上有利かもしれない。Meiriによると、Neuraはユーザのプライバシーを守るだけでなく、テク企業の責任負担も軽減する。

プライバシーを犠牲にせずにインターネット接続デバイスをより便利にする

ソフトウェアとデバイスはAPIでNeuraのプラットホームに接続され、ユーザはそれらをスタンドアロンのアプリからコントロールできる。同社の技術が、接続デバイスやソフトウェアに対する各ユーザの使い方を分析する。そしてその情報を使って、個人化された機能を作り出す。

ただしそれらの機能が動き出す前に、ユーザはそれぞれをレビューして、OKなものにパーミッションを与える。

Meiriは語る: “Neuraは、たとえば玄関の鍵に、ユーザの居場所や睡眠時間などのデータを共有しない。だから企業には、個人情報の取り扱いをめぐる責任負担が生じない。ユーザの動きや睡眠パターンなどは、鍵の動作の制御に使われたらそれで終わりだ”。

同社のファウンダは、個人的理由からも、接続デバイスが便利であると同時にプライベートであることに固執している。協同ファウンダでCTOのTriinu MagiはNeuraのローンチの前に糖尿病を誤診され、無効な薬を処方された。通常の血糖値計や試験ではMagiの状態を示す十分な情報が得られず、最後に彼女は、血糖値の値と、彼女のフィットネスや食生活の記録を合わせて分析することにより、医師の正しい診断を導いた。

“彼女のときはNeuraのようなプロダクトがなかったから、データサイエンティストとしての自分のスキルを利用して情報を分析するしかなかった”、とMeiriは語る。“今は、それぞれのデバイスが自分だけのデータチャネルを作り出していて、それらを組み合わせてインサイトを得る方法がない”。

Meiriによると、テク企業はデータを収益機会と見て、それらのデータの発生源である人間を助けようとしないことが多い。一方ユーザは、 Google MapsやFacebookなどのサービスを利用できるためには、自分の個人情報のコントロールを、あまりにも自ら進んで放棄しがちだ。

しかしその結果、どれだけのプライバシーが失われたのかを人びとが悟ると、しばしばその反動が起きる。Neuraによると、消費者に、彼らのデータの使われ方に関する十分な透明性を付与すれば、そういう反動に見舞われることも防げる。

Meiriは述べる、“物のインターネットに関しては、まだなんにも決まっていない。そこにはまだ、Webのパラダイムを変えるチャンスがある。ただしそのハードルは高い。検索履歴や友だちのリストだけでなく。バイオメトリクスと、われわれのフィジカルグラフの完全なマッピングが必要なんだ”。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。