アメリカ人の好みのニュースソースは初めてソーシャルメディアが新聞を抜く、トップは依然テレビ

【抄訳】
すべての人がFacebookやTwitterからニュースを得ているわけではないが、でもアメリカ人の大人のニュース取得源として、ついにソーシャルメディアが新聞を超えてしまった(下図、いちばん下のライン)。Pew Research Centerの最新の報告書によると、ソーシャルメディアは初めて、アメリカの大人が選ぶニュースソースとして新聞を超えた。しかしソーシャルメディアは、テレビやラジオなど伝統的なニュースソースに比べると、まだはるか後方にいる。

Pewによると、昨年はニュースをソーシャルメディアから得る者と新聞から得る者がほぼ同率だった。しかし今年の7月30日から8月12日までの2週間のアンケート調査では、それが変わった。

今や、アメリカ人の5人に1人(20%)がソーシャルメディアからニュースを得ているが、新聞からは16%だ。複数回答ありなので、下図のパーセンテージの合計は100を超える。質問は、「あなたがニュースをよく(often)知るのは何ですか?」という聞き方をしている。

このところ新聞の発行部数は減少しており、ニュース媒体としての人気も、とくに若い世代で衰えている。Pewのレポートによると、65歳以上では39%がニュースを新聞から得ている。しかしそのほかのどの年齢層も、18%を超えていない。

新聞の衰退でソーシャルメディアが上に立ったが、ソーシャルメディア自体はほぼ横這いで、他を支配する勢いはない(上図)。

なんといっても最大のニュースソースは依然としてテレビだが、そのテレビも近年は下降気味だ(上図)だ。テレビに次ぐのが、ニュースのWebサイト、ラジオ、それからソーシャルメディアと新聞となる。

しかしPewによると、テレビは必ずしもケーブルのニュースネットワーク(全国ネット)ではない。

むしろ、テレビの中では最多はローカルニュースの37%、ケーブルが30%、全国ネットの夜のニュースをよく見る人は25%だ。

しかしソーシャルメディアとニュースのWebサイトを合わせると、43%が‘ネットから’という分類になり、テレビの49%に迫っている。また上図のように、お気に入りのニュースソースは、年齢層による違いが大きい。若い層では、ネットからが計63%となり、これは65歳以上の層の4倍である。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

良質な調査報道をクラウドファンディングで育て維持したいと願うUncoverage

Israel Mirskyは民主主義におけるジャーナリズムの役割を、次のようなアナロジーで説明する: 自由な社会は、強力な免疫系がないと機能しない。調査報道に従事するジャーナリスト(investigative journalists)は、感染を見つけて闘うヘルパーT細胞の役を担う。彼らはたとえば、訴追者や立法者*や世論の注意を腐敗に向けさせる。〔訳注: 訴追者や立法者, prosecutors, lawmakers…ふつうに訳すと検事や議員、となる。〕

しかし、インターネットがニュースのビジネスモデルを変えたため、媒体は記者たちに十分な報酬を支払えなくなり、その免疫系の力は弱くなっている。

今月の初めにMirskyは、クラウドファンディングのサイトIndiegogoで、新しいクラウドファンディングプラットホームUncoverageを立ち上げるための資金募集を開始した。そのねらいは、人びとが直接、調査報道のプロジェクトを支えることによって、今経済的な苦境に立つ新聞や雑誌に依存せずに、記者たちが自分の仕事をできるようにすることだ。記者の企画に資金が集まれば、Uncoverageはその記事を全国紙誌に売り込む。この際もちろん、報酬期待ではなく掲載依頼の売り込みだ。

“ぼくのような、つねに良いニュースに飢えている人間は、今調査報道が経済的に成り立ちにくくなっていることを、怖いと思う”、とMirskyは語る。

ジャーナリズムをクラウドファンディングする試みは、これが初めてではない。2011年にAmerican Public Mediaが買収したSpot.usは、ローカルニュースの充実を目指して2008年に創業された。今年の9月にローンチしたBeacon Readerは、映画/TV番組配給のNetflixのように、有料会員制(月額5ドル)でライターたちの記事を読ませようとする。ジャーナリストたちの仕事を広告収入依存にしない、という試みだ。

Uncoverageは、市民ジャーナリストを対象としない。企画がこのサイトで採用されるためには、その記者が既存のメディアの経験者でなければならない。

また、Mirskyによれば、地域ニュースも対象にしない。Uncoverageに持ち込まれる企画は、世界全体や特定地区(例: “東アジア”)、あるいは国を対象とするものでなければならない。つまり、期待されるオーディエンスが相当大きいこと。また報道写真の企画も単独では対象としないが、ジャーナリストと組んだ報道写真企画は取り上げる。

期限まであと17日の今日(米国時間12/17)現在で、目標額55000ドルに対し12000ドル弱が集まっている。

今後支援者たちは、特定の企画を支援してもよいし、あるいはより広い話題(トピック)を支えてもよい。どちらにも編集者が付き、たとえば経済的~金銭的腐敗を担当する編集者Sharona Couttsは、ジャーナリストたちと協働して企画の評価と彫琢を行う。ただし彼女の役割は、今後変わることもありえる。

また、資金を募る話題も、今後流動的である。Mirskyの頭の中に今ある話題は、経済的腐敗と、ビジネスとしての刑務所などだ。しかし今後の編集者やパートナー次第で、メインの話題は変わっていく。もちろん出資者や読者の意向によっても。

Mirskyによると、取材資金を得るためにUncoverageに持ち込まれる企画の内容や形式は、その完成度を問わない。びっしり書かれた企画書でも、未完の企画書でも、わずか500語のメモでもよい。Uncoverageは出版者と密接に協働するが、出版者側からの給与は出ないので、編集者とライターのあいだ力関係が従来とは変わるかもしれない。

“資金の一部が企業でなく個人から来るということは、全然別の形の会話をもたらすだろう”、とMirskyは言う。

しかし会話が変わっても、それが編集者いじめになるわけではない。

“目標は、記事がメジャーな全国紙誌(+インターネットサイト)に載ることだ。良質な調査報道が、記者にとっても、出版者にとっても、どんどん書けてどんどん載るようになることを期待したい”。

[画像: Flickr / NS Newsflash]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))