ドローンはこのところ、あっという間にメジャーな存在になってきて、人気の製品はますます安くなり、コントロールしやすくなっている。でも、ドローンは空中だけに限定されるべきものか? 今日(米国時間5/10)のDisrupt NYのステージでデモをしたSeaDroneは、複数回転翼の航空ドローンの単純さが持つ利点を、水中で生かそうとする。
O-Robotixの協同ファウンダーEduardo Morenoはこう語る、“水中用のクァッドコプター(4翼ヘリ)だから、ミサイルに似ていないし、そのほかの水中ドローンにも似ていない。自己安定化能力がある。われわれが取り組んだイノベーションは、人間がコントロールしないロボットが水中で長時間、非常に安定した映像を撮れることだ”。
彼の水中ドローンは今の空中ドローンに似たスタイルだが、タービンは同社の特製だ。それは一般市販品よりも小型軽量でシンプルで、しかも耐久性がある。あらゆる部分でコスト削減に努め、操縦性を改良した結果だ。
ケースに収めると、車のシートの収まる大きさだ(下図)。これも重要な特徴のひとつ。
SeaDroneはタブレットのアプリでコントロールし、製品自体もカスタム化したLinuxを搭載して、リモコンの水中機によくある“きわめてアナログな”コントロール方式を避けようとしている。機自身がOSを動かしているため、プログラマブルな動きができる。たとえば漁業用や養殖海域のネットの自動点検とか、360度の水中撮影などだ。
一見、ホビイスト用にも見えるが、実際には仕事用をねらっている。とくに、養殖業や海中農業がターゲットだ。
“養殖業はこれまで、人間が頻繁に水中に潜って点検する必要があった”、とMorenoは述べる。そのほか、船やドックや網、パイプラインの点検なども、これまでは高価な遠隔操作機や専門のダイバーを必要とした。SeaDroneなら、それらの数分の一〜数十分の一の費用で点検でき、専門家でなくても操作できる。
今後O-Robotixは、水中ドローンを売るだけでなく、それらが集めてくるデータを保存し、組織化し、分析するプラットホームも作る予定だ。とくに養殖場や孵化場などは、大量のデータ収集と分析を要する。お役所に提出すべき文書も、少なくない…それらの作成もたいへんな作業だ。
“人間が自分で文書を作ったり、写真やビデオを自分で撮らなくても、この水中ドローンが必要な情報収集をやってくれる”、とMorenoは語る。SeaDroneユーザーのためのデータプラットホームは、同社のもうひとつの重要な収益源になるだろう。
同社は今のところ外部資金を導入していないが、本番の製造は開始している。もちろんそのために当然、資金が必要になるはずだ。ハードウェア企業は軌道に乗るまでがたいへんだが、でもO-Robotixは、競合相手の少ない、まだ混み合っていない市場で、有利にやっていけそうだ。