家のカギ、スマホで開け締めーー新Qrio Lockが7月19日発売

eng-logo-2015ソニーなどが出資するIoTベンチャーQrioは、スマートロック新商品「Qrio Lock」を7月19日に発売します。

レスポンスが大幅向上、軽量化で落下しづらく

Qrio Lockは、家のカギをスマホで開け締めできるIoT機器です。工事不要、既存の鍵に両面テープで設置できる簡易さが売りです。

前モデル「Qrio Smart Lock」からの進化は、対応する鍵の増加・本体の小型化など。また、スマホを操作してから鍵が動作するまでの反応時間を8分の1に短縮したほか、電波強度を見直し、より安定して通信できる環境を増やしたといいます。

新たにオートロックにも対応。これは、スマホのGPSを利用して、外出すると自動で施錠、帰宅すると自動で解錠する機能。鍵の開け締めでいちいちスマホを操作しなくていい利便性を訴求します。

なお前モデルでは、両面テープが剥がれて本体が落下し、家の鍵が空けられなくなる… というトラブルも聞きました。「Qrio Lock」ではその対策として、本体を40%軽量化。また両面テープを4分割し気泡を入りづらくしたことで、落下の可能性を低減しています。

その他、スマホから1度に2つのQrio Lockを操作できるため、上下に2つ鍵のある玄関ドアにも対応。合鍵もスマホ上の操作で簡単に発行できます。また、「Qrio Lock」を設置した鍵は手動・スマホ、いずれの方法で解錠・施錠しても履歴が残るため、セキュリティー面も安心だといいます。

「Qrio Lock」の本体価格は直販サイトで税別2万3000円。Amazonや家電量販店でも発売予定です。

家の鍵は紛失すると困る私物の代表格。これがスマホで代用できるのは大きな魅力と言えそうです。

Engadget 日本版からの転載。

もはや国境は意識しない、日本発IoTスタートアップの強みと課題

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新経済連盟が開催するカンファレンス「新経済サミット2015」が4月7日から8日にかけて東京で開催された。初日となる4月7日には「世界を担う日本発のIoT 〜グローバルマーケットで日本企業はどのように闘うのか〜」と題するセッションが開催された。IoT(モノのインターネット)の時代、世界で勝つ為に求められるものは何か。官民それぞれの立場から意見が交わされた。

登壇したのは総務省 情報通信国際戦略局 通信規格課  標準化推進官の山野哲也氏、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課長の佐野究一郎氏、WiL 共同創業者ジェネラルパートナーの西條晋一氏、イクシー代表取締役社長の近藤玄大氏、Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏の5人。モデレーターはABBALab代表取締役の小笠原治氏が務めた。

国はIoTをどう見ているか

総務省や経産省は、IoTをどう捉えているのだろうか? 経産省の佐野氏は、ドイツの国策である「インダストリー4.0」やアメリカGE社のIoTプラットフォーム「Predix」といった、生産工程の自動化・デジタル化、センサー・人工知能(AI)を使った開発パフォーマンス向上施策を例に挙げ、海外でのIoTの急速な広がりを説く。

では日本はどうなっているのかというと、産業競争力会議においてビッグデータやIoT、AIの推進に取り組む事が決まった段階であり、具体的な政策のあり方は検討中とのこと。今後は「ベンチャー企業の力をいかに増やすかが重点事項」と課題を語る。

山野氏は総務省の観点から標準化について解説。IoTには4つの要素があるという。

・センサーで情報を集める技術
・収集した膨大なデータをネットワークに送る技術
・膨大なデータを解析し、意味あるデータを発掘する技術
・得られた意味をデバイスにフィードバックする技術

それぞれの要素別に見ると国際標準化は進みつつあるとし、M2Mの標準化団体oneM2Mを例として挙げた。ただ国内における標準化作業は出遅れている感が否めないとのこと。

IoTビジネスはに国境はない

「世界と戦う」という意味について、実際にIoTでビジネスを立ち上げているスタートアップはどう考えているのだろうか。

Cerevoの岩佐氏は、日本、海外という意識は全くしていないと言う。インターネットという世界共通プロトコル上で動作する「モノ」を販売しているため、発表すればおのずと世界中から注文が来るとのこと。むしろわざわざ「グローバル」と意識をすることなく、それで世界で成功できるのがハードウェアの良い点だと持論を述べた。

筋電義手「handiii」を手がけるイクシーの近藤氏は、「モノは分かりやすいので、コンテンツが良ければどこでも売れる」と説明。handiiiをSouth by Southwest(SXSW)でデモした時の反響の大きさを例に挙げた。handiiiは医療分野のプロダクトであり、国によって法律が異なるためローカライズは困難を極めるプロダクトだ。だがイクシーでは極力データも公開し、各国の研究機関と共同で開発を進めていきたいとした。

ベンチャー投資を手がける傍らでソニーと合弁会社「Qrio」を立ち上げ、スマートロックの開発しているWiLの西條氏も、「モノ(ハードウェア)は非言語なのでイメージされやすく、世界展開はしやすい」と語る。

日本でビジネスを行う3つメリット

スタートアップ側の登壇者3人が「国境はあまり意識していない」と語るが、モデレーターの小笠原氏は、日本でビジネスをすることの利点を尋ねた。

「そもそも僕ら(日本でビジネスをするスタートアップ)は有利」——岩佐氏はそう語る。その理由の1つめは「Japanブランド」。先代の方々(これまでの日本のメーカー)が築き上げてきた信頼のおかげで、全く同じ製品だったとしても日本製が選ばれるのは大きいとした。2つめは「家電設計者の多さ」。これだけ家電開発者が多い国は世界を見渡してもほかにない。これがIoT時代の武器になると話す。3つめは「時差」。家電やハードウェアのほとんどの工場は現在アジアに集中しており、時差も少なくいざとなれば3〜4時間で行ける距離にある日本は欧米と比較して地理的にも有利だとした。

また近藤氏は、「長期的に日本に留まるかは分からない」とは言うものの、「日本人のこだわり、職人気質はプロトタイプを開発する上でメリットになった」と言う。

IoTスタートアップ、挑戦するには「いい時期」

セッション終了後の囲み取材で、西條氏、岩佐氏、近藤氏から、ハードウェア、IoTスタートアップに挑戦する人に向けたメッセージを貰ったので、以下にご紹介する。

WiL 西條氏

起業するにもいろんな方法がある。イクシーやCerevoのように自力でやる方法もあれば、WiLのように大企業とコラボレーションする方法もある。「メンバーが不足しているからできない」と諦めて欲しくない。自分は文系人間でものづくりの経験も無かったが、今は非常に良いチームができている。いろんな山の登り方がある。やりたいという気持ちを大事にしてほしい。

Cerevo 岩佐氏

基本は「やりたいと思った時がやり時」だが、ここ1〜2年急激にハードウェアスタートアップがやりやすくなった。2007年当時はハードウェアスタートアップとか言うと笑われる時代だったが、今はDMM.make AKIBAの様なシェアオフィスもあり、興味を持ってくれる投資家も増えた。始めるにはいい時期。あと、ITでの起業というとエンジニアが起業するイメージが強いが、自分の周りでは文系、調整型の人間が立ち上げた企業が成功している。ぜひ文系の人にも挑戦してほしい。

イクシー 近藤氏

むしろ今の学生はすでに起業している。大学の研究室の成果をクラウドファンディングに乗せて製品化を目指すような流れが普通になってきている。逆に、定年退職したベテラン職人が起業するようになると面白いと思う。

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左から小笠原氏、山野氏、佐野氏、西條氏、岩佐氏、近藤氏

 

WiLとソニーがIoTの新会社「Qrio」設立へ――第1弾プロダクトはスマートロック

ベンチャーキャピタルのWiLが、彼らのファンドに出資するソニーと組んで新会社「Qrio」を12月中旬にも設立する。新会社の資本金は3億3350万円で、出資比率はWiLが60%、ソニーが40%。代表取締役には、WiL General Partnerの西條晋一氏が就任する。

WiLは設立当初から、スタートアップへの投資に加えて、大企業とスタートアップの架け橋になったり、大企業の保有する技術を世に出したりするといったことをうたっていた。今回の新会社は、そんな取り組みの1つの形だ。西條氏に聞いたところ、新会社設立はWiL側からの提案だったそう。「ソニーは構造改革をしつつ、新しいことに挑戦している最中。カーブアウトについても検討しているが、まずは僕らから提案した」とのこと。

Qrioが提供するのはスマートロック「Qrio Smart Lock」だ。すでにクラウドファンディングサービス「makuake」を通じて購入が可能だ。価格は2つセットで2万2500円からとなっている。12月12日にプロジェクトは発表されたが、すでに現在(17時40分)時点で目標金額150万円中、約122万円が集まっている。

西條氏はQrioの設立に向けて、海外製品を中心に、実際に複数のスマートロックを取り寄せ、ソニーの技術者とともに分解したり、使用してみたりしたのだそう。だが中には品質に満足いかないものも少なくなかったようで、「Airbnbが登場し、人の働き方も変わってきた。ベビーシッターやシェアハウスなどのニーズがある中で、ちゃんとした製品ををちゃんとしたメーカーが作ることは大事」と語る。僕も建築業界の関係者から「セキュリティ面が担保されないと、ウィークリーマンションやAirbnbで貸すような部屋など導入は限定的になるかもしれない」という話を聞いたことがある。

ちなみにWiLでは日本版Airbnbとも言える「TOMARERU」を手掛ける百戦錬磨にも出資している。同社のサービスとスマートロックの連携は「可能性はあるし、比較的容易だと思う」(西條氏)とした。

スマートロックはQrioの第1弾のプロダクトということで、今後もIoT関連の製品を提供することを検討中だそうだ。また、ソニー以外の出資者と組んで別領域での新事業を展開するという可能性もあるとしている。

海外では、「August」や「Kevo」、「Goji」などのスマートロックがあるようだが、最近では国内でもスマートロックを手掛けるプレーヤーが増えてきている。TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇してくれたフォトシンスの「akerun」や、電通子会社の電通ブルーの「246(ニーヨンロック)」などもそれぞれ発売を控えている。