Quellが3.1億円調達、ゲーム感覚フィットネスが専用ハードウェア版を開発中

家庭用のフィットネスがビデオゲームみたいだったら楽しいな、と思っている人は多いのだろうか。任天堂のリングフィット アドベンチャーのすごい人気を見るかぎり、答はイエスだ。

ロンドンのQuellは、それはこの新しいジャンルの始まりに過ぎないと考えている。そしてそれを証明するためにこの度、300万ドル(約3億1000万円)のシード資金を獲得した。

Quellのゲームの主役は、その「ガントレット」だ。プレイヤーはその装備をはめてゲームをコントロールする。プレイヤーがゲームの世界で叩いたり避けたりすると、ガントレット内蔵のセンサーがそのパンチのスピードや正確さを測定しカスタマイズ可能な抵抗バンドがやりごたえのあるプレイを実現している。

TechCrunchがQuellを紹介したのは8月のことになるが、そのときはY Combinatorの2020年夏季のベストスタートアップ(未訳記事)として紹介している。

今回のシードラウンドの投資家は、Twitchの共同創業者Kevin Lin(ケビン・リン)氏とEmmett Shear(エメット・シアー)氏、AngelListの創業者Naval Ravikant(ナバル・ラヴィカント)氏、WikiHowの創業者Josh Hannah(ジョシュ・ハンナ)氏、TenCent、Khosla Ventures、Heartcore、Social Impact CapitalそしてJamJar Investmentsだ。

Quellの共同創業者であるDoug Stidolph(ダグ・スティドルフ)氏によると、最初の評価額は1000万ドル(約10億4000万円)だったが、ラウンドの最後の頃には1500万ドル(約15億6000万円)に増えた。同社は最近、Kickstaterのキャンペーンも終えており、そこでは3000名近い支援者から米ドル換算で約67万ドル(約7000万円)を集めた。パンデミックが続いているため、禁じられていない国や州でさえジムには行きづらい。そこで、家庭用フィットネスの需要が大きく高まっている。

Quellのハードウェアとゲームは最初はPCやMac、モバイル用だった。つまりゲーム機用はなかった。でもこのようなゲームはテレビの大きな画面が理想的なディスプレイであるため、ゲーム機用を最初に出すべきだったのではないだろうか。同社は、ゲーム機は計画にはあったというが、特殊なハードウェアを用いるゲームであるため、それらの承認を得るのに手間取ったようだ。

Quellは、社内にゲームスタジオを作り、ゲームのための技術開発をデベロッパー向けに行っているImprobableのリードプロデューサーであるPeter Cornelius(ペーター・コルネリウス)氏をGame Production部門のリーダーとして迎えた。Quellの共同創業者Cameron Brookhouse(キャメロン・ブルックハウス)氏によると、その主な目標はプレイヤーがエクササイズをしながら深く没入できるようなゲームを開発することだ。プレイヤーが望むのは、ゲームプレイをしながら、いちいち考えなくてもエクササイズの正しい動きができること。つまり、「はい!ここでジャンピングジャックしましょう!」のような表示が出てはいけない。

Quellによると、上記の新しい体制による最初のハードウェアが登場するのは、2021年の終わりごろだという。現在はプロトタイプをプロダクションに移行させているところで、抵抗感の調節やガントレットの着脱をもっと簡単にしたいという。またセンサーが検出できて、ゲームに利用できるエクササイズの種類を、もっと増やしたいとのことだ。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Quellフィットネス資金調達

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

抵抗感や衝撃をウェアラブルで再現した一人称ボクシングゲームのフィットネスデバイス「Quell」

Quellは自分をPelotonの廉価版と位置づけている。たしかに料金はPelotonの1/10で、ロンドンを拠点とするスタートアップならそうするかもしれない。新型コロナウイルス(COVID-19)のロックダウンでフィットネスバイクメーカーの企業価値が急上昇し、最近のLululemonによるMirror買収からもわかるように、フィットネスのスタートアップは大人気だ。

しかしQuellとのもっと適切な比較になるのは、任天堂のリングフィットアドベンチャーだろう。このNintendo Switch用の周辺機器は、価格、規模、体験においてQuellに近い。このスタートアップは、リングフィットアドベンチャーと同じくフィットネスにゲームベースのアプローチを取っている。

Quellは一人称のボクシングスタイルのゲームで、画面上のモンスターたちと戦う。発売時にはパソコン版とMac版とiOS版が提供されるが、Androidにも近く対応する。Quellが独特なのは、抵抗感をウェアラブルデバイスで再現していることだ。基本的には調整可能な抵抗感を生むバンドで衝撃をシミュレートし、ジャイロスコープや加速度センサーといったオンボードセンサーでユーザーの動きを追跡する。

画像クレジット:Quell

製品はまだかなり初期のもので、そもそもやっと米国時間8月18日に、Kickstarterでプロジェクトが始まる。目標額は3万ドル(約317万円)ほどで、182ドル(約1万9000円)以下の出資額で入手できる。最終価格は250ドル(約2万6000円)ほどだ。

このシステムに関する多くのことと同じく、月額10ドル(約1060円)のサブスクリプションモデルも検討中だ。同社はTechCrunchに対して「ストーリーモードやクイックファイトモードもある」と語っている。「サブスクリプション料金によって、ローカルやオンラインのマルチプレイヤーなどの可能性が拡大し、将来的には拡張コンテンツも提供される。キャラクターのビジュアルなどのアップデートもあるでしょう」とのことだ。

画像クレジット:Quell

今後はシステムに飽きがこないように、ゲーム体験を拡張していくだろう。またQuellは、サードパーティの開発者にもオープンにして、独自のコンテンツを作成できるようにする可能性も探っている。

ただし現在のQuellは非常に小さなチームで、現在4人が創業者のロンドンにあるアパートの1つで仕事をしている状況なので多くのことが仮定の話だ。実際にチームが本格的に活動を開始したのは2020年2月のことで、フルタイムで活動を始めたのは2カ月前だ。地味な始まりにも関わらず、2020年7月にウェブサイトを立ち上げて以来、同社はすでにY Combinatorの支援を受けており、これまでに1万ドル(約106万円)のプレオーダーを獲得している。新型コロナウイルス(COVID-19)により生じたホームフィットネスへの関心から、いろんな物が出てくるのは驚くべきものだ。

Quellは、2021年中に支援者たちに製品を発送できると予想している。その頃には人々はジムに戻っているかもしれないが、感染拡大の現状を見る限りそれもあやしい。

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