3Dプリントは過去10年で大きな進歩を遂げたが、この技術が主流になるかどうかについてはまだ疑問が残っている。一方で医療機器は大量生産されておらず、高度なパーソナライズが必要とされるため、非常に説得力のあるユースケースとなっている。たとえば矯正歯科などは、そのスイートスポットに該当するものの好例だ。
オーディオにもまた、多くの可能性が秘められている。たとえば装着者の耳のためにカスタムデザインされたイヤフォンを想像してみよう。この技術はこれまではハイエンドモデルでは利用できていたが、3Dプリントはこの技術をより幅広く普及させられるようになる可能性がある。
Sennheiser(ゼンハイザー)は今週、カスタムイヤフォンの3DプリントにFormlabsの技術を活用するパートナーシップを発表した。具体的には、ゼンハイザーは主に歯科用途に利用されている生体適合性材料のForm 3Bを使用する予定だ。製品の詳細は明かされていないが、同社のAMBEO部門がこの技術を使ってカスタムイヤフォンのイヤーチップを作成する予定だという。ユーザーはスマートフォンで自分の耳をスキャンし、それを送ってイヤーチップをプリントしてもらうことができる。
「Sennheiserとの技術提携は、製品開発においてよりカスタマイズされたユーザー中心のアプローチを可能にし、顧客が好きなブランドとの関わり方を変えることを目指しています」と、Formlabsのオーディオ部門を率いるIain McLeod(イアン・マクロード)氏はリリース文で述べている。「Formlabsは幅広い業界知識とスケーラブルなソリューション開発により、ユーザーに具体的なイノベーションを提供します。今回のケースでは、SennheiserのAMBEOチームと協力して他に類を見ないアクセス性の高いカスタムフィットエクスペリエンスを提供しています」。
製品はまだプロトタイプ段階だ。このような提携はヘッドフォンメーカーにとっては簡単なことのように思えるが、価格や拡張性などいくつか大きな問題点もある。明らかにこのような製品は標準的なイヤフォンよりも高価だが、このような目新しさを考えれば高価すぎるわけではない。
リリースでは「手頃な価格でシンプルなソリューションが、カスタムフィットイヤフォンを大量に3Dプリントすることを可能にしました」と述べている。それが本当に手頃な価格になるのかは、今後を見守る必要がある。
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カテゴリー:ハードウェア
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画像クレジット: Formlabs
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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter)