衛星データ活用の宇宙スタートアップSynspectiveが災害時の浸水被害を評価するサブスク発表

衛星データ活用の宇宙スタートアップSynspectiveが災害時の浸水被害を評価するサブスク発表

衛星データ解析によるソリューション提供および小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用を行うSynspective(シンスペクティブ)は12月11日、水害発生時に、全天候・高頻度観測による信頼性の高いSARデータによる、被害情報を迅速に提供する「Flood Damage Assessment Solution」のサービス提供を開始したと発表した。

Flood Damage Assessment Solutionは、災害対応のための浸水被害(浸水域、浸水深、被害道路、被害建物)を評価するサブスクリプション型サービス。

災害が発生した際は、広範な被害状況の一次情報に基づいて迅速に対応する必要がある。その際SAR衛星は、従来の光学衛星や飛行機・ドローンでの観察方式と違い全天候型の地上観測が可能なため、発災時の天候や時間帯に関わらず、より広範な地域の浸水被害の有無を迅速に把握できる。

さらに、AI技術など最先端分析手法を活用することで、より迅速に道路・建物などの施設への影響範囲を特定可能。

洪水発生時に、被害状況を一次情報に基づき迅速に評価する必要がある保険・金融業界・政府向けとして、SAR衛星による安定した高頻度データ、AI技術など最先端分析手法を活用し、サブスクリプション型サービスとしてウェブ上で提供。ユーザーの視点に立ったUI/UX構築にこだわり、衛星データの知識がなくても直感的に解析結果を理解できるソリューションとして実現させている。

Synspectiveは、自社初の実証衛星である小型SAR衛星「StriX-α」(ストリクス アルファ)を2020年内に打ち上げ予定。将来的にはこの「StriX」によるコンステレーション(衛星群)を構築し、そこから得たSARデータをソリューションに用いることで、より高頻度で安定したモニタリングが可能となるとしている。

2018年2月設立のSynspectiveは、データに基づき着実に進歩する世界の実現を目指し、衛星による観測データを活用したワンストップソリューション事業を行うスタートアップ企業。内閣府「ImPACT」プロジェクトの成果を応用した独自の小型SAR衛星により高頻度観測を可能にする衛星群を構築。その衛星から得られるデータの販売、および、それらを利用した政府・企業向けのソリューションを提供している。

リスク管理をテーマに開催された「UNDERSTANDING RISK FORUM 2020」カンファレンスにおいて、Singapore Space and Technology Ltd(SSTL)は、世界銀行が支援する東南アジア災害リスク保険施設(SEADRIF)と共に、洪水の範囲とその結果として生じる被害とニーズをより適切に分析するのに役立つソリューションを選定するため「SSTL x The World Bank HADR Challenge Pitching Session」を実施。

同HADR Challengeに参加したチームは、衛星画像から得られたリアルタイムの洪水範囲を、他の既存のデータセットやリアルタイムのデータソースからの洪水深度情報を活用したソリューション開発に挑戦。Synspectiveは「Flood Damage Assessment Solution」を活用した提案で、ファイナリスト4社に選ばれた。

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カテゴリー:宇宙
タグ:サブスクリプション(用語)Synspective日本(国・地域)

東大宇宙系スタートアップ「Synspective」が同社初の小型SAR衛星打上げ予定日を公開

東大宇宙系スタートアップ「Synspective」が同社初の小型SAR衛星打上げ予定日を公開

衛星データ解析によるソリューション提供および小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用を行うSynspective(シンスペクティブ)は11月25日、同社初の実証衛星である小型SAR衛星「StriX-α」(ストリクス アルファ)の打上げ日程を発表した。

打上げ予定日は、2020年12月12日から14日間で、最終的な打上げ日時は日が近くなった段階で確定する予定。また、打上げ日にはオンラインイベントを予定しており、詳細は同社サイトで11月下旬公開予定。

打上げロケットは、小型衛星専用ロケット開発企業Rocket Labの「Electron」で、ニュージーランド マヒア半島にある発射場から打ち上げる。投入軌道は、太陽同期軌道、高度500km。太陽同期軌道は、地球を回る衛星の軌道面全体が1年に1回転し、衛星の軌道面と太陽方向がつねに一定になる軌道を指す。

SynspectiveのSAR衛星は、政府主導の革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」の成果を応用した独自の小型SAR衛星。今回打上げを行う「StriX-α」はSynspective初の実証機となっている。

StriXの重量は、従来の大型SAR衛星の約1/10である100kg級。SARアンテナは長さ5mで、打上げ時は折りたたまれており、軌道上で展開する。地上分解能は1〜3mで観測幅は10〜30km、単偏波(VV)データを取得。観測モードは、ストリップマップモードとスライディングスポットライトモードの2種類がある。

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今後、StriX-αに続く実証機「StriX-β」(ストリクス・ベータ)を2021年に打上げ予定。2022年までに商用機4機を軌道上に打ち上げ、最終的には30機のコンステレーション(衛星群)により広範囲、高頻度の地上観測を可能にするシステムの構築・運用を目指す。

2018年2月設立のSynspectiveは、データに基づき、着実に進歩する世界の実現を目指し、衛星による観測データを活用したワンストップソリューション事業を行うスタートアップ。内閣府「ImPACT」プログラムの成果を応用した独自小型SAR衛星により高頻度観測を可能にする衛星群を構築し、その衛星から得られるデータの販売、および、それらを利用した政府・企業向けのソリューションを提供する。

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タグ:Synspective東京大学(用語)東京大学協創プラットフォーム開発 / 東大IPC(用語)Rocket Lab(企業)日本(国・地域)

日本の宇宙系スタートアップのシンスペクティブ製造の衛星をRocket Labが軌道に運ぶ

資金的に余裕のある日本の宇宙系スタートアップのSynspective(シンスペクティブ)は、最初の地球観測衛星を軌道に乗せるため、打ち上げプロバイダーであるRocket Labに声をかけた。そして実際に2020年後半に打ち上げられることになった。その際は、同社の衛星StriX–αが唯一のペイロードとなる。

画像クレジット:Synspective

Synspectiveは2018年に創立され、2019年半ばまでに約1億ドル(約107億円)を調達した。これは最近の日本において、最も成功した資金調達例の1つとなった。とはいえ、地球全体を常に撮影し続ける25の衛星からなるコンステレーションを運用するという野望を実現するには、そのすべてを注ぎ込んでもまだ足りないだろう。

この25という数は、地球全体をカバーするために数百、あるいは数千もの衛星を必要とするPlanetやSpaceXと比べて少ないと思われるかもしれない。それというのもSynspectiveの衛星は、視覚的な観測やインターネットアクセスを提供するものではないからだ。その代わりに、合成開口レーダー(SAR)と呼ばれるものを使用して、地球の表面を画像化する。

この高度な技術は、衛星の動きを利用して大きなアンテナを使用したのと同じ効果を得る。雲がかかっていたり障害物があったりしても、非常に詳細な像を生成することができる。また、光学式のカメラや地上の衛星アンテナに向けてデータを送信する無線アンテナよりも、ずっと広い領域をカバーできる。

Synspectiveの衛星は、1個の重量が100kgほどで、従来のSARシステムのものよりも小さい。そのため、Rocket LabのElectronのような小型のロケットを使って宇宙まで運ぶことができる。

打ち上げの日程はまだ確定していないが、Synspectiveが単独の顧客となるので、打ち上げ時刻や目標軌道の設定の自由度は大きい。「ロケットベンチャーのパイオニアであるRocket Labと一緒に仕事ができることを非常にうれしく思います」と、Synspectiveの創立者でCEOの新井元行氏はプレスリリースで述べている。「また衛星の軌道と打ち上げ時間帯に関して、私たちのリクエストに応えてくれる柔軟性にも感謝しています」。

現在わかっていることは、この計画が「2020年後半」に予定されているということと、米国内に新設された打ち上げ施設ではなく、ニュージーランドにあるRocket LabのLaunch Complex 1から打ち上げられるということだけだ。打ち上げが間近に迫れば、さらに詳しいことがわかるだろう。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

夢しかない宇宙!地表形状や高度・変位を測定する衛星開発のSynspectiveが累計109億円調達

衛星データの解析や合成開口レーダー衛星の開発・運用を行うSynspective(シンスペクティブ)は7月26日、シリーズAラウンドとして第三者割当増資による86.7億円の資金調達を実施した。2018年2月の創業からの累積調達額は109.1億円で、同社によると1年5カ月で同額の調達は宇宙スタートアップ企業として世界最速であり、日本国内では最大規模とのこと。

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今回の資金調達により同社は、SAR(Synthetic Aperture Rada、合成開口レーダー)衛星の開発・製造体制とソリューション開発を強化するとのこと。また、将来的に25機の衛星群を構築し、世界主要都市の日次観測を目指す。

同社は、衛星による観測データを活用したさまざまな事業を手がけるスタートアップ。内閣府「ImPACT」プロジェクトの成果を応用した独自の小型SAR衛星により高頻度観測を可能にする衛星群を構築。衛星から得られるデータの販売、および、それらを利用した政府・企業向けのソリューションを提供する。

SAR衛星は、自ら電波を発することで地表形状や高度・変位を測定できる衛星。通常の光学式衛星とは異なり、曇天や夜間でも地上を観測できるというメリットがある。同社よると、低コスト・小型のSAR衛星による衛星群を構築することで、天候や時間帯に依存しない観測データが広域・高頻度で取得可能になるという。

これらのデータがどのように生かされるのかは提供先次第だが、これまでにない天候や日照に影響を受けずに高頻度で取得するデータが貴重なものであるのは確かだ。

第三者割当増資引受先は以下のとおり。

  • スペース・エースタート1号投資事業有限責任組合
  • 清水建設
  • ジャフコ
  • 東京大学協創プラットフォーム開発
  • 慶應イノベーション・イニシアティブ
  • Abies Ventures
  • みらい創造一号投資事業有限責任組合(東工大関連VCファンド)
  • 三菱UFJ信託銀行
  • 芙蓉総合リース
  • 森トラスト
  • SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合
  • みずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合

衛星による毎日全地球観測インフラの実現へ!東大宇宙系スタートアップが総額25.8億円調達

東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)が運営する「協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合」は12月7日、東大関連の宇宙系スタートアップ3社に総額7億円を出資した。

小型光学衛星のコンステレーションによる全地球観測網の構築を目指すアクセルスペースに対して約3億円、小型衛星による宇宙デブリ回収を目指すAstroscale(アストロスケール)に約1.1億円(100万ドル)、「小型合成開口レーダ衛星」のコンステレーションによる地球観測を目指すSynspective(シンスペクティブ)に約3億円という内訳だ。

またアクセルスペースは、東大IPCからの約3億円を含め、シリーズB投資ラウンドとして総額25.8億円を資金調達している。引き受け先は以下のとおりで、31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースIがリードインベスターを務める。

左から、三井不動産ベンチャー共創事業部田中氏、同菅原部長、 アクセルスペース代表取締役中村氏、グローバル・ブレイン百合本社長、同社パートナー青木氏

・31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI(三井不動産/グローバル・ブレイン)
・INCJ
・協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合(東京大学協創プラットフォーム開発)
・SBIベンチャー企業成長支援投資事業有限責任組合(SBIインベストメント)
・SBIベンチャー企業成長支援2号投資事業有限責任組合(同上)
・SBIベンチャー企業成長支援3号投資事業有限責任組合(同上)
・SBIベンチャー企業成長支援4号投資事業有限責任組合(同上)
・第一生命保険

アクセルスペースはこの資金調達によって、2020年に2機のGRUSの追加打ち上げを予定している。資金調達に併せて、2017年から延期されていたGRUS初号機の打ち上げと組織改編についても発表した。

GRUS初号機

GRUS初号機は、2018年12月27日にソユーズ(Soyuz-2)を使い、ロシア連邦ボストーチヌイ射場から打ち上げられることとなった。同社は、今後数十機のGRUS衛星を打ち上げ、2022年に毎日全地球観測インフラ「AxelGlobe」の構築を目指す。

組織改編については、中村友哉CEO、野尻悠太COOは留任となるが、新たに同社の共同設立者で取締役だった宮下直己氏がCTOに任命された。そのほか、CBDO(最高事業開発責任者)に山崎泰教氏、CFOに永山雅之氏が就く。なお、同社創業者の永島隆氏は取締役CTOを退任し、今後は上席研究員となる。