MicrosoftとSlackの争いは、2020年も広告やアクティブユーザーの数などで行われる

Microsoft(マイクロソフト)のTeamsSlack長期戦は、2020年も続いている。米国時間1月17日朝、Microsoftは同社のエンタープライズコミュニケーションサービス、Teamsの初めてとなるグローバルな広告キャンペーンと同社が呼ぶものを発表した。

先日IPOしたSlackは、2010年代の後半に大ブレイクし、スタートアップ世界のテクノロジースタックを深く掘り下げることによって巨額の売上を立てた。スタートアップとして登場した同社は、その後大企業にも食い込んで成功を持続し、エンタープライズを相手にした方が一度に大きな売上を得やすいことを悟った。

しかしエンタープライズの生産性ソフトウェアといえば、Microsoftの大きな主戦場だ。Slackの急伸を見たMicrosoftは、生まれたばかりのライバルを買収しないことに決めた。そして、Slackと競合するTeamsに投資した。なお、本日発表された広告キャンペーンは両社における初めての広告合戦ではない。

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SlackとTeamsは、ユーザー数の発表でも争っている。最近、Microsoft はTeamsの一日のアクティブユーザー(DAU)が2000だと発表した。Slackの最新の数は1200万だ。しかしSlackは、2000万のうちのどれだけが、本当にアクティブなユーザーか、とやり返した。Microsoftの数字と自分たちの数字を単純に比較するのは無意味だ、と言いたいのだ。しかしそれでも、両社の発表数はこのところますます差が開いている。

Microsoftによる今回の広告キャンペーンは、Slack対Teams戦の新しい章となる。重要なのは、広告だけではなく、今回Microsoftが、Teamsの知名度向上を戦いの焦点に選んだことだ。

株価

TeamsはMicrosoftが長年築いてきたOffice 365という大きな建物の一部だが、SlackはSlackという企業のビジネスだ。しかも直接上場だから、その株価からも何かが匂ってくる。

Slackの株価はデビュー時の30ドル台半ばから、20ドル台前半へ下がっている。調べてみると、Slackの株が市場で嫌われているのではなく、同社が上場初期の値付けを間違えたのだ。同社の株価は売上に対する倍率が上場初日からは下がったが、依然としてリッチだ。投資家たちはSlackを、優秀企業として値付けしている。

今後SlackとMicrosoftは、DAUの数字を争い続けるだろう。問題は、Microsoftというエンタープライズの大物にSlackというブランドが耐えられるかという点だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoft TeamsにYammerとの統合やセキュアなプライベートチャネルなどの新機能

Microsoft(マイクロソフト)のYammer(ヤマー)といえば、原始的なSlackのような、あまりリアルタイムでもないチャットアプリで、もうなくなってしまったと思う人がいても無理はない。しかし実は生きていて、しかも元気だ。全社的なチャネルやチーム全体へのお知らせといった動きの速くないソーシャルネットワークの用途で使われている。米国時間11月4日、同社はYammerをSlackのライバルであるMicrosoft Teamsに統合すると発表した。Teamsでは、Yammerは左のサイドバーに置かれる。

SAN FRANCISCO, CA – MARCH 30: Microsoft CEO Satya Nadella delivers the keynote address during the 2016 Microsoft Build Developer Conference on March 30, 2016 in San Francisco, California. The Microsoft Build Developer Conference runs through April 1. (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

これにより、マイクロソフトの2つの企業向けコミュニケーションプラットフォームはついに一緒に成長していくことになり、ユーザーは動きの速いチャットはTeams、FacebookのMessengerやニュースフィードのような社内SNSはYammerと、お互いに補完しながら使い分けられるようになる。

Yammer自体も、全プラットフォームにわたってマイクロソフトのFluent Design Systemを使って再設計された。またYammerをOutlookにも組み込み、受信メールボックスから直接、メッセージに返信できるようになる。新しいYammerは12月にプライベートプレビューとして公開が開始される。

今回のアップデートで、Teamsにはほかにも、セキュアなプライベートチャネル、マルチウィンドウのチャットとミーティング、チャネルのピン固定、Microsoft To DoおよびPlannerとのタスクの統合(To Doアプリは1つでは不十分なようだ)など、多くの新機能が追加される。Teams Roomsも大幅に機能強化され、Cisco WebExとZoomのミーティングのサポート、緊急通話に対応したTeams Phone System、管理者がTeamsのセキュリティを守るためのIT管理機能が追加される。

Linux版のTeamsクライアントも開発中で、今年中にはパブリックプレビューが公開される予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Slackに投資したIndex VenturesがSlackのライバルも支援

Slackは仕事場のコミュニケーションの新しいソリューションを作った。そのソリューションは、Microsoft(マイクロソフト)をも含む、多くの会社にマネされている。Slackは個人や企業が共同作業をするのに役立つように作られた製品だが、通知が多すぎると批判され、生産性を下げるとも言われてきた。

Stripeの元クリエイティブディレクターでデザイン畑のLudwig Pettersson(ルートヴィヒ・ペッターソン)氏が率いるスタートアップのQuillは「チームを邪魔しない有意義な会話」を提供するという。同社はシードラウンドで200万ドル(約2億1800万円)を調達した。このラウンドはSam Altman(
サム・アルトマン)氏が主導し、General Catalystが参加した。その後、シリーズAでは評価額が6250万ドル(約68億円)で、1250万ドル(約13億6000万円)を調達した。TechCrunchの調べによれば、シリーズAはIndex VenturesのパートナーでSlackの元ボードオブザーバーのSarah Cannon(サラ・キャノン)氏が主導した。Quillとキャノン氏はコメントを避けた。

米国サンフランシスコを拠点とするQuillは、シンプルなメッセージング製品を作っている。まだベータだが、情報筋がTechCrunchに語ったところによると、Quillはスレッドを重視し会話を減らして集中できるような製品を計画しているという。Y Combinatorの元プレジデントであるアルトマン氏によれば、ダイレクトメッセージ、スレッド、チャンネルのフィルタリングで長時間スタックすることがあるSlackに比べると、この製品は流れてくるデータの量が少ないという。

アルトマン氏はTechCrunchに対し「この製品はコミュニケーションのバンド幅を広げ効率を上げることに厳密に的を絞っている。技術的には驚くほどうまくいっている。フィードには適切な情報が表示され、適切な人々がインテリジェントに参加できる」と語った。

ペッターソン氏は、以前にアルトマン氏の現在のベンチャーであるOpenAIで一緒に働いていた。OpenAIは、AIを「親しみやすい」方向に導く開発を研究する企業だ。ペッターソン氏は2016〜2017年に同社の技術スタッフとして働き、OpenAIの初期デザインを作った。

Index Venturesはというと、成長している仕事用コミュニケーションソフトウェアのカテゴリーにさらに資金を投じているようだ。同社は2015年にSlackに最初に投資し、その後、今年6月にSlackは待望の上場を果たした。Slackは数億ドルを調達し、2018年の評価額は70億ドル(約7600億円)を超えていた。

上場後、Slackは市場で地位を築くのに苦戦している。その大きな要因は、大手のMicrosoft(マイクロソフト)が2016年にリリースしたSlack風の製品であるTeamsの成長だ。マイクロソフトは多くの企業に愛用されるツールを集めた便利な製品パッケージを提供して急速にシェアを獲得した。7月の時点でTeamsのデイリーアクティブユーザー数は1300万人で、マイクロソフト史上最も成長の早いアプリとなった。Slackは今月初めにデイリーアクティブユーザー数は1200万人と発表した。

QuillのようなスタートアップもSlackにとっては脅威だ。同社は仕事用チャットソフトウェアの新しい形を作り、このようなツールのニーズが高いことを証明した。一般に企業は何年にもわたってモデルを反復しなくてはならない。

Quillは、OpenAIのチェアマンで最高技術責任者のGreg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏と、Twitter元幹部でColor Genomics共同創業者のElad Gil(エラド・ギル)氏の支援も受けている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトのTeamsがDAU1300万人でSlack超えへ

Teamsは、Microsoftが2年前から提供しているSlackのライバル製品で、同社史上最も成長の速いアプリケーションだ。と、これまでMicrosoftは言ってきたが、来週行われるパートナー会議Inspireを前に、本日初めて実際のユーザー数を公表した。Teamsには現在1300万人のデイリー・アクティブユーザーがいる。週間アクティブユーザーは1900万人。またMicrosoftは、Fortune 100企業のうち91社でTeamsが利用されていることも本日発表した。

Microsoftはこれらの数字を、数週間前にIPOを果たしたばかりのSlackと比べられることを恐れていない。Microsoft 365担当副社長のJared Spataro氏は、ブログ記事でSlackの名前は挙げなかったものの、こうした数字を公表したい意向がよくわかるグラフを掲載した。

Slackが最後に発表した公式データは今年1月のデイリー・アクティブ・ユーザー数1000万人で、その後更新されていないので、現在Teamsのユーザー数の方が多いのかどうかはわからないが、Slackの成長率がこの数ヶ月間に加速していない限り、おそらくそういうことなのだろう。

2019 07 11 1047ユーザー数の公開に加えて、MicrosoftはTeamの最新情報をいくつか発表した。たとえば優先通知機能は、チャット通知の苛立たしさを次のレベルに引き上げるもので、応答するまで2分おきに呼び続ける。既読レシートや新しいモデレーション機能、Teamsチャンネルを横断するクロスポスト機能のほか、タイムレコーダーの出勤・退勤時刻もTeamsアプリから記録できる。

InspireはMicrosoftのパートナー向けのイベントなので、リセラーやパートナーに関係するTeams機能がここで発表されるのも当然だろう。ACS、NICE、Verint Verbaなどのコンプライアンス記録パートナーや、Five9、Nice InContactなどのコンタクトセンター・ソリューション・パートナーと統合する機能もある。しかしなによりも重要な発表は、Microsoftがパートナー主導のTeamsトライアル(PDF)をスタートすることで、Microsoft 365のパートナーはExchangeオンリーまたはOffice 365ビジネスプランを使っている顧客にTeamsの6ヶ月間無料トライアルを提供できる。これで今後Teamsのユーザー数が増えることは間違いないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Slackに対抗するMicrosoft Teamsは50万社以上のユーザーを獲得

マイクロソフトのOffice 365のコンポーネントのひとつでコラボレーションプラットフォームのMicrosoft Teamsは、登場以来約2年で大きな数字を達成した。Teamsは、Office 365を使って仕事をする人々をそのエコシステムの中にとどめる役割を持っている。

マイクロソフトは米国時間3月19日、50万社以上がTeamsを使っていると発表した。ユーザーの総数は発表されていないが、50万社のうち150社には1万人以上のユーザーがいて、その150社だけで150万人を大幅に超えるとしている。

この発表と同時に、マイクロソフトはTeamsにこれから搭載される新機能の数々も明らかにした。これまで以上に多くのマイクロソフトのツールとネイティブに統合することで、Teamsの機能は増え、より幅広く使えるようになるという。

同社ワークプレイスコラボレーションのゼネラルマネージャー、Lori Wright氏はインタビューでこう語っている。「職場の厳密な階級組織は変化し、インクルーシブで透明な環境になってきています。私たちはこうした傾向は世界中で起きていると見ていて、このことがテクノロジーを新しい形へと向かわせています」

実際、新たに搭載される機能はインクルージョンの傾向とユーザーに応じてプラットフォームをよりパーソナライズすることに対応したものだ。新機能には、背景のカスタマイズや、コンテンツを撮影してテキストよりも効果的なやりとりをするためのカメラのサポートなどがある。また、プレゼンテーションを作成したり取り込んだりして手書きで書き込めるMicrosoft Whiteboardも統合される見通しだ。

ほかには、聴覚に障がいがある人やオーディオを使えないまたは聞けない人に役立つライブキャプションが追加される。またセキュリティ面では、プライベートチャットをするためのセキュアチャネル、コンプライアンスを実践しチャネル間の潜在的なコンフリクトを防ぐための「情報障壁」、機密情報を共有できないようにしてデータ損失を防ぐスクリーニング機能も追加される。

そしてライブイベントもサポートされ、ユーザーはTeams上で最大1万人に向けてブロードキャストをすることができるようになる(参加者はTeamsのユーザーとして登録されている必要はない)。

このように、Teamsは数々の重要なアップデートを予定している。マイクロソフトはTeamsをSlackのような「ナレッジワーカー」向けの製品として登場させたが、その後はフロントラインからバックオフィスまであらゆる社員が活用できるような包括的なアプローチを強調している。

Slackが特に優れている部分として他社製アプリとの統合があるが、マイクロソフトの今回の発表ではTeamsに統合できるアプリの数はアップデートされていない。しかし同社は、すでにOffice 365を使っている1億5,500万のユーザーが最終的にはTeamsも使うようになることに重きを置いている。Wright氏は「マイクロソフトのサービスをできるだけ多く利用し、サービスや構造の情報を活用するためにMicrosoft Graphも取り入れています」と語っている。

マイクロソフトはコラボレーションの分野で他社に遅れをとっているが、ユーザー数の伸びは目覚ましい。Facebookは2月に、Slackの競合製品であるWorkplaceのユーザーが200万人を超え、その中にはユーザー数が1万人を超える企業が150社あると発表した。一方、Slackは1月に、1日のアクティブユーザーは1,000万人以上で、Slackのプラットフォームを使っている組織の数は85,000にのぼると発表した。

注目すべきこととして、Slackは米国時間3月18日にエンタープライズに訴求するタイムリーな発表をしている。Slackはエンタープライズの顧客に対し暗号キーへのアクセスを許可するというものだ。これはエンタープライズの分野でビジネスを成功させるために重要な要素だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft、Teamsを発表―Slackの強力なライバルはスレッド化できる企業向けチャット・ツール

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今年はMicrosoftにとって忙しい秋だった。1週間前に大掛かりなWindows Surfaceのお披露目イベントを実施したばかりだが、今日(米国時間11/2)はニューヨークでまた大きなニュースを発表した。MicrosoftはOffice 365への新メンバー追加がひどく自慢だったらしく、公式のイベントの開始に先立って紹介ビデオを公開していた。

今日のイベントもまずはこのビデオからはじまった。「われわれは先週も何かやったような気がするが」といったジョークの後、CEOのサティア・ナデラはステージで新しい共同作業ツールについて紹介を始めた。同社によればこれは「チーム・アート」だという。つまり異なるやり方をする異なるグループがオーケストラのように共同して優れたチームワークを発揮するプラットフォームになるということらしい。

ナデラはTeamsを「チャットをベースにしたワークスペースであり…リアルタイムの共同作業を助けつつ、知識を共有するチームが組織されるようデザインされたツール」と説明した。Teamsアプリは会議、打ち合わせ、記録、計画、そしてもちろんチャットといったさまざまな組織的活動をひとつのプラットフォーム上から実行できるよう工夫されている。

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予想どおり、Microsoftのアプリはチャットのスレッド化をサポートしていた。これによりチャットは話題ごとに自動的にグループ化される。またSkypeと密接に統合されており、Teamsアプリ内から音声、ビデオによる通話が可能になっている。.当然ながら、Microsoftの多数の生産性ツール、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteがTeansと連携する。Office 365 Groupsがアプリ利用のベースとなり、ユーザーはMicrosoftのすべてのアプリの情報を共有できる。

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また高度なカスタマイズができることも大きなセールスポイントだ。ユーザーは自分の使い方に従ってタブ上のクラウド・サービスをデザインできる。またMicrosoft
Botを連携させることができる。もちろんTeamsはMicrosoftの生産性ツールの一環だが、ミレニアル世代といわれるような若いユーザーにうけるような機能を盛り込まなければSlackのような先行ライベルと競争はできない。当然、絵文字、スタンプ、GIF、独自のミームなどによる賑やかなカスタマイズが可能だ。

チャット関連以外の機能は画面上部のダッシュボードの一連のタブに集約されている。OneNoteで書かれたメモだろうとウェブサイトにあったグラフだろうと、ユーザーは簡単に異なる種類の情報を引き出すことができる。多種多様な情報を一箇所に集約し、しかも画面をごたつかせユーザーを混乱に陥れないために優れたデザインだろう。

Microsoftは新しいボット・サービスも導入している。その中にはT-Botと呼ばれる集中ヘルプシステムがある。ボットは情報をクロールしてインデックス化し、さまざまな質問に答えるべく準備している。同様にWhoBotは登録メンバーの情報を管理しており、現実の文脈中で生じた疑問について誰に質問したらいいかユーザーに教えてくれる。

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Teamsは広い範囲のモバイル・デバイスをサポートする。MicrosoftはiOS、Android、それにWindows Phoneのアプリを発表した。デモで見た限りではモバイル版やデスクトップ版を小型化したもののように思えた。

デスクトップ版、モバイル版ともにセキュリティーは重視されている。データの暗号化をサポートし、 EUモデル条項、ISO 27001、SOC 2、HIPAAなどの条項に準拠している。「Microsoftの他の商用サービスと同様、われわれは透明性の高い運用モデルを構築しており、われわれが顧客データに継続的にアクセスすることはまったくない」と発表イベントでMicrosoftは述べた。

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現在Teamsアプリはプレビュー版という位置づけで181ヶ国で利用可能になる。正式な一般公開は来年の第1四半期を予定している。また今日からMicrosoftはサードパーティーのデベロッパーに対してこのアプリを公開した。

製品のローンチと同時にAsana、 Hootsuite、Zendeskなど多数の有名企業がユーザーに名を連ねている。またTeamsはTwitterやGitHubといったポピュラーなサービスからの通知を受け取るように設定できる。

〔日本版〕Teamsはプレビュー版。日本のMicrosoftのページには紹介がまだ見当たらないが、Microsoftブログにプレビュー版を利用可能なユーザー、ダウンロード方法などの紹介がある。 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+