ソフトバンク、T-Mobile買収のためにトランプの(やってない)雇用創出のホラを容認

STERLING HEIGHTS, MI - NOVEMBER 06: Republican presidential nominee Donald Trump holds a campaign rally at the Freedom Hill Amphitheater November 6, 2016 in Sterling Heights, Michigan. With less than 48 hours until Election Day in the United States, Trump and his opponent, Democratic presidential nominee Hillary Clinton, are campaigning in key battleground states that each must win to take the White House. (Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

そう、トランプは〈いまだに〉自分と何の関係もない ソフトバンクのファンドの話を持ち出している。

わかりにくい自己宣伝活動を続ける次期大統領は、今月始めのあまり控え目とは言えない発言を繰り返し、SoftBankのVisionファンドを自分の手柄のように語った。Visionファンドはソフトハンクとサウジアラビア政府による新興企業に投資する1000億ドルの共同事業だ。同ファンドは10月に発表され、今後5年間にSoftbankが250億ドル、サウジアラビア政府が450億ドルそれぞれ出資する計画だ。

シリコンバレーが世界の技術イノベーションの中心であることを踏まえれば、資金の多くが米国企業に流れることは、トランプが後から手柄を横取りしようがしまいがわかりきっていたことだ。それでもトランプは、Sprint、OneWebおよびVisionファンドへの投資を通じて米国に5万人分の職を生みだすという、SoftBankの計画は、自分が選挙に勝ったおかげだと言い続けている。

「つい先ほどSprintから連絡があり、5000人分の職を米国に取り戻す計画だと話していた」とトランプは記者団に話した。「仕事は海外から持ってくる。アメリカに戻す・・・さらにOneWebという新会社を作って3000人を雇用する」。

Softbankは ― 代理人を通じてSprintも ― トランプの創造的な誇大広報を喜んでいるようだが、それには相応の理由がある。トランプ政権と親密になることで、噂されているT-Mobileの買収がスムーズになり、米国で3位と4位のキャリアを合体できるかもしれない。

[Masaは、われわれ(トランプ)が選挙に勝たなければこれをすることはなかったと言った]

[日本のMasa(Softbank)米国企業に500億ドル投資して5万人の新しい職を生み出すことに同意した]

12月、Softbank CEO兼Sprint会長の孫正義氏は、トランプ氏との関係について、トランプタワーを訪れ「大統領当選を祝福し協力を約束した。トランプ氏が多くの規制緩和を行う計画だからだ」と語った

SoftbankがT-Mobile買収に関心を持っていることは周知の事実だ。2014年にBloombergのインタビューで孫氏は、Sprintの過半数を買うことは、同社の規摸が拡大して競争力を持たなければ意味がない」と語った。

「米国市場は2社による寡占状態にある。われわれが米国に来たときにゲームはもう終っていた、といつも感じていた。上位2社はそれほど強力なブランドと、強力なネットワークと、強力なユーザー基盤を持っている。しかし、ここは世界一裕福な市場であり、インターネットのイノベーションの中心だ。モバイルサービスは音声中心のサービスからデータ中心へと変わりつつある。これは最後のチャンスかもしれない。もしわれわれに意味のある競合を作る機会があるとすれば、当社のインターネット経験が少しは役立つかもしれない。しかし、そのためには規模が必要だ」。

2014年のその後、Softbankは買収計画を断念したと伝えられた。米国の反トラスト規制に妨げられたからだ。そこでトランプ政権の出番だ。孫氏のT-Mobile買収への関心はおさまっていたのかもしれないが、噂によると2016年末に向けて息を吹き返しているようだ。

トランプ政権になることは、Sofotbankが待ち望んだT-Mobile買収を可能にする規制緩和の期待が再燃することを意味している。通信規制緩和の推進者として知られているBrandt HershmanがFCC長官候補として噂され、トランプ政権移行チームメンバーのMark JamisonにいたってはFCCの存在自体に疑問を投げかけている。

「FCCは当初の設立意義をほとんど失っている。通信ネットワークプロバイダーやインターネットプロバイダーが独占状態になったことはほとんどない。仮に独占があるとしても、連邦政府機関が総出で事前規制に専念するのはやりすぎだろう」。

Softbankによる米国の雇用創出はトランプの手柄だと嘘を言わせておくことは、同社の壮大な300年計画への道を開くためと考えれば小さな代償と言えるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

データセンターが通信事業を行うプラットホーム2600hz, ついに19世紀型電話会社の終焉へ

2600hzlogo

2600hzは、データセンターで本格的な通信事業をやろう、という動きの一環だ。別の言い方をするとそれは、われわれの世の中を過去100年あまり支配してきた電話システムを分解して、墓場へ送ることだ。そのために2600hzなどの企業が今、クラウドから提供するリッチな機能によって、これまでの主流だった(固定でもモバイルでも)電話会社の機械的システムを陳腐化しようとしている。そう、携帯も含めて、これからは専用電話機/電話回線というものが、要らなくなる。

2600hz社は、ソフトウェアをオープンソースにしているので、誰もが電話サービス(のような音声通信サービス)や、そのほかのWebアプリケーションを構築できる。それは仮想化をベースとする技術なので、どんな種類のインフラストラクチャの上でも動く。

2600hzのチームによると、同社の提供物は、高価なプロプライエタリなIP製品(専用ハードウェアと専用ソフトウェアのセット)と、第一世代オープンソーステクノロジの中間ぐらいに位置している。高価なプロプライエタリの代表格がたとえばBroadSoftで、それらはワンセットの私企業製品だ。一方Asteriskなどはオープンソーステクノロジの代表格で、顧客が自力で音声サービスを構築できるようなPBXソフトウェアを提供している。中小企業での小規模な採用が多いが、スケーラビリティの乏しさがよく批判される。

これらに対して2600hzのKazooプラットホームは、一連のオープンなAPIからできていて、顧客はそれらを使って、音声などのシンプルなサービスを提供したり、ルーティングのような複雑な機能を実装でき、ユーザ数数万までのスケーラビリティを持つ。主に、2600hzが再販業者に売って、後者がエンドユーザにサービスを売る、という形だ。再販業者はたとえば、通信企業のネットワークを使ってSMSサービスを提供したりする。

platform_chart

2600hzのソフトウェアはデータセンターで動かされ、単純な電話交換機以上の機能を発揮する。電話交換機は、でっかい無味乾燥な建物に収められていた(いる)巨大なハードウェアで、19世紀のシステムだ。そういう伝統的な電話システムはユーザに分単位で課金するが、データセンターモデルでは時間ではなくデータの使われ方で料金が決まる。2600hzのソフトウェアはどんなデータセンターでも動かせるから、顧客はサービス質や料金などで通信企業のネットワークを選ぶことができる。たとえば2600hzのソフトウェアを使って非公開のビデオネットワークを開発している企業は、合衆国向けにはAT&Tのネットワーク、ドイツではVodafoneを使える〔AT&T等の電話サービスではなく物理ネットワーク〕。

通信企業も、2600hzのソフトウェアを使って自分のネットワークをプログラマブルにできる。つまり、電話に限定されず、オープンなAPIを使って独自のサービスを提供する。今の通信企業のインフラは、70年以上も経っている古いものが多いが、それらを自社のデータセンターにおいて、2600hzのソフトウェアでリプレースできる。あるいは、そのほかのデータセンターを使ってネットワークの供用域を拡大することもできる。

既存の通信企業は、その大きな物理ネットワークが今後も利用価値があり、したがって2600hzは彼らと共存する。デベロッパたちがそのネットワークにフィードし、全体として善循環が形成される。

以上はきわめてクールだが、BroadSoftなど既存の企業は脅威だ。彼らのサービスは高価だが、自分のプラットホームを作ることに関心のない顧客のニーズにはマッチしているからだ。

それに、社名はどうだろう? ハッカーたちが2600hzという名前を見たら、それは通信企業のネットワークの上で無料通話のできる周波数のことか?と思う。それは、若き日のSteve WozniakやSteve Jobsの得意技だった。Wozniakはある日、Henry Kissingerのふりをしてローマ法王に電話をしたことがある。ただしそのとき法王は昼寝をしていて、電話に出られなかった。

電話、というか音声通信にインターネットを使う人は、これからもますます増える。そしてその費用は次第に、低減する。最終的には通話料は無料になり、Wozらの時代のハッカー文化がついに世の中を支配するだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))